人と、オペラと、芸術と ~ ホセ・クーラ情報を中心に by Ree2014

テノール・指揮者・作曲家・演出家として活動を広げるホセ・クーラの情報を収集中

(旅行編)2019年 ホセ・クーラ、上海でオペラアリア・コンサート

2019-11-06 | コンサート ②

 

 

ホセ・クーラの10月20日上海でのオペラアリアコンサート、これまで(告知編)、(当日編)、(インタビュー編)でご紹介してきました。

今回は、クーラのコンサートを主目的に、わずか2泊3日の旅でしたが、上海へ行ってきた様子をまとめてみました。期間が短すぎて、旅行記とはとてもいえないものですが、はじめての中国・上海、その一端を駆け足で見た印象を書いてみたいと思います。 

 

 

 

東シナ海に面する中国沿岸の都市、上海は、居住人口が2400万人ともいわれる巨大都市。羽田から約3時間、時差1時間という近さですが、この地図を改めて見てみると、日本の九州からは、単に距離的な面では、東京に行くよりも近い位置にあるのですね。

今回、クーラのコンサートが最優先だったので、チケットが入手できるかどうかが、まず一番の課題でした。実はここが、今回の旅行で苦労した点でした。

航空券、ホテルの手配も、チケットが確保できてからと考えていました。ところが、10月20日のコンサートで、会場の上海東方芸術中心のHPや、中国上海芸術祭のHPには告知が出ているのに、チケットの売り出しは、8月後半に入っても始まりません。中国の場合、販売開始が遅めというのは情報として耳に入っていましたが、同じ会場の10月27日のウィーンフィルのコンサートのチケット販売が始まっても、まだクーラのコンサートは販売されません。ようやく9月に入ってからだったと思いますが、発売が開始され、大喜びしたのも束の間。(告知編)(当日編)でも書きましたが、結局、中国の銀行口座を持ち、中国の携帯電話がないと、公式HPでも、プレイガイドでも、直接ネットで購入することができないことがわかりました。

結局諦めて、ネットで見つけたチケット仲介業者に問い合わせたものの、返事が来ない・・。別の業者に連絡して、チケット手配が完了したのは、9月半ばを過ぎていました。手数料はかかりましたが、幸い、希望の席を取ってもらうことができたのはうれしかったです。それからあわてて航空券とホテルを確保。中国の場合、短期の観光の場合はビザが必要なく、助かりました。

 

 

 ≪羽田~上海≫

出発の前の週は台風19号の影響で各地で大災害がひろがり、出発当日も、東京は大雨。不安でいっぱいでしたが、幸い、今回の旅行に直接の影響はありませんでした。台風15号による千葉県の被害をはじめ台風・大雨災害で被害に遭われた方々には、心からお見舞い申しあげるとともに、一日も早く日常生活が取り戻せるように願っています。


●雨の羽田空港

 

●到着した上海

羽田からの直行便は、行きは、上海市の中心部に近い、市西部にある虹橋空港に到着。第一ターミナルです。入国審査では、電子化したシステムで手の指のすべての指紋が採取されます。とはいえ意外とスムーズにすすみました。 

 

上海は快晴、3日間とも雨はなく、晴れと曇りで助かりました。気温は日本とほぼ同じくらいということでしたが、雨続きの天候不順の日本から行った私にとっては、日中、暑いくらいでした。空港から地下鉄の入口に向かう通路で、金木犀のとてもよい香りが漂ってきました。上海市内のあちこちで香っていて、調べたら、中国が原産地で、日本には江戸時代に渡来したとのこと。どうりで上海に巨木が多いわけです。 

 

≪両替と支払い方法≫

到着後、まずは両替です。今回、出国時に持って出たのは日本円だけ。虹橋空港で手続きを終えて出たところの右側にある両替所で、とりあえず最低限の両替をしました。1元は約16円くらいということですが、手数料もかかるので、実際は?? 

