ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

ロス・アルトス到着

2012-07-24 | アメリカ

今アメリカで世間を騒がせている乱射事件を報じる新聞を空港の売店で発見。
これは、ご存知かもしれませんが、容疑者が「バットマン・ダークナイト」が公開されている映画館で
銃を乱射し、今のところ14人もが亡くなったという事件です。

 

容疑者の若いころの写真などもテレビでは報道されていました。
対談番組ではまたもや「銃所持に対する法規制の見直し」について議論されたりしています。
それにしても、冒頭写真の「ダーケスト・ナイト」は、映画の題「ダークナイト」の最上級。
誰が上手い言えと、という感じの見出しですが、この件でワーナーブラザーズは宣伝自粛、
プレミアの中止など、神経質な対応を迫られているようです。

銃の持てない日本では対岸の火事ですから、
もしかしたらこれが集客に結びついたりするのかもしれませんが・・・・。


さて、というわけで、一日更新をお休みしている間に、ボストンを後にしました。
ここで東から西海岸に移動です。
ここでサンフランシスコに移るのが恒例であったのですが、今年は予定が変わりました。
息子のサマーキャンプにいつも選んでいたサンフランシスコのコンピュータキャンプが、
不況の所為か今年は大幅にクラスを減らしてしまい、日にちが上手く取れなかったのです。

そこで、スタンフォード大学でやっているITキャンプに行かせることにしました。
スタンフォードはサンフランシスコ空港から南に30分ほど行った「ロスアルトス」という街にあります。

 

一カ月のボストン生活に別れを告げ、ローガン空港に。
ユナイテッドの国内線ビルディングが、改装されていました。
右写真は、ボストン名物、クラムチャウダーで有名な「リーガルシーフード」空港店。
住んでいたフラミンガム市にもあり、時々行くのですが、今年は行きませんでした。
インチキズシを食べるくらいなら、日本人にはこちらの方がずっと受け入れられる味です。



空港の書店で発見したなごみネタ。
このネコがわっかにした段ボールにスライドしている映像は、ここアメリカでも有名で、
「最もおかしなファミリービデオ」という人気番組でもしょっちゅう放映されています。
このネコ、「まる」というそうですが、「まるです」という日本の本が英訳されて、
平積みで大々的に売られていました。
今最も有名な日本の猫かもしれません。
翻訳本の各章には、日本語のタイトルがそのまま残されていました。


 

このビルは、改装後ジェットブルーと共用しているようです。
ジェットブルーは、ケープコッドやナンタケットなどのリゾート地に路線を持っているので、
この日週末の朝は、ビーチ行きの恰好をした人々で一杯でした。
海外に行かずとも週末にビーチリゾートが楽しめる、アメリカ人には当たり前のことなのです。


このビルの改装は控えめで、どうやらそんなにお金もかけていないようでしたが、
ちょっとした工夫(ガラスにカラーテープを貼って、床に映る影を楽しむ)が見られます。

ところで、セキュリティに並ぶとき、係員のおじさんに「こっちでいいの?」と聞くと、「いいですよ」
息子が後ろでIDチェックをしていたため、わたしがそれを待っていると、

「Are you waiting for your BROTHER?」(太字強調)

おっちゃん・・・・・いくらガイジンの歳はわかりにくいっていっても。
しかし「孫を待っているのですか?」と言われるより気分のいいのはなぜ。
「弟を待ってるの?ってきかれちゃったよ~」と息子に言うと

「それは・・・・無いわ・・・」




サンフランシスコ行きは満席でした。
例年のようにチェロを持って移動しなくても良くなったので、国内線はエコノミーです。
国内線は日本と同じくファーストクラスとエコノミーで、この機のファーストは前方にわずか8席。
前の方は若干席の間のピッチが広いという「ちょっとアッパーなエコノミー」で、
今回我々が乗った後ろの方は、奥の人がトイレに行こうと思ったら、通路側は一旦立たないと
特に太ったアメリカ人は外に出られない、という位狭い席でした。
6時間のフライトですので、飲み物サービスは二回きますが、スナック類は全て有料。
後ろのトイレに並ぶ列がいつも横に立っている、というのも落ち着かない気分でしたが、
ともあれ無事にサンフランシスコに到着。
12時に離陸し、現地時間は二時間巻き戻って、4時です。



