長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

『軍師官兵衛』  視聴メモ 第46回『家康動く』

2014年12月17日 23時30分05秒 | 日本史みたいな
『軍師官兵衛』第46回『家康動く』(2014年11月16日 演出・本木一博)


登場する有名人・武将の『信長の野望』シリーズでのだいたいの能力評価(テロップ順)

黒田 如水      …… 知力84、統率力67
 (演・岡田准一)

黒田 長政      …… 知力77、統率力63
 (演・松坂桃李)

豊臣 淀殿      …… 知力16、統率力21
 (演・二階堂ふみ)

母里 太兵衛 友信  …… 知力44、統率力80
 (演・速水もこみち)

後藤 又兵衛 基次  …… 知力14、統率力75
 (演・塚本高史)

石田 三成      …… 知力92、統率力60
 (演・田中圭)

井伊 直政      …… 知力69、統率力81
 (演・東幹久)

小西 行長      …… 知力72、統率力48
 (演・忍成修吾)

前田 利家      …… 知力77、統率力66
 加賀・能登・越中国を治める大大名。豊臣政権五大老の一人。(演・横内正)

増田 長盛      …… 知力85、統率力37
 (演・有薗芳記)

本多 忠勝      …… 知力66、統率力84
 (演・塩野谷正幸)

榊原 康政      …… 知力45、統率力78
 (演・中村育二)

福島 正則      …… 知力45、統率力83
 (演・石黒英雄)

加藤 清正      …… 知力63、統率力81
 (演・阿部進之介)

宇喜多 秀家     …… 知力50、統率力61
 (演・武田航平)

生駒 親正(ちかまさ)…… 知力67、統率力54
 讃岐国大名。豊臣政権三中老の一人。(演・酒向芳)

徳川 家康      …… 知力102、統率力65
 (演・寺尾聰)


ざっとの感想

●大陸から何日間も軍船の中に押し込められて玄界灘をわたる黒田軍のみなさま、お疲れさまでございます!
 でも、疲弊しきって顔色も悪くなり、無精ひげも目立つわりには、みなさん月代の頭だけはきれいにツルッツルですよね。そこだけは手入れを欠かさないという、武士のたしなみなのか、それとも……まぁ、いいです。
 そこはやっぱり、山田太一監督の藤沢周平ものみたいに、もさっと髪の毛がはえ始めてるタイプの月代カツラを用意してほしかったんですが……そりゃあ、ないものねだりかなぁ~。そういうこだわりがちょっとでも見えると、俄然テンションがあがるんですけどね。

○「どのツラさげて博多までやって来たのか……」って言ったって、だからといって出迎えに行かなかったら、それはそれで「なんという無礼者!」とかってキレるんだろ!? もうどうしたって嫌われるんじゃねぇかよう!! そう言って涙目になり、まぁまぁとなだめる小西行長や増田長盛を相手に、呑めない酒を夜明けまであおり続けるダーイシなのであった……これが単なるツンデレ展開の「ツン」なのであったらば、どれだけ幸せであったことか。恩賞が出せないから、せめてねぎらいの言葉だけでもかけてあげようと思ったのに……
 このくだり、実際に博多港で長政たちをダーイシが迎える肝心のシーンが意図的に描写されていない演出に、ダーイシサイドに対するものすっごい悪意を感じますよね。つまり、長政が如水に語ったニュアンスは多分に長政の主観が入っている可能性が濃厚で、ほんとはダーイシだって、なれない笑顔を必死で作ってがんばって慰労していたのかもしれないのです。
 かわいそうになぁ……主人がおっ死んだ瞬間に、この逆境ですか。坂道を転げ落ちるように、ダーイシ残酷物語の幕が開いてしまうわけなのでした。

●行長「それにしても長かった……7年にもわたる戦! 得る物は何もなかった。無用な仲たがいが生まれただけだ……」

 あの~行長さん、よりにもよってあなたがそれを言いますか? え、おまえ、なに悠長に酒なんか呑んでんの?
 あんたがいっぱしの外交官としてもっとしっかりしてるか、切腹覚悟で大陸出兵を止めにかかるような気概を見せてたら、少なくとも今みたいな最悪の状態にはならなかったはずなんですがね。
 ダーイシを含めて、その場にいたひと全員が、「お前が言うな!!」と心の中で一致団結してツッコんだ瞬間であった。酒の席って、こわいね~。思わず本性が出ちゃうから。

○善助「かつて信長公が本能寺で斃れた際、大殿は、今は亡き太閤殿下を一気に天下人に押し上げなさった! こたびも、必ず動かれる。」
 九郎右衛門「そのこたびは、どう動かれるかのう。」
 友信「ウム、おもしろくなってきたぞ! フッフッフッフ……」

 しれっと、ご主人様のハードルをがん上げにする黒田家重臣団。いや、もうわし、隠居したいんじゃけど!? 廊下で思わず盗み聞きしてしまい、「カンベンしてよ……」とうつむく如水であった。ホント、かわいい部下たちですね!

○おっ、加藤清正さん、なんか久しぶり! 長政とか正則はしょっちゅうドラマに出てましたが、キヨマーだけは、なぜか「大陸に取り残されてます。」みたいなセリフ処理だけで、ず~っと登場してませんでしたもんね。
 出番が少ないせいか、この『軍師官兵衛』では、なんだか他の若手2人よりもず~っとおとなしい印象のあるキヨマーなんですが、大陸では、そりゃもうとんでもない猛将として恐れられまくってたわけでありまして……そこらへんが描かれなかったのは、非常に残念でしたね。彼のそのへんについては、マンガの『へうげもの』を参照すればよいかと思います。同一人物とはとても思えませんよね。
 『へうげもの』でのキヨマーの最後らへんは、カッコイイ男っぷりのオンパレードでしたよね! 特別出演で、大清帝国初代皇帝まで出てたし! ちなみに、加藤清正はヌルハチよりも2歳年下です。すっげぇ取り合わせ……

○おっそ! 前田利家、出てくるのおっそ!! しかも、初登場してセリフのひとっつめからイヤ~な咳してるし!! これはもう、長くて来週くらいまでの命かな……
 ただ、こんなに少なさそうな出番なのに、演じておられるのがあの横内正さまなんだから、なおさら始末が悪い! 横内さまっていうたらあーた、『水戸黄門』の格さんで、『暴れん坊将軍』の大岡越前守なのよ!? サポーターとしてこんなに頼もしい役者さんが、他にいらっしゃるでありましょうか!?

 いやぁみなさん、「殿下がお亡くなりになり、豊臣家にとって今は大事なとき……フンッ、寝込んでなど、おられませぬ……」と語りながら、実にしれーっとした表情で、隣の家康をちらっと見る演技、観ました!? すごいねぇ~、とんでもなく密度の高い名演ですね。
 その、たった数秒のしぐさと数行のセリフのみで、前田利家という大人物に関する、「秀吉のマブダチ中のマブダチ」、「昔はそうとう怖い武将だったらしいオーラ」、「家康さえも黙らざるを得ない威風」、そして、「余命いくばくもないことへの無念」といった膨大な情報を、これでもかというまでの濃度でギュウギュウに詰めて発信してるんですからね! ヨコ様は、やっぱりすばらしい!! 自分の演じる役柄のポジションをよく理解しておられる。
 その演技がすごいだけに、史実の前田利家の「残り時間の少なさ」がホントに身に迫って惜しく感じられるわけなんですが、「タヌキの皮をかぶったオオカミ」と「もと狂犬」の最後の対決、とくと楽しませていただきます!
 肖像画の前田利家ってもっと、痩せてたころの長渕剛みたいな枯れた風貌のおじいさんなんですが、まぁ、ヨコ様でもいいですよね。お顔いっぱいのまっ白ひげときたかぁ。犬千代はサンタクロース♪ 咳してるサンタクロース♪

○この『軍師官兵衛』における増田長盛と小西行長って、ほんとに親しい実力者がその2人だけっていうダーイシがかわいそうでしかたなく見える貧相なメンツなんですが、それでも、「よし、わしが宇喜多、毛利を説いてまわる!」とか「わしは、前田と上杉に話をつける!」とか、けなげにがんばってくれるから泣けてきますよね……ここでダーイシが「もういいんだ、みんな! 死ぬのはおれだけでいいから、さっさと家康に頭下げて取り入れ!」なーんて言ったら、もう最高の青春映画なんですけどね。
 まぁ、「よし……とりあえずみんな、友だちをふやそう!!」くらいが最良の策かな。

○「だぁから、ただの勘違いでしたって謝ってんじゃねぇか! それ以上うだうだ言いやがるんならこっちにも考えがあんぞ!? 大老から降ろせるもんなら、降ろしてみやがれコノヤローバカヤロー!!」

 という、なんだか大河ドラマというよりは『アウトレイジ』みたいな論理で逆ギレする家康。こここ、こわ~い! 結局、力なき規則なぞはおトイレの役にも立たない、ということなのでありましょうか……まさに、乱世!!
 でも、よくよく冷静になって考えてみたら、これはその場の雰囲気に呑まれて退散してしまった生駒のほうが、格段に力量不足でしたよね。そこは家康以外の4大老の総意という形なんですから、それを盾にして、「い、言いたいことがあったら、大坂城に来てくだしゃ~い!」と強気でいけば、まぁどうにかなったはずなのです。
 これはアレよ、なんの事情だかはわかんないけど、中老なんていうケチなランクの生駒ちゃんを特使にしちゃったダーイシサイドの致命的な失敗ですよね。ここの人選で、ほぼ大勢は決したのではないのでしょうか。攻撃の初手は絶対にケチっちゃダメよ!!

○「この前は秀次を止めたかと思ったら、今度はまた長政かよ……わし最近、ひとの挙兵を止めてばっか!」
 というグチを言ったか言わずか。秀吉没後も、如水の憂鬱はまだまだ続くのであった。

 ところで、実年齢で言えば、父子を演じるのはなかなかに至難の業な岡田さんと桃李くんなんですが(8歳差)、ここにきて意外といい方向に効いてきているのが、お2人の「身長差」なんですよね!
 つまり、両者の役のキャラクターを考えてみると、「若き日の失敗を忘れず、慎重な熟慮を常に忘れない老将」という如水が小柄で、「武断派のホープで気性も激しく、苛烈な国際戦争を経験して自信もつけてきている若き大名」という長政が見るも立派な長身という対比が、少々の老けメイクなんか吹き飛ぶくらいに説得力をもってくるんですよね。単体で見ればまったく若いんですが、長政といっしょにいると実に親父っぽくなるんだよなぁ、岡田さん演じる如水が。
 背が低いというのは、岡田さんにしてみれば職業柄あんまりアピールしたくはない特徴だとは思うんですが、この『軍師官兵衛』では、ものすごくいい味わいになっていると思いますよ。逆に、桃李くんくらいに背が高くなっちