韓国映画「モガディシュ 脱出までの14日間」あらすじと感想。
実話に基づいて製作された本作は、ソマリア内戦に巻き込まれた韓国と北朝鮮の大使館員たちが、生死をかけてお互い協力を得ながら脱出を試みる衝撃の人間ドラマだ。
1991年にソマリアの内戦が激化し、反乱軍が首都のモガディシュを制圧。空港は封鎖され、通信網が断たれる中、命の危険にさらされた外国人たちは、生死をかけて脱出しようとした。
2021年にアフガニスタン政府が崩壊し、タリバンが政権復活を果たした時や、ウクライナの緊張状態と同様の状況だ。つまり、いつどこで、誰に起こってもおかしくない。
だが、その中に“脱出劇の真実”を公には語れなかった人々がいた。ソマリアに駐在していた韓国大使とその家族たちだ。いったいどんな運命のいたずらか、激しく敵対していた北朝鮮の大使たちと、脱出への死闘を共にすることになったのだ。近年になってようやく事件の顛末が公表され、知られざる事実への丹念なリサーチが行われ、映画化が実現した。
完成した作品が2021年7月に韓国で公開されると、コロナ禍にもかかわらず観客が押し寄せ、最終的には興行収入30億円を突破、2021年度の韓国映画No.1大ヒットとなった。さらに、メディアや評論家からも高く評価され、韓国の栄えある映画賞を次々と受賞、第94回アカデミー賞(R)国際長編映画賞部門の韓国代表作品にも選ばれた。
(あらすじ)
1990年、ソウル五輪で大成功を収め勢いづく韓国政府は国連への加盟を目指し、多数の投票権を持つアフリカ諸国へのロビー活動に励んでいた。ソマリアの首都モガディシュで韓国大使を務めるハンは、現地政府の上層部に何とか取り入ろうとしている。一方、韓国より20年も早くアフリカ諸国との外交を始めていた北朝鮮のリム大使も国連加盟のために奔走し、両国間の妨害工作や情報操作はエスカレートしていく。そんな中、ソマリアの現政権に不満を持つ反乱軍による内戦が激化。暴徒に大使館を追われた北朝鮮のリム大使は、絶対に相容れない韓国大使館に助けを求める決意をする。果たして、ハン大使は彼らを受け入れるのか、全員で生きて脱出することができるのか、そしてその方法は……? (kstyle)
ソマリアで内戦が起こり、現地に残された韓国と北朝鮮の外交官家族がお互いの感情を捨て協力しあい脱出を試みる映画で、この人間ドラマが実話だと言うことに驚きを感じました。
今年の4月にアフリカのスーダンでも同じような内戦の武力衝突で民間人に多数の犠牲者が出ていると連日報道されています。
本当にタリバンやウクライナやスーダンなどの緊張状態と同じような状況で、いつどこで、誰に起こってもおかしくない世の中になってきました。
スーダンでの一日も早い「日本人退避」を急いでほしいと思います。
本作は内戦の武力衝突の大規模なロケーションなどに圧倒されますが、撮影は西アフリカのモロッコでのオールロケを実施し内戦当時の状況を克明に再現したそうです。
でも、幼い子供たちが平気で銃をもって戦う姿には心が痛み、たまらなく辛い気持ちになりました。
また劇中、北朝鮮の大使館は暴徒に襲撃され車や食料や金品を取られ、仕方なく敵視している韓国大使館まで逃げますが、韓国側は今更?何を企んでいるのか?と信用していません。
ところが、北朝鮮も同じような考えなので、お互いの緊張感が視聴者にも伝わってきて、後半からこの二国間のピリピリとする張り詰めたシーンに注目です。
また韓国カン参事官役のチョ・インソンさんが大げさなほどタバコを吸うシーンが多かったのが印象に残りましたが、この緊張感の中「生きる」という究極の心理状況を強調したかったのかなぁ?
また韓国ハン大使役のキム・ユンソクさんとチョ・インソンさんは初共演。
韓国を代表する個性的なキム・ユンソクさん、チョ・インソンさんのキャラクター演技から目が離せませんが、特に名優キム・ユンソクさん特有のユニークな演技がとても良かったです。