朝起きたら道路が真っ白だった。
夜中に降ったのね。
今時降る雪は、融けるために降るようなもの。
お昼ころには消えてなくなっているだろう。
なんだかいじらしい。
冬を惜しむ気はさらさらないけれど、
鬼のようだった冬将軍が、にっこり笑って、
「もう行くよ」と、別れの挨拶をしているようだ。
息子が出張で、今週金曜日に帰省すると思っていたら、
日曜日だった。
こちらが勝手に、金曜日だと思いこんでいたようだ。
「行くのは俺だけだよ」
息子がわかりきったことを言う。
そりゃそうでしょう。出張だもの。
それにね、孫が可愛いというけれど、一番可愛いのはわが子よ。
一番見たいのは、あんたの顔なのよ。
「わかってるよ」と言いながら、心の中ではそう言っていた。
当たり前だけれど、息子あっての孫なのだ。