WOWOWで録画してあった映画「バウンティフルへの旅 」を観ました。
1940年代のアメリカ、ヒューストン、息子と嫁と三人で暮らしているワッツ夫人という老女が主人公です。
バウンティフルという田舎町に住んでいたワッツ夫人は、20年前にヒューストンの二間しかない家で、息子夫婦と同居し始めました。
1940年代、きっと主婦に働きに出るという選択はなかったのでしょう、一日一緒にいる嫁と仲よくとは行きません。
息子は母に冷たいわけではないけれど、彼女の行動にいちいち難癖をつけてくる嫁に頭が上がりません。
家事をワッツ夫人に押し付けて、買い物やコーラを飲みに外出するのが趣味の嫁は、彼女の年金狙いです。
この生活に耐えられないワッツ夫人は、生まれ故郷のバウンティフルへ帰ろうとするのですが、切符すら買えないうちにいつも息子夫婦に連れ戻されてしまいます。
でも、この日は心臓の軽い発作が起きて、死ぬ前に何が何でも故郷の家を見に帰ろうと決心します。
嫁の留守を狙い、年金の小切手と、ハンカチに包んだ小銭をもって、駅までたどり着きました。
でもそこで、バウンティフル駅は廃止されたことを知ります。
信じられない彼女、ならバスでと何とか長距離バスに乗りますが、やはりバウンティフルのバス駅は廃止されていて、20K手前の駅で降りるしかありません。
保安官の好意で、昔住んでいた家まで連れて行ってもらいますが、廃墟のような建物を幾つか通り過ぎてたどり着いた家は崩れかけた荒れ家と化していました。
保安官の知らせで追いかけてきた息子に、この家で幸せに暮らした彼が幼かった日々の思い出を語ります。
その思い出は、彼女の生きる糧でした。
でも、その幸せだった母子の思い出は、息子にとっては苦痛でしかありません。
自分にはそういう思い出を一緒に作る子供がいない、その虚しさを母に吐き出します。
1940年代、子供がいないことは、現代では考えられないほど重いことだったのでしょう。
母は息子も苦しんできたことを知ります。
お互いの気持ちを言い合って、二人の心のわだかまりが解けたのか、母は息子と暮らしていくしかない現実を認められるようになりました。
息子は、母への愛情を思い出しました。
嫁は、殊勝に彼女の言葉を聞く義母に少しやさしい気持ちになりました。
とはいえ、人は簡単には変わりません。
これからも、やはり諍いを続けながらなんとかやっていくのでしょう。
正直なところ、やり切れない生活だなと思いますが、何とか頑張ってとエールを送るしかありません。
主演のワッツ夫人はジェラルディン・ペイジがという女優さんですが、1985年のアカデミー賞主演女優賞を受賞しました。
彼女は1924年生まれで、撮影当時は60歳になるかならないかという年齢でした。
それを知ってビックリ、どう見ても後期高齢者、少なくとも70歳は超えているように見えます。
メイクで老けさせているのか、1985年の白人の60歳はあれで普通だったのか、わかりませんが驚きました。