世界選手権、男子フリー、羽生結弦の「ロミオとジュリエット」。
素晴らしかった。
最初の4回転サルコゥの成功や、他のジャンプも全て破綻なくやりきったことだけでも、感動的なことなのだけど、技術が今季一番手堅くできたのに、今回が一番、「ロミオとジュリエット」のドラマやストーリーを感じさせた気がした。主観だけど。
中盤の音楽の演奏、前よりゆっくりに変わってたように感じた。気のせいかもしれないけど。前より、曲のメランコリズムに観客を引き込むような、工夫がされてるように思った。
そして、全てが美しい。これも、とても大事なことだと思った。
リアルタイムでは、その二つ前に滑った町田樹の「火の鳥」、ジャンプのミスがなく、技術的に堅実な出来だったので、より上の技術のプログラムの羽生選手の方が、ミスも起こりやすく不利なのでは?と穿った見方をし、危惧を持った。
そして、この「ロミオとジュリエット」が始まると,息をのんで見守る中、
・・・。
私事だけど、私はこの頃、この3月、身近な相手に短い恋をしていて、その思いの中でこの滑りを見たのだけど、会場に詰め掛けた熱いファンたちの多くは、羽生選手を「私のロミオ」として、愛してるに違いないと思った。
私は、羽生選手に勝ってほしいと思いながら、点差、勝負の状況的にはピンチのはずなので、はらはらする気持ちで見ていた。このプログラム難度高いし。
自分も、見ていて息が苦しくなる思い。滑りは安定していたと言うのに。ジャンプを精一杯決めてくるのに、表現もまた、今日が一番いい。その表現に胸を震わせながら、でも、どこかで集中が切れて技術にミスが出たら、と心配しながら見た。
熱い思いで羽生選手の演技を追う中、会場に詰め掛けたファンの人たちの一部は、ただ見ているというのでなく、心を込めて滑る羽生選手と一緒に、手に汗握って闘っている様な想いで、かの君を見つめているのでは、という気がしてきた。
そして、また、こうも思った。
この物語、ジュリエットは、ロミオと離れている時も、心はロミオと一緒に闘っている気持ちで、一人で闘った時があったろうか、と。きっとあったに違いない、と。
シェイクスピアの戯曲には、そんなくだりはない。
でも、この日の羽生結弦の表現からインスパイアされたものとして、また一つ、新しい「ロミオとジュリエット」の世界を、自分は,この日の滑りから受け取った。
どの滑りもそれぞれ好きだけど、表現的には、今日の「ロミオとジュリエット」が一番感動した。今日が最後だった。今回の「ロミオとジュリエット」の完結の日に、一番いい演技を見せてくれた。
ときめいていたい。
羽生選手は凄すぎるけど。嘘みたいな逆転劇。点差よりも、実質の差は大きかったと思う。「火の鳥」は、技術が手堅く伸びやかだったけど、表現的に、私には響くものがなく、体の線の見せ方に、堅さを感じた。
ただ、演技中よりも、完璧にやり切った、一瞬、「勝った?!」かに見えた勝負の行方・・。羽生選手の演技後、ジャッジが下ったその瞬間の、掴んだと思った勝利が指の間からこぼれおちてゆく、あの瞬間の町田選手の表情!
そっちの方が自分には魅力的だった。精一杯の努力をして手にしたつもりの金メダル、町田選手に運命は、そんなに簡単に、それを差し出してはくれなかった。
そのやるせなさ。形容しがたい微妙な表情。
そういう真実が含まれてる要素って、魅力があるんだと思う。
一方、会場に詰めかけたファンの人たちを見たり、自分自身の短い恋の充足を思ったりしながら、誰かを、なにかを愛して、愛を注いでいられる事は、何に限らず、それだけで本当に幸せなことだと思った。
羽生選手の今日の滑りは、見ていて気持ちがきれいになるような美しさだった。
羽生選手、優勝おめでとう!
