ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングやメールカウンセリングなどをやっています

松木邦裕・藤山直樹『夢,夢見ること』2015・創元社-夢の不思議さと夢のちから

2025年01月14日 | 藤山直樹さんを読む

 2015年11月のブログです

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 松木邦裕さんと藤山直樹さんの『夢,夢見ること』(2015・創元社)を読みました。

 2015年の精神分析学会の書籍売り場で購入した本です。

 お二人とも私の大好きな精神分析家で,もっとも信頼をする臨床家であり,学会でもお二人ともすばらしいご発言をされていました。

 本書は,松木さんの研究会に藤山さんがゲストで参加された時の講演と討論の記録ですが,内容がとてもすばらしく,充実しています。

 テーマは,夢,あるいは,夢を見る人,さらには,夢を見ること,などなど。

 夢という精神分析の大きな課題について,お二人が縦横に語り,夢を見る人,夢を見ることに繋げていきます。

 精神分析の分析空間が夢と同じかもしれない,というお話は説得力があります。

 さらに,転移や逆転移についても,夢を見ることという視点から理解をすると,また違った深みを増してきそうな印象を受けます。

 最近,夢をじっくり味わうと,夢が変化をしていくという経験をしています。

 夢は不思議ですが,魅力的な存在でもあります。

 まだまだ初学者ゆえ,理解は浅いですが,今後の臨床の中で,何度も読み返して,考えを深めていきたいと思います。      (2015. 11 記)

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 2018年秋の追記です

 若い頃からずっと見ている夢や最近ずっと見ている夢など,夢は本当に不思議だなと思います。

 やはりなんらかの心的なテーマなんだろうと思います。

 精神分析ではフロイトさん以来、夢は重要なテーマですが、ビオンさんやメルツァーさんを読んでも勉強になります。

 そういえば、夢は村上春樹さんでも大きな要素のようです。

 自分の内的成長のためにも,夢にじっくりとゆっくりと丁寧につきあっていきたいと思います。       (2018.10 記)

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 2020年春の追記です

 自分にとって、意味のある、大切な夢は、何度も見るようです。

 そういう時は、どんな意味があるのかな、ああかな、こうかな、と考えるだけでもいいようです。

 あまり深刻にならずに、夢とつきあっていけるといいようですよ。

 まあ、こころの配偶者みたいなもんですかね(?)。        (2020.4 記)

 

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ステン・ベルクマン(加納一郎訳)『千島紀行』1992・朝日文庫-今から90年前の千島列島紀行です

2025年01月14日 | 随筆を読む

 2019年1月のブログです

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 スェーデンの生物学者ステン・ベルクマンさんの『千島紀行』(加納一郎訳・1992・朝日文庫)を再読しました。

 原典は1932年の本で、1929年から30年にかけての千島列島の調査紀行です。

 今から90年前の千島列島、自然が豊かです。

 動物が自由自在に駆け回っています。 

 千島列島の返還交渉が話題になっていますが、政治オンチ(?)のじーじにはあまり関係ありません。

 じーじは北海道生まれのどさんこですので、やはり北海道もそうですが、その近くの樺太や千島列島の自然に興味があります。

 北海道北部からは樺太が見えますし、東部からはクナシリ島が見えて、昔、北海道東部の斜里岳の頂上から見たクナシリ島の美しさは目に焼きついています。

 いつか行ってみたいな、と思っているのですが、生きているうちに行けるでしょうか、無理かな?

 そんなわけで、じーじの本棚には、樺太や千島列島についての本が何冊かあって、時々、取り出しては読んでいます。

 樺太ではチェーホフのサハリン紀行が有名ですし、千島列島では松浦武四郎の紀行文がいいです。

 さいわい、樺太も千島列島も、まだ本格的な開発の手が入っていませんので、時々、テレビで見る樺太や千島列島は自然豊かで素敵です。

 日本の大手開発資本が進出すると、すぐに大変なことになりそうで、やや複雑な心境です。

 これはじーじの妄想なのですが、千島列島はもともとアイヌの人たちが住んでいたところなので、アイヌの人たちに返還をして、アイヌの人たちの国にしてはどうか、と思います。

 アイヌ民主共和国、アイヌの人もロシア、日本の人も、住みたい人が住めて、自然を敬う国。

 いいじゃないでしょうか。

 きっと実現はしないでしょうが…。

 政治はともあれ、千島列島の豊かな自然は、世界の財産として大切に守っていってほしいな、と切に願います。            (2019.1 記)

