声優の本多知恵子さんが死去 『キテレツ大百科』みよちゃん役など
(ナリナリドットコム 2013年2月23日付の記事より)
『機動戦士ガンダムZZ 』(1986~87年放送)のエルピー=プル役や『キテレツ大百科』(1988~96年放送)のみよちゃん役などで知られる声優の本多知恵子(ほんだ ちえこ)さんが、今月2月18日に多発性ガンのため亡くなったことがわかった。所属事務所の青二プロダクションが22日、公式サイトで明かした。享年49歳。
公式サイトでは「弊社所属俳優・本多知恵子が、通院加療中のところ薬石効なく、多発性ガンの為平成25年2月18日、永眠致しました。生前、皆様から頂きましたご厚情に心より感謝致します。」と訃報を掲載している。
本多さんは1983年から声優・女優として活動。 TVアニメ『機動戦士ガンダムZZ 』のエルピー=プル役や『キテレツ大百科』の野々花みよ子(みよちゃん)役(2代目として1991~96年に担当)、『燃える!お兄さん』(1988年放送)の国宝雪絵役、『まじかる☆タルるートくん』(1990~92年放送)の江戸城千鶴役、『サイレントメビウス』(1991~98年の劇場版・TVアニメ版を担当)の闇雲那魅(やみぐも なみ)役、『少女革命ウテナ』(1997~99年の TVアニメ版・劇場版を担当)の薫梢(かおる こずえ)役、『Cosmic Baton Girl コメットさん☆』(2001~02年放送)のメテオ役、『夏目友人帳』(2008~12年)の式神・笹後(ささご)役などを務めた。
青二プロダクションには昨年11月より所属。公式ブログは昨年12月31日を最後に更新が途絶えていた。
声優の置鮎龍太郎が追悼
本多さんの訃報を受け、同じ青二プロダクションに所属する声優の置鮎龍太郎(43歳)が、自身のTwitterでコメントを寄せている。
置鮎は2月22日、「『地獄先生ぬ~べ~』(1996~97年放送)では、(葉月)いずな役でご一緒させていただきました。昨年末に青ニに加入され新年会でもお会いしたばかりだったのに。残念でなりません。本多知恵子さん、心よりご冥福をお祈り申し上げます」とツイート。「塩沢さん(声優の塩沢兼人、2000年に46歳で急逝)の時も事務所にいる時に訃報を受けて、崩れ落ち動けなかったけど、今日も事務所で直接訃報を受け、なんでなんで!? と、パニック、放心」と、辛い胸の内を明かした。 ※()内の言葉はそうだい注
……「ナリナリドットコム」でみよちゃんの訃報とは……なんと残酷な天の采配か!!
もはや、「早すぎる」という言葉を発するのも嫌になるようなご年齢なのですが、それでも言わざるを得ません。早すぎる!!
よくよく振り返ってみると、私にとっての本多さんという存在は、好きだとかファンになるとかいうアイドルのような目立つ対象とはまったく違う次元にあって、TVをつけてアニメ番組を見れば、必ずそこには魅力的な大人の女性の役や、大人になりきれていない生きていること自体を楽しんでピョンピョンはねまわっている少女の役を演じている本多さんがいるといった、家族や空気のような、そこにいることそのものがごく普通の日常の一部だったのです。
もちろん、これには私の年齢も大きく関係していて、私が小学生のガキンチョとして TVアニメを観ていたのは1980年代中盤から90年代初頭のこと。前作『 Z』に比べればよっぽどましだとしても、やっぱり当時の私には理解不能だった『機動戦士ガンダムZZ 』はのぞくものの、『燃える!お兄さん』や『キテレツ大百科』のあたりを夢中になって観ていた世代でした。まさしく本多時代のはじまりに私はアニメを観ていたわけですが、最近になって調べてみるまで、そこにおられた声優さんが本多知恵子さんであることは知ることがなかったのです。しかし、知らなくてもその実力の恩恵には確かにあずかっていた! そういえば私、『まじかる☆タルるートくん』が始まったころにいったんアニメ視聴を卒業して実写怪獣特撮の深淵に没入していったんだったっけ……今でもそうなんですが、『タルるートくん』みたいに狡猾にライトなエロをさしこんでくるアニメが大っ嫌いになったんだっけなぁ。そこにも、本多さんはいらっしゃった。
私がいちばん大好きな本多さんのお仕事は、前にもミネバ=ザビ陛下関連でふれたかと思うのですが、本家の『ZZ 』ではなく、そのパロディとして製作された『機動戦士 SDガンダム』(1988~90年 OVAや劇場版など)シリーズでの「ぷる or ぷるつー」役でした。
今にして思えば、全盛期の本多さんをしてほとんど「ぷるぷるぷるぷるぷる~☆」としかしゃべらせない、しかもだいたい画面を疾走して横切る出番くらいしか与えないウナギイヌ的なポジションにしてしまうという、製作側の気が違ったとしかいいようのない采配と、それでもおつりがくるくらいに尋常でない豪華さの声優キャスト陣がものすごい作品群でした……『ガンダムペンション破壊命令』なんか、VHSビデオで何百回再生したと思ってんだ、コノヤロー♪
でも、当時から今にいたるまで、私はどのキャラクターよりも活き活きと生命力をスパークさせていたぷるが大好きですね。いや、別に「衣装を着ていないのが衣装」というその見てくれで好きになったんじゃなくてだな……あくまでもその躍動感によ!?躍動感!!
