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エクストリーム・クーポニング〜アメリカのテレビ番組

2019-06-29 | アメリカ

うちにはテレビがありません。

20年近くそうやって暮らしていますし、ホテルに泊まったときでも
映画を観るときくらいしかテレビというものの存在すら思い出さないのが普通です。
たまにホテルで映画を見ようということになって、モードを変える前、
バラエティ番組の音声やナレーション流れただけで、申し訳ありませんが
ものすごく不快な気分になるというくらいのアンチテレビ派なので、
当然ながらタレントや俳優の名前と顔はほとんど一致しません。

それで不便なことなどまずないので、これからもそうだと思いますが、
アメリカにいるときだけは、テレビを付けて、流行りの番組をチェックします。

全てはネタとしてここでお話ししようという下心あってのことです。

長寿番組で、ネタゲットの意図を抜きにしても、付けてしまったら
何とく観てしまうのが、「Ninja Warrior」。
日本の番組「サスケ」のアメリカ版です。

番組でよく「ミドリヤマにいくぞ!」と行っているのですが、それは
本家「サスケ」の収録場所である緑山スタジオ・シティのことらしいですね。

この日はご覧のように超イケメンの日系アメリカ人が登場したので撮っておきました。

「サスケ」ではどうか知りませんが、アメリカでは出場者のバックグラウンドや
ストーリーを加えて散々盛り上げて本番というのが定石です。

彼の場合、いとこがガンの治療を受けたということが、
わざわざエピソードとして紹介されております。

こういうのに出てくる人は大抵何か専門のスポーツをやっているのですが、
このトシオさんの場合はロッククライミング、柔道、大道芸など種目多数。

チャレンジが始まると、たとえ最後までいっても数分で終わってしまうので、
バックグラウンド紹介などに時間をかけないと番組が保たないのです。

ガタイもいいし、平井堅風というか彫りが深くエキゾチックですが、
アメリカ人から見ると一目で「アジア系」に属する風貌となります。

そしてほとんどのアメリカ人女性は彼のようなタイプを

「キュート!」

と評するに違いありません。

ここで初めて彼がトシオ・シドニー-アンドウであることが明らかになりました。

Toshio the Ninja Warrior.mp4

調べてみたらこんなYouTubeが見つかりました。
いやー、肉体エリートというのはいるもんですね。

さて、お次。
英語でおめでたのことを「エクスペクティング」と言いますが、
これは「期待する」「予定する」という意味合いです。

それに否定の「UN」をつけることで「予期せぬ妊娠」。

そのつもりがないのに赤ちゃんができてしまい、産むことを選んだ女性を取り上げ、
現在進行形でその周りの人々や起こる出来事を描くドキュメンタリー。

マッケイラさんは17歳で母親になることを選択しました。

しかし化粧がケバい。
お母さんと病院にいく車の中で、なぜか

「駐車の仕方なんてわからないのよ!ちゃんと習ってないし」

としょうもない喧嘩をしておりますが、撮影のカメラがあってもお構いなしなんですね。

駐車の仕方がわからない、という話ですが、確かにアメリカの免許の実技は
どこか駐車場とか空き地などで同乗者を横に乗せ練習して受けにいくと、

これもモールの周りを警官が同乗して一周するだけでもらえるというものなので、
パーキングに入れられない初心者は多いと思われます。

妊娠している17歳が車の運転をする、というのは日本ではあまりない例かもしれません。

マッケイラさんもあと13年くらいでこうなってしまうのか。(しみじみ)
彼女の心配はもちろん父親も17歳であることです。

これがお父さんですよ〜。

なのでこれから大変、というような話がデレデレと続きます。
が、ここまでしか観なかったのでこの話はおしまい。(投げやり)


さて本題、今日ご紹介するのは、新聞やパンフレットに印刷されている
クーポンを駆使して、安く買い物することに命をかけている人を
紹介する、

「エクストリーム・クーポニング」(EXTREAMING COUPONING)

という番組です。
クーポンを使うという意味でクーポニングと言っているのでしょう。
もちろんクーポニングという動詞は存在しません。

そして今日もクーポニングに命をかける人たちが買い物にやってきました。

アンジェリークさんはとにかくクーポンが使えるものだけを買う主義。

アメリカのスーパーマーケットは、このように子供を乗せられる
バギータイプのカートがあります。
普通のカートも大きくて、一週間分の食物を搭載するのは楽勝です。

食べ物が終わったら次は日用品。
ちょっと待って?なんで歯磨き粉をそんなにいっぱい買うの?

