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キーストーン駆逐艦隊〜駆逐艦 ジョセフ・P・ケネディJr.

2017-04-16 | 軍艦

ジョーイPこと駆逐艦「ジョセフ・P・ケネディ・Jr.」見学記、
最終回です。

現地にあった説明の艦体断面図ですが、 番号の振られた部分を説明しておくと、

1、 マシンガン

    第二次世界大戦の駆逐艦の名残で防空のために搭載していた
    冷戦時代は特に当時現れた戦闘機には役に立たなかった

 

2、爆雷(DEPTH CHARGE)

   MK-10/11 対戦迫撃砲ヘッジホッグ(ハリネズミの意)は写真にもあるように
   1952年に取り外されました。

3、 D.A.S.H 前にもお話しした無人ドローンです。

4、ASROCK 対潜ロケット

5、 CIC  コンバットインフォメーションセンター

6、魚雷

7、ソナー

8、エクスパンション(拡張)ジョイント

   波の力が艦体にかかる時にねじれて裂けることがないように、
   構造を二つに最初から分けて接合してある部分。
   これによるとその断層は艦橋構造物の真後ろにある。

9、パワープラント

今回、主に冷戦に備えて施された「フラム改装」をクローズアップしましたが、
それ以前のことも話しておくと、彼女は朝鮮戦争にも参加しています。
1950年7月には「共産侵略に立ち向かうために」予備訓練に入り、
翌年明けてすぐにパナマ、真珠湾、ミッドウェー経由で日本に向かいました。 

(下線部分はwikiですが、意図が感じられる一文ですね)

佐世保到着後弾薬等を補充し、第77機動部隊に合流、
敵の補給ラインをストップさせるための哨戒を台湾海峡で実地しました。
これを海軍では「フォルモサ・パトロール」と称していたようです。
朝鮮半島での任務はその年6月まで続けられました。

写真はフラム改装前の対空戦訓練中の一コマ。

さて、機関室を歩いて行くと、こんなものがありました。
機関部の装備かと思ったのですが違うようです。

「マシーナリーショップ」、つまり修繕課の器具でした。
艦内の全ての機械を修理し調整する部署です。

供給課にはあらゆる部品がストックされているとはいえ、
何がどう壊れて何が必要になってくるかまでは
その時にならねばわかりませんから、そういう時に
マシーナリーショップは必要なものを作る役目を負います。

それこそ小さなスクリュー一つから発射筒に至るまで。

ミッドウェーで航行中、他の艦の供給ポンプが焼けてしまったので
別の艦のマシンショップが38時間かけて部品を青写真から作り上げ、
間に合わせたという話も米海軍には残っているそうです。

兵員のバンク、ベッドのある部屋にやってきました。
さすがに戦艦ほど大きな部屋でみんなが寝ているというわけではなく、
こじんまりとしてしかしそう狭くもありません。

 

ベッドの下部には引き出しらしきものも見えますが、
ちゃんとしたロッカーも各自に与えられていたようです。

この下の段に寝る人は赤いランプが眩しかっただろうと思われ。

ちゃんと縦型のロッカーが備えてありますが、これはおそらく
各自のものではないか、あるいは下士官以上の使用するものでしょう。

「ロナルド・レーガン」ですら、兵員は持ち物をベッド下の
小さな引き出しに入る分しか持ち込めないらしいですから・・。

このドアの中には配管ステーションがあったようなのですが、
真新しい黄色い紙にはここに入る時の注意事項として

このスペースでは防護具を必ず身に付けること

使い捨てジャンプスーツ

防毒マスク

フルフェイスの安全シールド

使い捨て手袋

ゴム靴

必ず作業をする時には二人で行うこと

とあります。
現在でもなんらかのメンテナンスが行われるということでしょうか。 

ウォータークーラーの下の排水トレイはサビサビです。
飲み口には「口に含んだものは決して吐かないこと」とあり。

もう使われていないようです。

 

