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シン・ゴジラの「悲劇」と国旗入場〜平成30年度自衛隊音楽まつり

2018-11-25 | 自衛隊

 

今年も自衛隊音楽まつりの季節がやってきました。

「挑戦」というテーマで行われた今年の素晴らしいパフォーマンスについて
またここでお話しできることを心から嬉しく思います。

 

今年は訳あって、武道館のある北の丸公園にはあまり人の通らない
清水門から入場しました。

重要文化財として残されていながら、この手付かずな感じ。
ここを歩くと、いかにもかつての侍たちが、ここを歩いて
城に出退勤をしていたのだと思わせる風情が残ります。

どれだけ手付かずかというと、階段がこの通り。
昔のままだとしたら、裃の侍は登り下りにどれだけ苦労したか(笑)
特に下りは、通常の階段の軽く2段分の高さがあるので、
飛び降りるように降りていかねばなりません。

向こうに見えるのは映画「シン・ゴジラ」で「ヤシオリ作戦」が
その屋上を使って展開されたという設定の科学館です(伏線)

まだ自衛官がほとんど出勤してきていない朝の武道館(笑)
この左側は自衛隊用の駐車場になっていて、ここにいると
バスから降りてきた各自衛隊の隊員たちの出勤姿を見ることができます。

朝早く並ぶと、同じ物好き同士、連帯感というか親近感が生まれ、
前後の人に挨拶したり、世間話が始まったりするのですが、
今年は特に近くにいた方が元自衛官で、しかも自衛太皷の経験者、
ということで興味深い話を伺うことができました。

入場はだいたい「開場時間」とされている時間の30分前に早まる、
と認識していたのですが、朝一の場合はさらに早まることがあります。
今回、10時公演のために並び始めてしばらくして、わたしはなんと

車の中にチケットと財布を忘れてきたことに気がつき

駐車場まで取りに行って帰ってきたら、すでに列が動いていました。

その時には同行の知人がいたので、列のほぼ先頭の
その人のところまで行こうとしたら、行く先々で整理係の自衛官に

「みなさん並んでますので!」(怒)

と声を投げかけられ、その度に

「知り合いがいるんです!」

と言い訳しながら列の外側を回って知人のいるところまでたどり着きました。

「なんか怒られてしまいました(´・ω・`)」

ぼやいていると、やはり列の近くに合流した女性が

「みんなに割り込みするなとか言われちゃった」

と苦笑しながら同じようなことを言っていました。
列に強引に割り込む日本人なんてそういないと思うんですけどね。

え?います?

というわけで入場して、いい場所に席を取れたら一安心。

今年は前回とは違う形状のスクリーンが設置されています。
どの席からでもスクリーンが正面に見えるように変えたんですね。

スクリーンではいつもの自衛隊広報ビデオの他に、自衛隊プレゼンツの
「生活の知恵」みたいなシリーズを放映していました。

自衛官にも実は「隠れメタボリックシンドローム」がいる!ということで、
オススメの「誰でもできるメタボ解消トレーニング」をご紹介・・・

・・・していたんですが、その内容が、

「マジの腕立て伏せ」「マジの腹筋」「マジの(忘れた)」

で、やっている自衛官が汗だらだら流してるんですよ。

「きつそうですね」

「こんなの一般人がやると思います?」

「これができるような人ならメタボなんてなりませんよ」

と冷笑しながら観てました。すみません。

あとはなぜか平泳ぎとクロールのコツとか、服のまま水に落ちた時の
対処の仕方とか。それからもっとも謎だったのが・・・

「土嚢の上手な積み方」

土嚢を作るための専用木槌を使って台形に土嚢を作り、
隙間がないように・・・って誰に向かってレクチャーしてんのこれ。

そうこうしているうちにハープ奏者がチューニングを始めます。
ご存知ないと思いますが、ハープという楽器は本当に繊細で、
自分で調律をその度にしないといけないのです。

今回も一回だけお見かけしました。不肖宮嶋茂樹氏。

招待公演の日には客席に誰が来ているか見るのも音楽まつりの
ちょっとした楽しみの一つ。

佐藤正久議員とその向こうには飯島勲参与

若宮健嗣議員
なんと真紀子と真紀夫・・・じゃなくて真紀子さんと田中元防衛大臣

田中真紀子さんは大臣時代ニューオータニで見たことがありますが、
その時は全然思わなかったのに今回ちょっとお綺麗だと思ってしまいました。

日の丸の旗をつけた自衛官用のジャンパーを着ているのは、
今をときめく防衛政務官、鈴木貴子議員です。

周りは割と誰も気づいていないようでした。
後ろにいる黒いスーツの女性がSPです。

各国武官が多かった日、開演前に客席を回って挨拶する河野統幕長

河野統幕長の手を握って「はは〜」な挨拶をする人。

やってくる政治家にレンズを向けまくる報道席のカメラマンたち。

「宮嶋さんが何故政治家なんか撮ってるんですかね」

「カメラマンの習性というやつじゃないですか。
脊髄反射で撮ってしまうんですよきっと」

岩屋防衛大臣のご挨拶。

そしてそれを撮るカメラマン。

こちらは挨拶を原田賢治防衛副大臣が行なっています。
しばらく聴いていて、文章が防衛大臣の時と同じと気がつきました。

「なんか防衛大臣と全く同じこと言ってません?」

「使い回してるんですよ」


さあ、いよいよ開幕です。

木管中心の曲前奏に続きカーテンから現れたのは
陸上自衛隊中央音楽隊の歌手、松永美智子三等陸曹

彼女が歌う物悲しく悲痛なメロディを耳にするや、

「あれ、これなんだっけ?ものすごくよく知ってる!」

わたしがこの曲がなんだったか忙しく考えているうちに、
5小節目からを舞台左側から登場した海上自衛隊東京音楽隊の
三宅由佳莉三等海曹が歌いました。

となると次は空自です。
森田早貴一等空士がこのメロディを引き継ぎました。

なんだっけこれ?知ってるだけでなくすごく好きだった・・・。

その日一日思い出せず、家に帰る車を運転しながらハッとしました。

「シン・ゴジラだ!」

シン・ゴジラ(悲劇(Who will know) 訳詞付)

ああなんてツボなの。
いきなり琴線に触れまくりなこの選曲、嫌でも期待が高まります。

 

印象的な太鼓の音の後、陸海空自衛隊がドラゴンクエストの

「勇者の挑戦」

を演奏します。
なるほど、本日のテーマが「挑戦」だからですね。

今度は空自のトランペット奏者が一人で登場。

「♪ドーソードソドミードー ミードーミドミソー
ソッソ ソーミドソミドソー ソッソドーミドソミッミドー
ソッソドー ソッソドー♪」(移動ド)

そう、消灯ラッパです。

陸海の奏者がそれぞれ横に立ち、消灯ラッパを・・。
この海自の奏者は、確か去年クリスマスコンサートで三宅三曹と
「美女と野獣」をデュエットした、とても歌の上手い方。

消灯ラッパには全部隊の演奏する美しいハーモニーが重なります。

これは真島俊夫氏が陸上自衛隊の「勇者たち」のために書いた
「勇者達の夢」という曲の一部です。

この曲には消灯ラッパの音階がモチーフとして使われています。

続いて国旗が入場します。
このとき、一切音楽はありません。
会場には全員起立するように求められます。

両側に銃剣を担う警衛を従え、国旗が後方から壇上に上ります。

赤の台は清水門の石段ではありませんが、それくらい高さがあり、
隊長の中には登り降りに若干苦労しているらしき方もちらほらお見受けしました。
が、第302保安警務中隊のすらりと背が高く脚の長い隊員なら大丈夫。

と思っていたら、国旗を持った人が目測を誤ったらしく脚を台に引っ掛け、
会場がその瞬間息を飲むというアクシデントを目撃しました。

しかしさすがは常日頃死ぬほど超鍛えている警務中隊の自衛官、
大きな国旗を持っているのにも関わらず、すぐに体勢を立て直しました。

大臣列席の日だったので周りも肝を冷やしたでしょう。
(ちなみにこの写真の日ではありません)

続いて国歌斉唱が行われます。

去年、ワンフレーズを前奏がわりに演奏した記憶がありますが、
今年はまた、従来のように

「前奏はありませんのでご来場のみなさまも演奏と共にご唱和ください」

という謎のアナウンスが行われました(笑)

だからですね。
元東京音楽隊の隊長だった方も言っておられるように、
指揮者の合図でジャストに正しく歌い出せる人なんて、
会場には数人くらいしか
(多分)いないんですよ。

タイミングが合っても絶対音感でもないと出だしの高さも取れないし。

というわけでまたもや、今回の君が代斉唱は、

「・・・・・・みーがーよーは」

という歌い出しになってしまいましたとさ。

前奏をつけるということに対し何か問題でもあったんでしょうか。

国歌斉唱の間、儀仗隊は捧げ銃をしています。
終了すると、儀仗隊長の紹介が行われ、隊長はそれに応えて
「儀礼刀の敬礼」を行います。

第302保安警務中隊儀仗隊長は三等陸尉です。

警務中隊の写真をいかように撮っても、その隊列に乱れや狂いの類は
全く見つけ出すことはできません。

我々には想像できないくらい厳しい訓練と精神的緊張の成果だろうなと思います。

こうして写真に撮ってみると個人の容貌や体型の違いなどはありますが、
行進が実際に行われているときには全員同じ人に見えるくらい(笑)

国旗が退場します。
旗を持つ隊員と旗を護衛する隊員だけは、
上下白の制服着用なのに気がつきました。

この制服はまさに日の丸のためのデザインだと思った瞬間です。

 

続く。