全裸ではしゃぎまわるぷるのモデルとなった「エルピー=プル」の原作設定年齢は「10歳」……恐ろしい時代だった……
ともかく、このときの「ぷる」の輝きには、まさしく原作『ZZ 』でああいった無残な最期を遂げてしまった「エルピー=プル」にたいする、本多さんなりの供養の想いというか、自分が魂を込めて世に出したキャラクターに幸せに生き続けてほしいと願う、菩薩心とか観音力のような非常にあたたかく力強いエネルギーが間違いなくあったと思うんです。そこが私の大好きな部分なんですよね。
だからこそ、本多さんの「ぷる」とか、佐藤元先生の「みねば」には、単なるパロディと片づけられるはずがない愛がぎっしり詰まっていると感じるんですよ。つまり、『Z 』の『ZZ 』の物語は、実に20年の歳月を経て初めて語られた福井晴敏さんの『機動戦士ガンダム UC』(2007~09年)の発表を待つまでもなく、『 SDガンダム』の世界で成仏できていたはずなのです! 少なくとも、私はそう祈りたい。
物語の中ではなにかと妹の役が多かったイメージの本多さんでしたが、当時の私にとっては充分に年上のお姉さんでした。
こういった、ふだんはいて当たり前に感じてしまう、近所の元気なおねえさんのようだった本多さんが、今はもういない。
人間である以上は必ずいつかおとずれる別れとわかってはいつつも、空虚な想いが心に残ります。
私自身は、最近の本多さんのご活躍が観られた作品などはチェックしていなかったし、実も蓋もないことを言えば、本多さんの訃報によって私の生活のどこかに支障が出るといったこともありません。
しかし、私という人間が今こうやって、曲がりまくりなりにも一応は元気なおっさんに仕上がっているという事実にあたって、そのスタート地点のもっとも重要な時期を、優しく、強く、あたたかい光でいろどってくれた本多さんにたいしては、たとえ当時その存在をはっきりとは認識していなかったのだとしても、少なくとも私が死ぬまでには絶対に忘れるわけにはいかない「恩」というつながりがあるのです。それはもう、本多さんが知らなくても、私がふだん意識していなくても確かにある。
『機動戦士ガンダム』シリーズにおける「宇宙世紀サーガ」においての「エルピー=プルの物語」は、来月3月に劇場公開されるアニメ版『機動戦士ガンダム UC』の第6弾以降にまだまだつむぎ続けられていくし、『地獄先生ぬ~べ~』の登場人物・葉月いずなが主人公となっているスピンオフマンガ『霊媒師いずな』も2007年いらい、掲載マンガ雑誌を変えながら現在にいたるまで連載継続中です。
ご本人は去っても、彼女の命をくんだ分身たちはまだ生き続けている。俳優という職業に限らずとも、死から逃れることのできないすべての人間にとって、これほど勇気づけられる素晴らしいことがほかにあるでしょうか。
本多知恵子さん、本当にありがとうございました。これからの新しい世界でのあなたの幸せを、心から祈らせていただきます。
(ナリナリドットコム 2013年2月23日付の記事より)
『機動戦士ガンダムZZ 』(1986~87年放送)のエルピー=プル役や『キテレツ大百科』(1988~96年放送)のみよちゃん役などで知られる声優の本多知恵子(ほんだ ちえこ)さんが、今月2月18日に多発性ガンのため亡くなったことがわかった。所属事務所の青二プロダクションが22日、公式サイトで明かした。享年49歳。
公式サイトでは「弊社所属俳優・本多知恵子が、通院加療中のところ薬石効なく、多発性ガンの為平成25年2月18日、永眠致しました。生前、皆様から頂きましたご厚情に心より感謝致します。」と訃報を掲載している。
本多さんは1983年から声優・女優として活動。 TVアニメ『機動戦士ガンダムZZ 』のエルピー=プル役や『キテレツ大百科』の野々花みよ子(みよちゃん)役(2代目として1991~96年に担当)、『燃える!お兄さん』(1988年放送)の国宝雪絵役、『まじかる☆タルるートくん』(1990~92年放送)の江戸城千鶴役、『サイレントメビウス』(1991~98年の劇場版・TVアニメ版を担当)の闇雲那魅(やみぐも なみ)役、『少女革命ウテナ』(1997~99年の TVアニメ版・劇場版を担当)の薫梢(かおる こずえ)役、『Cosmic Baton Girl コメットさん☆』(2001~02年放送)のメテオ役、『夏目友人帳』(2008~12年)の式神・笹後(ささご)役などを務めた。