消火器が収納されていた棚。
ゴミ入れのポリ袋は何もなし。

もしかしたら、「マサチューセッツ」だけではなく、
ここでも「お泊まり大作戦」と称するオーバーナイトの
プログラムが子供向けにあるのかもしれません。

1泊ぐらいなら軍艦のベッドで寝てみたいよね。

艦内の購買部がありました。
カウンターだけの実にこじんまりとした売店です。
係の使用する椅子にはこちらに向けてオリジナルジャンパーがかけてあり、

ペプシの瓶が置いてあったり。
箱の中は「ボール・ポイント・ペン」が積んであり、
ジッポーライターを買えば店頭でオイルを入れてくれたようです。

「ロナルド・レーガン」の売店にもあった、干しぶどうのパック、
リッツもマルボロ、キャメル、ラッキーストライクも今と変わりません。

右上は整髪料各種で「バイタリス」、歯磨き粉は「コルゲート」。

コームには軍服のポケットから落ちないような留め具付き。

駆逐艦の中でラジオを買う人がいたんでしょうかね。
当時最新のトランジスタラジオ(大きいですが)、
ペナントになんと、腕時計も買うことができます。

それどころかカメラ(レンズカバーにPETALの文字あり)
8ミリカメラ(BELL &HOWELLのズーマティック撮影機)なども。

ベルハウエルはもともと映写機の会社ですが、現在では文書処理、マイクロフィルム機器、
スキャナ、金融サービスを供給する企業として存続しています。

このズーマティック8mm映写機は、ケネディ大統領暗殺の瞬間を撮った
ザプルーダー氏の名前から「ザプルーダーカメラ」と呼ばれていたそうです。

ここはなんとなくものを置いておく倉庫の模様。
修理待ちのものとか?

箱の上に並んだ5cmのマグネットのようなものは、

RADIAC DETECTOR 

これ、ミリタリーグッズ通販なんかで時々見ますね。
(え?こんなもん見たことも聞いたこともないって?)
この場所からはわかりにくいですが、布製のベルトに通して
腕時計のように装着する放射線測定器で、
吸収蓄積中性子とガンマ放射線量を測定するために使用されます。

軍用なんだそうですが、アメリカ軍というのはこんな頃から
こんなものを作って兵士に与えていたんですね。

ちなみに日本のミリグッズ通販では一つ500円から買えます。
って役に立つのかこれ。 

廊下にこんな地図が貼ってありました。
世界の海域にピンが打ってあり、糸を伸ばした先に艦名があります。

米軍の駆逐艦が沈んでいる場所を示しているようです。
例えば英仏海峡から伸ばした紐の先には

DD-463 CORRY  MINE  6 JUNE 44

といった具合に。
「コリー」はノルマンジー作戦の後、触雷して沈んだようです。

そこで断然気になるのは日本と戦って沈んだ駆逐艦ですが。
大変不鮮明な画面なのですが、頑張って解読して見ました。

【潜水艦による攻撃】

DD695 クーパー 412ハムマン 391ヘンリー 
415オブライエン 579ポーター 467ストロング 

【航空攻撃】

483アーロン・ワード 526アブナー・リード 518ブラウンソン 529ブッシュ
606コグラン 85コルホーン 751 J.ウィリアム・ディッター 579WOポーター
469ド・ヘイブン 741ドレクスラー 393ジャービス 79リトル 522ルース
364マハン 733マナート・L・エーベル 434メレディス 560モリソン
226パーリー 477プリングル 369レイド 409シムス 591ツィッグス 

あとは海戦が15隻、触雷が2隻、陸上からの砲撃が1隻。

あの!ハルゼー&マケインが指揮して台風に突っ込んで沈んだ駆逐艦
350ハル、354モナハン、512スペンスもちゃんと?名前がありますよ。 

しかしこうしてみると、ハルマケコンビの判断ミスは痛かったねえ。 
駆逐艦三隻沈没って。
明らかにこれ指揮官の判断ミスなのに、一応戦没扱いなんだ・・・・(棒) 

あと、衝突が1件、読めなくて艦名もわからないのが1隻(おい)。
駆逐艦だけで合計53隻が日米の戦場で今も眠っているのです。

 

ハッチの階段はもはや段が剥がれ落ちてしまって使用できなくなっていました。

ジョーイPの艦腹には KEYSTONE SQUADORON24のマークが。
キーストーン部隊は1956年にニューポートで設立された駆逐艦隊です。

米国の有人宇宙飛行計画にも参与したジョーイPは1966年、
ジェミニ12の回収作業を行い、「ライトスタッフ」ぶりをアピールしましたが、
ベトナム戦争には参加せず、そのまま1973年に海軍籍は抹消されました。

 

しかし、その栄光ある名前のため、艦籍廃止の直後から保存を望む声が起き、
すぐさまここバトルシップコーブに運ばれてきてその姿を今日も留めています。


2000年制作のキューバ危機を描いた映画「13デイズ」にジョーイPは写真で参加しています。

 Trailer Thirteen-Days 

 

 

終わり。