映画『ロスト・ワールド ジュラシック・パーク2』(1997年5月公開 アメリカ 129分)
スティーヴン=スピルバーグによる映画『ジュラシック・パーク』(1993年)の続編。
マイケル=クライトンの SF小説『ロスト・ワールド ジュラシック・パーク2』(1995年)の映画化だが、その内容には原型をとどめないほどの大幅な変更がなされている。そのため、映画公開の際には原作ファンから強い批判を受けた。もっとも、本作は小説の執筆と同時進行で制作されており、クライトンから「私も自由に書くから、映画も自由に作っていい。」と言われていたという。アカデミー賞・視覚効果賞にノミネートされた。
前作『ジュラシック・パーク』の評価が高かったために期待された本作品は、その反動からか酷評される結果となった。第18回ゴールデンラズベリー賞においては「最低続編賞」、「最低脚本賞」、「最低人命軽視と公共物破壊しまくり作品賞」の3部門にノミネートされた。
ちなみに、監督のスティーヴン=スピルバーグが自作の続編を再び監督した作品は、今のところ『インディ・ジョーンズ』シリーズと本作のみである。
総製作費は7千300万ドルで、世界での興行収入は6億1864万ドル。日本国内での興行収入は58億円だった。
主なスタッフ
監督 …… スティーヴン=スピルバーグ(50歳)
原作 …… マイケル=クライトン(54歳 2008年没)
脚本 …… デイヴィッド=コープ(33歳)
撮影 …… ヤヌス=カミンスキー(37歳)
美術 …… リック=カーター(45歳)
音楽 …… ジョン=ウィリアムズ(65歳)
特殊効果 …… スタン=ウィンストン(51歳 2008年没)
VFX …… インダストリアル・ライト&マジック( ILM)
主な登場人物
イアン=マルコム博士 …… ジェフ=ゴールドブラム(44歳)
本作での恐竜調査隊の一員。数学者でカオス理論学者。4年前のジュラシック・パーク事件(前作)の当事者でもあった。
原作小説では自身の理論の研究のために島を訪れるが、映画版では恐竜に対して強い恐怖感を抱き続けており、物語の序盤でハモンドから恐竜の生態調査チームに勧誘されるが、島を訪れることをいったんは拒否する。しかし、恋人のサラが参加してすでに島に上陸していることを知り、「調査隊ではなく救助隊だ。」と言って、サラを連れ帰ることを目的に、再び恐竜の世界へと足を踏み入れることになる。
サラ=ハーディング博士 …… ジュリアン=ムーア(36歳)
恐竜調査隊の一員。イアンの恋人で古生物学者。イアン達より先に、単身でサイトB(イスラ・ソルナ島)を訪れていた。
勇敢だが向こう見ずで、恐竜に対しても大胆な行動を見せるが、その行動が原因でエディが命を落とした。また、T-レックスの嗅覚についての知識があるにもかかわらず、T-レックスの幼体の血が付着した上着を着続けていた。その結果、T-レックスの親2頭がキャンプを襲い、多くのハンターが死亡した。
映画版では言及されないが、サラが前作に登場したジュラシック・パークの専属獣医ハーディングの娘であるという示唆が、原作小説ではなされている。
ケリー=マルコム …… ヴァネッサ=リー=チェスター(?歳)
イアンの娘。学校では体操部に所属しており、鉄棒が得意。父親のイアンに止められたが、こっそり隠れてサイトBについて来た。母親は既にマルコムと離婚しており登場しないが、黒人の血を強く引いており、ニックにも「似ていない親子」と評されている。
ニック=オーウェン …… ヴィンス=ヴォーン(27歳)
恐竜調査隊の一員。カメラマンとして参加していたが、実際はハモンドに、インジェン社の恐竜捕獲計画を妨害する目的で雇われていた。自身は女性が多いのでグリーンピースに所属していたとうそぶくが、実は「アースファースト(地球救済会)」に所属していた過激な自然保護テロリスト。T-レックスの幼体をトレーラーに連れ帰ったことで親2頭の襲撃を招いたり、装填されていた銃弾を勝手に抜いたためにハンター達が壊滅的な被害を受けるなど、彼の行動によって調査隊とハンターメンバーの多くが命を落とした。ローランドからテロリストと呼ばれ激昂したり、恐竜の檻を壊したことでキャンプが被害にあっても全く悪びれる様子を見せずに「お前たちが悪い。」と言い張るなど、とにかくハンター団を敵視している。