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 2022年春の追記です

 戦争で奪い合ったりしないで、みんな仲良く住めるといいですね。          (2022.4 記)

 

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大場登『ユングの「ペルソナ」再考』2000・創元社-ユング心理学に学ぶ

2025年01月13日 | ユング心理学に学ぶ

 2011年のブログです

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 放送大学大学院の大場登先生の『ユングの「ペルソナ」再考』(2000・創元社)を読みました。

 大場先生の博士論文ということで、じーじに理解できるかなと不安を抱きながら読みましたが、丁寧な論文で最後まで一気に読んでしまいました(内容をどれだけ正確に理解できているかは別ですが…)。

 最近読んだ河合俊雄さんの『概念の心理療法』(日本評論社)でも同じような印象を持ちましたが、ユング心理学の場合、概念が固定化してしまうことが問題で、イメージや考えが常に流動的になっていることが大切(河合さんの言葉では「弁証法的」になっていることが必要)なのかなと思いました。

 大場先生の論文は、引用文献が和辻哲郎さんや坂部恵さんなど、じーじも興味を持って読んでいた人達がたくさん出てきたのですが、同じものを読みながら、優秀な学者さんはこんなに違うことを考えるんだな、とあらためて尊敬をしました。

 ユングさんの考えをさらに深めようというその姿勢に圧倒されました。

 じーじもいずれ、こんなことを考えながら、臨床に望み、さらに新たな考えをまとめることができればいいなと、とてつもない夢を抱きました。      (2011.7 記)

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 2023年2月の追記です

 ペルソナ、仮面、表向きと本音、さらには、意識と無意識、影(シャドー)、などなど、ユング心理学では大切な概念です。

 河合隼雄さんも詳しく述べられていると思いますが、一見、わかるようで、しかし、実は、なかなか奥の深い難しいことがらです。

 さらに勉強をしていきたいと思ます。       (2023.2 記)

 

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マイクル・コナリー(古沢嘉通訳)『転落の街』(上・下)2016・講談社文庫-アメリカの警察小説です

2025年01月13日 | 小説を読む

 2018年1月のブログです

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 マイクル・コナリーさんの『転落の街』(上・下)(古沢嘉通訳・2016・講談社文庫)を読みました。

 コナリーさんの小説を読むのはかなり久しぶりでしたが、期待にたがわず、すごく面白くて、一気に読んでしまいました。

 マイクル・コナリーさんといっても、知らない人も多いでしょうが、アメリカの推理小説家で、特に、本書もシリーズになっているロサンゼルス警察のボッシュ刑事が主人公の警察小説が有名ですし、とても面白いです(ちなみに、本書は去年の推理小説のベストテンにも入っています)。

 ボッシュ刑事は人生にいろいろなものを抱えつつ生きている人物で、しかも、警察組織にただ忠誠を誓っているような刑事でもなく、時と場合によっては、彼の信ずる正義のために、どんな敵や組織とも闘います。

 そこが魅力でしょうし、その姿を丁寧に描写しているので、読み応えがあります。

 ボッシュ刑事だけでなく、同僚や犯罪者までもが、本当にこまやかに描写され、読者は正義だけでなく、悪の存在についても考えざるをえません。

 正解はなく、自分で人生や家族、仕事、組織、あるいは、国家などについて考える必要があります(ボッシュ刑事はベトナム戦争帰りの警察官でもあります)。

 決して、単純でなく、複雑なのは、人生も社会も同じでしょう。

 そこをとても大切に描いている警察小説の逸品だと思います。

 機会があれば、読んでみてください。       (2018.1 記)

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 2020年11月の追記です

 アメリカではトランプくんの憎悪と分断の政治がようやく終わりそうですね。

 アメリカ国民の良識が少し見えました。       (2020.11 記)

 

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そり遊びを眺めながらの公園カウンセリングは,こころもシュッシュー元気になります

2025年01月12日 | カウンセリングをする

 こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で,じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや海岸カウンセリング,里山カウンセリングと訪問カウンセリングを新潟市と北海道東川町(夏期)でたまにやっています。

 また,メールカウンセリングや面会交流の相談・援助も時々やっています。

 公園カウンセリングや海岸カウンセリング,里山カウンセリングは,屋外で行なう個人カウンセリングや親子・夫婦の家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,お近くの公園や児童公園と海岸,河川敷,里山などの自然の中で,ゆっくりとご自分やご家族のことなどを考えてみます。

 料金・時間は,1回,50分,3,000円で,隔週1回,あるいは,月1回などの間隔で行ないます。

 訪問カウンセリングは,屋内で行なう個人カウンセリングや家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,ご自宅やお近くの屋内施設,遊戯施設などで,じっくりとご自分やご家族のことなどを考えてみます。

 料金・時間・間隔は,公園カウンセリングと同じです。

 メールカウンセリングは,メールによるカウンセリングや心理相談で,2週間に1往信で行ない,1往信700円です。

 面会交流の相談・援助は,相談はご自宅などで行ない,1回,50分,3,000円,援助はお近くの公園や児童公園,遊戯施設,あるいは,ご自宅などで行ない,1回,60分,6,000円です。

 カウンセリング,相談・援助とも土日祝日をのぞく平日の午前10時~午後3時にやっています(すみません、年寄りなもので、夕方や週末のお仕事が難しくなってきました)。

 じーじのカウンセリングは,赤ちゃんや子どもさんがご一緒でもだいじょうぶなカウンセリングですので,お気軽にご利用ください。

 そういう意味では,深くはないけれども,現実の生活を大切にしたカウンセリングになるのではないかと考えています。

 料金は,低めに設定させていただいていますが,月収15万円未満のかたや特別なご事情のあるかたは,さらに相談をさせていただきますので,ご遠慮なくお問い合せください。

 ちなみに,消費税には反対なのと,計算がややこしいので,いただきません。

 お問い合わせ,ご予約は,メール yuwa0421family@gmail.com までご連絡ください。

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 駅の近くに部屋を借りて本格的にカウンセリングルームを運営するような臨床心理士さんとは違って、じーじはお近くの公園や児童公園と海岸、河川敷,里山などの自然の中,さらには,ご自宅やお近くの屋内施設,遊戯施設などでカウンセリングをしています。 

 子どもさんを遊ばせながら,ちょっとだけ悩みごとを聞いてもらえればいいんですー,というお母さんや悩み多き若者諸君(?)などがじーじのクライエントさんには多いです(じいじいやばあばあの皆さんもお断りはしませんが(?),尊敬すべき先輩たちのみなさんですから,悩みごとはできるだけご自分で解決しましょうね)。

 おこづかいを貯めて(?),お気軽に,遠慮せずに,ご利用ください。

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 そり遊びを眺めながらの公園カウンセリングは,こころもシュッシュー元気になりますよ。

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 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 1954年、北海道生まれ  

    1977年、浦和、新潟家庭裁判所などで家庭裁判所調査官として司法臨床に従事  

    2014年、放送大学大学院修了(臨床心理学プログラム・修士) 

    2017年、臨床心理士

 仕事 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています

 学会 精神分析学会、遊戯療法学会会員

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区・北海道東川町(夏期)

 mail  yuwa0421family@gmail.com  

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北海道東川町にある全国唯一の町立日本語学校で学ぶ外国人留学生の若者たち-じーじのひとりごと

2025年01月12日 | ひとりごとを書く

 寒い冬になるとじーじのふるさと北海道を思い出します。

 そして、毎年、おじゃましている東川町の外国人留学生のがんばりを思い出します。

 冬の寒さの中でもがんばっている彼らのニュースを思い出しましたので、2016年1月に書いたブログを再録します。

     * 

 先日、テレビニュースを見ていたら、じーじが毎年夏におじゃましている北海道東川町のニュースが出てきて、そこにある町立日本語学校が紹介されていました。

 全国で唯一の町立の日本語学校とのことで、毎年おじゃまをしていると、なんとなく外国人の若者が多いな、観光客ではないみたいだけれど…、国際色の豊かな街だな、とは思っていましたが、その理由がやっとわかりました。

 ニュースの中では、東川町の雪の中で台湾やベトナムなどの若者が、寒い、寒い、と言いながら、悪戦苦闘をしていましたが、そんな頑張りぶりを見て、思わず、すごいな、と感心をしました。

 ある留学生は、灯油代を節約して石油ヒーターを切った状態で寒い部屋で勉強をしており、時々寒さしのぎに廊下をランニングして体を温めていました。

 そんな彼らの奮闘ぶりを見ていると、贅沢で無駄使いをし放題の日本の若者たちが恥ずかしくなります。

 冬の東川町は大雪のふもとのパウダースノーがすばらしいところですが、毎日、生活をするとなるとやはり大変でしょう。

 それでも懸命に頑張っている彼らに拍手を送りたくなりました。

 そして、そういう彼らを温かく見守り、いつでも来て温まりなさい、と自宅を開放している地元の人たちの心も温かです。

 やはりいい町です、東川!        (2016.  1 記)

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 2017年夏の追記です

 今年の夏も東川に行ってきましたが、台風で雨の多かった中でも彼らは元気でした。

 そして、じーじのようなじいじいにも、コンニチワ、とやさしくあいさつをしてくれました。

 満員電車でもシルバーシートにふんぞりかえって、年寄りが立っていても譲りもしない都会の日本人の若者とは大違いです。

 素朴でがんばりやの彼らにさらに声援をおくりたいと思います。       (2017.8 記)

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 2018年夏の追記です

 今年の夏も東川に行ってきました。

 彼らの様子は、別のブログに書いていますので、よかったら読んでみてください。         (2018.8 記)

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 2019年1月の追記です

 今日、ニュースを見ていたら、東川町の成人式の様子が映りました。

 外国人留学生の成人も寒さに負けずに元気に参加していました。

 みなさん本当にハツラツとしていました。

 頑張れ!東川の留学生のみなさん。        (2019.1 記)

 

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中井久夫『世に棲む患者』2011・ちくま学芸文庫-ていねいな精神科治療に学ぶ

2025年01月11日 | 中井久夫さんを読む

 たぶん2014年ころのブログです

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 精神科医の中井久夫さんの『世に棲む患者』(2011・ちくま学芸文庫)を再読しました。

 中井さんはじーじがもっとも尊敬と信頼をする精神科医のお一人。

 一度だけ研究会で講演をお聞きしたことがありますが、流行のパワーポイントを使わずに、黒板に板書をしてお話をされたのが、新鮮な記憶として残っています。

 本書を読むのは、単行本だった『病者と社会-中井久夫著作集第5巻』(1991・岩崎学術出版社)の時も含めると4~5回目だと思うのですが、今回も勉強になりました。

 中井さんは統合失調症の治療で有名で、また、風景構成法などでは世界的に高名な精神科医ですが、その文章はまったく偉ぶったところがなく、やさしい語り口で、しかし、その内容は深く、広く、目配りの行き届いた文章です。

 中井さんの精神科治療もおそらくは同じようにやさしくて、配慮の行き届いた治療なのだろうと想像させられます。

 今回は、統合失調症だけでなく、境界例や強迫症などにも言及をされていて、とても勉強になりました。

 特に、あらためて驚いたのは、二人の家裁調査官の先輩の研究に言及されているところ。

 一人は(名前は明記されていませんが、内容から想像をすると)以前にもご紹介をしたことのある山野保さん。

(おそらくは)山野さんの『「未練」の心理-男女の別れと日本的心性』(1987・創元社)などを中心に未練や境界性人格障害について触れています。

 そういえば、じーじが裁判所に入った時に、配属された家事事件の部屋で、山野さんを中心としたメンバーが未練や嫉妬について勉強をされていて、よくそんな話題が部屋の中で話されていたことを思い出します。

 もうお一人は佐竹洋人さん。

 佐竹さんとも一緒に仕事をさせていただいたことがありますが、佐竹さんと中井さんは佐竹・中井共編『意地の心理』(1987・創元社)というとてもいい本を出されていて、この本を読むと、未練と意地の関係について考えさせられるところが多いです。

 しかし、当時、まだまだ若造にすぎなかったじーじは、まだあまりこれらの研究のすごさが実感できない新米で、ずいぶんもったいないことをしたなと反省をしています。

 その後、仕事の中で、うらみの重要性や困難さなどを経験して、いかにこのような研究が重要であったかを、今頃になって実感しています。

 今からでも、もっともっと勉強をしていかなければなりません。         (2014?記)

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 2021年12月の追記です

 中井さんらが指摘をされた、甘え、うらみ、未練、意地、などの言葉は、その後、土居健郎さんの本などをさらに読みこむことで、じーじの臨床でも大切な言葉になっています。

 奥が深い世界なので、さらに勉強をしていこうと思います。          (2021.12 記)

 

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住民投票・沖縄・新潟-じーじのじいじ日記・セレクト

2025年01月11日 | じいじ日記を書く

 2019年1月の日記です

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 沖縄の辺野古をめぐって、住民投票が行われることになった。

 一時は実施に反対する市が出て、全県的な実施が危ぶまれたが、県議会の話し合いで、三択で実施ということになった。

 多数決だけでなく、話し合いで妥協点を見出した沖縄の人たちはそれだけでもすごい!と思った。

 今は世界的にも、多数決と力による決定が多い中で、画期的なことだと思う。

 昔から、薩摩藩や明治政府の力による支配、戦争中の日本軍による横暴、戦後のアメリカ軍による横暴と自民党政府によるアメとムチの政策などで、傷つけられてきた沖縄の人たちの、決して負けない力が編み出した知恵だと思う。

 住民投票といえば、今日の新潟のテレビでも特集をしていたが、新潟でも23年前に全国初の住民投票が行われた。

 東北電力巻原発についての巻町の住民投票。

 巻町の住民は反対多数の意思表示をし、東北電力は計画を撤回した。

 新潟市からそれほど離れていない、今は新潟市西蒲区巻。

 そこで、巻の人たちが頑張り、新潟市民も守られたと思う。

 沖縄のみなさんも、難しい選択だとは思うが、今の利益より、未来の、そして、子どもたちの幸せと安全を選択してほしいな、と思う。      (2019.1 記)

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 2024年1月の追記です

 この時の沖縄の住民投票で辺野古移設反対が多数意見だったが、政府はまったく考慮をせずに、工事を強行した。

 ひどい国だ。民主主義のかけらもない。

 その後、辺野古の軟弱地盤が発覚しても、政府は米軍に配慮してか(?)、今度は地盤工事を強行している。

 それでも12年かかるという。

 米軍からも、辺野古だけでは不十分という声も出ていて、政府はどうするのだろう。

 強行した手前、米軍があきらめるのを待っているのかもしれない(?)。

 いずれにしても、こんなひどいことをする政府には(他にも問題が多発していることだし)、この辺で交代してもらわなければならないだろう。       (2024.1 記)

 

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藤山直樹・松木邦裕・細澤仁『精神分析を語る』2013・みすず書房-その2・ていねいで正直な精神分析の実践に学ぶ

2025年01月10日 | 藤山直樹さんを読む

 たぶん2016年のブログです

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 藤山直樹さん、松木邦裕さん、細澤仁さんの鼎談、『精神分析を語る』(2013・みすず書房)を再読しました。

 ちょっと前に読んだつもりでしたが、本棚にあった本をよく見ると2013年11月の発行で、そういえば精神分析学会の書籍売り場で買ったんだっけ、と思い出しました。

 当時のブログもありますが、少し短い文章でしたので、今回はもう少し追加してみます。

 再読をしてみた印象は、やはりすごい!です。

 三人とも、それぞれの思いをかなり正直に話されているのが印象的で、初学者にもとても参考になります。

 精神分析の大家は、ご自分の失敗も含めて、臨床での思いや考えや感情をていねいに記されるのが特徴と思いますが、それがよき実践のためには大切なのだろうと思わされます。

 特に、藤山さんはふだんから飾りのない正直な発言が魅力的ですが(藤山さん、ごめんなさい)、この本でも藤山さんらしさが全開で、楽しいです。

 藤山さんにとって、『落語の国の精神分析』(2012・みすず書房)がとても大切な本だということもわかりました(この本についても前にブログがありますので、よかったら参考にしてください)。 

 圧巻は、細澤さんのケースを藤山さんと松木さんがコメントをするという贅沢な企画で、藤山さんと松木さんの読みの深さが際立ちます。

 同じ資料を読んで、大家は、ここに注目し、こう介入し、こう解釈をし、こう返すのか、こう明確化をするのか、ということがリアルタイムで示されます。

 こんな贅沢はなかなか体験できません。勉強になります。

 今年も精神分析学会が待ち遠しくなりました。        (2016?記)

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 2020年12月の追記です

 本棚を眺めていたら、読んで!読んで!という感じがしたので(?)、久しぶりに再読をしました。

 やはりすごい本です。

 専門書を読んで、こころから感動できることはそう多くはありませんが、この本はじーじにとって、そういう一冊です。

 今回も、藤山さんと松木さんの正直な語りに本当に感心させられました。

 また、お二人が精神分析に出合うお話なども感動ものです。

 さらに、やはり事例検討のお二人の理解もすごいです。

 じーじも以前よりは少しだけ理解できる箇所もあるように思いますが、やはり同じ資料でこれだけ深く理解できるお二人には尊敬しかありません。

 さらに勉強を深めたいと思います。         (2020. 12 記)

 

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西域・渡辺一夫さん・ラテン語-じーじのじいじ日記・セレクト

2025年01月10日 | じいじ日記を書く

 2019年1月の日記です

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 暇なので本棚を眺めていると、井上靖・司馬遼太郎『西域をゆく』(1998・文春文庫)を発見。

 巨匠によるシルクロードについての対談で、楽しみ。 

 なんとなく、本棚で遺跡を発掘しているような気分になる。

 発掘(?)を続けていると、『ちくま日本文学全集・渡辺一夫』(1993・筑摩書房)を発見する。

 渡辺一夫さんは加藤周一さんや大江健三郎さんの先生。

 先日、あるかたのブログでも紹介をされていて、うれしい偶然に喜ぶ(またまたユングだ!)。

 渡辺さんは戦争中、特高の介入を避けるためにラテン語で日記をつけていたという。

 ラテン語!すごい人がいるなと思う。

 英語も満足にできないじーじには神さまのように思える。

 しかし、じーじもこれから勉強をして、たとえばサンスクリット語で日記を書いてみようかなと思ったりもする(?)。

 サンスクリット語といえば、先日、ご紹介した梅棹忠夫さんの『実戦・世界言語紀行』に、インドでは今も古語とされていたサンスクリット語を使っている人たちがいると書いてあって、びっくりした(1回目で気づかずに、再読でびっくりしているところが鈍才のじーじらしいところ)。

 世界は広いし、面白いし、すごいな、と改めて思うし、こういうところが読書の醍醐味。

 いい気分になってビールで乾杯し、晩酌に突入する。        (2019.1 記)

     *

 2022年11月の追記です

 またまたすみません。

 じーじの早とちりで、渡辺さんの日記は、ラテン語は引用部分だけを書いて、日記はフランス語でつけていたということ.

 特高の人はフランス語を読めなかったのかな?

 じーじも読めないけれど…。

 特高の人はフランス語を読めなかったのかな?

 じーじも読めないけれど…(じーじは大学時代に、第二外国語でなんと無謀にもフランス語を選択したのだが、さぼってばかりで、わかるのは、Ju te aime(I love you)、Bon jour(Good evening)、くらいだ(恥かしい!)。

 それにしてもすごい。うらやましいかぎりだ。         (2022.11 記)

 

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藤山直樹・松木邦裕・細澤仁『精神分析を語る』2013・みすず書房-その1・正直な精神分析に学ぶ

2025年01月09日 | 藤山直樹さんを読む

 2013年のブログです

     *

 11月15日~17日,京都で開かれた精神分析学会に参加しました。

 この本はその会場で販売されていて,さっそく購入しました。

 前回,土居さん,中井さん,神田橋さんの鼎談のすごさをご紹介しましたが,今回は藤山直樹さん,松木邦裕さん,細澤仁さんという現在の日本の精神分析の世界ではかなり豪華な三者による鼎談です。

 それぞれの皆さんの率直な発言が贅沢なほどに綴られており,帰りの飛行機の中から一気に読んでしまいました。

 とても深い内容だと思いますし,何度か繰り返して読みたいなとつくづく思っています。

 いい本に出会えたなと感動しました。

 精神分析,やはり奥深い,すごい世界だなと再認識をしました。         (2013.11 記)

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 2022年12月の追記です

 この本については、その後、2016年に再度、ブログを、2020年にその追記を書いています(よろしかったら、読んでみてください)。

 同じような感想を繰り返してばかりですが、やはり大家の人たちの失敗を含めた正直さに感銘を受けます。

 少しでも近づけるように、さらに謙虚に学んでいきたいと思います。         (2022.12 記)

 

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梅棹忠夫『実戦・世界言語紀行』1992・岩波新書-言葉を通して世界を見る

2025年01月09日 | 随筆を読む

 2019年1月のブログです

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 先日、梅棹さんの『モゴール族探検記』を読んで面白かったので、さらに本棚で梅棹さんの本を探してみたところ、『実戦・世界言語紀行』(1992・岩波新書)が見つかりました(梅棹さんの名著『知的生産の技術』も学生時代に読んで、どこかにあるはずなのですが、例によって(?)迷子になっていて、現在、捜索中です)。

 この本はまったく記憶になく(梅棹さん、ごめんなさい)、たまたま幸運にも見つけられたのですが、当然、中身も記憶がなくなっていました。

 しかし、今回、読んでみると、これがすごく面白い!

