懐かしのバレエ

バレエ、パフォーミングアーツ等の感想、及び、日々雑感。バレエは、少し以前の回顧も。他、政治、社会、競馬、少女マンガ。

第二部「カルメン」

2012-07-30 15:18:10 | バレエ
バレエ興行上は、もう世界フェスモードかな。(自分は今週末から行きそう。)

一方、私は、やけに肩入れした、「ベイサイドバレエ」。
よく考えてみたら、私のバレエ鑑賞歴上も、海を臨むロケーションの野外バレエなんて画期的な企画は、今まで無かった!(鑑賞歴25年超あっても、今まで無かったの。)

行ってみたら思ったとおり、すばらしい公演地で。私の下手な文より、写真で紹介できれば、ベストだったけど。ごたぶんに漏れず、舞台撮影禁止。
いつも思う。禁止はいいけど、公演の様子の写真、どこかに残して欲しいもの。

さて、公演感想、全部書ききる自信なくて、まずはお目当ての「カルメン」から。
***********************

7月21日(土)赤レンガオープンステージ 

第二部「カルメン」
振付:アルベルト・アロンソ
音楽:ジョルジュ・ビゼー/ 編曲:ロディオン・シチェドリン

カルメン:斎藤友佳理
ホセ(竜騎兵):首藤康之
エスカミリオ(闘牛士):高岸直樹
ツニガ(隊長。ホセの上官):後藤晴雄
運命(牛):奈良春夏
女性ソリスト:吉川留衣 川島麻実子、

ほか、東京バレエ団

オープンステージは、海の前に舞台を作り、その両サイドに櫓を組み、その横の枠の前に板をはめ、第一部では、その板に黒い布を被せてた。そこから、ダンサーが出はけ。第二部では、この布を取り、むき出しの木の板を、そのまま「カルメン」の舞台装置として使ってた。

第1部「ギリシャ」では、ダンサーの踊る後ろに、夜の海が少し見えた。(席による。)
第2部アロンソ版「カルメン」は、舞台を闘牛場に模し、「人生は闘いだ」というのもテーマ。だから舞台周囲を、ぐるりと木の板が囲む。

(この為、第2部では、ダンサーの踊る背景側も、木の板で覆われてしまい、「あ~、海が見えない」と思った。)

舞台全体を囲いが覆い、その上に、背の高い椅子が複数置かれてる。細長い背もたれが、やや奇矯で不気味。ここから、カルメンたちを「体制の象徴」のツニガらが、見下ろして見たりする。

アロンソ版をプリセツカヤが踊った時点では、この装置は、カルメンが、体制に監視される存在であるとの暗喩があった。(今は時代が違うので、演じる側の裁量で解釈が別れてもいいのか?も)

カルメンは自由な存在、との幻想があるが、アロンソ版のカルメンは、他者の目から監視される不自由さもある存在なのだった。というより、自由の意味とは、こういうもんかも。社会の規範とか、もろもろの縛りからの解放を望んだ時から、自由が見えてくる、とか・・・?今の時代には、それぞれが考えればいいのかな。

で、今回東京バレエ団の再演にあたっては、装置も誠実に再現されていた。
(天井が無い野外ステージの為、上の牛の絵を除いて)
本来的な「閉塞感」が特に感じられるでもなかったが、これはこれで見れた。

【序奏~カルメン登場】
過去に見たアロンソ版では、カルメン登場の音楽が、まず強烈。
が、今回は、そこより、序奏の、終幕と同じ曲が、胸に沁みた。

舞台を囲む周囲の海面は、終始ゆらゆらと揺れていることだろう。
(自分には見えてなかったが、第1部で見て、私の脳裏を刺激中。)
みなとみらい上空の空気も、せわしない東京と違う。
そのせいか、序奏を、いつもよりゆっくり味わって感じた。

海を渡る風に乗り、鐘の鳴るような音楽が辺りに響いた。

・斎藤カルメンが舞台中央に登場。黒いレースの衣装。着慣れた感じ。

「カルメン登場」は、スターが舞台中央に立った自分を、観客に見せ、観客の視線を自分にぐっと引きつけて、音楽高鳴って、そして最初のアチチュードのポーズに繋ぐ、はず。本来スターのインパクトを示すシーンだが、斎藤カルメンの登場は、もっと肩肘はらずに自然体。最初のポーズと次のパを、ことさらに強調せず。踊りなれた様子。

【斎藤カルメン】
私の知ってる踊り方と、斎藤さんのそれは違う。例えば、最初のソロで片足ポアントで静止する所も、静止無く流れるようにゆったり踊る。練り上げた踊りで動じない安定感があり、私的には、これはこれでいいと納得。この人のカルメンは、きっとこうなのだろう。私は昔、古い画像でプリセツカヤのカルメンを見て以来、何人かのプリマでこの舞台を見て、かなり思い入れのある作品。それでもそう思えるのは、踊りが彼女のものになっているから。(自分は楽しんで見た。好みは分れるかもしれない。なお、原作のメリメの小説のカルメンとは、かなり異質。)

【首藤ホセ登場】
ホセが向かって左側から登場。小柄に見え、少年のよう。竜騎兵の帽子。規定どおりだからこれでいいのだけど、首藤さんは後半の、帽子なしのワイルドヘアでボリュームを出した方が、ずっと舞台栄えする。前半のグレーの軍服も地味で、後半の白シャツで見違えた。実年齢よりずっと若く、世間ずれしてないピュアな少年のよう。(こちらも原作の、どんくさいホセとは別物。)