エディ=カー …… リチャード=シフ(42歳)
恐竜調査隊の一員。精密機械のエキスパート。かつては評判のいい大学教授だったが、物作りの現場に身を置きたいと考え転身したという異色の経歴を持つ。劇中に登場する調査隊の特殊トレーラーは彼の設計によるものである。映画版では、サラを撃退しようと襲い掛かるステゴサウルスに対し毒殺用の銃を向けたものの、「(彼らは)子どもを守ろうとしてるだけだ。」と、撃つことをためらっていた。ティラノサウルスにトレーラーごと崖から落とされたイアン達の救出に尽力するが、無惨な最期をとげる。
ジョン=ハモンド …… リチャード=アッテンボロー(73歳)
インジェン社およびハモンド財団の会長。かつて前作でジュラシック・パークを建設した実業家。恐竜の保護とルドローの計画の阻止のためにサイトBに調査隊を派遣するが、彼の軽率な行動のためにマルコムが「調査隊じゃなくて救助隊」に参加する羽目になり、また、多くの人命が失われた。原作小説によれば、コスタリカの漁師も多数犠牲になっている。
アレクシス(レックス)=マーフィ …… アリアナ=リチャーズ(17歳)
ティモシー(ティム)=マーフィ …… ジョゼフ=マゼロ(13歳)
ハモンドの孫の姉弟。4年前のジュラシック・パーク事件(前作)の当事者だった。冒頭、ハモンド邸でイアンと再会する。
ピーター=ルドロー …… アーリス=ハワード(?歳)
ハモンドの甥で、ハモンドに代わりインジェン社の社長になった。会社を立て直すためアメリカ本土のサンディエゴにジュラシック・パークの再建を計画し、恐竜ハンター団を雇ってサイトBを訪れる。叔父にも増して金の亡者であり、また恐竜や自然へのロマンといった意識も全く持っていない。
ローランド=テンボ …… ピート=ポスルスウェイト(51歳 2011年没)
ルドロー社長に雇われた恐竜ハンター団のリーダー。「史上最強の猛獣」である T-レックスを狩ることだけを目的にハンターに加わり、ティラノサウルス狩りに情熱を燃やす。ニックいわく、「『白鯨』(メルヴィルの海洋小説)のエイハヴ船長のような」人物。最後は相棒のアジャイを失った後悔の念から、ルドローと袂を分かつ。
演じたピート=ポスルスウェイトは、スピルバーグ監督から「世界一の役者」と高く評価されており、次作『アミスタッド』(同じく1997年)にも出演している。
ディーター=スターク …… ピーター=ストーメア(43歳)
ルドロー社長に雇われた恐竜ハンター団の一員。ローランドから副隊長を任せられる優秀なハンターだが、スタンガンでコンプソグナトゥスをいたぶる冷酷な人物。皮肉にも、馬鹿にしていたコンピーの大群に捕食されて死亡する。ちなみに、このディーターの死亡シーンは、前作の原作小説で描写されたハモンドの死亡シーン(映画版の前作ではハモンドは死亡しない)を映像化したものになっている。
ロバート=バーク …… トーマス=F=ダフィ(?歳)
ルドロー社長に雇われた恐竜ハンター団の一員。古生物学者。名前と、髪も髭も伸ばし放題のその容貌から、モデルはアメリカの古生物学者ロバート=T=バッカーであると思われる。
アジャイ=シドゥ …… ハーヴェイ=ジェイソン(?歳)
ルドロー社長に雇われた恐竜ハンター団の一員。短髪に黒縁メガネの中年男性。ローランドとは旧知の仲で、サイトBでは彼の相棒として行動している。ヴェロキラプトルに襲われて死亡したらしいが、映画本編では途中でローランドとはぐれて以降登場せず、その最期は描写されていない。
登場する恐竜・翼竜
コンプソグナトゥス(体長0.7~1.4メートル)
冒頭から登場し、サイトB(イスラ・ソルナ島)の海岸に訪れた旅行者家族の幼い娘に襲いかかるが、この描写は前作の原作小説『ジュラシック・パーク』の冒頭部分をもとにしている。劇中ではピラニアのように集団で、人間のような自分よりも大きな生物に襲いかかる獰猛な恐竜として描かれているが、実際には昆虫を食べていたと推測されている。
その他、マイケル=クライトンの原作小説2部作においては「コンピー」と呼ばれ、アパトサウルスなど草食恐竜の糞を食べる、いわゆる掃除屋として描かれた。小説版では、この恐竜は「プロコンプソグナトゥス」であったが、その後、プロコンプソグナトゥスが実在しないことが判明した。そこで、映画版の本作では良く似ているコンプソグナトゥスになったが、映画オリジナルの設定として、現実には存在しない「コンプソグナトゥス・トリアシクス」という種になった。これは、習性のまったく違う本来のコンプソグナトゥスに配慮したためである。
小型肉食恐竜という点で、前作におけるディロフォサウルスの役割を踏襲している。
ステゴサウルス(体長7~9メートル)
イアン達がサイトBで最初に遭遇した恐竜。群れで行動するおとなしい性質の草食恐竜だが、幼体を守る時には一転して尾のトゲを武器に激しい攻撃を加える。
パラサウロロフス(体長10~13メートル)
前作『ジュラシック・パーク』にも登場していた恐竜。前作では遠景にわずかに映るだけだったが、本作ではパキケファロサウルスと共に、本作の見所のひとつである捕獲シーンで活躍する。
パキケファロサウルス(体長4~8メートル)
頭突きでジープのドアを破壊する活躍を見せるが、劇中のような突進による頭突きを実際に行えたかについては、いまだに異論も多く結論は出ていない。前作のディロフォサウルスのように、実物よりも小さい個体が登場している。
ガリミムス(体長4~6メートル)
前作『ジュラシック・パーク』に続いて登場した。
マメンチサウルス(体長20~35メートル)
バイクに乗った恐竜ハンターが、本種の股の間をくぐり抜けるシーンがある。
巨大草食恐竜という点で、前作におけるブラキオサウルスの役割を踏襲している。
ティラノサウルス・レックス(体長11~13メートル)
原作小説と同じくオス・メス・幼体の3体が登場する。前作よりも出番が大幅に増え、クライマックスまでイアン達を苦しめる。
トリケラトプス(体長9メートル)
前作『ジュラシック・パーク』に続いて登場し、本作での個体は元気に活動していたが、出番はやはり少なかった。
ヴェロキラプトル(体長2メートル)
体色が、前作『ジュラシック・パーク』の灰一色から黒い縦縞模様が入った茶褐色に変更され、原作小説により近いものになっている。本作でも、鋭い爪と高い機動力を武器に人間を最も多く殺す恐竜として描写されている。
物語終盤では、アメリカ本土のサンディエゴにティラノサウルスのオスを運んできた貨物船が、航海中に何者かによって乗組員全員を惨殺され、無人となった状態で港の桟橋に激突する。ブリッジの操舵手は手首だけを残して食いちぎられていた。原作小説ではヴェロキラプトルや一部の小型肉食恐竜が船に密航して島から本土へ渡る描写があったが、本作は船内を無人にした真犯人が何者なのか、全く説明されずに物語が終わる。
プテラノドン(翼長7~9メートル)
本作のエンドロール直前に登場するが、物語の中で人間と絡むシーンはなく、次作『3』への伏線となるような顔見せ程度にとどまった。
舞台となった島
本作の舞台となるのは「イスラ・ソルナ島」という島で、スペイン語で「皮肉の島」という意味を持つ。この島は、「 Las Cinco Muertes(五つの死)」と呼ばれる、全体で「 C」を描くように連なる5つの諸島のひとつで、前作の舞台となったジュラシック・パーク跡地のある「イスラ・ヌブラル島」の南西140キロに位置する。
原作小説では、コナン=ドイルの古典的 SF小説『ロスト・ワールド(失われた世界)』(1912年)にちなんで、島の周縁がそびえ立つ断崖絶壁でぐるりと囲まれ、航空機を使うかロッククライミングをしなければ島の内部に入り込めない地形になっている。しかし、映画版ではごく普通に船で海岸から上陸することができるように描写されている。
イスラ・ソルナ島には、観光ではなく恐竜のクローニングと飼育を目的とした研究施設が建てられていた。この島で育った恐竜はいずれイスラ・ヌブラル島のジュラシック・パークに運ばれる予定であったが、ハリケーンの通過によって施設は壊滅状態となった。その際に島のジャングル地帯に解き放たれた恐竜たちは独自の繁栄を遂げている。
