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チェックアウトまで@ミサイルルーム〜タロス巡洋艦「リトルロック」

2024-09-21 | 軍艦

タロス巡洋艦「リトルロック」のミサイルルームシリーズ最終回です。

このシリーズでご紹介しているビデオは「オクラホマシティ」の映像です。
それではビデオの続きを見ていきましょう。

前回、ミサイルは弾倉からクレーンとクレードルで移動し、
レディ・ミサイルルームでブースターと嵌合させられ、天井のレールで
最終エリアまで移動すると言うところまでお話ししました。



そこは「ウィング&フィンルーム」「チェックアウトエリア」とも呼ばれ、
ミサイルをランチャーに送り出す最後の工程が行われます。

Talos Missile Handling • Cruiser Installation

ビデオは10:10〜からご覧ください。



(ドアが開き)
ミサイルは秒速12フィートでウィング&フィンエリアに移動すると、

クルーは迅速にウィングとフィンをミサイルとブースターに取り付け、



ウィングとフィンが手動で取り付けられた状態



アーミングプラグが取り付けられると、ミサイルは準備完了だ。

アーミングプラグとは、安全上機能が停止されているハードウェア
(飛行するもの)を有効にするため取り付けるプラグのことで、
ミサイルや爆弾の場合、プラグを取り付けることで初めて爆発可となります。

航空機でカバーや安全装置の「はずし忘れ」を防ぐための
「Remove before Flight」タグとは反対の発想です。


ウィング&フィンエリアは、右舷側の通路を歩いていると、
目の高さに床があって、ガラスで覆われた窓を通して見えます。

ウィングとフィンが取り付けられると、クルーは安全のため、
金属スクリーンの後ろに回り、フットスイッチを押します。
(ミサイルの移動経路に人がいるとウィングやフィンに当たるため大変危険)


ブラストドアが開くと、ローダーレールがランチャーアームまで伸びていく。


ちなみに写真は「リトルロック」現役時代のブラストドアです。

アメリカ海軍が何につけても装備をラフに運用するのは周知の事実ですが、
それにしてもこの汚さはいかがなものか。

一回運用するだけでミサイルの排気?をまともに受けるので、
いちいち綺麗になんかしてられっか、みたいな意思を感じますね。



今は嘘のように綺麗な状態に塗装されています。
ブラストドアは下のドアが先に下向きに、
後から上のドアが上向きにスウィングして開きます。

ブラストドアは油圧式で、その動きは非常に早く、
ミサイル・ハウスの外のドアの前に万が一人がいようものなら
巨大な下側のドアが開くと同時に圧縮されてしまうでしょう。

そのため、非発射試験中はミサイル・ハウスの外に監視員が配置され、
ドアが開く前に周囲が安全であるという確認がされました。

外といっても甲板の上に立っているのではなく、
発射訓練中は、メインデッキから1フィートほど上に伸びた
ファンテール上の小さな装甲「ハウス」にある窓から監視が行われました。

また、ミサイルハウスの表面には狭い回転窓があり、
そこにも監視員がいて、ファンテイルの監視員には見えない部分、
発射装置とハウスの間の領域を見ることができた。

この窓は、ミサイルが発射される前に装甲カバーの後ろで回転して閉じます。

そして、ミサイルはランチャーまで運ばれる。


両側のミサイルがランチャーに向かってブラストドアから出てきました。

ランチャーのレールとエリア1のレールの間には、
発射レールが延長してミサイルを前に送ります。

ミサイルがランチャーに移動し、ブラストドアが閉じると、
兵器管制と誘導コンピュータがランチャーとミサイルの制御を引き継ぎます。



ブラストドアが閉まると、ランチャーは旋回を始め、上昇する。

ターゲットに向かって「撃(て)ー!」

タロス、核弾頭を持つ装備は空に向かって放たれた。
我が艦隊を、そして我が祖国を守るために、
タロスはいつでも準備されている。

(終)

とかっこよく終わったわけですが、残りの写真を見ていきます。


ブロウアウトパッチ。(表示通り)


「マニホールド」とは、シリンダー機関の吸気管や、
油圧、空気圧回路の配管をひとまとめにしたものです。

ミサイルを動かすためのリボルバー式回転機の圧縮窒素の配管図のようです。
出口近く(左舷側)にありました。


貼り紙にはミサイルルームの各エリアの基本的任務が書かれています。



ミサイルルームの指令はこの電話を通じて受けていたようです。
このコーナーはミサイルルーム出口近くにありました。



試射における各ミサイルのデータ一覧表。

ミサイルのタイプ、弾頭の種類、バッテリー、TOD、最終チェック日、
次回チェック予定、GO/N0-GO、などなどがメモされています。

最後の任務日から消されずに残されていたものかもしれません。


これでミサイルルームの中を見終わりました。
中を一周して、入ってきたところと反対にあるドアから出ていきます。



通路にはちゃんとアンカーのマークが記されていました。
ここを出ると、ミサイルの発射孔があるファンテイル部分になります。


続く。



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2 Comments

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さすが戦う海軍 (Unknown)
2024-09-21 07:59:06
>一回運用するだけでミサイルの排気?をまともに受けるので、いちいち綺麗になんかしてられっか、みたいな意思を感じますね。

自衛隊では、普通、発射の排煙で汚れた後は錆びないようにタッチアップするのですが、今年の派米訓練から帰って来た「はぐろ」は整備せず、そのまま帰って来ました。従来はマメに手入れしていましたが、最近は修理に入るまで手入れしない船も散見されるので、変わって来たように思われます。

>非発射試験中はミサイル・ハウスの外に監視員が配置され、ドアが開く前に周囲が安全であるという確認がされました。

弾頭やロケットモーター、ブースターがダミーの、訓練や試験用のダミー弾は青色で、実弾は白色と見た目で区別出来る塗色にしてあり、監視員はそれを確認します。間違って、実弾が揚がって来て、そのまま発射してしまうと大変なことになります。

>試射における各ミサイルのデータ一覧表。ミサイルのタイプ、弾頭の種類、バッテリー、TOD、最終チェック日、次回チェック予定、GO/NO-GO、などなどがメモされています。

ブラストドアの手入れはしなくても、ミサイルのGo/No Goはマメにチェックしていたんですね。さすが戦う海軍。
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ブロウアウトパッチ (お節介船屋)
2024-09-21 16:57:41
爆風逃出蓋
万一庫内で爆発した場合、爆風圧から弾庫と付近の構造物が破壊するのを最小限防ぐため、弾庫の外壁にブロウアウト・パッチ
を必要な複数設けています。
この蓋は外部からの波浪や雨水に対し水密となっていますが、蓋の開閉心棒に溝がついており、庫内爆発時に瞬間的に溝の部分が切断し、蓋が爆風圧で開く構造です。
上部構造物にある、アスロック弾薬庫等に装備されています。
ただ爆発しないように静電気防止装置や冷房用にグラビティ・コイル等が装備もされています。

参照海人社岡田幸和著「艦艇工学入門」
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