【ホセとカルメン】
二人の出会い。ペアダンス。この二人のコンビだと、・・・、
な~~んも知らない少年に、かなり年齢上の女性が、「おね~さんが教えてあ・げ・る」みたいな踊り?に見えてしまった。

斎藤さんは、さほど悪女性が強調されず、ひたすら「練れた熟女」風。ホセは、一見、無垢で素直・・・。(でも首藤さんて、実は芯はしっかりありそう。)
首藤さんは、登場は思ったほどインパクトはなく。注意してみてると、周囲に不思議な空気感を纏ってた。世俗の垢にまみれない独特の空気。

【ツニガ】
このイベントに私が興奮気味で冷静でなく、見落としたかもしれないが、隊長ツニガと群舞とが踊るシーン、省略した?短縮版かも。隊長役が目立つ前半の踊りがあったと思うけど、記憶無し。(見落としだったらゴメンです。)後藤さん、イメージ合ってると思うけど、私の視界に入りにくかったのは、ダンサーの責任ではないので。(席によって見える所、見えない所あるし、首藤さんに注目してたから、見こぼし。)

なお、中盤の、カルメンがエスカミリオと絡むアダージョでは、怪しい音楽が高まるのに合わせて、ツニガが囲いの上にゆっくり姿を見せる、はず。

が、ザハロワ・ガラの「カルメン」では、登場のタイミングが昔のより遅れてて凄く不満だった。
今回、同じシーンで、最初私にはツニガが見えず、「どこ?」と目で探してしまった。やや遅れて、視界に入ってきて、端の席だったし、私に見えなかっただけ?かとほっとした。

カルメンと男たちが絡むのを、この版は上から見ている人たちがいて、作品としてはそれも大事で、ただの恋愛劇だけでもないので、私的には落とさないでほしいシーン。

【コールド】
私は過去の観劇で、この作品のコールドに恵まれてなく、今まで見た中では、もしかして一番良かった?かも。決まりどおり音通りに、ピシピシ動いてくれて、感激~!
この版は「カルメン」にしては、プティ版よりも硬質だし、群舞の動きがヌルいと弛緩する。で、テンポ、リズムを崩さず踊ってくれ、作品が引き締まって凄く嬉しかった。手拍子シーンも。その二人の女性も。(彼女たちは欲を言えば、衣装がキエフのみたいにセクシーだったら尚良し、みたいな。)

【高岸エスカミリオ】中盤、「闘牛士の歌」の曲で、颯爽と登場。白地に黒の縫いとりの闘牛士姿が長身に栄える。直線的ラインで男性の魅力を見せるソロダンス。最初は首藤さんより目立ってたかも。

わりと硬質な踊りが、私が今までに見たこの役の中では合ってた。
(この版はロシアンダンサーが多く踊ってて、彼らはノーブル系が多く、体が軟らかい分、変な腰振り踊りになる時があり、自分はそれが嫌いだけど、その意味で高岸さんは良かった。)
ただ、欲を言えば、女の子たちがきゃーきゃー言う雰囲気があれば、なお良い。って贅沢なんだけど。(残念ながら、今までそんなエスカミリオは見たこと無いけど。)
(除:プリセツカヤの古い映像に出てたセルゲイ・ラドチェンコ。)
カルメンとの関係性は薄めに見えたが、そういう解釈もあり、の役。

ホセとは対照的に、女性は皆、自分を好きになる、と思ってる男。ゴーマンが匂う俺様キャラにせめて出てきて欲しいのに、案外そういうダンサーでも見たことない。

【白いシャツの似合う人】
場面変わって、後半。カルメンと共謀し投獄され脱獄し、軍服でないホセ。カルメンと約束の店に来て、エスカミリオとカルメンの浮気中(?)の所に飛び込んで来る。

ここの、首藤ホセの白シャツに少し驚いた。このシーンのホセの上衣は、自分的には赤のイメージだから。それに、首藤さん、白シャツ似合い過ぎ。
小説のホセは、私には、女の扱いの下手な四角い男にしか見えないが(おまけに、けちなプライドもある)、首藤ホセは間違ってもそういうキャラではない。正統派二枚目のピュアな青年像。多少当惑したが、この人のキャラに従って見る事にした。

首藤さんは、ソロの舞踊も柔和な曲線系に見えた。ポールド・ブラも軟らかい曲線。
そこが本来のホセ向きの舞踊資質とは違うように思ったが、そのわりには違和感無く。空間を支配するより、ふんわりその場の空間と共生する踊り。優しく自然な質感。

この人って、独特のバリアがあるというか。世俗の垢にまみれないような防御壁。
それと、カルメンとの愛の高揚・「花の歌」のアダージョの後、暗転が野外劇場ゆえ、真っ暗にならないが、こういう時、首藤さんて、すっと、てらいなく自然に劇世界に入れるような所があるので、向いてた。

その、花の歌のアダージョも、他も、首藤ホセは前半の服の時より、かっこよさをまとって正統派二枚目風に。斎藤さんのリフトも(最近こういう舞台に出てないせいか、バレエダンサーじゃなく一般男性みたいな、ひょいっとちょい投げ上げ見たいな箇所もあったけど、総じてそつなくこなす。
斎藤カルメンは、超然としては無く、二人の男性の間で惑う感じ、かな。