青二プロダクションには昨年11月より所属。公式ブログは昨年12月31日を最後に更新が途絶えていた。
声優の置鮎龍太郎が追悼
本多さんの訃報を受け、同じ青二プロダクションに所属する声優の置鮎龍太郎(43歳)が、自身のTwitterでコメントを寄せている。
置鮎は2月22日、「『地獄先生ぬ~べ~』(1996~97年放送)では、(葉月)いずな役でご一緒させていただきました。昨年末に青ニに加入され新年会でもお会いしたばかりだったのに。残念でなりません。本多知恵子さん、心よりご冥福をお祈り申し上げます」とツイート。「塩沢さん(声優の塩沢兼人、2000年に46歳で急逝)の時も事務所にいる時に訃報を受けて、崩れ落ち動けなかったけど、今日も事務所で直接訃報を受け、なんでなんで!? と、パニック、放心」と、辛い胸の内を明かした。 ※()内の言葉はそうだい注
……「ナリナリドットコム」でみよちゃんの訃報とは……なんと残酷な天の采配か!!
もはや、「早すぎる」という言葉を発するのも嫌になるようなご年齢なのですが、それでも言わざるを得ません。早すぎる!!
よくよく振り返ってみると、私にとっての本多さんという存在は、好きだとかファンになるとかいうアイドルのような目立つ対象とはまったく違う次元にあって、TVをつけてアニメ番組を見れば、必ずそこには魅力的な大人の女性の役や、大人になりきれていない生きていること自体を楽しんでピョンピョンはねまわっている少女の役を演じている本多さんがいるといった、家族や空気のような、そこにいることそのものがごく普通の日常の一部だったのです。
もちろん、これには私の年齢も大きく関係していて、私が小学生のガキンチョとして TVアニメを観ていたのは1980年代中盤から90年代初頭のこと。前作『 Z』に比べればよっぽどましだとしても、やっぱり当時の私には理解不能だった『機動戦士ガンダムZZ 』はのぞくものの、『燃える!お兄さん』や『キテレツ大百科』のあたりを夢中になって観ていた世代でした。まさしく本多時代のはじまりに私はアニメを観ていたわけですが、最近になって調べてみるまで、そこにおられた声優さんが本多知恵子さんであることは知ることがなかったのです。しかし、知らなくてもその実力の恩恵には確かにあずかっていた! そういえば私、『まじかる☆タルるートくん』が始まったころにいったんアニメ視聴を卒業して実写怪獣特撮の深淵に没入していったんだったっけ……今でもそうなんですが、『タルるートくん』みたいに狡猾にライトなエロをさしこんでくるアニメが大っ嫌いになったんだっけなぁ。そこにも、本多さんはいらっしゃった。
私がいちばん大好きな本多さんのお仕事は、前にもミネバ=ザビ陛下関連でふれたかと思うのですが、本家の『ZZ 』ではなく、そのパロディとして製作された『機動戦士 SDガンダム』(1988~90年 OVAや劇場版など)シリーズでの「ぷる or ぷるつー」役でした。
今にして思えば、全盛期の本多さんをしてほとんど「ぷるぷるぷるぷるぷる~☆」としかしゃべらせない、しかもだいたい画面を疾走して横切る出番くらいしか与えないウナギイヌ的なポジションにしてしまうという、製作側の気が違ったとしかいいようのない采配と、それでもおつりがくるくらいに尋常でない豪華さの声優キャスト陣がものすごい作品群でした……『ガンダムペンション破壊命令』なんか、VHSビデオで何百回再生したと思ってんだ、コノヤロー♪
でも、当時から今にいたるまで、私はどのキャラクターよりも活き活きと生命力をスパークさせていたぷるが大好きですね。いや、別に「衣装を着ていないのが衣装」というその見てくれで好きになったんじゃなくてだな……あくまでもその躍動感によ!?躍動感!!
