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ボストンのスシ・ゴー・ラウンド(回転寿司)再び 

2013-07-20 | アメリカ

去年「アメリカ・スシ事情」というエントリで、ここアメリカのスシについてお話ししたのですが、
この時に初めてここボストン郊外のあるショッピングモールにできた
回転ずしの「ジャパニーズレストラン」に行った感想を書いています。

この時にこのスシレストランを美味しいと思ったから、では決してなく、
単に一年経ってここのスシがどうなっているかを確かめるため、
というか「ネタ」ゲットのためだけに今年も行って参りました。



このモールには、この一年の間に以前からあったアップルストアの一軒置いて隣に
マイクロソフトショップができるという変化を見せていました。

関係ないのですが、どうしてアップルショップの近くに
アメリカというところは必ずマイクロソフトショップを持ってくるのか。
しかも必ず間に一軒別の店を挟んで。

スタンフォードのモールも全く同じ配置だったので何か不思議に思いました。



この「スマーテスト・スシ」には、下にこう書いてあります。

「・・・・そう、コンベアーベルトに乗ってくるんです。

ワサビ、わたしたちは新鮮"geek"(オタク)です。
わたしたちは「ラジオ・コントロールド・スシ」を思いつきました。本当です。
ベルトの上のリングはすべてラジオ波IDチップが搭載されており、
自動的にわたしたちのスシ・シェフが、皿を管理するタイミングを知らせます」

ほう。

寿司ネタがカピカピに乾いて、すし飯が米に戻るということがないように
コンピュータ管理をしていると。
さすがはボストンのシリコンバレーといわれるこの地域にあるすし屋だけのことはある。
ついでに、店の前にアップルと、一軒置いてマイクロソフトショップががあるだけのことはある。

ところでこのスシ・ゴー・ラウンドという言い方。
回転寿司のことを「ベルト・コンベアード・スシ」とも言いますが、
メリーゴーラウンドみたいなこちらのほうが気が利いていますね。

さて、それでは一応お品書きも見てみましょうか。



ここでいちいち突っ込んでは話が進まないけどとりあえず言わせてもらう。

味噌汁にハラペーニョ(メキシコの青唐辛子)を入れるな。

酢の物にアボカドを入れるな。

去年のエントリで、「だし昆布を一度くぐらせただけで変わる味噌汁の味が、
日本人以外にはどうやらまったく知覚できないらしい」

と書いたわけですが、だし昆布どころかハラペーニョ・・・。
舌がしびれるほど辛いハラペーニョを入れたら、だしの味もなにも全くわからないだろうがっ!

ところでここは「ジャパニーズ・レストラン」ですから、一品もの、
たとえば日本のすし屋ではお目にかかれない「チキン」などもあります。
息子が食べたいというのでチキンを注文してみたのですが、
ウェイトレスのお姉さん

「テリヤキか”あんてぃくちょ”かどちらになさいますか」

わあーーーーっつ?(ディスピカブル・ミーのミニヨンの声で)

アンティクチョってなんですか?
メニューを見ていただけれはお分かりですが、これは「レモン・チリソース」。
すでにジャパニーズとは地球半回転近く離れてるし。

ハラペーニョと言い、あんてぃくちょと言い、メニューのSUNOMONOの前に付けられた
JO(意味は分からないけどたぶん”ホー”と発音する)と言い、断言するが

オーナーはメキシコ系である。

とスルドくプロファイリングしている間にも、一皿撮ってみることにしました。



キュウリ巻。
これは文字通り「撮っただけ」。
見たところ日本のものと変わりありません。

しかし、どちらにしても味は予想の範囲(というかもう知ってる)ので、
エリス中尉がここで最初に取ったお皿は・・・・



ベトナム風春巻きチリソース添え。

どこがジャパニーズレストランなんだ、と日本人なら思うわけですが、
メキシコ人から見ると、ベトナムも日本も同じような場所にあるのかと。
なぜこれを取ったかというと、こちらのスシはやたらご飯部分が多いので、
炭水化物の取りすぎにならないように&前菜代わりです。

中には紫キャベツ、普通のキャベツ、カニカマ(ここが日本風)入り。

そしてその間にベルトに乗って流れてくるスシ(とそうでないもの)を撮りまくります。



和代ロール。加寿代ロールかもしれません。
カズヨって誰?

蓋が曇っていてよく見えませんが、アメリカ寿司特有の
内側にノリを巻き込んだ巻きずしの上にサーモンを乗せています。

なんかこう、素材があんまりなので、いろいろ足してしまうんでしょうか。



だからドラゴンというネーミングは日本のセンスではないと何度言ったら(略)
巻きずしにさらにネタを乗せるというのはどうやら基本形になってしまっていますね。



このあたりで、もう一つ取ってみることにしました。
ご覧のとおり、ウナギ。

日本ではシラスウナギの捕獲量が激減していて、近々日本産ウナギは
養殖であっても食べられなくなるのではないか、というニュースが最近ありましたが、
アメリカの鰻がどこから来ているのかは謎です。
まあ、おそらく中国産の気味の悪いあの「ウナギモドキ」だと思うんですが、
一回くらいは何ともなかろうと、死んだ気になって取ってみました。

