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すずめ食堂、乗っ取られる

2013-07-21 | すずめ食堂

ベランダにお米を置いてやってくるすずめを写真に撮る
究極の隙間企画、「すずめ食堂」。

渡米前にはすずめたちもすっかりその気になって、
一日に一合のペースで喰いつくし、さらには無くなってからも
偵察隊がなんどもおとずれるので、こちらもすっかりそのペースにはまり

「あ、今日はまだ出してませんでしたね。ごめんなさい」

といそいそ台所にお米を取りに行くというありさま。
しかし、6月21日に出国して以来、補給は途絶え、
今までさんざん楽をして銀シャリを貪ってきたスズメどもは
仕方なく元の自給自足の生活に戻っているのであろうと、
こちらの頭の灰色なアメリカスズメを見るたびに思いを馳せていました。

そんなある日、日本で留守宅を守る(といっても出張が多くてあまりいないらしいけど)
TOが、写真を送ってきました。

「すずめ食堂はどうなってるかな」

そう思ったTOがカーテンを開けると、そこには・・・




ど~~~ん。

すずめ食堂が乗っ取られている。
このうちに住んでもう10年。
このガーデンテーブルとチェアはサンフランシスコから持って帰ってきたものですが、
今までこのように使用されているのを見たことがありません。

TOいわく

「高床式住居みたいなものだから涼しいんじゃない?」

TOはこの後の動画も送ってきたのですが(暇?)
テーブルの上で大きく伸びをして今度は椅子の上に移動し、
そこでさんざん毛づくろいをしたのち、そこでお休みになりました。
実に猫の生活というのは気楽そうで羨ましいです。

それはいいけど、たとえ留守の間TOがお米を追加したところで
お客が帰ってくることは当分なさそうですね。

ところでこの黒ネコ、お腹を見ると避妊手術の痕があります。
ということはどこかの飼い猫なのでしょう。



これもTOがうちの近所を歩いていたときに「猫集会」を見つけて
写真を撮ろうとしたら、一匹が立ち去ってしまった瞬間。

どうもこのネコがスズメ食堂占拠犯人のようです。


海軍技術研究所~防衛省技術研究所目黒試験場

2013-07-21 | 自衛隊

というわけで、目黒の技研に潜入してきたエリス中尉です。
とは言っても技研の内部まで見たわけではないので、外からの写真だけです。

しかし、2013年、このハイテクの時代、しかも軍事周辺技術については
トップと言わないけど世界の先頭集団にある日本の技研にしては
あまりにもしみじみとした風情のある建物ではありませんか。

この目黒防衛省エリアには、

防衛省防衛研究所
技術研究本部
統合幕僚監部
陸上自衛隊・海上自衛隊・航空自衛隊

が共同使用という形で存在しています。

これからお話しする技術研究本部は

艦艇装備研究所
先進技術推進センター

を含む防衛省の一部です。



グーグルアースもう一度。
300mの屋根を持つ大水槽の周りが技研が集中しているところ。



表札も真新しい艦艇装備研究所の入り口。




この大水槽を研究設備としているわけですが、ここで大水槽の気になるスペックを。

長さ 247m

幅  12m

深さ 7m

なんと。
300mの長い長い建物は、もしかしたらそうではないかと思っていましたが、
ほとんどが水槽だったんですね。あたりまえか。

 

 

 

 

 

 

 

 


そこでもう一度出してくる大水槽の写真。
こういう水路のようなのが延々247mにわたってあるわけですね。
うーん。これ、一度見てみたい。

このプールは、電動プランジャー型の造波機を備えています。
プランジャーとはポンプのこと。

ところでトイレが詰まったときに使う先にゴムの付いたあの道具、
英語では「プランジャー」と言います。
これから英語圏を旅行する人、海外では必要になる場合もありますので、
覚えておくと便利かもしれません。
こういう事態は5つ星ホテルでも時々起ります。(経験あり)
まあもっとも、5つ星なら自分でプランジャー使わなくてもいいですけどね。


というのは全くの蛇足ですが、とにかくここはそういうシステムで波を造ります。
規則波、不規則波とタイプの違う造波が可能で、作ることのできる波長は
1メートルから最大20メートル。

これらのシステムはすべて赤外線によって遠隔操作されます。



森閑として全く人気のないこの一角。
おそらくこの日、どの設備も稼働していなかったのかもしれませんが、
いったいこれらの設備は年にどれくらいの日数使われるのでしょう。



怖いよこの表札怖いよ。

それはさておき、海軍関係で「耐圧」といえば?
そう、潜水艦関係です。

ここでは主として、耐圧試験タンクを使用しての

潜水艦用耐圧構造模型に対しての圧壊試験

を実地しています。
そのためにここに設置されているのが

フローノイズシミュレータ

というものなのですが、これは

「艦艇や水中航走体の流体性能、音響性能について試験・評価することを
目的に建設された極低背景雑音の大型キャビテーション水槽」

をいいます。

キャビテーションとは「空洞現象」とも言われ、液体の流れの中で、
圧力により短時間に泡の発生と消滅が起きる物理現象ですが、
それを人工的に起こす装置ということのようです。


