民のための政治を行った名君とされる朝鮮王朝第21代王、英祖(ヨンジョ)、名はイ・グムの若き日を描きます。王になるはずではなかった王子イ・グムが、正義を追い求める3人の仲間、パク・ムンス、ヨジ、タルムンに支えられ、不正のない平等な世を目指す、不屈の道のりを描いた友情と信念のストーリーです。
タイトルになっている「ヘチ」とは“善と悪を裁く”とされる伝説上の生き物で、ドラマでは、政治や時勢に流されることなく、法と正義を守る司憲府(サホンブ:役人の違法行為を監督する官庁)の役人が通称「ヘチ」と呼ばれています。権力者たちの派閥抗争によって司憲府内にも不正がはびこり、公平な法の番人「ヘチ」も幻となりつつある世の中で、主人公の王子イ・グムが仲間たちと悪に立ち向かっていきます。
主役のイ・グムを演じるのは、イケメン実力派俳優のチョン・イルさん。除隊後、初のドラマ出演作です。NHKでは、2014年に放送した韓国ドラマ『太陽を抱く月』の陽明君(ヤンミョングン)役や、同年の『テレビでハングル講座』内のスキットコーナーで、彼の魅力に心を奪われた方も多いでしょう。
ヒロインのヨジ役は、モデルとしても活躍する美人女優コ・アラさん。映画デビューは、なんと2007年の日本、モンゴル合作の大作『蒼き狼 地果て海尽きるまで』の女性兵士クラン役。今回のドラマでも、男勝りな司憲府の一員ヨジを演じています。
ドラマにはほかにも、司憲府の役人を目指しながら役人登用試験に落ち続けている熱血漢パク・ムンス、町のごろつきながら貧しい市民を守るワイルドなタルムン、そして傍系の王族で王座に執着する不気味な王子イ・タンなど、気になるキャラクターが満載です。
民のための政治を行った名君とされる朝鮮王朝第21代王、英祖(ヨンジョ)、名はイ・グム。その若き日を描く。
王になるはずではなかった王子イ・グムが、正義を追い求める3人の仲間に支えられ、不正のない平等な世を目指す不屈の道のりを描いた友情と信念のストーリー。
「ヘチ」とは善と悪を裁く伝説上の生き物。政治や時勢に流されることなく、法と正義を守る司憲府(サホンブ)の役人は通称「ヘチ」と呼ばれる。
18世紀初頭。第19代王、粛宗(スクチョン)の次男イ・グムは聡明な青年だったが、母の身分が低かったために軽視され、自らも政治に関わらぬように生きてきた。母違いの兄イ・ユンが王位継承者の世子(セジャ)になっていたが、病弱で子どもがおらず、朝廷を牛耳る対立派閥の重臣たちは、代わりに素行の悪い傍系の王族、イ・タンを継承者にしようとたくらんでいた。そんななか、イ・タンの悪行を調査していた司憲府の役人が党争の餌食となって命を落とす。王座への不気味なまでの執着心をみせるイ・タンと、王族を利用して朝廷を掌握しようと画策する各派閥の重臣たち。イ・グムは、権力者が私利私欲のために正義をないがしろにする不公平な世を変えねばならぬと決心。志を同じくする熱血青年パク・ムンスと司憲府に仕える女性ヨジ、町のごろつきのタルムンとともに、万民のための公正な世を作り出すための長く険しい闘いに挑む。
※司憲府・・・役人の違法行為を監督する官庁。現在の検察のような組織。
~ 豆知識 ~
■ 第19代王、粛宗(スクチョン)の3人の王子:イ・ユン、イ・グム、イ・フォン第19代王、粛宗の3人の息子は異なる側室から生まれた。1人目のイ・ユンは、幼くして王位継承者の世子(セジャ)に定められたが、病弱で子どもに恵まれなかった。母は「朝鮮三大悪女」のひとり、禧嬪(ヒビン)張(チャン)氏。正室を呪った罪で死罪になった。2人目の延礽君(ヨニングン)ことイ・グムの母は、淑嬪(スクピン)崔(チェ)氏。宮廷の女官に水を運ぶ身分の低い使用人だったとされている。3人目の延齢君(ヨルリョングン)ことイ・フォンの母は榠嬪(ミョンビン)朴(パク)氏。イ・フォンが幼いときに亡くなった。
■ 王になれなかった世継ぎの昭顕世子(ソヒョンセジャ)と、ひ孫のイ・タン昭顕世子は第16代王、仁祖(インジョ)の長男で、王位継承者だった。隣国、清で8年を過ごして帰国後、わずか2か月で謎の病死を遂げた。死後のさまざまな状況から、清や西洋の文化を認める息子を快く思わぬ父王、仁祖が毒殺したという疑惑がある。代わりの王位継承者は、通常ならば昭顕世子の長男がなるはずだが、昭顕世子の弟(後の第17代王)が選ばれた。そして、昭顕世子の妃、愍懐嬪(ミンフェビン)姜(カン)氏は、仁祖を毒殺しようとした疑いで死罪にされた。さらに昭顕世子の3人の息子たちも流刑にされ、長男と次男は亡くなっている。このとき生き残った三男の孫が、ドラマに登場する密豊君(ミルプングン)ことイ・タンである。
■ 朝廷の派閥争い:老論(ノロン)派、少論(ソロン)派、南人(ナミン)派ドラマの舞台となる18世紀初頭は、老論派と少論派の二大派閥が朝廷の覇権を争っていた。数少ない南人派は、世子イ・ユンの母を支持していたが彼女が死罪となった後に多くが追放され、朝廷での力を失っていた。
記事(NHK)