首藤さんには、「踊る詩人」みたいな印象を受けた。

【カルメンのメーク】斎藤さん、前に見た清純な役の時と、印象かなり違った。
目がかなり大きく見えて、素顔と違う。かなりアイライン入れて役作りか?。
彼女の踊りを見て感じたのは、彼女の心の世界では、この作品を共に作り上げた、先生たちへの愛着がある、と言うこと。

メイクや表情も、リアリスティックと言うより、アメリカあたりのポップアートの戯画化した顔を、個人的には思わせた。或いは、「バタ臭い」という古い形容があるけど、そんな言葉も思い出した。
日本人の考えたスペイン。異国情緒。
斎藤さんと、彼女の指導者たち(それがアルベルト・アロンソか、故マクシーモワ先生か、誰かは分らないが)、双方でこの役に向き合い、彼らなりのイメージがあって、それが彼女のメーク・表情も含め、役作りに反映されているのだろうと思った。何か、具体的なイメージがあるのだろう。私自身のこの役への感覚より、それを尊重する気持ちで見た。

斎藤さんに、この日、私が一番心を動かされた部分は、踊りの端々に感じる、彼女の,師匠たちへの愛情だった。たぶん、踊りの細かい点で、「ここはこう踊る」「ここはこう」と、指導され、斎藤さんがそれを尊重し、その中で醸成されたカルメンに見えた。だから、私のこの踊りのスタンダードの感覚とは違うけど、それを楽しんでみる気になった。

対照的なのは、ホセ、首藤さん。
この方は、独特の「壊れない自分」がある感じがした。
ホセ役がどうだろうと、世間がどういおうと、それより前に、揺ぎ無い自分の感覚がある人のように見えた。

舞台に立つ上で、この人には役者の、踊り手の生理、ステージアーティストの生理のようなものが、はっきりあって、ここはこうする、と自分に命令する内なる自分がある人、
のような気がした。

東京バレエ団に詳しくないので、当たってないかもしれませんが。


何があっても、何をやっても、泥臭さや見苦しさの無い、クリーンでクリアな、正統派二枚目の演舞。(この人は良くも悪くも、主役カラーで、座の中心キャラになってしまう人のような気がした。脇役を想像できない。)

斎藤さんとは手馴れたアダージョ。演技だけじゃなく、実生活上も恋人同士に見えるようなタイプのペアではないが、前半より首藤さんが男性的に見える時も。
斎藤さんは、やはりさほど「悪女」っぽくない。二人の悲劇はそんなにどろどろじゃないけど、自然に見れた。野外劇場は周囲も舞台装置。海が見えぬ分、見交わし踊る二人の上を通過する夜の飛行機の赤いライトまで、恋人たちを照らすよう。

最後に、ホセがカルメンを刺した後のシーンは、時間を短く感じた。
(ちなみに、一番長く感じたのは、ザハロワ&ウヴァーロフ組。ホセに抱かれたカルメンの細長い肢体が、ゆっくりとホセの長身の上を滑り降りていった。)

どちらかといえば、カルメンとホセの物語を、ホセの内面性をビシビシ感じながら観たというより、情景として感じた、といえるかもしれない。踊る詩人の舞台。


首藤さんは、こういう舞台から離れているのか、あきらかに前半より後半の方が存在感も舞台カンも上がってるように見えた。時々、こういう舞台も、これからもやった方がいいような気がした。(必ずしも、東京バレエ団の「カルメン」に特定するわけでは、ないけど。)舞台に立ち続けることで、纏うものが増幅する。首藤さん、舞台向きの個性の人ですね。

【牛(運命)】
この頃キャスト表を見ないで舞台見ることが多く、失敗も多い。奈良さんだと先に分ってたら気をつけて見たと思うが、ごっそり見落としで、後悔。

むしろ、東京バレエ団ブログに、この役は体力的にも難しい役のようなことが書いてあって、そっちが勉強になった。分ってなかった。
この役は、プリセツカヤの脇役のカサトキナが優れており、何人も見たが、生舞台でそれに勝る演技・踊りを見たことがない。ホセはこれにそそのかされてカルメンを刺すのだけど、首藤ホセは、そういう「愚かな男」みたいな感じがあんまりしない。

今回公演は、3演目全て優れ、唯一の物語バレエを間に挟んだ上演順も手堅い。
アロンソ版はさほど上演頻度が多いわけでもない。改めて振付・演出の優れた作品を的確に上演してくれたことを嬉しく思った。

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海と太陽

2012-07-30 00:51:21 | Weblog
閑話休題。

アンアンの記事で、塩谷瞬と編集部の恋愛談義が2ページ程度あって。
なかなかこの取り合わせでないと出てこない、味のある内容だった。
けど、今日は短めに。

中に、理想の女性として、「海のように心が広く優しく、太陽のように強く輝いてる」ようなのがいい、とか。この形容が、なかなか面白かったので、書いてみた。やはりこの人は、言葉の人。

(会話内容が面白くて、写真写りはこの人も表紙の山Pもいまいち。)
自分的には、「太陽のように強く輝いてる」女性を好む男性は、
①見栄っ張り
②エネルギーを必要としてる
③欠けたものがある
のどれかの要素があるのでは?と思う。

