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日米海兵隊 AAV7 合同祝賀行進〜平成30年度 自衛隊記念日 陸自観閲式

2018-10-20 | 自衛隊

前回Kさんにお借りした本番の写真をご紹介させていただいたところ、
ご自身から

「予行編に割り込んだみたいで恐縮しています」

とコメントが送られてきました。
が、だてや思いつきで本番の写真を挿入したわけではありません。

この冒頭写真を最後に掲載したかったからです。

統合機動防衛力というのは「いざ!」という時のためのみならず、
平素地域における配備を確かなものにすることによって、
それ自体を抑止と成し、また緊急時対処の態勢を強固にすることで
より実効的な防衛態勢を確立するのがその最終目標です。

 

今回の展示はその展開の段階順に行われてきたわけですが、
第二次展開の衛生科部隊が行進を行ったところまで説明しました。

 

茶色いスカーフと隊旗は需品科部隊です。
需品科、つまり後方支援、かっこよくいうとロジスティックですが、
つまり糧食、燃料の補給、給水、入浴などの支援を行うところです。

かつて旧軍が兵站を軽視して南方で酷い目にあった経験から、
自衛隊はとにかくそれを他山の石とせず(あ、他山じゃないか)

「戦争のプロは兵站を語り、戦争の素人は戦略を語る」

をモットーとして(多分ね)きたと思うんですけど、
特に災害の多い我が国における自衛隊の活動の「最前線」が
災害派遣である現状を鑑みると、実は需品科はどこよりも、
ある意味最前線に立ってきた部隊ということもできます。

この写真の車両が牽引しているのはあの入浴セットだと思われます。

需品科部隊のトラックには歩兵ほど人員満載ではありません。
広げた脚の間に何か立てているようにも見えますが、
まさか軍刀じゃないし・・・。

野戦特科部隊の役割は、火力戦闘部隊として大量の火力を随時随所に集中し、
広域な地域を制圧することにあります。

155ミリ榴弾砲FH70中隊

FH70は陸自の師団・旅団に装備されています。
第二次展開するのがこの師団・旅団であると説明されていました。

野戦特科部隊のマフラーの色は濃黄色。
FH70に必要な砲員数は8名ですので、運転席に2名、
車両後部に6名乗ればOKです。

155ミリ自走榴弾砲中隊

99式155ミリ自走榴弾砲は会場の説明にもあったように国産です。
車体は三菱重工、主塔と砲塔は日本製鋼所が製作しました。

平成11年度から調達が始まり、年ごとに6〜8両増えて、
現在の部隊配備数は136両だそうです。

そういえばこれ、「シン・ゴジラ」にも出てましたよね!

最近プライムビデオで観られるようになったので、映画館以来
これを書くためにもう一度確認しましたよ。

まず「タバ作戦」のフェーズ1で、陸自は対戦車ヘリの機関砲、
アパッチの30ミリ砲を放ちますが、ゴジラには
まるで豆鉄砲を撃ったような感じで全く効果がありません。

そこで総理の許可を得てから(笑)誘導弾(ミサイル)に切り替え、
それも全く効果なしだったので今度はフェーズ2へと移行。
ここで10式戦車がゴジラの脚を狙い、続いてこの155ミリ榴弾砲が
ずらっと
河原に並んで目標に斉射するわけです。

そうそう、そのとき指揮官が

「8、7、6、5、4、3、弾着、いまっ!」

というわけ。
総火演で空中に富士山を描く時と一緒だ(笑)
というかあれが正しい高射特科部隊の攻撃のやり方なのね。

ちなみにその後続くのが、96式多目的誘導弾システム
河原をバックしながらの10式戦車の砲撃。
それもダメなので連絡を取って御殿場の富士駐屯地から
多連装ロケットシステム自走発射機M270MLRS。

