
ホセ・クーラがワーグナーに初挑戦した、モンテカルロ歌劇場のタンホイザー・パリ版フランス語上演。レビューも、ほとんどが高く評価しました。
最終日、2月28日の舞台は、前回の投稿で紹介したとおり、ライブ中継があります。このタンホイザーについての情報を掲載したこれまでの投稿もご参照ください。
→ (放送告知編) 、(リハーサル編) 、(緊急告知編)
今回は、ネット上で読むことができたレビューから、全体の評価と、主にクーラに対する部分を抜粋して紹介したいと思います。

Tannhäuser in French at the Monte-Carlo Opera
Conductor= Nathalie Stutzmann
Directer= Jean-Louis Grinda
Set&Light= Laurent Castaingt , Costumes= Jorge Jara
Tannhäuser= José Cura
Hermann, Landgrave de Thuringe= Steven Humes
Wolfram= Jean-François Lapointe
Elisabeth, nièce du Landgrave= Meagan Miller
Vénus= Aude Extrémo
Walther= William Joyner , Biterolf= Roger Joakim , Henry= Gijs van der Linden
Reinmar= Chul-Jun Kim , Un Pâtre= Anaïs Constans
第1幕 女神ヴェーヌスのヴェーヌスベルクで、麻薬や愛欲に溺れる騎士タンホイザー

●フランス全てで見る価値がある
「ワーグナーのオペラの素晴らしいパフォーマンス」 「成功は総合的」
「歌手は豪華な布陣、筆頭はホセ・クーラ、英雄的な声」
「フランスのTVはタンホイザーを全編放送する。フランスのすべてが、このショーを、クーラとこのカラー(カラフルな照明・映像を使った演出のことか?)で、すべて見る価値がある!」
(「Monaco-Matin」)
ヴェーヌスベルクを脱出したタンホイザー。かつての主人、領主ヘルマンや親友ヴォルフラムと再会し、再び城に戻ることを決意する。

●この偉大な芸術家は、何を歌い、どの表現するかを理解している
「復活したフランス語の台本の「タンホイザー」、本当のパリ版。絶品」
「確かにホセ・クーラは、情熱的で豊かなタンホイザーを体現している。ヴァルトブルクの厳しさより、ヴェーヌスベルクの官能性で、よりいっそうに」
「オペラハウスの小さなサイズは、スコアに合った繊細でニュアンスのある歌を可能にしている」
(「Lalibre」)
「この偉大な芸術家は、彼が何を歌い、どのように表現するかを理解している」
(「Forumopera」)
第2幕 かつての恋人エリザベートに再会し、愛を確認しあう。


●最高レベルでこの難役を修得
「ワーグナーのコミュニティにとって、この初演は特別な意味があった。モンテカルロは、タイトルロールをホセ・クーラがすることを発表した!結論として、その結果は、センセーショナルだった」
「アルゼンチン人(クーラ)は、今までイタリアとフランスのレパートリーのプロフェッショナルとして活動してきたが、最高レベルで、この困難な役を修得した。彼の同僚たちがその成功を喜んでいるところでは、クーラは、想像を絶する表現のパレットを所有している」
「エリザベートとのデュエットで・・パッセージのリズミカルな精度にはただ驚嘆した。」
「叙情的な語りと外向的自己忘却の表現の混ざり合ったローマ語りにおいて、すでにアンネマリー・クレーマーの深い祈りによって高められた緊張が、耐え難いほどのレベルで最高潮に達する」
「国際的なディレクターの協会は、ホセ・クーラが深くドイツ語を学ぶコースの資金提供のために、今、一緒に動くべきだ。このように歌うタンホイザー歌手は、バイロイトからテアトロ・コロン劇場まで(世界中という意味か)、そうは多くいない」
(「Die Presse」)
愛を称える歌合戦に参加したタンホイザー。精神的な愛を称える他の騎士たちに対して、自由で官能的な愛を歌い、ヴェーヌスを称えたため、激しい反感をかい、領主に追放される。



●タンホイザーの人間性と脆弱性を探求
「ホセ・クーラの解釈はマッチしている」
「枯渇することのない混ざり合った声の卓越した修得によって・・柔らかい声でささやくローマ語りで最高潮に達する」
「アルゼンチンのテノールは、何よりも、タンホイザーの人間性と脆弱性を探求しようとしている。かつてヴォルフガング・ヴィントガッセンによって見事に具現化されていた、病的で、非友好的、その対立」
(「Concertonet」)
第3幕 ローマに贖罪の巡礼に行ったが、許されることなく戻ったタンホイザー。ヴォルフラムと再会し、ローマでの顛末を語る「ローマ語り」。エリザベートの深い愛と死を知り、悔恨にさいなまれる。



●ローマ語りは非常に劇的で強力
「ホセ・クーラはタンホイザーとして、役柄のさまざまな段階にドラマティックに注ぎ込むことができる」
「ローマ語りの非常に劇的で強力な物語が心に残る」
(「Bachtrack」)
「主役を担ったホセ・クーラ。その絶望的なローマ語りは非常に効果的だった」
(「arts-spectacles」)
●クーラはプロダクションに人間のキャラクターを与えた
「彼の演劇的な存在感を通じて、このプロダクションに、特にその "人間"のキャラクターを与えたのはホセ・クーラだった」「特に第2、3幕では、完全に彼の要素内にある」
「クーラは、衝動を制御することができないために絶えず落ちいる(タンホイザーの)キャラクターの苦悩の中に、私たちの興味を引きこむ」
「クーラは、深刻なシーンに、ユーモアを挿入することさえある。・・友人のヴォルフラムにヴェーヌスベルクの喜びを味わってもらうように勧める。このような演技の描写は台本にはないが、このジェスチャーはキャラクターに明るさを与え、セックスと禁欲主義の間の二元論からオペラを解放することに役立つ」
(「Classicagenda」)


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クーラの初挑戦、そしてタンホイザーのパリ版フランス語上演という思い切った試みは、全体として、非常に高く評価されたようです。
オーストラリアの保守系の全国紙がクーラのタンホイザーを大絶賛し、「世界中の劇場のディレクターはクーラに完全なドイツ語修得のための資金調達を」とまで書いたのには、びっくりしました。クーラのワーグナーをもっと聞きたいという、つよいエールと賛辞だと思いました。
現地2月28日の最終日のライブ放映がたいへん楽しみです。
*アップされた録画リンク



*これらの美しい画像は、劇場のHPや報道などからお借りしました。モンテカルロ歌劇場のHPには、まだまだ魅力的な画像が大量に掲載されています。ぜひご覧ください。