ただ、似て非なるありかたとして、恋愛濃度高めに生まれ付いてる男性は、想う女性が「太陽」に見えてしまうとか、想う相手を、「太陽」にしてしまう、その位のハイレベルの恋愛想像力を持ってる。
日本人男性では、限られるけど。数年前の上司がそういう人で、反応が面白かった。恋愛濃度って、人によって生まれつき差があると思う。

一方で、東ティモールの村長さんの話で、Q「夜何をするのか」A「セックス」と言う会話の紹介があって、そういう生活は、自分には羨ましいけど、なかなかね。

私もバレエ見なければ、彼氏ともっと濃密になると思う。(えっ?)
というのは半分冗談にしても、
仕事の生活には、性生活との兼合いでは、凄く縛られてる気がする。しょうがないよね。現代日本人の小市民生活。

海外の生活を知ってると、狭い日本の価値観に縛られない、相対化する別の尺度ができる、ということはあるのでしょうね。

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ニキータ・ドルグーシン

2012-07-28 00:58:11 | バレエ
サンクト・ペテルブルクで活躍した、ニキータ・ドルグーシン先生が亡くなっていた事を、今日、ダンマガの記事で知った。

ルジマートフの優秀なトレーナーとして、最初にその名を知った。
(例えば昔、TV番組で、ルジさんの舞台が少し写った時、怪我かなにかを押して舞台に立ってて、袖にルジさんがはけてくると、バケツに氷水みたいのを入れたドルグーシン先生が待っていて、傷めた足をそのままバケツにつっこんでいた、とか。ルジマートフのインタビューなどで、再三その高名は拝聴。)

最近では、素人でも知ってるアイシングの方法だけど、当時は私はそれも知らず、感心してみていた。

後半生は、スターのルジマートフを支え続けた一方、その前の時代に、作品創造でも優れていたのか「セルゲイエフに嫉妬された」と、同記事にあった。(一方の「セルゲイエフ版」って、あんまり才気煥発な版ではない、とは、私も昔から思ってた。)
才能だけじゃなく、業界内遊泳術が大事、ってのは、どの業界にもあるかもだけど。

私はマリインスキーのファンじゃないから、多くは存じ上げないけれど、ルジマートフとかのインタビュー内容から、優れたバレエのコーチとして、知らないなりの尊敬心を持っていた。

ルジマートフの嘆きは、いかばかりか。
謹んでご冥福をお祈りします。

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横浜ベイサイドバレエ、東バ キャスト表

2012-07-23 00:29:29 | バレエ
NBSさんのHPや、東京バレエ団ブログに、配役表が出てなかった?ような気がしたので。一応キャスト表を下に記載。

(21日は、後で神奈川芸術家協会HP見たら、全席完売になっていた。会場はよく埋まってて、盛況。一応、私の席の横は無人だったけど。)

【時間】ギリシャの踊り19:00~19:40ー休憩20分ーカルメン20:00~20:40-休憩20分ーボレロ21:00~21:20

★銅鑼の音で開幕を告げていた。

第一部「ギリシャの踊り」
振付:モーリス・ベジャール
音楽:ミキス・テオドラキス

Ⅰ.イントロダクション (①男性群舞の踊り。上体半裸に白ズボン。直線的な動き。)
Ⅱ.パ・ド・ドゥ (二人の若者)高橋竜太ー小笠原亮(21日)若い~踊りも若い
               宮本祐宜ー梅澤紘貴(20日予定者⇒23日キャストかも?)
Ⅲ.娘たちの踊り(女性群舞、黒レオタード。ややゆらゆら曲線的で、私的には、男性よりも、海を連想する動き。)
Ⅳ.若者の踊り
Ⅴパ・ド・ドゥ 小出領子ー松下祐二 (次の男女より若く見えて、踊りも関係性も、可愛らしい印象)
Ⅵ.ハサピコ 吉岡美佳ー木村和夫(こちらは、大人っぽい雰囲気。)
Ⅶ.テーマとヴァリエーション
ソロ:長瀬直義
パ・ド・セット:(21日)河合眞理 岸本夏未 村上美香 阪井麻美 奈良春夏 川島麻実子 高木綾 
(20日予定⇒23日?)高村順子 西村真由美 乾友子 佐伯知香 田中結子 吉川留衣 矢島まい

Ⅷ.フィナーレ:全員

第二部「カルメン」
振付:アルベルト・アロンソ
音楽:ジョルジュ・ビゼー/ 編曲:ロディオン・シチェドリン

カルメン:斎藤友佳理
ホセ(竜騎兵):首藤康之
エスカミリオ(闘牛士):高岸直樹
ツニガ(隊長。ホセの上官):後藤晴雄
運命(牛):奈良春夏
女性ソリスト:(21日)吉川留衣 川島麻実子、(20日予定)高村順子 西村真由美

ほか、東京バレエ団

第三部「ボレロ」
振付:モーリス・ベジャール
音楽:モーリス・ラヴェル

メロディ(円卓の上):上野水香
リズム(その下):松下祐次 長瀬直義、宮本祐宜、梅澤紘貴、他

※音楽は特別録音によるテープ使用

※なお、↓東京バレエ団さんのtwitpicより、
客席から見た野外ステージの写真。舞台の設営状況が分りやすいそう。参考までに。
(詳細、バレエ団HPをご覧ください。)

http://twitpic.com/a9ahdh 

http://twitpic.com/aa2iw3 終演後、カテコ。客席はスタオベ。

http://twitpic.com/a9ahdh 舞台の後ろの船も写って。

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野外公演の設営

2012-07-22 18:25:05 | バレエ
実用情報編。横浜ベイサイドバレエ行ってみて、現地の様子など。

【赤レンガオープンステージ】
こ~んな感じでした。


(写真も無く、文だけでも分りづらいので、恐縮ですが、
主催者、Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2012さんのHP,「潮風と夜景が演出する野外バレエ」より、転載させて頂きました。詳細そちらでご確認を。)