全裸ではしゃぎまわるぷるのモデルとなった「エルピー=プル」の原作設定年齢は「10歳」……恐ろしい時代だった……
ともかく、このときの「ぷる」の輝きには、まさしく原作『ZZ 』でああいった無残な最期を遂げてしまった「エルピー=プル」にたいする、本多さんなりの供養の想いというか、自分が魂を込めて世に出したキャラクターに幸せに生き続けてほしいと願う、菩薩心とか観音力のような非常にあたたかく力強いエネルギーが間違いなくあったと思うんです。そこが私の大好きな部分なんですよね。
だからこそ、本多さんの「ぷる」とか、佐藤元先生の「みねば」には、単なるパロディと片づけられるはずがない愛がぎっしり詰まっていると感じるんですよ。つまり、『Z 』の『ZZ 』の物語は、実に20年の歳月を経て初めて語られた福井晴敏さんの『機動戦士ガンダム UC』(2007~09年)の発表を待つまでもなく、『 SDガンダム』の世界で成仏できていたはずなのです! 少なくとも、私はそう祈りたい。
物語の中ではなにかと妹の役が多かったイメージの本多さんでしたが、当時の私にとっては充分に年上のお姉さんでした。
こういった、ふだんはいて当たり前に感じてしまう、近所の元気なおねえさんのようだった本多さんが、今はもういない。
人間である以上は必ずいつかおとずれる別れとわかってはいつつも、空虚な想いが心に残ります。
私自身は、最近の本多さんのご活躍が観られた作品などはチェックしていなかったし、実も蓋もないことを言えば、本多さんの訃報によって私の生活のどこかに支障が出るといったこともありません。
しかし、私という人間が今こうやって、曲がりまくりなりにも一応は元気なおっさんに仕上がっているという事実にあたって、そのスタート地点のもっとも重要な時期を、優しく、強く、あたたかい光でいろどってくれた本多さんにたいしては、たとえ当時その存在をはっきりとは認識していなかったのだとしても、少なくとも私が死ぬまでには絶対に忘れるわけにはいかない「恩」というつながりがあるのです。それはもう、本多さんが知らなくても、私がふだん意識していなくても確かにある。
『機動戦士ガンダム』シリーズにおける「宇宙世紀サーガ」においての「エルピー=プルの物語」は、来月3月に劇場公開されるアニメ版『機動戦士ガンダム UC』の第6弾以降にまだまだつむぎ続けられていくし、『地獄先生ぬ~べ~』の登場人物・葉月いずなが主人公となっているスピンオフマンガ『霊媒師いずな』も2007年いらい、掲載マンガ雑誌を変えながら現在にいたるまで連載継続中です。
ご本人は去っても、彼女の命をくんだ分身たちはまだ生き続けている。俳優という職業に限らずとも、死から逃れることのできないすべての人間にとって、これほど勇気づけられる素晴らしいことがほかにあるでしょうか。
本多知恵子さん、本当にありがとうございました。これからの新しい世界でのあなたの幸せを、心から祈らせていただきます。