「恥ずかしくない裸」
「細くて良いねぇ」そう言われ、 私は恥ずかしくなりました。
15年続く介護疲れで心と体を痛めた私は、めまいでフラフラのやせっぽち。
生まれて初めて訪れた銭湯はまさに 昭和。
ドライヤーは3分20円。冷蔵庫 に飲み物が冷えていて、ボンボン時計 は皆を見守っています。
番台の店主さんに、お客さんがおかずを渡している シーンも見られ、安心して初めて会っ
人とも会話が弾んでしまう。
細くて良いねと言ってくれた女性 は、ご自分をもうすぐお迎えが来る年寄りだと笑って言いました。
私は思わず「とても明るくて綺麗。私はみっと もない」そう言ってしまいました。
45歳で独身で介護続きやしに訪れた銭湯の鏡に映る顔は情けない半泣き顔。
そんな私に「つらそうだね。いつで もここにおいで、話を聞くよ」と。
私 はうれしくて泣いてしまいました。
片方の胸がない女性、
体が思うように動かない女性。
生きてきた証しが裸 の体に刻まれている。
いつの日か介護が終わり、銭湯で私 の体を見た女性が、やせてるけど元気ねと思うかもしれない。
自分の裸を恥 じた自分が恥ずかしい。 温かいお湯にのぼせるまで浸かった。
(千葉市花見川区 奥長浩子 45)
大丈夫です!!
阿弥陀さまは分かって下さっています。