URL http://dance-yokohama.jp/ja/column/2012/04/001294.html 

絵では、海に白いかもめが飛んでるけど、それはなく、海を行くシーバスその他の船と、その灯りが目立った。その海側の前にステージ。舞台挟んで、海と反対側に客席。

客席は所どころ段差があり。客席エリアが横に広く、サイド席の見切れも気になるが、客席の「高さ」も大事で。後方席が位置高い。

★第一部後の休憩で、舞台の床を、モップで清掃あり。
★第三部の途中で、僅かに小雨、霧雨。観客には風流程度だが、舞台の上野さんが滑りやすいか?と思った。上演する側は労力が要りそう。
★環境として、観劇には気温変化に耐えやすい服装が望ましそう。

【アクセス】
私は、時間ぎり移動の為、横浜駅経由、みなとみらい線「馬車道駅」下車ルート。
・「徒歩6分」とあるが、赤レンガ倉庫が見えてから、広い空間で、奥にあるステージに至るまで、少し歩く。

【付近のお店】
夜食が欲しかったので、自分は横浜駅西口で、サンドイッチ購入。

でも、馬車道駅下車後にも、若干店あり。
・駅降りてすぐ、ヴィドフランスあり。やや品薄。
・6番出口出た後、大通り沿いに、ローソン、サンクスあり。

・目的地の赤レンガ倉庫、1階(オープンステージの手前の位置)には、ハンバーガー屋や(アボカドバーガー890円とかの。)、オムライスや、軽食のあるカフェとかが並ぶ。トイレもあり。時間に余裕があれば、いいんだけど・・。

オープンステージ内、販売物等】
入って向かって左のエリアに、販売、貸出しをしてる、白いテントが点在。

・中に、「やきとり」の屋台?があったような。
・私の付近の席の人がコーヒー持ってたから、飲み物もそこで売ってたかも(?)
・一応フェアリーさんもここに出店。ユカリューシャも外国人ダンサーのも含め、DVD等を販売。「カルメン」「ボレロ」等だったと思う。

・雨合羽300円。
・防寒用ブランケット貸出
・たぶんオペグラも。
【休憩時間】
海に向かって右側に、仮設トイレがあったらしい。かなり女性が並んでた。休憩20分。

【会場のスタッフ】たくさんいらして、とても親切。席・トイレの場所とか、分らないことは、聞いた方が早い。
★最後は盛大なフィナーレで、舞台上に第3部出演者しかいなかったのが、惜しく思われた。全体的に良かったので。(もしかして、ダンサー待機場所もなさげ?で、出番終わったら帰った、とかかも?)

ニーナ公演のような、良く反応するタイプの客層ではないが、いいお客様に恵まれたのはどちらも同じ。
★周囲は、デートスポット。景観良好。帰りたくなく、このままインターコンチに泊まって夜遊びしたかった・・。

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変り種

2012-07-22 18:11:05 | バレエ

グルジアバレエ公演、ロビーに展示が2,3箇所あって、そちらに掲示されたもの。
(グルジアの雑誌の写真らしいです。)


ローラン・プティの「コッペリア」風のポーズ?(衣装が違うけど。)
メイクが普段と違うニーナです。
私の撮り方が下手ですが、実物はもっとキュートだった。

中でTシャツとか、グッズ販売してたけど。本、DVDは、フェアリーさんが出店。
マリインスキーバレエの宣伝の映像も流してて。

グルジア公演はもう、終わってしまったので、まだ公演のある,ベイサイドバレエの話を先に書きますね。

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ブラボー、野外バレエ!、そしてニーナ・ガラ

2012-07-22 03:30:04 | バレエ
見る阿呆。21日、行ってきました、昼・上野、夜・横浜。
以下、とりあえず雑な感想で、まとまりなく、すいません。

★ベイサイドバレエは、まだ1日ある!ので、とても良かったので、行ける方は、ぜひ、どうぞ。(気温とか、注意。)

【ニーナ&グルジアバレエ「特別プロ」】
1部:ポソホフ振付「サガロベリ」35分

巨匠振付家級ではないけど、やっぱり自分は、芸術家としてのポソホフを、好きだと思った。大誉めじゃなく、ほのぼのと。ザハロワガラで披露された、同振付「マグリットマニア」は、都会的。それとは、趣き違って、自然を感じた。装置なくても、途中の赤い照明に、生命の炎を、緑に、大地の緑の下の涼しさを感じた。(自分だけ?)

この作品は、このバレエ団に合ってた。バランシンやキリアンほどの切れ味の振付じゃないけど。ポソホフは、ラトマンスキーに比べると、独自性はある感じ。(でも、受けにくいかも?)