さすがの自衛隊、どれもこれも全弾ゴジラに命中なんだけど、
ゴジラにはなーにもダメージが与えられないのです。

で、(まだシンゴジラの話が続いてます)続いてタバ作戦は
フェーズ3に移行し、F-2の空爆、アメリカから直輸入の
JDAM(全天候型精密攻撃できる爆弾)で今度こそトドメだ!
と皆は盛り上がるのですが、撃破したのはゴジラが歩いていた多摩川の鉄橋のみ。

いかんことに爆破で跳ね飛ばされた多摩川の鉄橋は空中を飛来して、
なんと10式戦車を押しつぶしてしまうんですねー(-人-)ナムー

陸自がこうやってとりあえず装備紹介を終了した時には、10式戦車が
多摩川河原で団子状態になっていて、全機全火器残弾ナシ状態。

自衛隊の前方指揮所も壊滅し、

「多摩(タバ?)戦闘団、指揮の喪失」

となってしまったのでした。

このシーンの鉄橋が跳ね飛ばされてくるとき、ものすごいスピードでの
バック走行による避退を見せてくれるのが10式戦車です。


そして例年、観閲行進で車両部隊の最後にやってくるのが、
「陸上部隊の
最後の要」となる戦車部隊です。

「シンゴジラ」で強調されていたように、10式戦車の特徴は
その軽快な駆動性にあります。
映画では不幸にして落っこちてくる橋脚から逃げられませんでしたが、
それでも自衛隊に気を遣ってか、大破ではなく中破、とされていました。

自衛隊の総力戦がことごとく効果を得られなかったことについても、
自衛隊はやるだけやった(全装備全火器命中)けれど、ゴジラが

「人智を超えた完全生物」

なんだからこれはもう仕方ない、とちゃんと?フォローしていましたし。

機甲科である戦車隊のマフラーはオレンジ色です。

ところで皆さん、オレンジのマフラーをつけた部隊は
もうすでにいくつか行進を終わっていますよね。

一番最初に行進したクロスドメイン作戦の先遣隊として偵察を行う
偵察バイクのオート隊、89式警戒車、水陸両用車の AAV7も、
隊員は皆オレンジのマフラーだったのを覚えておられますか。

 

機甲科、というと戦車!というイメージが我々にはありますが、
これら偵察部隊と戦車部隊との両輪で成り立っているのが
機甲科という職種なのです。

主に北海道に配備されている90式戦車

74式戦車が今回行進を行わなかったことからもわかるように、
現状戦車隊そのものがどんどん縮小していっています。

北海道と九州以外の戦車部隊を順次廃止していく動きだそうですし、
その九州の配備も西部方面戦車隊に集約されていくということです。
(理由は・・・・わかるね?)

その代わり、偵察部隊を増強し、戦車といっても新型の装輪式、
16式機動戦車(MCV)を中心に据えた偵察戦闘部隊なるものが
本年度末には編成されることになっています。

確かに、全国津々浦々に戦車を配置していても、その出番が現実になる可能性は
限りなく低いわけですし、その点まだしも仮想敵のやってきそうな
北海道と特に九州にだけ置いておく、という考えは理にかなっています。

その際、機甲科の偵察戦闘部隊の一環として

「戦闘上陸大隊」

がこの水陸両用車AAV7を配備して創設されました。
長崎県と大分県に所属する水陸機動団大隊です。

今年の3月25日、74式戦車と10式戦車のほか、
最後に一瞬水陸機動車を有していた
第4戦車大隊が廃止されました。

その廃止とともに生まれたのが戦闘上陸大隊です。

水陸機動団の人員を養成する機関は

陸上自衛隊水陸機動教育隊

といい、佐世保の相浦駐屯地に所属します。
レンジャー資格を持った隊員も多く集まるということですが、
何しろ「日本版海兵隊」というくらいなので、とにかくここでは
精強な隊員を要請するために超のつく過酷な訓練が行われる・・はず。

90式戦車の行進をもって観閲行進は終わりました。


なのになぜかここで行進を始める水陸両用車。 

予行の時にはちゃんと説明がなかったので、
なぜ一度行進を行なった水陸機動隊がもう一度最後に出てくるのか、
そしてなぜトラックと並んで行進しているのかがわかりませんでした。