 梅棹さんが民族学者として、世界各地の民族をフィールドワークした時に、その民族の言葉を覚えた体験とフィールドワークでその言葉を使った体験などが、とても興味深く述べられています。

 そのフィールドワークで身に付けた言葉は、まだ学生時代の朝鮮語から始まって、チベット語、モンゴル語、ペルシャ語、スワヒリ語、スペイン語、フランス語、などなど、数十種類にのぼるほどのものすごい数になります。

 そして、フィールドワークの対象がめずらしい民族になると、習得する言葉もすごくめずらしい言葉になり、例えば、モゴール族のモゴール語やミクロネシアの各島々の言葉、アフリカの各部族の言葉、などなど、大変な数です。

 さらに、梅棹さんは世界共通語のエスペラントもしゃべれるということで、もうすごい!としか言いようがありません。

 もっとも、これだけの言葉をしゃべれるにはこつがあって、梅棹さんのモットーは日常会話ができる程度でよいとの割り切りがあります。

 あくまでも民族学のフィードワークに必要なレベルを目指して学習し、場合によっては1か月で習得ができるといいます。

 いくら京大出の秀才とはいえ、すばらしい能力です。

 語学もまったくだめなじーじにはうらやましい限りで、今ごろになってフロイトさんをドイツ語で読んでみたいと思っても、あとの祭りです(若い時には、語学の重要性はわからずに、面倒くさいなとばかり思いがちですが、やはり若いうちに少し頑張っておいたほうがいいかもしれません)。

 年寄りにも、若い人にも、興味をかき立てるいい本だと思います。         (2019.1 記)

 

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梅棹忠夫『モゴール族探検記』1956・岩波新書-懐かしい名著を読む

2025年01月08日 | 随筆を読む

 2019年1月のブログです

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 梅棹忠夫さんの名著『モゴール族探検記』(1956・岩波新書)を再読しました。

 このところ、なぜか旅行記を続けて読んでいるのですが、この本も本棚の隅っこにあるのを見つけて読んでしまいました。

 1956年の岩波新書(!)、もっともじーじが買ったのは2011年のアンコール復刊という、岩波ならではの粋な企画で出た本ですが…。

 1956年というと、なんとじーじが2歳の時の本、それが今読んでもおもしろくて、ワクワクできるのは本のすごさ、すばらしさです。

 梅棹さんはご存じのかたもいらっしゃると思いますが、元京大教授の民族学者で、国立民族学博物館長を務めたかた。

 じーじのような文科系の人間でも、学生時代には梅棹さんの『知的生産の技術』や『文明の生態史観』などをわからないながらも読んだものです。

 本書は、アフガニスタンがまだ王国だった頃に、モンゴル民族の末裔を求めて調査旅行をした際の記録。

 京大の言語学者や人類学者、考古学者らがチームを組んで、幻のモンゴル民族であるモゴール族の存在の有無を調査に行きますが、難航を極めます。

 今でもそうですが、民族間の対立、抗争に阻まれ、テント生活を続けながら、さまざまな困難にめげずに調査・研究を進めるその無骨な科学者らしさには感心させられます。

 ひとつ、ひとつの仮説の積み重ねと実証、これらを読んでいると、カウンセリングや臨床心理学の世界でも共通する厳しさを感じます。

 じーじは単に趣味というか、知的好奇心から読みましたが、名著として残るようないい本とは、やはりこころを揺り動かすような部分があるようです。

 すばらしい名著を再読できて、とても幸せな気分になれました。        (2019.1 記)