この日空港につくなり、サンフランシスコにしては暑くて驚きました。
ここでこんな暑さなら、南に下るとどうなるのか・・・。
この空港の便利な点は、空港ビルとレンタカーの集まったビルがモノレールで連結されていて、
他の空港のように大量の荷物を抱えて空港バスに乗る手間が要らないことです。

今まで不満であった点というと、荷物を運ぶためのカートが有料で、
一台につき機械に3ドル入れないとカートを取ることができない、ということでしたが、
おそらく市民の苦情により解消されたのでしょうか、無料になっていました。
写真は、誰もいないモノレール車両内、猿のようにバーでぐるぐる回って遊ぶ息子。



レンタカービル駅に到着すると、目の前にカウンターが並んでいます。
わたしはここ何年か「ハーツ・ナンバーワンゴールドクラブ」のお世話になっています。
前もって情報やカードを登録しておくと、事前のインターネット予約さえしておけば、
後は予約時間に車置き場に行って、このような掲示板をチェック。
自分の名前が無いことも、そこはアメリカですから時々あるとはいえ、カウンターに並ぶことなく、
黙って車に乗っていけばいいのですから、嬉しいシステムです。

この日も、予約通りにロットにはプリウスが停まっていました。
荷物を積み込んで、さあ、出発というときになって、はて。

カーナビが無い。

予約のときにGPSを付けるという選択が出て来なかったので標準装備だと思っていたんですが。
いつものサンフランシスコなら、目をつぶっていてもどこに何があるかは熟知しているので、
GPSなど全く必要ではありませんが、今回は何から何まで初めての場所。

おまけに、息子はボストンでのキャンプ後半で「サイナス・インフェクション」(副鼻腔炎)にかかって、
週明けにスタンフォード内のクリニックに行くことになっていたり、楽器屋に行ったり、
予定が満載ですから、何かと土地勘のないところでGPS無しでは大変です。

しょうがないので車を交換してもらうことにしました。

「車をスイッチ(交換)していただきたいのですが。
同じクラス、同じカテゴリの車で、条件は一緒、GPSだけが必要です」

海外旅行で役に立つかもしれないので解説しておくと、借りた車が気にいらなければ、
アメリカでは簡単に交換(チェンジではなく、スイッチと言ってね)ができます。
昔、週末でKIAを押し付けられたことがあり、30分走ってガソリンの4分の一が瞬時にして
無くなってしまったとき、あまりの不快さに交換に行ったことがありますからよく知っているのですが。

何年か前にロットにソナタが停まっていたときも交換しました。
「アップグレードなんですが・・・」と係員が言うので、
「ソナタは燃費が悪すぎるので(ほかにもいろいろ理由はあるけど)一カ月も乗るのには困ります」
というと、カローラに替えてくれました。
ヒュンダイ、キーア車は、投げ売りのように安く売られているので、ここではほぼレンタカー専門。
しかし、人気は「プリウス」「アルティマ(ティアナ)」など日本車で、すぐに品切れになってしまうのです。

さて、ナンバーワン・ゴールドクラブのデスクに話を戻して。

ぱこぱことキーボードを叩きながら、係の女性、
「GPS付きのプリウスは、ありませんねえ・・・・同じクラスのも・・・。
お客様、提案なのですが、GPS付きのメルセデスはいかがですか?
「メルセデス?」
「一日たった12ドルのプラスチャージであなたは
メルセデスに乗ることができるのです

「いや・・・しかし、わたしは一カ月も借りなければならないので、それはオーバーコストだわ」
「でも、もし、今GPS付きの車があったとしても、それを借りようと思えば、
お客様は一日につき13ドルの追加料金を払わなくてはいけないのですよ。
それならば、12ドルであなたはメルセデスに乗った方がいいです。
よっぽどこちらの方がリーズナブルではありませんか」

(・・・っていうか)「え、一日ネバーロスト(ここでのカーナビの商品名)を借りるのに13ドル?」
「そうです」
「高くないですか?」

去年ここで借りたアルティマにはネバーロストが付いていたけど、あれはたまたまだったのか。
「ここでは標準装備じゃないんですね」
「そうです」
(背に腹は代えられない・・)「・・・・じゃメルセデスにします」



このメルセデス(アメリカではベンツという呼称は一般的ではない)は目立つところに停まっていて、
最初「レンタカーでベンツ借りる人もいるんだね」などと言いながらここを通り過ぎたのですが、
まさかその10分後に自分自身がこの車をかりるはめになるとは。
神ならぬ身のエリス中尉にはそのときには知るべくもなかったのでした。

でも、今この写真を見て気が付いてしまったのですが、
「ミッドサイズ、あるいはその上のクラスの車を予約された方、この車に替えませんか?
追加料金なしでお乗りいただけますよ」という宣伝文句が書いてありますね。

目立つところにおいてあったのは、めったに予約では出ない高級車を遊ばせずに、
その分よく売れる車種の予約を増やそうというハーツの戦略だったのです。

つまりわたしはGPSにかこつけて「キャンペーン」を推奨する優秀な社員の戦略にかかったのか?
本当にGPS付きの車は一台ものこっていなかったのか?
そういった疑念が今になって浮かんでくる気もしないでもないのですが。

まあいいや、今の車を買う前にコンプレッサ(おもちゃみたい)スポーツタイプ(後ろが狭い)
とヤナセで試乗して、一生メルセデスには縁がない、と見きったつもりだけど、
車の運転大好きのわたしとしては、メルセデスを運転する願ってもないチャンス。

はりきって空港ビルを出ました。
アメリカのレンタカーシステムは簡単で、指定されたところに行けは、鍵が付いた車がおいてあり、
空港のゲートを通るとき契約の書類と国際免許を見せれば、係員が通してくれます。

出るとき、中国系のおじさん係員が「どこまで行くの?サンフランシスコ?」
と聞くので「ロスアルトス」というと、
「ここを出たらライト、レフト、レフトでフリーウェイだよ」
と瞬時に言ったので感心しました。
言っちゃなんだが、こういう気のきく対応をしてくれるのは、常に東洋系なんですよね。
それ以外は愛相はいいけど、それだけ、って感じの人が多いので。
おじさん、「サヨナーラ」と挨拶してくれました。



メルセデスで国道を南下。
ボストンとは違い、このあたりはフリーウェイに料金がいらない(文字通りフリー)なので、
この車にもアメリカのETCに相当するEZパスの器械は付けられていません。

室内がやたらせまいのさえ我慢すれば、適度な重みのあるステアリング、高速で100キロ出すと
とたんに地を這うような安定感があって、非常に信頼感のある走りが楽しめました。
(わたしは徳大寺か)
腐ってもベンツ、やっぱりいいなあと快適なドライビングを楽しみながら30分でホテルに到着。

チェックインしたら、フロント係が、
「お客様、提案があるのですが」

・・・・提案、またキタ―!(AA省略)

「お客様は今、30ナイト予約して居られますが、もしもう一日予約すると、割引対象になり、
560ドルの節約になります」
こういう提案なら大歓迎。
「おお、それは素晴らしい提案ですね」
「最後の日、お客様がもし一日早くチェックアウトされても、ステイタスは勿論残りますから、
我々は部屋をキープしておきます」

というわけで、ハーツの係員の提案で360ドルを余計に払うことになった直後、
ホテルの気の効くフロント係がそれを上回る節約プランを提案してくれたというわけ。

「メルセデス代、でちゃったね」
なかなか幸先のいい出だしとなりました。

ところで、ここは無茶苦茶暑いです。
日本の暑さより「じりじり」と焼かれている感じは強烈。
ハワイの昼間の暑さ、という感じで、ホテルのプールはいつも人がいます。
リーズナブルなホテルでありながら、プールはありテニスコートはありで、ちょっとしたリゾート気分。




部屋からの眺めです。
しかし、夜になったとたん風が冷たくなり、寒ささえ感じたのには驚きました。
ですから夜はクーラーなしで安眠でき、嬉しい限りです。
また西海岸情報などを折りにふれお届けしたいと思います。