掛けられたタレが超濃厚だったせいで、正体がわかりにくい味でしたが、
取りあえず鰻らしく全体的にまとまっていました。



しかし、少し箸をつけただけで御飯がボロボロ崩れるのは・・・。
ノリで巻いてあるのは「崩れ止め」のためでもあるようです。



トーキョー・サラダ。

サーモンとマグロをきゅうりとレタスと海藻の上に乗せ、ドレッシングをかけて出来上がり。



ここで、息子が頼んだ「テリヤキチキン」が来ました。

盛り付けがなっとらん。

なんというんでしょうかね。
大したレストランでなくても、どんなコンビニ弁当でも、
日本人ならこうは盛り付けないんじゃないかな。
息子によるとチキンそのものは美味しかったということですが。



Bajaとは、これもスペイン語で、「バハ」だと思うのですが、
「高い」とか「長波」など、たくさんの意味があるようでよくわかりませんでした。



フィラデルフィア・ロール。

カリフォルニア・ロールなら知っているが、とおっしゃる方、
あなたはクリームチーズの「フィラデルフィア」をご存知でしょうか。
そう、このロールには、クリームチーズがアボカドと共に巻き込まれています。

うえー、なんだそれ。

と決めつける前に、エリス中尉、清水の舞台から飛び降りたつもりで(←嘘)
一皿取ってみました。

うむ・・・・。

なんといいますか・・・・ご飯にバター掛けたみたいな意外なマッチング。
悪くありません。

銀座の次郎さんは後頭部に筋立てて激怒しそうですが。



息子が「洗濯でもするのか」と突っ込んだ、この「センザイ」。
どこかで聞いた日本語を使用してみたのでしょうが、
日本語で「センザイ」というと、「洗剤」「潜在」「線材」「先在」「千載」、

可能性がありそうなのは・・・・・・・・「前栽」?

確かに、上に乗せられた緑の物体は「前栽」(植え込み)に見えないこともない。
それにしてもこの緑の物体の正体はは、何なのでしょう。



ラッキーロール。

おそらく、具が四種類巻いてあるからだと思われます。
しかし、どうしてアメリカのスシというのはノリを内側に巻くかね。



それにしても、ワサビ、大繁盛である。
スシは最近珍しいものでもなくなってきて、このように普通のショッピングモールに
必ずスシレストランが一つは入っているのですが、
昨日観に行った映画「ディスピカブル・ミー2」(怪盗グルーの月泥棒の続編)でも、
モールに怪しげな名前のスシ屋がありましたし、サメがビーチのスシカウンターに
爆発のショックでどーん!と乗って、板前と客が皆で「いえ~~~!」と
叫ぶというシーンがあったように、アメリカ人の生活には普通に溶け込んでいます。

ゴーラウンド型のショップは、フロア従業員の数を減らせるし、子供も喜ぶし、
食べたいものを取ってすぐ食べる(しかも座ったまま)と、アメリカ人が好む要素が満載なので
きっとこれから増えていくのではないでしょうか。



スィートボテト・天ぷら。
どこが天ぷらでどこがスィートポテトなのかは謎です。
向こうの軍艦巻きに乗った真っ赤な物体は、着色したトビコです。



季節のお奨めは・・・プチトマト乗せ。
内容物はわからず。



去年も突っ込んだ「レインボウ・ロール」。
因みに去年のバージョンは「レインボー巻」と称するものです。
比較のために去年の映像をどうぞ。



一応ネタがグラデーションしていますね。
今年は手間がかかるので簡易化されたようです。



ネームバンドがひっくり返っておる。

しかし、突っ込みどころはそこではないでしょう。
キャタピラー、つまり「アオムシ」「イモムシ」です。

確かにここアメリカは、エリックカールの「はらぺこあおむし」を生んだ国で
あおむしくんは子供にはおなじみのキャラクター。
もちろん日本でも「はらぺこあおむし」はほとんどの幼児が読んで育つのですが、

「あー!あおむしくんだー!」
「マミー、あおむしくん食べたい!あおむし取って!」
「あら、ほんとねー、かわいいわねー。はい、エリック」
「わーい。あおむしくん美味しいなあ」

というほのぼのした親子のやり取りがアメリカならありうるというのであろうか。
あおむしくん、たしかに絵本では可愛いですが、
何もここまで形態を食べ物で再現しなくてもとおもうのはわたしだけでしょうか。
しかも外側みんなアボカドだし。



Oishiii Cake。おいしいケーキ。

息子とわたしが一番ウケたのがこれ。

ここは一歩突っ込んで
「Maa-maa no Cake」「Bochi-Bochi no Cake」「Oshii Cake」
など、いろんなバージョンがあるといいと思いました。

因みにメニューには「Fijiyama Cake」もありますが(どんな形か想像はつく)
残念ながらパティシエが作っていないらしく、流れてくることはありませんでした。



というわけでドキドキのお勘定。
お皿の色で値段が決まっているというシステムは日本と同じ。

Thank you!という字と共に、アンダーラインを引いているのは、
15パーセントチップなら4.58ドル、20パーセントくれるなら6.10ドルだからね!
あんたたち、英語がアヤシイからおそらく観光客だと思うけど、ここはアメリカだから
チップはちゃんと払ってね!
わたしはチップで生活してるんだから、ということを訴えているのです。

「ママ、チップいくらにするの」
「40ドルでお釣り無し、でいいんじゃない」
「7ドル36もチップか・・。多くない?」
「チップっていうのはね。『いかに楽しませてもらったか』ということの表れなの。
だからいいのよ。これだけ楽しませてもらったんだから多くない」

わたしの場合、ブログのネタにさせてもらうわけだしね、という言葉を飲み込んで、
毎年一度はここを訪れ、アメリカのスシ事情をチェックすることを心に誓ったエリス中尉でした。


決して美味しくない、というのが問題と言えば少し(かなり?)問題ですが。