2曲目が、賛美歌調に厳か。
で、ポソホフが昔、ニーナ・ガラで、「アリア」という作品を踊ったのを思い出した。

この演目のダンサーは、凄く上手とかではなくても、素朴に見れる。客席の咳払いもなく。
(2部のビゼー・ヴァリエーションのダンサーの方が、技巧を見せる踊り。)

2部:名作集
・バランシン振付:「デュオ・コンチェルタント」
音楽:ストラビンスキー バイオリニスト、ピアニスト出演。
エカ・スルマワ、ダヴィッド・アナネリ

やはり、バランシンは良い!
振付うまいな~~~~と思ったけど。

この公演で唯一、いたく気に入ったのが、このバレリーナ。
キャスト表、見落としで、それが、JAブログで宣伝してた、エカ・スルマワだと、終演後に知った。この演目だけなら、めっちゃ、タイプです。

ただ、クラシック見てないから、そっちの実力は分らない。後日感想書けたら詳述。(書けるのか??、自分。)

・Falling Angels
振付:イリ・キリアン
音楽:スティーヴ・ライヒ

振付のすばらしさを、ことごとく裏切り続けるダンサーたちに、前半はほとんど諦め、苦笑。でも、後半には、なんとか、ユーモラスな感じは多少伝えられたかも。

これも後述するよ、もう、はらはらしながら、笑いました。
作品はとてもいい。ダンサーがそれを生かしきれてないけど、とりあえず許しちゃうってか。何であんな動きを思いつくのか、キリアン。途中に、尺取虫が地を這ってるような、でも、それもそこはかとな~~く、ユ~モラス、かつ音楽的な動きとか、色々。

グルジアンは、皆でいっせいにシャープな動きを決めて、「観客に不意打ちを食らわすような」演出は、苦手みたい。そこは凄く勿体無かった。
「ゆったり軟らかくねくね、、素朴、ちょっぴりセクシー」の方が、それよりは得意。

・第3部「椿姫」
ニーナのスター性は健在。赤、黒、白のドレス姿を楽しんだ。けど・・・・。

アルマンは、ウヴァーロフで見たかった。

(ニーナ自身が、一番そう思ってたんでしょうけど。次も彼と来る意向と聞いてたので。)

・カテコ
アンコール演目:男女二人の民族舞踊:上手だった。
今回は、前回のニーナ&ウヴァの「イッツ・ショー・タイム!」みたいなおまけがなく、普通のカーテンコールが延々と続く感じ。

客席は2極化。
そうそうに退出を急ぐお客様の流れと、1階前列に出て、スタオベと。

・出まち
終演時間が押してて、17時半過ぎても出てこないし、夜公演があるので、ニーナのサイン待ちを断念しました。

【横浜ベイサイドバレエ】
それで、遅刻して、第一部「後ろの高い位置の席で立ち見」になり。これがラッキー。
自分の席、16列目のはじより、海が良く見えて自分には、「ギリシャの踊り」を見る位置としては、良かった。でも、16列目も、後ろが段差が合って、少し背伸びしても後ろの迷惑にならなさそうな所は良かった。

この公演、すっばらしかったです!!!

3部「ボレロ」受けたし、水香ちゃんおいしい役回りだったかも。(でも、水香さんも、良かったです。潮風にロングヘアがなびいてた。)

2部「カルメン」東京バレエ団の群舞は、パシパシ、決めて動いてくれるので、凄く嬉しかった!感激~!
ホセ:首藤さん、前半はピュアな少年のホセ。後半の白シャツの方が似合う。
この人は独特ですね。表現者として、ステージアーティストとして、自分の核とか、根っこがしっかりある感じ。後半の方が良かった。

斎藤さん、練り上げたカルメン。高岸:エスカミリオ、登場の白い闘牛士の衣装の踊り、覇気と存在感でアピール。手拍子の場面の二人の女性も良かった。牛、見落としちゃった。席によって、見え方が違う。

1部の「ギリシャ」では、後ろを航行する船も、作品の一部のよう。
「カルメン」では、カルメンとホセの見交わす上空を、夜間飛行の飛行機が通り過ぎるのも、ムーディー。
音楽音が割れるほど大音響轟かせた「ボレロ」では、舞台の後ろに広がる夜の海原をゆっくり航行する船も、一緒に踊ってるみたいに感じてしまった。

上野さんも、体力いる踊りを霧雨のなか、足を滑らせもせず、最後は歓喜をみなぎらせてチャーミングに踊りきり、そして、「リズム」の群舞男性、とっても良かったです。

それに、「カルメン」の群舞もぐっときたし、
「ギリシャ」も良かったし・・。

説明になってませんが、大変すばらしかったです。(リフレイン)
あと、1日、23日(月)19時~のみ。

景観、あっちっこっちきれい。
終演予定、21:20だったかな。
最後は、全員のカテコなく、ボレロのカテコのみで終了。


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雨が

2012-07-20 13:34:19 | バレエ
変わりやすい天気予報。
少し前のを見て安心して、ベイサイドバレエへの期待を日記してしまったが、


雨です~。人生の裏切りを感じさせる初日、なんちゃって。

それと気温。
直前が超暑かったので、暑さ対策、と思ってたけど、
思いのほか、肌寒くなる時もありそうです。羽織ものがいりそう。
はあ~、天気の変化はげしい。

バレエ公演は、16時に開催可否を主催者HPで告知だそうだけど、順延日も含め、無事公演できますように・・。
今日は無理かな?

