脱北者も認めた北朝鮮のリアル。Netflixで人気の『愛の不時着』とは?
新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛が広がるなか、利用者数が急増中の動画配信サービスNetflixでは、ちょっとした韓流ドラマブームが起きている。Netflix日本国内の「今日の総合TOP10」をチェックしてみると、『愛の不時着』『梨泰院クラス』といった韓国ドラマが連日ランクインしているのだ。
中でも『愛の不時着』の人気は注目に値する。2月23日に全話一挙配信されてから今までTOP10を外れたことがなく、筆者の周りでも幅広い年齢層が楽しんでいる。
昨年12月から韓国のケーブルテレビ局tvNで放送された『愛の不時着』は、韓国放送時も視聴率を伸ばし続け、最終回の最高視聴率は同局の最高ヒット作『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』の記録を上回る24.1%を獲得した。
人気の理由は様々なだが、特に注目を集めたのが「北朝鮮」(朝鮮民主主義人民共和国)での生活を描写していることだ。
パラグライダーの事故で北朝鮮に不時着した韓国の財閥令嬢を、北朝鮮のエリート軍人が匿っているうちに恋に落ちる。当初はこの非現実的な設定に抵抗感を示した人もいたが、いざ蓋を開けるとクオリティの高さが評判を呼んだ。脱北YouTuberで知られるハン・ソンイさんも「今までの北韓(=北朝鮮のこと)描写の中で最高」と評価する。
それもそのはず、本作の脚本制作にアシスタントとして参加したのは、北朝鮮で映画演出を勉強して護衛司令部に服務していたという脱北者のクァク・ムンワンさんだ。
彼は『BBCコリア』の取材で「エンターテインメントが目的のドラマなので、もちろん100%正確ではない」としながらも、「断片的とはいえ、このドラマを通じて北に関心を持ってもらえたことに意義がある」と語っている。
“北と南の恋のコラボ”の物語に息を吹き込んだのは、超がつくほどの豪華なキャスト陣だ。映画『私の頭の中の消しゴム』やドラマ『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』で知られる女優ソン・イェジンと、ドラマ『私の名前はキム・サムスン』『シークレットガーデン』のヒョンビンが主人公カップルを熱演。
ふたりは映画『ザ・ネゴシエーション』(2018年作)以来、2度目の共演で “お似合いすぎる”ことで定評がある。案の定、ドラマの放送時に熱愛説と破局説が同時に浮上するというハプニングがあった。
また、若手俳優キム・ジョンヒョンと女優ソ・ジヘがサブカップルを務め、物語に立体感を与えている。メイン&サブカップルの4人が、何らかの事情で関わり合っているのも興味深いところである。
今年のアカデミー賞で作品賞に輝いた映画『パラサイト 半地下の家族』の役者たちの新たな一面も発見できる。ソン・ガンホの妻を演じた女優チャン・ヘジンと、“地下に住む男役”の俳優パク・ミョンフンも姉弟として出演するし、北朝鮮の奥様4人組やヒョンビン率いる第5中隊の4人組にも、韓国ドラマファンならお馴染みの顔が勢揃いだ。
加えて、“主要キャスト顔負け”の豪華なカメオ出演も話題を呼んだ。
第10話のエピローグには、ドラマ『星から来たあなた』で知られる俳優キム・スヒョンがサプライズ出演する。それも彼の主演映画『シークレット・ミッション』で演じた青年ドング(北朝鮮からのスパイ)役での特別出演で、コミカル演技を再び披露して反響を呼んだ。
“ジウ姫”こと女優チェ・ジウも、本人役としてサプライズ出演。劇中でも登場するドラマ『天国の階段』の名セリフを披露するなど、存在感を放った。妊娠中のため活動を控えているチェ・ジウの元気な姿に、懐かしさを覚えた方も多いことだろう。
ユニークな設定、豪華キャスト、エンタメ要素が三位一体となった『愛の不時着』。コロナの話題ばかりで気が滅入るこの時期、気分転換にぴったりなコンテンツである。
スポーツソウル日本版編集長