事前に読んだ情報では、中国では、現金の支払いは非常に少なくなり、ほとんどがスマホによる決済になっているということで、クレジットカードも日本で通常使うようなブランドは使えないこともあると書かれていました。現金もカードも使えなかったらどうしようと、このことも悩んだ点でした。事前に、中国で使えるという銀聯カードも準備しました。クレジットカードも数種類、持っていきました。

結局は、コンビニ、スーパー、土産物店、レストランなど、だいたい、そのうちのどれかで支払いができました。地下鉄構内にコンビニのファミリーマートが設置されていて、そこでの買い物も、現金、カードとも大丈夫でした。

実は一番苦戦したのが、自動販売機。お金の支払い方、入れ口が分からなかったり、タッチの仕方が悪いのか動作しなかったりと、最新の機械なのですが、結局、一度も買うことができませんでした。

 

 

  

≪便利な上海地鉄(地下鉄)≫

 

上海市内には地下鉄の路線網が張り巡らされていて、どこに行くにも便利です。事前の情報で、毎回支払う他に、プリペイドカード、1日券、3日券などがあるということでしたので、3日券を購入することにしました。係員のいる窓口、改札横のボックスのようなところで購入できます。虹橋空港第一ターミナルの地下鉄10号線入口で買うことができました。3日乗り降り自由で45元。

改札でタッチするだけでとても便利なのですが、タッチしたあと、バーを回転させて入場する仕組みで、大きい荷物を持ってもたもたしていると、うまく通れないことがありました。それで何度もタッチしたためかエラーマークが出て、大慌て。親切な若い女性が、助けようと英語で話しかけてくれ、こちらは英語も十分理解できないのですが、何とか通ることができました。

各路線は複雑に交差していて、それぞれ乗り換えでき、また表示も分かりやすいので、迷うことはありませんでした。

 

●上海市内の地下鉄路線図 (上海地鉄HPより 画像をクリックすると公式HPにリンクしています)

 

 

 

●立派な駅構内

上海の地下鉄は、利用したどの駅もホームドア完備、到着までの残り時間を秒単位で知らせるパネルも設置されていました。

駅の設備は清潔できれいに整備されているのですが、日本と大きく違うのは、改札の前に必ず手荷物検査があることです。小さなバッグ類は免除のようですが、リュックや買い物袋、トランクなどを毎回持ち上げて金属探知機を通すのは、ちょっと大変でした。

また一番困ったのは、駅のトイレ。どこもちゃんと整備されていて、自動洗浄機能や手洗いも自動水栓だったりと現代的な設備なのですが、なぜかペーパーはなし。日本でもしばらく前は、駅や公衆トイレにはペーパーがなかったのを思い出しました。ガイドブックなどにはその情報が見当たらなかったため、ポケットティシュ数個しか持って行きませんでした。その紙を買ったり、水や食品を買ったりと、駅構内のコンビニにはお世話になりました。

不思議だったのは、車両内の座席が、日本のようなクッションではなく、プラスティック系のベンチのような固いものだったこと。でも車内の雰囲気は日本と変わらず、スマートフォンを見ている人が多く、若い人たちは皆、おしゃれな印象でした。

 

●地下鉄の乗車券の各種販売機 3日券を買ったので、結局使わず

●地下鉄車内の行き先掲示板

 

 

≪上海動物園≫

 

上海虹橋空港から地下鉄10号線でひと駅と、とても近い上海動物園。上海動物園駅の出口すぐに、動物園の入口があります。

当初、行くつもりはなかったのですが、ガイドブックなどで、金魚の展示コーナーがあることを知り、鯉、金魚などに子どもの頃から親しんできた私としては、これは是非とも見ておかなければと(笑)。パンダもいますし。