君はどこまでゆくのか。
P.S.エキシビション、安倍コーチ振付の昔の「ロミジュリ」をやってくれて、超嬉しい。衣装なつかしい。今は今の衣装の方が似合ってるけど。
素晴らしかった。
最初の4回転サルコゥの成功や、他のジャンプも全て破綻なくやりきったことだけでも、感動的なことなのだけど、技術が今季一番手堅くできたのに、今回が一番、「ロミオとジュリエット」のドラマやストーリーを感じさせた気がした。主観だけど。
中盤の音楽の演奏、前よりゆっくりに変わってたように感じた。気のせいかもしれないけど。前より、曲のメランコリズムに観客を引き込むような、工夫がされてるように思った。
そして、全てが美しい。これも、とても大事なことだと思った。
リアルタイムでは、その二つ前に滑った町田樹の「火の鳥」、ジャンプのミスがなく、技術的に堅実な出来だったので、より上の技術のプログラムの羽生選手の方が、ミスも起こりやすく不利なのでは?と穿った見方をし、危惧を持った。
そして、この「ロミオとジュリエット」が始まると,息をのんで見守る中、
・・・。
私事だけど、私はこの頃、この3月、身近な相手に短い恋をしていて、その思いの中でこの滑りを見たのだけど、会場に詰め掛けた熱いファンたちの多くは、羽生選手を「私のロミオ」として、愛してるに違いないと思った。
私は、羽生選手に勝ってほしいと思いながら、点差、勝負の状況的にはピンチのはずなので、はらはらする気持ちで見ていた。このプログラム難度高いし。
自分も、見ていて息が苦しくなる思い。滑りは安定していたと言うのに。ジャンプを精一杯決めてくるのに、表現もまた、今日が一番いい。その表現に胸を震わせながら、でも、どこかで集中が切れて技術にミスが出たら、と心配しながら見た。
熱い思いで羽生選手の演技を追う中、会場に詰め掛けたファンの人たちの一部は、ただ見ているというのでなく、心を込めて滑る羽生選手と一緒に、手に汗握って闘っている様な想いで、かの君を見つめているのでは、という気がしてきた。
そして、また、こうも思った。
この物語、ジュリエットは、ロミオと離れている時も、心はロミオと一緒に闘っている気持ちで、一人で闘った時があったろうか、と。きっとあったに違いない、と。
シェイクスピアの戯曲には、そんなくだりはない。
でも、この日の羽生結弦の表現からインスパイアされたものとして、また一つ、新しい「ロミオとジュリエット」の世界を、自分は,この日の滑りから受け取った。
どの滑りもそれぞれ好きだけど、表現的には、今日の「ロミオとジュリエット」が一番感動した。今日が最後だった。今回の「ロミオとジュリエット」の完結の日に、一番いい演技を見せてくれた。
ときめいていたい。
羽生選手は凄すぎるけど。嘘みたいな逆転劇。点差よりも、実質の差は大きかったと思う。「火の鳥」は、技術が手堅く伸びやかだったけど、表現的に、私には響くものがなく、体の線の見せ方に、堅さを感じた。
ただ、演技中よりも、完璧にやり切った、一瞬、「勝った?!」かに見えた勝負の行方・・。羽生選手の演技後、ジャッジが下ったその瞬間の、掴んだと思った勝利が指の間からこぼれおちてゆく、あの瞬間の町田選手の表情!
そっちの方が自分には魅力的だった。精一杯の努力をして手にしたつもりの金メダル、町田選手に運命は、そんなに簡単に、それを差し出してはくれなかった。
そのやるせなさ。形容しがたい微妙な表情。
そういう真実が含まれてる要素って、魅力があるんだと思う。
一方、会場に詰めかけたファンの人たちを見たり、自分自身の短い恋の充足を思ったりしながら、誰かを、なにかを愛して、愛を注いでいられる事は、何に限らず、それだけで本当に幸せなことだと思った。
羽生選手の今日の滑りは、見ていて気持ちがきれいになるような美しさだった。
羽生選手、優勝おめでとう!
君はどこまでゆくのか。
P.S.エキシビション、安倍コーチ振付の昔の「ロミジュリ」をやってくれて、超嬉しい。衣装なつかしい。今は今の衣装の方が似合ってるけど。