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これまで何回かの記事で紹介してきた、ホセ・クーラ初主演、初演出のブリテンのオペラ、ピーター・グライムズ。
→(解釈編)(初日編)(告知編)
残念ながら、まだ録音や録画が放送されるという情報はありません。
今回は、このプロダクションがどう受け止められたのか、ボン劇場に寄せられた観客からの反響や、これまで読むことができたレビューを抜粋して紹介したいと思います。
いつものことで申しわけありませんが、翻訳が不十分な点はどうかご容赦ください。
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≪ ボン劇場のFBに寄せられた声より ≫
ボン劇場のフェイスブックには、初日の舞台を観た観客から、たくさんコメントが寄せられました。初日、大喝采、満場のスタンディングオベーションだったそうですが、それを裏付ける興奮した様子が伝わります。そのうちのいくつかを紹介します。
「印象的、壮大な風景と偉大な声。彼の夢の役割の1つは、ユニークで、達成不可能な素晴らしさ!それはオペラ愛好家のための贈り物だった」
「時代を超越している。クーラの直接的なアプローチは、常に完全にエキサイティングだった。素晴らしい合唱団、指揮者。私はまた戻って友人を連れて行く!」
「完全に圧倒され、興奮した。全体の制作、ステージデザイン、衣装、素晴らしいアーティストを忘れることはできない。今日の夜を素晴らしいものにするためのホセ・クーラと一緒のすべての苦労が成功した。ありがとう!」
「今回のプロダクションは『必見』。素晴らしい夜をありがとう」
「素晴らしいオペラの夜! すべての感覚のための饗宴!」
「すべてにおいて調和して、非常に印象的な夜だった。音楽、物語、ステージング、キャスト、衣装、ライト..私は戻ってくる」
「耳、目、魂のための饗宴!」
「圧倒的な経験!クーラは舞台で、壮大な時代を超越したプロダクションを展開している...」
「信じられないほど情熱的なパフォーマンス。深く感動した。美しいインスピレーションの舞台、歌手やオーケストラ。スタンディングオベーションに値する!」
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≪ レビューより抜粋 ≫
読むことができたレビューは、ほとんどがクーラの演出、舞台、そしてクーラと他の出演者を含む演技・歌唱、音楽など、全体について、高く評価していました。
一方、ある1つのレビューは、全体を評価しつつも、クーラの英語の発音の問題を指摘していました。これについては、長年英語を使って国際的キャリアを重ねてきたとはいえ、もともとアルゼンチン出身のスペイン語ネイティブのクーラ、どうしてもスペイン語なまりがあるのでしょう。これについては、グライムズ出演を重ねていくなかで改善されていくのではないでしょうか。
また2つのレビューが、グライムズの人物像について、彼の「暴力性、残忍性を含む複雑さ」の掘り下げが不十分と論評をしました。これにたいしては、前回の投稿(解釈編)で、クーラの反論的なコメントを紹介していますので、よかったらご参照ください。
●すべての出演者にスタンディングオベーション
「ボンの初演の聴衆は、すべての参加者のために、賞賛のスタンディングオベーションを与えた。またオペラの夜にも感謝した。」
「その創造性はあまり目立たなかったが、昔ながらの強靭さに対する、感情的な彩度と素朴な好奇心の満足によって。」
(「Kolner Stadt-Anzeiger」)
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●ボンは、ホセ・クーラを祝福
「この夜の後、ピーター・グライムスの役柄が、クーラにとって、長らく夢であったことが理解できる。」
「彼はここで、歌と演技の描写が手を握り合った団結を形作る原始的な力のように現れる。アリアの叙情的な瞬間と、第3幕の狂気の場面などで。」
「彼はオテロを歌う声で、ピーター・グライムズの魂の痛みを、聞き取りやすく、感じ取れるように歌う。すばらしい。」
「プレミアの観客は、熱狂的なスタンディング・オベーションと賞賛で、参加者全員を祝った。
ピーター・グライムズは典型的な敗者だ。しかし、彼の解釈者であるホセ・クーラは、すべての分野における勝者だった。演出家として、衣装・舞台デザイン、タイトルロールの解釈においても。」
(「General-Anzeiger」)