地下鉄駅から上がってすぐ先に、チケット販売コーナーがあります。大人1人40元、意外にそれなりの金額です。

空港から大きな荷物を持ったまま行っても大丈夫。正面入り口を入ってすぐ右奥のツーリストサービスセンター(下の写真右の建物)の中に荷物預かり所がありました。ただし外部から入れるこのセンターの表入口ではなくて、動物園の入場門を入ってから、同じ建物の裏手に回る形です。1個あたり2元とか3元くらいだったかと思います。夕方4時半までと言われました。

 

 

 

●広大な園内

とにかく広大な敷地、動物の種類の多さを誇る上海動物園。面積は、日本の多摩動物公園の約1・5倍の70㌶超、飼育動物も約620種、7,000頭を飼育しているそうです。上野動物園が約350種、2,500頭だそうですので、上野と比べても、さらに多種多様です。 

 

●金魚のコーナー 金魚楼

金魚は中国原産とのことで、いろんな種類が、野外の池や水槽、屋根付きの半分屋内におかれた水槽の中に多数展示されています。

野外におかれた沢山の巨大水柱には驚きました。ここに紹介した写真はそのごく一部です。日の光を浴びて、きらきら光る多数の水槽が置かれ、そのなかで巨大でカラフルな金魚が泳ぐ様子は、空中浮遊のようで、不思議な印象でした。 

こういうオブジェのような水槽が10個?ほど、野外に

ユニークな水泡眼

 

●自然豊かな園内

広すぎて、駆け足でざっくり回っただけなのが残念ですが、井の頭公園のような大きな水鳥のいる池や、代々木公園のような広場など、緑が沢山の自然豊かな園内です。ミニ遊園地もあって、子どもたちが遊んでいました。各所に売店があり、中国風のおでんやフランクフルト、トウモロコシ、アイスクリームなどを売っています。カップ麺を食べている人も多く見かけました。

 パンダは中国でも人気で、人だかりができていました。ただし、なかなかこちらを向いてくれず、かわいいおしりを見ました。

その他、とにかく広大な敷地に、沢山の動物、鳥類、爬虫類・・とても回り切れません。そのため園内を走る乗合バスのような乗り物も人気でした。とにかく体力を使い果たすわけにはいかないので、全部回るのはあきらめて、早々に引き上げました。

 

≪上海の普通の街並み≫

市の中心部から少し離れた、宿泊したホテル最寄りの地下鉄駅周辺の様子です。比較的古い街並みと、高層の新しいビルが混在しています。道路は車の交通量も多いうえに、車線の両脇は、大量の自転車とオートバイが混在して走っています。面白いと思ったのは、ほぼすべてのバイクが電気のモーターで走っているようで、走行音がほとんどしないこと。排出ガス規制のために電動化をすすめているのでしょうか。なぜ日本では電気バイクが普及していないのか不思議です。そのバイクと自転車が競うように走っている様子、また交差点ではそれらが入り乱れるのを見て、とても私には、恐ろしくて上海で運転はできないと思いました。

 

何気なく彫刻やオブジェのようなものが、街角に。

雰囲気のある路地

夜の住宅街。高層アパートの前にはびっしりと路上駐車。車を見てみると、ベンツ、BMW、Audiなど、欧州の高級車が並んでいます。日本車は、私が見た限りでは少数でした。

駅前をはじめ、あちこちにショッピングモールのようなビルが。日本のユニクロや無印などのお店が入っているところも。買い物したスーパーには、日本のお菓子が沢山売られていて驚きました。

 

 

≪豫園=よえん≫

上海の伝統的な中国庭園として有名な豫園。ところが残念なことに10月いっぱいは閉園でした。そのため、周囲の商店街でお土産を買ったり、昼食をとったりして終わりました。

豫園の地下鉄駅を降りると、中国風の建物と現代的な高層ビル、工事中の建物などが混在しています。日曜日ということで、非常に大勢の人が豫園の方向に流れていきます。豫園の庭園を取り巻くように作られている豫園商城と呼ばれる大きな商店街がお目当てなのでしょうか。