《途中なんだなぁ……どうにも。》
スティーヴン=スピルバーグによる映画『ジュラシック・パーク』(1993年)の続編。
マイケル=クライトンの SF小説『ロスト・ワールド ジュラシック・パーク2』(1995年)の映画化だが、その内容には原型をとどめないほどの大幅な変更がなされている。そのため、映画公開の際には原作ファンから強い批判を受けた。もっとも、本作は小説の執筆と同時進行で制作されており、クライトンから「私も自由に書くから、映画も自由に作っていい。」と言われていたという。アカデミー賞・視覚効果賞にノミネートされた。
前作『ジュラシック・パーク』の評価が高かったために期待された本作品は、その反動からか酷評される結果となった。第18回ゴールデンラズベリー賞においては「最低続編賞」、「最低脚本賞」、「最低人命軽視と公共物破壊しまくり作品賞」の3部門にノミネートされた。
ちなみに、監督のスティーヴン=スピルバーグが自作の続編を再び監督した作品は、今のところ『インディ・ジョーンズ』シリーズと本作のみである。
総製作費は7千300万ドルで、世界での興行収入は6億1864万ドル。日本国内での興行収入は58億円だった。
主なスタッフ
監督 …… スティーヴン=スピルバーグ(50歳)
原作 …… マイケル=クライトン(54歳 2008年没)
脚本 …… デイヴィッド=コープ(33歳)
撮影 …… ヤヌス=カミンスキー(37歳)
美術 …… リック=カーター(45歳)
音楽 …… ジョン=ウィリアムズ(65歳)
特殊効果 …… スタン=ウィンストン(51歳 2008年没)
VFX …… インダストリアル・ライト&マジック( ILM)
主な登場人物
イアン=マルコム博士 …… ジェフ=ゴールドブラム(44歳)
本作での恐竜調査隊の一員。数学者でカオス理論学者。4年前のジュラシック・パーク事件(前作)の当事者でもあった。
原作小説では自身の理論の研究のために島を訪れるが、映画版では恐竜に対して強い恐怖感を抱き続けており、物語の序盤でハモンドから恐竜の生態調査チームに勧誘されるが、島を訪れることをいったんは拒否する。しかし、恋人のサラが参加してすでに島に上陸していることを知り、「調査隊ではなく救助隊だ。」と言って、サラを連れ帰ることを目的に、再び恐竜の世界へと足を踏み入れることになる。
サラ=ハーディング博士 …… ジュリアン=ムーア(36歳)
恐竜調査隊の一員。イアンの恋人で古生物学者。イアン達より先に、単身でサイトB(イスラ・ソルナ島)を訪れていた。
勇敢だが向こう見ずで、恐竜に対しても大胆な行動を見せるが、その行動が原因でエディが命を落とした。また、T-レックスの嗅覚についての知識があるにもかかわらず、T-レックスの幼体の血が付着した上着を着続けていた。その結果、T-レックスの親2頭がキャンプを襲い、多くのハンターが死亡した。
映画版では言及されないが、サラが前作に登場したジュラシック・パークの専属獣医ハーディングの娘であるという示唆が、原作小説ではなされている。
ケリー=マルコム …… ヴァネッサ=リー=チェスター(?歳)
イアンの娘。学校では体操部に所属しており、鉄棒が得意。父親のイアンに止められたが、こっそり隠れてサイトBについて来た。母親は既にマルコムと離婚しており登場しないが、黒人の血を強く引いており、ニックにも「似ていない親子」と評されている。
ニック=オーウェン …… ヴィンス=ヴォーン(27歳)
恐竜調査隊の一員。カメラマンとして参加していたが、実際はハモンドに、インジェン社の恐竜捕獲計画を妨害する目的で雇われていた。自身は女性が多いのでグリーンピースに所属していたとうそぶくが、実は「アースファースト(地球救済会)」に所属していた過激な自然保護テロリスト。T-レックスの幼体をトレーラーに連れ帰ったことで親2頭の襲撃を招いたり、装填されていた銃弾を勝手に抜いたためにハンター達が壊滅的な被害を受けるなど、彼の行動によって調査隊とハンターメンバーの多くが命を落とした。ローランドからテロリストと呼ばれ激昂したり、恐竜の檻を壊したことでキャンプが被害にあっても全く悪びれる様子を見せずに「お前たちが悪い。」と言い張るなど、とにかくハンター団を敵視している。
