ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

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東直己『後ろ傷』2006・双葉社-『ススキノ、ハーフボイルド』の秀才くんが北大を落ちてからのお話です

2024年01月24日 | 北海道を読む

 2020年1月のブログです

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 東直己さんの『後ろ傷』(2006・双葉社)を再読しました。

 昨年末に、東さんの『半端者』を久しぶりに読んで以来(ブログがありますので、よかったら読んでみてください)、不覚にも東ワールドにすっかりはまってしまい、年末年始はススキノ探偵シリーズにどっぷり浸かってしまいました。

 探偵シリーズの姉妹編(?)で札幌南高の秀才を描く『ススキノ、ハーフボイルド』(2003・双葉社)(すみません、まだ、感想文が書けていません)も面白く、当然(?)、続編の本書も読んでしまいました。

 主人公は北大合格が間違いなしと思われていたところが、まさかの不合格。

 やけになって偏差値最下位の道央学院国際グローバル大(略してグロ大)に進学しますが、そこで自他のさまざまな偏見に気づかされ、青春の悩み(!)と直面します。

 学友との交友などで新たな発見もあったりして、少しずつ精神的に成長をするわけですが、そこにススキノ探偵らの素敵なおとながからんできて、物語が展開します。

 社会問題や歴史、さらには、東さんの専門だった哲学のお話なども出てきて(東さんは北大哲学科中退です)、なかなか教養あふれる(?)いい小説です。

 主人公のガールフレンドとの交際も初々しく、青年の成長のお話でもあります(今どき、こんな男女はいなくなったかもしれませんが…)。

 蛇足ですが、裁判所の法廷の場面も出てきて、裁判所で働いてきたじーじにはとても面白く読めました。

 切ない小説でもありますが、ところどころにユーモアが散りばめられていて、ドキドキしながら読み進められます。

 読後感は悪くありません。

 いい小説を読めて、いい年末年始だったなと思います。   (2020.1 記)

 


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