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潮風の誘い

2012-07-19 17:49:59 | バレエ
【ボリショイ来シーズン演目】
ボリショイ好きの人には既知かもしれませんが、下記ブログの記載が親切な内容なので、一応書いてみた。(記事の下の方にユーチューブ実況日も出てる。)

http://jictheatre.exblog.jp/

※時折、私も参考にさせて頂いてる旅行会社のブログさん。
(旅行の問合せしたことある会社だけど、結局やすみがとれず、行かなかったな~。)

ごく私的には、ついに「イワン雷帝」やるのか~!とか、(ドミトリチェンコかな。)
エック「アパルトマン」が入ってる、とか、思うけど。
例によって、新しい作品も。。。
(以前、エックは、会ったことのない人には、作品踊らせないって、聞いたけど。ロシアに行くのかしら。)

【東京バレエ団、横浜公演】
東京バレエ団さんのブログに、野外劇場設営の写真も出てて・・・、ご苦労様です。
見るほうは楽だけど、やる方は、野外、それも海の近くだと、多少大変か、も?。
で、貴重な機会だと分ってるから、この機会にぜひ、いろんな方に見て欲しいと思うのですよね。

(バレエ好きの友人は、こちらより「オネーギン」の方に関心があるようで、やっぱり外国人ゲスト客演だから、ね。この頃日本人キャストづいてる私。)

バレエ団さんのブログに、「カルメン」の2人の女性ソリストを中心に、皆が手拍子を打って踊る場面、そしてカルメンが、がしっとポーズを決めてる(主役オーラ!)稽古場面が写ってて。

アロンソ版好きな私には、これだけで、音楽が聞こえてくるよう。
公演への期待が高まります。

(アロンソ版「カルメン」は、当時としては、実験的な作品だったはずで、この手拍子も、歌謡におけるアカペラみたいなもんで、(或いはスペイン舞踊における、音楽もその場の即興で、人間が歌や手拍子で全部創るのに似てる)思えば、この作品も、こういう、その場で全部人間が作るような所は、野外劇場向きかも、とちょっと思いました。

(もっとも、野外劇場だと、後半のトランプ占いの後や、後半の「花の歌」のアダージョの後の暗転が、「完全暗転」になるかどうか?、とか、不確定要素もありますが。照明スタッフの腕の見せ所?)

【公演の「場」について】
余談ですが、公演の「場」へのこだわりといえば、日本では、バレエ界より、演劇界の方で、記憶に残る公演があり、なかでも、昔、晴海の倉庫で天井桟敷がやった「奴婢訓」と言う公演は衝撃で、私の劇場観を決定的に変えました。

東京バレエ団員さんのブログコメント読むと、彼らの世界での、海外の野外公演体験は、フランクなものみたい。

開幕前、お客さんが劇場に入ってくるのも、ダンサーさんから見えるし、ダンサーさんの着替えもお客さんから見える、みたいな。それに気軽に入れる場所みたいですね。
(チケット代がもっと安価とか?)

チケットが安価で、そこへ来た人が気軽に入れる雰囲気、というのも、いいかな~とも思いますが。(日本じゃ、「安価」はなかなか無理よね?)

桟敷の晴海公演は、さすが日本人の繊細さで、劇場の「場」を作ることに劇団スタッフが心を砕いた跡が、ありありとわかるもの。
スタンバイしてる俳優さんは、最初からは私たち観客には見えなかったし。迷って歩いて公演地をを探して、劇の「場」にたどり着いて、不思議な気持ちになる音楽が流れていて・・、日常と劇の場の境界線がもっとあいまいになってて、劇の場に吸い寄せられたような感覚は、言葉にしづらいけど、忘れられないものがありました。

その辺から、「出来上がった劇場」での上演以外の公演も好きになり、劇の場が生成されることに、私的には関心が高くなったと言う面はありますが。

「場」っていうのは、すごく大事だと思うので、
はじめて経験する海を臨む劇場でのバレエ公演、最高のロケーション、楽しんできたいと思ってます。さて、ダンサーさんにとって、場の違いによる気持ちの変化は、あるのかな?。

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グルジアバレエ、「特別プロ」演目

2012-07-18 01:39:19 | バレエ
また、与太話です。宣伝のつもりが、宣伝になってない文に。

以前の来日のインタビューで、アナニアシヴィリが、「次回は『椿姫』をお見せできると思うわ」と、話していたので、私は今回は、てっきり『マルグリットとアルマン(椿姫)』がメインかと思っていた。たった1日しか、この公演がないとは、意外だった。
それで、21日は、なんとしても~、いかなければ、と。

自分は、「椿姫」が入れば、他演目が愚作でも行ったとは思うけど、
このプログラム、それ以外の演目も、とても良い演目が並んでいて、感心することしきり。

ニーナの芸術監督としての功績には、ロシアのバレエ団にしては、ぬきんでて質の良いコンテのレパートリーを導入した点もあると思った。

(逆に、今回初めて地方でニーナ以外が主役に立ったが、そこでキエフのプリマを出し、自前の主役で固められなかったのは、致し方ないが、プリマを育て切れなかった残念さも。)
(私たちには、キエフでもどこの人でも、良いプリマが出演した方が嬉しいけど。)

私は、いわゆる「ガラ・コンサート」で寄せ集めの演目を見せられる事には、忸怩たる思いもあるので、今回の公演で良質な演目を揃えられた点には、バレエ公演かくあるべし、と思った。
(なかなか、なくならない、コンセプト不明の寄せ集めガラ・コン。日本でも他国でも。ダンサーの自己満足を見るよう。芸術家としての志の低さが悲しい。)