エディ=カー …… リチャード=シフ(42歳)
恐竜調査隊の一員。精密機械のエキスパート。かつては評判のいい大学教授だったが、物作りの現場に身を置きたいと考え転身したという異色の経歴を持つ。劇中に登場する調査隊の特殊トレーラーは彼の設計によるものである。映画版では、サラを撃退しようと襲い掛かるステゴサウルスに対し毒殺用の銃を向けたものの、「(彼らは)子どもを守ろうとしてるだけだ。」と、撃つことをためらっていた。ティラノサウルスにトレーラーごと崖から落とされたイアン達の救出に尽力するが、無惨な最期をとげる。
ジョン=ハモンド …… リチャード=アッテンボロー(73歳)
インジェン社およびハモンド財団の会長。かつて前作でジュラシック・パークを建設した実業家。恐竜の保護とルドローの計画の阻止のためにサイトBに調査隊を派遣するが、彼の軽率な行動のためにマルコムが「調査隊じゃなくて救助隊」に参加する羽目になり、また、多くの人命が失われた。原作小説によれば、コスタリカの漁師も多数犠牲になっている。
アレクシス(レックス)=マーフィ …… アリアナ=リチャーズ(17歳)
ティモシー(ティム)=マーフィ …… ジョゼフ=マゼロ(13歳)
ハモンドの孫の姉弟。4年前のジュラシック・パーク事件(前作)の当事者だった。冒頭、ハモンド邸でイアンと再会する。
ピーター=ルドロー …… アーリス=ハワード(?歳)
ハモンドの甥で、ハモンドに代わりインジェン社の社長になった。会社を立て直すためアメリカ本土のサンディエゴにジュラシック・パークの再建を計画し、恐竜ハンター団を雇ってサイトBを訪れる。叔父にも増して金の亡者であり、また恐竜や自然へのロマンといった意識も全く持っていない。
ローランド=テンボ …… ピート=ポスルスウェイト(51歳 2011年没)
ルドロー社長に雇われた恐竜ハンター団のリーダー。「史上最強の猛獣」である T-レックスを狩ることだけを目的にハンターに加わり、ティラノサウルス狩りに情熱を燃やす。ニックいわく、「『白鯨』(メルヴィルの海洋小説)のエイハヴ船長のような」人物。最後は相棒のアジャイを失った後悔の念から、ルドローと袂を分かつ。
演じたピート=ポスルスウェイトは、スピルバーグ監督から「世界一の役者」と高く評価されており、次作『アミスタッド』(同じく1997年)にも出演している。
ディーター=スターク …… ピーター=ストーメア(43歳)
ルドロー社長に雇われた恐竜ハンター団の一員。ローランドから副隊長を任せられる優秀なハンターだが、スタンガンでコンプソグナトゥスをいたぶる冷酷な人物。皮肉にも、馬鹿にしていたコンピーの大群に捕食されて死亡する。ちなみに、このディーターの死亡シーンは、前作の原作小説で描写されたハモンドの死亡シーン(映画版の前作ではハモンドは死亡しない)を映像化したものになっている。
ロバート=バーク …… トーマス=F=ダフィ(?歳)
ルドロー社長に雇われた恐竜ハンター団の一員。古生物学者。名前と、髪も髭も伸ばし放題のその容貌から、モデルはアメリカの古生物学者ロバート=T=バッカーであると思われる。
アジャイ=シドゥ …… ハーヴェイ=ジェイソン(?歳)
ルドロー社長に雇われた恐竜ハンター団の一員。短髪に黒縁メガネの中年男性。ローランドとは旧知の仲で、サイトBでは彼の相棒として行動している。ヴェロキラプトルに襲われて死亡したらしいが、映画本編では途中でローランドとはぐれて以降登場せず、その最期は描写されていない。
登場する恐竜・翼竜
コンプソグナトゥス(体長0.7~1.4メートル)
冒頭から登場し、サイトB(イスラ・ソルナ島)の海岸に訪れた旅行者家族の幼い娘に襲いかかるが、この描写は前作の原作小説『ジュラシック・パーク』の冒頭部分をもとにしている。劇中ではピラニアのように集団で、人間のような自分よりも大きな生物に襲いかかる獰猛な恐竜として描かれているが、実際には昆虫を食べていたと推測されている。
その他、マイケル=クライトンの原作小説2部作においては「コンピー」と呼ばれ、アパトサウルスなど草食恐竜の糞を食べる、いわゆる掃除屋として描かれた。小説版では、この恐竜は「プロコンプソグナトゥス」であったが、その後、プロコンプソグナトゥスが実在しないことが判明した。そこで、映画版の本作では良く似ているコンプソグナトゥスになったが、映画オリジナルの設定として、現実には存在しない「コンプソグナトゥス・トリアシクス」という種になった。これは、習性のまったく違う本来のコンプソグナトゥスに配慮したためである。
小型肉食恐竜という点で、前作におけるディロフォサウルスの役割を踏襲している。
ステゴサウルス(体長7~9メートル)
イアン達がサイトBで最初に遭遇した恐竜。群れで行動するおとなしい性質の草食恐竜だが、幼体を守る時には一転して尾のトゲを武器に激しい攻撃を加える。
パラサウロロフス(体長10~13メートル)
前作『ジュラシック・パーク』にも登場していた恐竜。前作では遠景にわずかに映るだけだったが、本作ではパキケファロサウルスと共に、本作の見所のひとつである捕獲シーンで活躍する。
パキケファロサウルス(体長4~8メートル)
頭突きでジープのドアを破壊する活躍を見せるが、劇中のような突進による頭突きを実際に行えたかについては、いまだに異論も多く結論は出ていない。前作のディロフォサウルスのように、実物よりも小さい個体が登場している。
ガリミムス(体長4~6メートル)
前作『ジュラシック・パーク』に続いて登場した。
マメンチサウルス(体長20~35メートル)
バイクに乗った恐竜ハンターが、本種の股の間をくぐり抜けるシーンがある。
巨大草食恐竜という点で、前作におけるブラキオサウルスの役割を踏襲している。
ティラノサウルス・レックス(体長11~13メートル)
原作小説と同じくオス・メス・幼体の3体が登場する。前作よりも出番が大幅に増え、クライマックスまでイアン達を苦しめる。
トリケラトプス(体長9メートル)
前作『ジュラシック・パーク』に続いて登場し、本作での個体は元気に活動していたが、出番はやはり少なかった。
ヴェロキラプトル(体長2メートル)
体色が、前作『ジュラシック・パーク』の灰一色から黒い縦縞模様が入った茶褐色に変更され、原作小説により近いものになっている。本作でも、鋭い爪と高い機動力を武器に人間を最も多く殺す恐竜として描写されている。
物語終盤では、アメリカ本土のサンディエゴにティラノサウルスのオスを運んできた貨物船が、航海中に何者かによって乗組員全員を惨殺され、無人となった状態で港の桟橋に激突する。ブリッジの操舵手は手首だけを残して食いちぎられていた。原作小説ではヴェロキラプトルや一部の小型肉食恐竜が船に密航して島から本土へ渡る描写があったが、本作は船内を無人にした真犯人が何者なのか、全く説明されずに物語が終わる。
プテラノドン(翼長7~9メートル)
本作のエンドロール直前に登場するが、物語の中で人間と絡むシーンはなく、次作『3』への伏線となるような顔見せ程度にとどまった。
舞台となった島
本作の舞台となるのは「イスラ・ソルナ島」という島で、スペイン語で「皮肉の島」という意味を持つ。この島は、「 Las Cinco Muertes(五つの死)」と呼ばれる、全体で「 C」を描くように連なる5つの諸島のひとつで、前作の舞台となったジュラシック・パーク跡地のある「イスラ・ヌブラル島」の南西140キロに位置する。
原作小説では、コナン=ドイルの古典的 SF小説『ロスト・ワールド(失われた世界)』(1912年)にちなんで、島の周縁がそびえ立つ断崖絶壁でぐるりと囲まれ、航空機を使うかロッククライミングをしなければ島の内部に入り込めない地形になっている。しかし、映画版ではごく普通に船で海岸から上陸することができるように描写されている。
イスラ・ソルナ島には、観光ではなく恐竜のクローニングと飼育を目的とした研究施設が建てられていた。この島で育った恐竜はいずれイスラ・ヌブラル島のジュラシック・パークに運ばれる予定であったが、ハリケーンの通過によって施設は壊滅状態となった。その際に島のジャングル地帯に解き放たれた恐竜たちは独自の繁栄を遂げている。
《途中なんだなぁ……どうにも。》