懐かしのバレエ

バレエ、パフォーミングアーツ等の感想、及び、日々雑感。バレエは、少し以前の回顧も。他、政治、社会、競馬、少女マンガ。

世界バレエフェス、全幕特別プロ「ドン・キホーテ」

2009-07-30 02:34:47 | バレエ
世界バレエフェスティバル、初日となる「全幕特別プログラム」の
ドン・キホーテ公演。29日東京文化会館。

※ プリマのキトリ役:マリア・コチェトコワ。
技術と舞台づくり&パートナーリング手堅く、まあまあかわいい感じ。踊りは、観客が見てないような細かい所がわりあいきちんとしていて、いい先生が付いているのかなと思いました。

※ 恋人の青年・バジル役:ダニール・シムキン
踊りや演技の所所で、跳んでくるくるんと廻ったりして、拍手浴びてる感じ。
背は高くなく、腰高足長体型で細い。しなやかな踊り。

とっても若い感じ。男の魅力より、ダンサーの踊りの余力あるしなやかさで客席の支持を得ていた模様。お顔は、ややキューピー系?。
I.ワシリエフよりは全然上手い、ワシよりは遥かに踊りが洗練されてる。
客席は、このバジルが余計に廻るたび、拍手~の乗り。

※ エスパーダ役:後藤さん
バレエ団の主役ダンサーとして、ここはシムキン・オン・ステージにしてなるものか、と思ったのか(?)なんか、とっても頑張って気合で踊ってました。去年同じ役で見たときの、「ぽわわ~~~ん」とした「あるまじき闘牛士」「ラテンを期待してはいけない闘牛士」はどこへいったのか。

それでもシムキンが受けたせいか、フィナーレ、カーテンコールでは、いまいち、笑顔じゃなかった。でも、よく頑張ってたよ、後藤さん。

2組の恋人同士は、それぞれ役どおりカップルに見えて、微笑ましくかわいかったです。
キトリ&バジルと、エスパーダ&その恋人:奈良さん扮するメルセデス。

実は私は遅刻して、吉岡さんの「ジプシーの踊り」を見損ねました。

この版は、第二幕、最初が酒場のシーン。
キトリのパパに結婚を反対されてる恋人たち。バジルが、結婚を認めさせるために、わざと狂言自殺をするシーン。

そこまで順調だったシムキン。シャツの胸元に入れたはずの、小道具のナイフが出てこない!(最初、わざと芝居でやってるのかしら?と思ってあげたけど、それでもナイフをうまく取り出せないシムキン。)

やっと小道具を取り出せて、観客がほっとした一幕がご愛嬌。
その後の、バジル、キトリと脇役二人の4人で同じ振りで踊るシーンは、シムキンの踊りが一番はじけてました。

プリマがジャンプして、バジルの腕の中に飛び込むシーンは、普通はそこが見せ場だけど、そこより前の、バジルが一人でくるくる回転技してるシーンの方で、拍手があるという、イレギュラーな反応。

そして2幕後半の場。結婚式の場面。

キューピット役は容姿も適役。

最後の幕のグランパ・ド・ドゥの、第一ヴァリエーションの青いチュチュの女性が、端正さが心地良い踊りを見せてくれました。コチェトコワと比較して、ややきびきびした系統の踊り。コチェトコワはしっかりした踊りでも、しなやかさもあって、きびきびとまでは感じなかった。こういうのが、日本人とロシア人の踊りの違いになりやすい傾向があるのか(?)

今日も、愉快なお芝居担当の人々、狂言回しのサンチョ・パンサ、振られる金持ち男のガマーシュ、ドン・キホーテ、キトリのパパは、芝居で色々笑わせてくれました。

ここの版は、最後の大団円で、皆が踊りで締めるのが特徴。
スターダンサーだった人が振りつけた作品らしい、踊りまくりの終わり方でした。

シムキンが日本でニュースターになった日、になるのか?

散漫な感想ですが。

水曜夜公演で、仕事・体力的に厳しい自分的には、行っても行かなくてもいい内容でした。
どうしても絶対見たい舞台ではなかったけど、余裕がある人には好舞台、そんな所でしょうか。

会場の東京文化会館大ホールは、ここだけは、不況どこふく風の風情。
時代錯誤的バブリーな幸せムードで、盛り上がってました。

指揮:ガーフォース。
NBSは、音楽の演奏レベルは、日本のバレエ公演の中で、相対的に高いと思ってます。安心して楽しめました。

東京バレエ団脇役、コールドは、なかなかよく統一感を出せていて、音に乗った全体の動きが、見ていても心地良かったです。
ファンタンゴの男性の衣装の青が、蛍光カラーがかってるのは、ここのバレエ団の特徴かな~。

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青蛾館「上海異人娼館~チャイナドール」寺山作・岸田脚本

2009-07-11 13:45:50 | Weblog
タイトルが長くなってしまった。

この演劇公演って、いくつか異なる要素があって。

・「上海異人娼館~チャイナドール」作品への興味(で来る人いるかな?)
・青蛾館さん関係。出てる俳優さんのファン関係が来そうな企画。
・TV台本、舞台、小説と幅広い各活躍をした、脚本家・岸田理生(りお、と読むのを最初知らなかった。女性ですね。)に関心のある人
・歌人・詩人・劇作家・競馬評論家etc.で没後27年、第二・第三世代にも衰えぬ人気を持つ寺山修司関連のイベント
・宇野あきらさんの独創的・幻想的な挿絵に顕現されるような、デカダンス、退廃美に興味ある人向け。

みたいな感じかな。

会場が小劇場で、チケット買ってなかったら、満員でキャンセル待ちなんだそうです。(完全に世の中に遅れている自分)

くっすん。

元々は、昔の映画の脚本化だけど、「今」の若い女性に、あの世界はまた違った感じで面白く見えるんだろうなあ、と。

チャイナドール・少女O(O嬢の物語の「O」から取ってると思われ)と、その恋人のステファン卿の、愛と性の物語(?)、が土台にあって、映画版は、そのストーリーをなぞるためにあるんじゃないんだろうな~と、思いながらみたけれど。
むしろ、土台のストーリーに水を差したりする所が、良かったりするけど。

レンタルビデオ店の表紙の少女Oの写真は、綺麗だったけど。

映画は、企画は良いけど、必ずしも完全な成功とは言えなかった。
(寺山によると、編集で、「何のことか意味のわからない映画になった」という。
そんな風に言っちゃえる寺山修司の言い方が、アッパレ。)

でも、耽美とか、少女とステファン卿の、なにか脆い純愛志向とか、妙にそそる部分もある映画だった。

好きな映画ではないけど。

岸田脚本は、映画よりもぐっと、原作者の寺山の意図を汲み、かつプラスアルファ岸田ワールドにしてると思う。

でも、それをさらにさらに、個性的に色づけするのは、「今」のキャスト・スタッフ。

映画の少女とステファン卿。

この役は、演じる人によって、イメージ違って見えると思う。

愛を試すために、わざわざ、無垢な恋人の少女を娼館に預ける男、というのは(マノンと逆みたい。)大人になってしまえば、現実的に考えると、鼻白らむ話というか、幼い発想のようにも思えるのだけれど。

そんなことをする、ステファン卿の孤独と屈折に、見る側が思いをはせられるような魔力のある役者さんがやれれば、半分成功なのかなとも思う。

関係ないけど、ダンス界のピナ・バウシュが68歳で亡くなってた。
岸田理生は、ピナが好きだったな。

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