爪磨き(エメリーボード)毛抜き(ツィーザー)まで買い込んで、
今のところ合計は約380ドル。(4万円くらい)

これはまだまだ途中経過ですので念のため。

アンジェリークさん、ドキドキのお勘定です。(そこですかさずコマーシャル)

オーマイガー、合計15万円7千円になりました。

彼女らの持ってくるクーポンとはこんな感じのものです。

別の家族ですが、やっぱり「クーポニング」のある主夫の家庭では、
家族全員がハサミでクーポンを切ることを強制されています。

おばあちゃんは娘にクーポンを切ることを強制されていて、
手を休めると文句を言われるのだとか。
老後の生活をこんなことに忙殺されて一体何を思うのか。

というかこのおばあちゃんのTシャツが・・・

「危険 次の5分で機嫌が変わる!」

このシャツ、アメリカでは結構流行っているようです。

「というわけで、合計は2123.5ドル(約23万6千800円)です」

スーパーマーケットで何を買えばそんなに・・・・。

ここにクーポンを入力していくわけですな。
いつの間にかスーパーの従業員が集まってきて皆で見物する騒ぎに。

ほとんど息を飲んでレジを凝視しております(笑)

「トータルはマイナス33.64ドルになりました」

マイナス?
クーポンを使えば、マイナスもありなんですか?
マイナスが出たらそれはどうなるかというと・・・。

なんと、ギフトカードをマイナス分もらえるらしいですよ。
どうして金額がまた増えて57ドルになっているのかはわかりませんが。

20万分買い物してさらにギフト券をもらえてしまう、こんなのなら
誰でもやってみたいと思うのかもしれません。

周りに詰め掛けて見物していた従業員一同が拍手。
みなさん仕事はもうしなくていいんですかね。

レジ係も彼女をハグして検討を称えます。ってなんでやねん。

荷物をお店のオーナーらしき人物は車に運ぶのを手伝ってくれます。
クーポンのシステムというのをよく知らないのですが、お店にすれば
別に損にはならないということなんでしょうか。

こちら別のクーポンマニア、ミッシーさん。
たった18ドルでこれだけのものを手に入れたの、とご満悦です。

ミッシーさんはどうやら右側の女性と同棲しているLGBTな方である模様。
今日は集めに集めたクープポンを持ち満を辞してのお買い物です。

「クーポン783枚あるのよ」「ええ〜」

そのうちスキャンできないクーポンは775枚。
ということは彼女らはそれを手打ちしないといけないということです。

(-人-)ナムー

とりあえずお勘定ですが、941ドル40セントとなりました。
さっきと比べると大したことないと思ってしまいますが、10万くらいです。

長く伸びたレシートで遊んでおられますが・・・。
そういうこともあって閉店後に撮影したのかな?

クーポニングの結果、お代金は30ドル85セントになりました。

 

ただちょっと気になりませんか?
スーパーで何にそんなにお金を使えるのでしょうか。

 

わたしがこのクーポニングを冷笑的に見てしまう理由がこれです。
とにかく彼女らは、同じものを大量に買い込んでいるのですが、
12個のプロテインバー。これはわからんでもない。

もちろんわたしは1本以上同時にバーなど買ったことがありませんが。
(それもなぜか食べると胃が痛くなるのですぐにやめた)

しかしこれはどうなのと。
40本の痛み止めクリーム。
どこの痛みに使うものかは知らないけど、そんなもん40本もいるか?

全身が痛むならともかく、痛みがある患部にだけ塗るためなら、
おそらく一生かかってもなくならないのでは?

それに一応消費期限てものもあるよね?

95の生理用品。というかカゴにものを放り投げるんじゃない!

おそらくこれも使い切らないうちに・・いやなんでもない。

それそんなにたくさん必要?と思えるものばかり買い込んでるわけです。
586ドルが30ドルになれば確かにマニアとしては嬉しいかもしれませんが、

メントスとかリーズとか、こんなに溜め込んでどうするの?
毎日これを一つづつ片付けていくの?

でも、アメリカ人はそんなことまで考えていません。

とにかくスポーツの試合のように、クーポンによって多額の買い物が
マイナスにでもなろうものならそれでグレイトなのでしょう。

見物していた従業員やお客が拍手するのもそういったスポーツ観戦的な感覚です。
このテレビショーはたちまち有名になり、人気が出たそうなので、
撮影を皆が楽しんでいるようです。

戦利品に囲まれてうっとりするニコルさん。
しかし2000個のライナーを使い切る前にまたクーポンで買い物してしまいませんかね。
毎日使ったとしても6年かかるわけですが、そもそもライナーって
毎日洗濯するのなら滅多に必要になんかなりませんよね?

こんな馬鹿げた買い物に皆が喝采するのも、アメリカの家が広くて、
そういったものを収納するストアージのスペースに困らないからに他なりません。

「ミニマリスト」や「断捨離」などという言葉が流行る日本では
全く理解できないテレビ番組であることだけは確かです。

この洗剤を見てわたしはやっぱりこいつら理解できん・・・と思ってしまいました。
2800回分ってことは、毎日洗濯しても8年・・・。

いや8年前の洗剤っていくらなんでも品質的にどうなのよ。

 

というアメリカ人の煩悩のありようをあからさまに見ることができる番組ですが、
実は、もっと「変な番組」が次々と登場しているのがこの国の恐ろしいところなのです。


また日をあらためてご紹介しようと思います。