豫園商城の入場門。内部は、小さな路地が迷路のように広がり、ところどころに広場があって、どこを歩いているのかわからなくなります。ぐるぐる同じところを回って、また同じ広場に出てきたりと、何度もうろうろしてしまいました。

とにかく人でいっぱいです。有名な行列の絶えない小籠包のお店の前も通りましたが、結局、並ぶのはやめてしまいました。お土産を少し買いました。

お昼は、3階建てのすべてのフロアーが食堂になっている、カフェテリア形式のお店で。とにかく色とりどり、各種、沢山の料理が並び、そこから好きなものをトレイにとり、最後にまとめて会計をする仕組みでした。美味しそうなものがお手頃の価格で表示されていて、どれも食べてみたいのですが、意外に一皿の量が多く、結局、ほんの数皿だけ、ようやく食べきりました。周りを見渡すと、中国の人らしき家族やカップルが、大量の料理を運んできて食べています。後から、あれも食べてみたかった、これも・・と思い出してしまいましたが、大勢でいかない限り、とても無理でしょうね。

 

≪南京東路~外灘≫

上海でいちばんの繁華街、まるで巨大な銀座のような南京路。南京東路の地下鉄駅を出て、500メートルほど歩いて、かつてイギリスの租界時代の建物が並ぶ外灘地区をめざします。

 


通りの向こうに見える、高層ビル群

外灘の洋風近代建築群

 

外灘の黄浦江の河畔は、土手の上が広い遊歩道のように整備されていて、外灘地区と対岸の高層ビル群が立ち並ぶ浦東地区を見渡すことができます。大勢の観光客が来ていました。旅行者向けの案内所や公衆トイレも整備されています。飲み物の屋台もありますが、冷やさないのが中国風らしいです。

黄浦江の沿岸に並ぶ高層ビル群

 

≪上海~羽田≫

帰りは、虹橋ではなく、上海市東部の新しい浦東空港からでした。地下鉄の3日券を買っていたので、2号線に乗って1本で行けると思い、のんびり地下鉄で向かいました。ところが下調べが不十分で、思った以上に遠かった・・。だんだんと駅間が長くなり、地上に出て、その風景も田園風景に。途中から浦東までリニアモーターカーが走っていますが、そちらに乗り換えれば、かなり早いようです。時間がだんだんおしてきて、かなり焦りながら、到着。第1ターミナルビルからです。

空港で、最後の残った中国元を使ってお土産を買い、羽田行きに乗り込みました。

地下鉄車内から、浦東空港のビルを眺める

 

 


 

 

クーラのコンサート目的の上海旅行、無事に行って来れて、何よりも、素晴らしいコンサートを鑑賞できて、大満足です。

また短い期間でしたが、発展する中国・上海のごく一部ですが、見ることができました。古い伝統と新しいものが混在しながらも、全体として大きく経済発展がすすんでいることが実感できました。

一方、私たちが日常使っているインターネットのSNSが全くつながらないことには困りました。ホテルなどではWi-Fiが使えるのですが、グーグルの検索もできないし、フェイスブック、ツイッター、LINEなども使えず、家族に「無事着いた」のメッセージも送れませんでした。中国には独自のSNSがあるそうです。またグーグルなどを使えるようにする方法もあるらしいですが、今回は2泊3日という短期間のため、あきらめました。ネットでチケットが買えないこと、インターネットが規制されていることについては、距離的には近いお隣の国でありながら、壁を感じた一面でした。

歴史問題、経済関係、領土問題、人権問題・・日中の間には様々な課題を抱えています。香港での報道にあるように、中国政府が、国民の人権抑圧、管理統制をつよめていることには大きな懸念があります。これらの課題をふくめ、諸問題の平和的で民主的な解決の方向で、両国が今後、文化的にも、政治的にも、経済的にも、平和な友好関係を築いていけることを願っています。


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