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 2021年5月の追記です

 深田久彌さんの『山岳遍歴』(1967・主婦と生活社)を読んでいたら、本書の解説文が出てきました。

 本書の面白さを絶賛されています。

 おそらくユーモラスなことがお好きだった深田さんの好奇心を刺激されたのだろうと思います。

 ちなみに、深田さんの本もとても面白く、特にどさんこのじーじには幌尻岳とトムラウシの登山の文章がとても楽しく読めました。        (2021.5 記)

 

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中井久夫『統合失調症の有為転変』2013・みすず書房-その2・こまやかな精神科治療に学ぶ

2025年01月08日 | 中井久夫さんを読む

 2017年のブログです

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 中井久夫さんの『統合失調症の有為転変』(2013・みすず書房)を再読しました。

 前に読んだのは2013年秋ですから4年ぶりです(当時のブログもありますので、拙いものですが、よかったら読んでみてください)。

 いい本なので早めに再読をしようと思っていましたが、4年たってしまいました(中井さん、ごめんなさい)。

 しかし、やはりいい本です。

 中井さんの統合失調症の患者さんへの優しさが本からあふれてくるような感じで、読んでいてこちらまで優しくなれるような気がします。

 4年で自分がどれだけ成長できたのかは心もとないのですが、こういういい本を見つけて読むのも、一応、才能かもしれません。

 本の中身は、やはり中井さんの精神科診療のさまざまな工夫、丁寧な考察、そして、優しい祈りでしょうか。

 そうなんです。中井さんは患者さんに薬を出す時に、どうか効きますように、と祈るらしいです。

 すごいお医者さんです。

 あとは前回も書きましたが、絵画療法についての報告と考察。細やかでいい論文が並んでいます。

 この4年の間に、中井さんの『精神科医がものを書くとき』(2009)、『隣の病い』(2010)、『世に棲む患者』(2011、いずれも、ちくま学芸文庫)などなどを読ませていただきました(そのうちのいくつかはブログにご紹介させていただきました)。

 そんなわけで、中井さんのご本からはずいぶんと勉強をさせてもらっています。

 中井さんはいつもそうですが、実践第一で、ご自身が経験したことを丁寧に細やかに書いてくださるので、本当にとても参考になりますし、そこからまた自分の考えを深めていくことができるような気がします。

 そういう本が本当にいい本なのだろうと思います。

 今後、さらに経験を積み重ねて、考えと実践を深めたいと思います。       (2017 記)

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 2022年5月の追記です

 じーじも、カウンセリングが、効きますように、効きますように、ってお祈りしようっと。             (2022.5 記)

 

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中井久夫『統合失調症の有為転変』2013・みすず書房-その1・ていねいな精神科臨床に学ぶ

2025年01月07日 | 中井久夫さんを読む

 2013年のブログです

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 6月~8月にかけて放送大学大学院臨床心理プログラムの病院実習で精神科病院におじゃましました。

 統合失調症の患者さんと接するなかで,いろいろなことを考え,学ばせていただきました。

 実習中は本を読む余裕がなかったのですが,実習が終わってから中井久夫さんの『精神科医がものを書くとき』(2009),『隣の病い』(2010),『世に棲む患者』(2011,いずれも,ちくま学芸文庫)などを読んで,実習中のじーじの疑問などがすでに中井さんによって丁寧に説明されていることがわかりました。

 実習前に読んでおけばよかったと後悔の毎日です。

 そんな中井さんの『統合失調症の有為転変』を読みました。

 中井さんのご本はいつもそうですが,この本も実践第一の本です。

 絵画療法など,じーじにとってもとても興味深い文章も載っています。

 中でも圧巻なのは中井さんと土居健郎さん,神田橋條治さんの鼎談です。

 何と豪華な顔合わせと思いましたが,読んでみると本当にすばらしい内容でした。

 1990年の文章ですが,今でも全く古くありません。

 雑誌『みすず』に載った文章らしいのですが,それをこれまで全く知らなかった自分が何と迂闊なことかと反省をしました。

 でも,今,読むことができて幸せでした。

 明日からまた少し元気に頑張れそうです。         (2013.11 記)

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 2022年12月の追記です

 この本については、その後、2017年に再度、ブログを、2020年にその追記を書いています(よろしかったら、読んでみてください)。

 同じような感想を繰り返してばかりですが、やはり大家の人たちの失敗を含めた正直さに感銘を受けます。

 少しでも近づけるように、さらに謙虚に学んでいきたいと思います。        (2022.12 記)

 

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