なにか具体的に分かるものは無いかと調べたところ、
艦艇装備研究所の防衛技官、大本理沙氏の論文を見つけました。
独立法人所有の航海練習船、「青雲丸」の模型を使ったキャビテーション観測です。
図解で非常にわかりやすいですので、興味のある方はどうぞ。

「フローノイズシミュレータにおける流体計測技術について」



入口に麒麟草とか生えてるし・・・・。
そういえば小学校の時の鉄筋校舎がこんな感じだったわ。



ここが信管実験棟。

砲弾、誘導弾、ロケット弾が目標への弾着時に最適作動条件を果たしているか、
そして設計通りに作動しているかを確認するための実験装置があります。

これが

信管衝撃シミュレーション試験装置

です。
これは、窒素ガスを圧縮した減圧槽内に射出し、各種の弾着環境を模擬して
それらのデータを得る装置です。
火砲の発射衝撃のシミュレーションを実地することもできます。

それらは瞬間X線撮影装置で弾着の瞬間および破壊システムが記録されます。
そうして得られたデータから、耐弾性に優れた材料や構造が研究開発されるのです。


ところで皆さん、防衛省がこういった「武器研究」をしているのは当たり前ですが、
どこでその実験しているのか疑問に思ったことはないですか?



それが、ここ。「衝撃実験棟」。

ここには砲弾模型を使って砲弾の飛翔状況を作りだし、各種現象を計測するための

非定常高速過渡弾着シミュレーション試験装置

というものがあります。

試験にあたっては、砲弾の模型をマッハ1.5から3で高速落下させます。
同時に高温・高圧ガスを作用させることにより、室内において
砲弾の非定常な飛翔状況を作り出すことができるのです。

因みにブラストウェーブ(爆風)の最大持続時間は5ms(5/1000秒)、
直径50ミリ以下の供試体を試験対象にしています。



防衛省公開資料より。


この装置を使った研究が防衛省のことだから発表されていないかと調べたら、
技研の論文集のタイトルだけ集めたPDF文書が見つかりました。

どれどれと読んでみると・・・・・・・・・・・これ、興味深い、というか面白いです。


寄り道になりますが、この論文のタイトルを淡々と挙げておきますので
読みたくなったら最後のリンクをクリックしてみてください。
ただし、すべて「概要」ですので念のため。


●FPR掃海艇(えのしま)の構造強度

●空力弾性風洞試験技術・・・横転中の航空機の空力弾性現象の把握

●CBRN(放射能汚染地域)対応遠隔操縦作業車両システム

●軽量戦闘車両システム・・・・コンパクトで火力、防御力、機動力を有する戦闘車両の成立性

●ヘルメットの耐弾性能評価技術について(陸上装備研究所による)←おすすめ!

●船首砕波解析への粒子法応用・・・・・コンピュータで水しぶきをリアルに再現

●CFD用い舶用ぷ色ペラの流体性能の予測技術・・・より静かなプロペラを目指して

●見にくいものも見つけ出す・・・・2波長赤外線センサー

●撃てば即当たるマイクロ波兵器・・・・ライト・スピード・ウェポン←おすすめ!

●粒状物質の爆発飛散シミュレーション

●跳躍技術・・・ロボットやパワーアシストが走るなどの動作を行うために必要な跳躍技術

●戦闘機操縦者のマルチタスク能力に関する研究(航空医学実験隊による)

●金属ナノ粒子を用いた医用材料等に関する研究・・・抗ウィルス性材料

●コンポジット推進薬の高性能化・・・・誘導弾の燃料

●防災用ヘルメットアンテナの開発・・・・無線機月ヘルメットの開発

●ニュートラルネットワークを用いた艦隊防空システム

●遠距離加熱赤外線サーモグラフィ法による非破壊検査・・・
               地雷の遠隔探査、航空機、艦船などの非破壊検査のための方法

●非常用飲料水貯水槽の開発・・・災害発生時に水を確保できる貯水槽

http://www.mod.go.jp/trdi/research/abstract_s.pdf


いかがですか?
直接軍事に拘らない、実にあらゆる方面の「あったらいいな」を研究していますね。
これがもう少しマニアックに、さらに斜め上に進んでいくと、アメリカの
DARPA(国防高等研究計画局)になったりするんですね。違うかな。


またこの衝撃実験棟は

対銃弾耐弾性評価装置

火力に対する各装備品等の脆弱性解析装置

などを備えています。



この付近にはさらにまるで昔の工場のような謎の建物多数。



空き地には新しい設備が増設されるとどこかで読みましたが・・・。
その気配全く無し。

これだけの研究と、そのための実験が行われているにしては
あまりに時代から取り残されたような古めかしい建物が立ち並ぶ空間。

この建物に一歩はいるとそこには最新設備のハイテク実験装置が並び、
さらに技術立国日本の軍事周辺技術がここで実験され作り出されるのだと思うと、
つくづく技術とは「人の頭の中の世界」なのだなあという妙な感慨が浮かんでくるのでした。



今回このようなところに侵入して、あらためて調べなければわからなかったことばかりです。

誰もいない(人ひとりにすらすれちがわなかった)この空間だけが都会の喧騒から切り離されて
まるで異次元にあるような気すらした、目黒の技術研究所でした。