公演に先立ち、グルジア公演の宣伝の画像で、作品の一部も見てみた。

「Falling Angels」
キリアン振付。ガーナの伝統音楽に硬質な振付が映える。モノトーン世界。私には、万人が「良い」と言いそうなコンテに見えるんだけど。さて、本番はいかに。
私が特にキリアンのファンじゃないけど、やっぱ、今時のぬるいコンテが吹っ飛ぶ、硬派コンテ。動きはクール、打楽器系の音感で高揚感も添えて。ズルイ!振付すばらしい。

「デュオ・コンチェルタント」
グルジア人の踊るバランシンもい~わね、と思うけど。男女の白黒の衣装姿は、昔のニューヨークシティのダンサーたちと、さほど印象変わらず。グルジアのダンサーにしては、踊りは都会的に洗練されて、短い画像では普通のバランシンに見えたけど。さて、本番はいかに。

バランシンは多作とはいえ、キリアン、バランシンと、巨匠振付家作品が並ぶと、モスクワ派バレリーナの組織するバレエ団とも思えない充実度。ああ、ボリショイも、こうだったら良かったのに・・

「サガロベリ」
気鋭の中堅振付家:ポソホフが、グルジアバレエに振付けた、民族色ある作品みたいだから、期待したんだけどさ。・・・かわいい感じ。思ったとおりと申しましょうか。

これは、ポソホフからニーナ&グルジアバレエへの、ラヴレターみたいな作品、と思って見ました。

最初は褐色の背景にバレリーナのシルエットが浮かび、民族音楽っぽいので、私的にはアフリカのサバンナを連想。(って、違うと思うけど。)衣装が珍しいのがある。ゆるやかに流れる時間を思わせる女性たちのダンス。男性群舞のジャンプも民族舞踊の逞しさを連想させるもの。女は女らしく、男は男らしく、の世界、かな。
肩こらず、のんびり楽しむ系。

ポソホフの一生懸命さとグルジアダンサーの素朴さが、ほほえましい気分にさせてくれるけど、そもそも異国情趣がベースにあるので、そこらへんで珍しさも手伝って楽しめる感じ。振付や雰囲気の毛色が変わってて、その点でガラにはいいかも。演目選択に、異趣も大事。

★ポソホフ・メモ
ボリショイ出た後、サンフランシスコバレエに落ち着き、芸術監督トマッソンの元でダンサーしながら振付にも着手。バランシンの元で働いた経歴のあるトマッソンとの共同作業は、実り多いものだったに違いないと想像。
ボリショイに、「シンデレラ」を振付。斬新系で、一部アメリカのショービジネスの文化の影響を受けたような、現代的な部分もあった。口コミレベルでは、作品の評判は、おおむねラトマンスキーよりは、上っぽかった。

巨匠振付家級の切れ味までには至らずとも、ポソホフは真面目な芸術家肌だったから、後の世代の振付作品みたいな、いいかげんな作品は創らないだろうと、私的には信頼してる。振付の巧拙だけが全てでもなく、ちゃんと考えがあって創ってるのは、それを手繰り寄せながら見るのも楽しいから。音楽も、照明も、衣装も含めて。

(いいかげんってのは、以前ボリショイのコンテでマクベスを題材にした作品を作ろうとした欧州の若い振付家が、ツィスカリーゼに降板されてしまった時に、「僕も作品をよく分かってなかった」とか言ってた様なもの。あまり大した考えもなく、なんとなくつくってるのかしら?と思えるような、近年の一部コンテとか。100%悪いとは言わないけど、・・。)

《ビゼー・ヴァリエーション》ニーナ出演
バランシンもどきみたいな小品に見えるけど。(ラトマンスキー振付)
青い照明、青いシンプルな衣装のバレリーナたちと対の男性たち。バランシンの抽象バレエみたいに、表向きの筋はなくて、観てる人が男女のストーリー想像してもい~よ、というよ~な作品、らしい。

クラシック演目で見てるアナニアシヴィリが、こういう抽象系のコンテを踊るのを見るだけでも、思わず目が行ってしまって、たのしい。

ラトマンスキーは振付家としての水準は高くないみたいだけど(例えば、マリインスキーに振付けた、ラトマンスキー版「シンデレラ」の振付を誉めた人に、会った事がない)、小回りきいて、どうあっても新しい作品が欲しいダンサーたちには重宝なのかも。

そして、これだけでも見る価値ありそう(?)な、円熟期のニーナの物語バレエ「マルグリットとアルマン」あ~、やっぱり、アルマンはマトヴィエンコじゃないのか~。(ザハロワの椿姫と、比べたかったのに。。。)そそられる舞台写真が、何場面か披露されてて期待が高まりますです。

生命力に溢れたニーナというバレリーナを、こういう儚い薄幸の女性像で見るなんて、以前は、想像も付かなかった。彼女のキャリアの中では、今が一番、演技力上がってるように見える。その時期ごとに自分に合う演目をチョイスしてこれたのも、彼女の才覚なのでしょう。

(昔はニーナといったら、ドンキのキトリが18番と見られていたし、「海賊」での脚の付け根からざっくり動いてるような、爽快なイタリアンフェッテとか、忘れられない印象があるけれど。)

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