周りには誰もその理由を知っている人はおらず、
不思議に思ったのですが、これは本番の映像で謎が解けました。


まず本番ではこの後、

「アメリカ海兵隊による祝賀飛行」

として、オスプレイ二機が会場上空を通過したのです。

MV-22オスプレイの所属は、

第265海兵隊中型ティルトローター飛行隊「ドラゴン」

編隊長は少佐。反対派が石を投げても当たらないように(笑)
ヘリにしてはずいぶん高所を飛んでいるように見えました。

このドラゴンたちは普天間基地から来ています。
反対派も普天間から来たのかな?(嫌味)

ところで一度挙げたこの写真、ちょっと思い出していただけますか。

予行の日にスタンドの後ろを通り過ぎた米軍の皆さん。
何のために?と思ったら、海兵隊、
今回観閲式に参加することが決まっていたのでした。

おお、名前が「ダイハード」な人がいる(笑)
イギリス海軍は肘から先に刺青を入れるのが流行のようですが、
アメリカ人には滅多に見ません。(他のところに入れているのはあり)

もしそんなところに刺青が入っていたら、観閲式会場をうろうろする前に
絶対に自衛隊から

「それ、ちょっと日本ではまずいから隠してくれる?」

と言われると思います。

予行で走っていたトラックの位置に、本番は海兵隊の水陸両用車がいました。
なんと、

日米合同祝賀車両行進

として、同じ形の水陸両用車が仲良く並んで行進です。

 

ちなみにこれもKさんに頂いた写真です。
これを見て初めて?本番に行きたかった、と心から思いました。

この日米5両ずつの同形車が並んで行進することを考えた
今回の観閲式の企画、ありがとうございます、って感じです。

行進部隊指揮官は米軍側が、

第3強襲水陸機動大隊第3小隊長プライス・スミス中尉

日本側が

第2戦闘上陸中隊長マツバ・セイジ一等陸佐

階級は自衛隊側の指揮官が高いですが、ゲストなので
先に米軍指揮官が紹介されていました。

ちなみに、この二人の指揮官名が紹介された時、
車両行進の音楽に挿入されている「君が代」のメロディが流れ、
これがなかなか感動的だったことも付け加えておきます。

 

本番ではこの後総理の前で「終了報告」が行われ、国旗降下。

特別儀仗隊は本番では帽子とズボンは白に変わっていました。
どういう意向で予行と本番を変えたのはかは不明ですが、
白とブルーの特別儀仗隊の一団は華やかで観閲式に相応しかったと思います。

写真は総理に対し栄誉礼のラッパを吹鳴しているところ。
音楽の栄誉礼と少し似ていますが違うフレーズです。
その間儀仗隊は捧げ銃。

その後観閲官である総理が観客に手を振りながら車に乗り退場。

車列を見送った後特別儀仗隊は退場です。

音楽まつりで彼ら第302保安警務中隊が
どのような組み合わせの制服で登場するのか楽しみです(ハート)

終わってからはどこに移動してもいいので、真ん中に移動して
少しの間だけ催し物を見ました。

まず、工科学校生徒たちのファンシードリル。
(この演技中電話がかかって来て写真はこれしか撮ってません)

陸自太鼓。
自衛太鼓も、一番いいのは武道館で聴くことなんですよね。

自衛太鼓をはえ〜という感じで眺める出待ちの陸軍音楽隊。

ここで雨が降ってきてしまったので、先を急ぐわたしは
残りのメンバーに挨拶をして朝霞を後にしました。


その構成と見せ方に、今年3月に新編されたばかりの
「これからの陸自」たる陸上総隊による一体的運用、特に
統幕、自衛艦隊司令部、航空総隊司令部、在日米軍などと
調整を一本化することによってより一層統合運用の実効性を
向上させようという試みが実に明確に表れている観閲式でした。

 

とにかく、最後の米軍との共演は頼もしかったなあ。
実際見てないことだけが唯一残念でしたが。

 

 

終わり。