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●すべてのオペラのファンに、ボンへの訪問を
「ボンでの演奏後。観客は10分間の喝采により、刺激的で感動的な音楽を劇場にもたらしたチームに報いた。」
「タイトルロールだけでなく演出を担った、ヒューマニストのホセ・クーラにとって、ピーター・グライムスは、今日の時代、とりわけ重要となっている。」・・
「歌手としてのクーラは、ピーター・グライムズの崩壊に歌唱の焦点を当てている。アリア「大熊座と昴は」は、信じられない絶望的な瞬間と相まって、印象的に成功した。彼の暗い声、繰り返し綴る強く明瞭なトーン、このステージングに非常に適している。」・・
モンテカルロ歌劇場のタンホイザーのフランス語上演で、輝かしいキャリアの開発に成功したことにつづいて、同様に、ボーカル面で再び実証された。」
「結論:成功したアンサンブル作品、それは注目すべき。高い芸術的レベルで作品を提供しようとし、それは成功した。すべてのオペラのファンに、ボンへの訪問を勧める。」
(「Kulturexpresso」)
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●説得力ある演出、観る価値がある
「ホセ・クーラは、ピーターグライムズでロールデビューだけでなく、演出とセットデザインも担当した。その多くのタスク、特に演出は見事成功した。クーラの絶対的な説得力のある全体的な演出が成功したことによって、オペラの夕べは、舞台を見る価値があるものにした。また、彼のエモーショナルな演技は、その場を満たした...」
「ボンオペラハウスの舞台が国内最高のランクであることのさらなる証拠」「非常に成功した、死んだ少年を悼むグライムズの試練のプロローグ」
「モンテカルロ歌劇場との共同制作として2018年2月にモナコで上演される。このような作品がいくつかの公演の後に消えてしまうのは残念であり、また、劇場の予算がますます厳しく、共同制作の数が増えていることは、経済的な観点からだけでなく理にかなっている。また、観客にとっても、本当に成功したプロダクションが別の場所で『生きている』のは素晴らしいことだ。」
(「Deropernfreund」2回目)
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●特別クラスのオペラの夕べ
「クーラのボーカルとブリテンのオペラでの演技は、プレミアの拍手での彼への熱狂的な反応と同様に、ボンの仕事は彼にとって特に重要だと感じさせた」
「これは繰り返すことができる:ボンでのこのパフォーマンスは特別クラスのオペラの夕べだった」
(「Deropernfreund」)
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●ドラマに多大なエネルギーをもたらした演出
「シーンごとに、クーラはドラマに多大なエネルギーをもたらし、多くの保証と成功を収めた。」「特に注目すべきは、ボアー亭での第1幕第2場の巧みな取り扱いだった。これは特に動きの速い忙しいシーンだが、すべてのキャラクターが自分自身を表現するために必要なスペースを与えられていた。」
「クーラは典型的な漁師の外見、身体的に強く、がっしりし、船乗りに必要なひげを着けていた。彼の演技は安全で表情豊かであり、彼の強い存在感が彼を舞台に支配することを可能にした。音楽的に、クーラはいくつかの魔法の瞬間を作り出した。最も魅力的なのはAct 3、シーン2の狂ったシーンで、ステージ外のコーラスが伴う。霧が全体をおおい、グライムズはゆっくりと、過去の出来事を思い出す。クーラのボーカルコントロールは、表現力豊かで完璧だった」
「グライムズの気分が乱暴の方向に振れる時、クーラは声の色調、色合い、ダイナミクスを調整し、グライムズの精神的苦痛をうまく捕らえた。それは真に精力的で説得力のある解釈だった。」
(「Operawire」)
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ボンでの公演は、つぎは5月26日。その後、6月に別キャストによる公演があり、7月に再度クーラが登場、7月8、15日に出演します。
また来年2月には、モンテカルロ歌劇場で再演される予定です。
クーラが長年願い、渾身の力で取り組んだボンの舞台をぜひDVD化していただきたい、またはモンテカルロの舞台が今年2月のタンホイザーのようにネット中継されることを、心から願っています。
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