2016年のブログです
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北海道在住の小説家,佐々木譲さんの小説です。
おとなの小説です。
おとなの愛と哀しみの小説です。
いい小説です。
久しぶりにおとなの心が揺さぶられました。
北海道警察を舞台にした人気シリーズの一冊。
覚せい剤の前科があるものの再起をはかるジャズピアニストと寡黙な刑事の愛と哀しみの切ない物語です。
そこにもう一組,おとなの男女の刑事のぎこちない恋愛が絡みます。
切なく,哀しいけれど,なんとなくにっこりできる,そんなしみじみとした小説です。
若い頃,職場の先輩から,心理の勉強も大切だが,同時に,いい小説をいっぱい読みなさい,と言われたことがこころに残っています。
人間が生きるということ,哀しみや苦しみ,喜び,愛すること,などなど,さまざまなことが学べます。
学ぶというより,体験できるというほうが正しいでしょうか。
人生の哀しみと喜びがわかるカウンセラーでいたいなと思います。 (2016.8 記)
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2020年1月の追記です
再読しました。
東直己さんの後、今度は佐々木譲さんの世界にはまっていて、またまた北海道物を読んでしまいました。
やはりいい小説です。
哀しくて、涙が出そうになりました。
男の辛さと女の愛おしさが伝わってくるようです。
じーじにはこんな切ない恋愛の経験はありませんが(?)、物語を読むことで少しは追体験ができるのかもしれません。
カウンセラーとして、という前に、一人の男として、あるいは、一人の人間として、大切にしたいことに出合えたように思います。 (2020.1 記)
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2023年12月の追記です
信ずることのむずかしさとすばらしさを考えさせられます。
盲目の愛情ではなく、合理的な疑いの中にあっても、愛する人をどれだけ信じられるのか、その人のこころの大きさと器の大きさがためされるのだろうなあ、と思います。
そういう人になりたいです。 (2023.12 記)
佐々木譲さんの北海道警シリーズ8冊を読みましたが、その中でもこの「憂いなき街」が印象に残っています。ジャズが好きなので、その点もありますが、お話のように、感情が描かれているためだろうと思います。
札幌は好きな街なのですが、コロナ禍でこのところ行くことができず、残念です。貴ブログのこの記事を拝見したら、佐々木譲さんの、別の小説も読みたくなってきました。
特に、この小説は切ないですね。
佐々木さんはこの他にもいい小説をたくさん書かれています(別に宣伝をしているわけではないのですが…)。
どさんこ小説家の力量をぜひ堪能してください。