人と、オペラと、芸術と ~ ホセ・クーラ情報を中心に by Ree2014

テノール・指揮者・作曲家・演出家として活動を広げるホセ・クーラの情報を収集中

2021年 ホセ・クーラ、クロアチアの新音楽フェスティバルの音楽監督に就任

2021-09-23 | 音楽監督として

 

 

2021年9月11日、ホセ・クーラは、クロアチアのオレビックで、新規サマーフェスティバルの発足記念コンサートに出演しました。

キャプテンズタウン・サマーフェスティバルと名付けられたこのフェスティバルは、来年2022年から正式に発足の予定で、クーラが音楽監督を務めることになっています。

今回のコンサートの様子、今後のフェスティバルに関する情報などを、クーラのインタビューや関係者のSNSなどから紹介したいと思います。

 

 

 

 

 

Captain's Town Summer Festibal Inaugural Concert

Dubrovnik Symphony Orchestra
conductor:Marija Ramljak
soprano:Kristina Kolar
soprano:Marija Jelić
guitar soloist:Barbora Kubíková
founder and director:Sandra Milankov
tenor,conductor, artistic director:José Cura

 

 

 

 

オレビックは、イタリアの東側、アドリア海に面したクロアチアのペリェシャツ半島にあります。ワインが名産の、美しい海岸と自然に恵まれたリゾート地で、古くからの港町のようです。

地域の文化振興、観光資源としても期待されているのでしょう、今回の発足記念コンサートは、クロアチアの文化省やドゥブロヴニク・ネレトヴァ郡、オレビックの自治体、観光局などによって支援されているそうです。クロアチア国営放送がテレビ放送し、またラジオでも生放送されました。残念ながら日本からはテレビを見ることはできなかったようですが、ラジオ放送は良い音質で聞くことができました。

前半は、アルゼンチンの歌曲を数曲クーラが歌い、その後、クーラ作曲の「ギター協奏曲 ”復活”」の1つの楽章が演奏されました。後半はオペラアリアのコンサート。途中、オペラの間奏曲などをはさみながら、ソプラノ2人の方の歌と、クーラは指揮とともに、トスカ「星は光りぬ」、トゥーランドット「誰も寝て張らなぬ」を歌い、最後に全員で椿姫の「乾杯の歌」で終演でした。

 

 


 

 

 

≪ コンサート当日の様子 FBより ≫

 

 

●リハーサルと本番のステージなど、カメラマンによる150枚以上の画像投稿

 

沢山の写真が掲載されています。アルバム名をクリックしてぜひご覧になってみてください。表にはリハーサル時の様子が写っていますが、中には本番の舞台写真が沢山あります。

海岸のヨットハーバー?の横にあるスペースにコンサート会場をつくり、感染防止対策の上で入場無料ということで開催されたようです。席に座り切れず、周りを囲むようにして、大勢の地元の人や観光客らしき人々がコンサートを楽しみ、最後は沢山の花火も打ち上げられ、お祭り気分を盛りあげていました。

 

 

●現地のドゥブロヴニク=ネレトヴァ郡長官のFBより

 

” 昨夜、世界最高のテノール、ホセ・クーラによって素晴らしいコンサートがオレビックで開催された。 またオレビックとペリェシャツ全体での新しい文化イベントの発表でもあった。アンチッチ市長と他のペリェシャツの市長、そしてサンドラミラノコフ氏、この特別なイベントの企画を手伝ってくれた他の人々に称賛を送りたい。ソプラノスのクリスティーナ・コラーとマリヤ・ジェリッチ、ギタリストのバルボラ・クビコワ、指揮者のマリヤ・ラムジャク、ドゥブロヴニク交響楽団がコンサートに大きく貢献した。 ペリェシャツにブラボー!”

 

 


 

 

≪ 新しいフェスティバルにむけて ーー クーラのFBより ≫

 

●クーラのよびかけ

 

” コンサートの告知というだけでなく、ビジネスパートナーのサンドラ・ミランコフと一緒につくろうとしている新しいフェスティバルのキックオフを発表したいーーキャプテンズタウン・サマーフェスティバル!!!  来年9月にすぐには会えないかもしれないが、この場所が毎年夏の再会の場となり、質の高い、心のこもったパフォーマンスの組み合わせを愛するすべての人にとっての旅の街になることを願っている。そこでの再会を!!! ”

 

 

●美しいクロアチアのオレビックの海 ホテルの窓から ーー現地に到着したクーラのFBより

” 私の新しいお気に入りの場所、キャプテンズタウンの窓からの眺め。伝説によると、背景にある島はマルコポーロが生まれた場所… 詳しくは後ほど。現在、私たちの将来のフェスティバルの土台になるものを調査中。 乞うご期待! ”

 

 

●現地クロアチアのマスコミから取材を受けるクーラ

 

 

●会場の視察後にオレビックの市長と

 

 

●来年のフェスティバル正式発足にむけ、現地の有力者たちと視察中 クーラの感謝のコメント

 

 

 

●宿泊したホテルの従業員の方たちと。感謝の思いを込めて

 

 

 

 


 

 

≪ クーラの現地でのインタビュー記事より ーー 抜粋して紹介  ≫

 

 

●地域にとって重要なフェスティバルに

「私はペリェシャツ半島に行ったことがなかった。この半島への初めての訪問だが、きっと去りがたいだろうことはすでにわかっている。このフェスティバルの芸術監督に就任したとき、すぐに素晴らしいアイデアだと思ったが、ここに来て、将来一緒に仕事をする協力者やパートナーに会うことを強く希望していた。 ここで3日間を過ごした後、クロアチアのこの地域にとって大きくて重要なフェスティバルになると確信しており、特別でユニークなものを作ることができると思う。」

(クロアチアHRTニュースより)

 

 

 

 

 

 

●有名なアルゼンチンのテノール・指揮者のホセ・クーラが、オレビックのフェスティバルの芸術監督を引き受けた。彼が計画について語ったが、彼には恐れもある

 

最初に9月11日土曜日にオレビッチの人々、次に日曜日にクロアチアのテレビ番組でクロアチア中の視聴者が、有名なアルゼンチンのテノール、指揮者、作曲家のホセ・クーラを見る機会がある。今回のオレビッチでのパフォーマンスは、クーラの手に芸術的リーダーシップを委ねたフェスティバルの創設者兼ディレクターのサンドラ・ミランコフのアイデアによると、最初のキャプテンズシティ・サマーフェスティバルの発足記念コンサートだ。 ホセ・クーラは作曲と指揮の分野で学術的な音楽教育を開始したが、暗いバリトンの色合いを持つ彼の大胆で明るいテノールは、彼を国際的な名声に導いた。つまり、彼は舞台へのきっかけを得るために歌うことに専念したが、「人生は、他の計画を立てている間に起こることである」(ジョン・レノン)。

クーラは1999年に指揮者としてのキャリアに戻り、世界中のトップオーケストラと協力し、2014年から作曲に積極的に取り組んでいる。

 

Q、あなたはブカレストからクロアチアに到着した。ブカレストではエネスク・フェスティバルの25周年の一環として、あなたの曲「テ・デウム」の初演が行われたが、作曲家兼指揮者として、パフォーマンスに満足した?

A(クーラ)、2つの優れたルーマニアの合唱団、傑出したソプラノのポリーナ・パスティルサクと卓越したロンドン・フィルハーモニー管弦楽団によって初演されるというのは、夢のようだった。

 

Q、オレビックのコンサートのプログラムには、9月19日にザールブリュッケンで初演される「復活のための協奏曲」の最初の楽章の初演も含まれる。名前の意味は?

A、パンデミックで課せられた大きな「膠着状態」により、私は再び作曲に完全に集中することができた。このギターとオーケストラのための協奏曲だけでなく、「テ・デウム」と「シンフォニー組曲」も。 ”Resurgir(Awakening)”(目覚め、覚醒などの意)という名前は、それにふさわしい瞬間に応じてつけられた。

とても軽快で楽観的な音楽を書いた。最初の楽章はブラジルのリズムに基づいており、「アルボラダ」(夜明け "Alborada" )の2番目の楽章は新しい一日がもたらす光を呼び起こし、「ロンド」の3番目の楽章では ロンド型の構造を使用している。そこには、「我々は社会の多くのことを再編成するのか、それとも失うのか」というメッセージが込められている。

 

Q、多忙なスケジュールの中、作曲するのに十分な時間は?

A、コロナウイルスのパンデミックの前の30年間、私はノンストップで「自転車」に乗り続けた。それはバッテリーのように充電しながら多くの人々に光を当てたが、私自身を盲目にした。その「自転車」も含めて世界が止まったとき、突然何も見えなくなった。 少しずつ暗闇が意味をなし、影から形が浮かび上がり、私が気にも留めていなかったことがたくさん浮かび上がってきた。

このことは、作曲も含めて、時間がないために私が長い間無視していたことを行う機会を私に与えた。

 

Q、サンドラ・ミランコフとのコラボレーションは?なぜクロアチアでフェスティバルの芸術監督を?

A、共通の友人である素晴らしいソプラノのクリスティーナ・コラーに紹介されたとき、私たちのチームは結成された。サンドラが彼女の夢について語り、私はすぐにコラボレーションを受け入れた。

すべてをゼロから作り出す必要がある。これは、「穴」だらけの「船」を引き継ぐよりもはるかに面白いことだ。必要な支援がなければ、そのような新造船の「船長」の役割を引き受けることはできない。

パンデミック後の新しい世界には、これ以上の悪夢ではなく、「夢」が必要だ。

 

 

 

 

 

Q、アルゼンチンの歌曲はクロアチアの聴衆にはあまり親しみがないが?

A、アルゼンチンの室内楽曲は親密で、ほとんどがノスタルジックなものだ。この分野の第一人者であるカルロス・グアスタヴィーノは、南米のシューベルトと見なされている。

 

Q、ドブロブニク交響楽団や他のミュージシャンとのコラボレーションに満足?


A、私たちの目標は、フェスティバルが成長し続ければ、地元のミュージシャンに場所を提供することだ。私の芸術的なガイダンスの下で、観客がフェスティバルに期待するレベルの品質を確立できるように、彼らの専門的な努力に最善を期待している。

 

Q、オペラ「道化師」や「サムソンとデリラ」の演出や舞台美術の経験は、あなたの芸術的リーダーシップにも影響を与える?

A、すべての知識を、最高の結果をもたらすために投入する。

 

Q、キャプテンズシティ・サマーフェスティバルのビジョンは?観客は将来何を期待する?

A、私のビジョンはこれ以上ないくらい明確だ。しかしショービジネスでの長年の経験で、私はあらゆることを見てきた。サンドラ・ミランコフのような情熱的な起業家や私のような経験豊富な専門家であっても、何かを「やりたい」というだけでは十分ではない。

地域社会全体の支援が必要であり、それはフェスティバルが誇りにすべきことで、また成長していく活動の中で通常より多くの障害に遭遇しないように、政治家によってプロジェクトがサポートされる必要がある。私たちが愛情を込めて創造したものを破壊しかねない態度と戦わなければならないのでは「ばかげている」だろう。また大都市と文化メディア省からの支援が必要であり、これはオレビックで成熟していることを誇りに思ってもらうことだ。

最後に大事なことは、この冒険をすべての関係者にとって可能で実りあるものにするためには、スポンサーの経済的支援が必要であるということだ。ご覧のとおり、私たちの計画は大きい。これらの計画がこの地域の中心部でも成長するかどうかを見極める必要がある。時が教えてくれるだろう。

(「slobodnadalmacija.hr」)

 

 

 

 

 


 

 

≪ 放送と録画 ≫

 

●こちらはクロアチア国営放送の放送画面 残念ながらクロアチア国内だけ?で視聴可能だったようです。

 

 

 

 

ーーコンサート全体の録画はありませんが、いくつかアップされた動画を

 

 

●とてもリラックスして親密な雰囲気でアルゼンチン歌曲を歌う

 

●アンコール曲?「誰も寝てはならぬ」 最後の音を長ーく伸ばし、さらに花火でお祭りモード最高潮に

 

 

 

 

 


 

 

パンデミックによる長いステイホームを経て、クーラの新しい挑戦がまたひとつ始まりました。

1つのフェスティバルを新たに立ち上げ、軌道に乗せていくというのは、かなり大変なことだと思います。とりわけ長引くパンデミックのもと、今後どうなるのかの先行きの不安もまだまだあります。クーラもふれていたように、経済的な支援が得られなければ続けていくことは困難になってしまいます。

しかし、「パンデミック後の新しい世界には ”夢” が必要だ」とクーラも述べていましたが、本当に、そう思います。クーラが長年、蓄積してきた芸術的経験を生かして、充実した良質のフェスティバルが新たに誕生するとしたら、こんなに嬉しいことはありません。とりわけこれまでも何度か紹介してきたように、クーラ自身は、大手のレコードレーベルやエージェントに所属することなく、自分自身が信じる芸術の道をひとりで歩んできた人物です。そのクーラのビジョンを実現できる夏のフェスティバルが実現し、若いアーティストたちを育て、また世界からファンや音楽を愛する人々が毎年集える場ができるとしたら、本当に夢のようです。いつか、近いうちに、私もぜひ夏のクロアチア・オレビックにクーラに会いに行きたいものです。

 

 

 

*画像は報道や関係者のSNSなどからお借りしました。

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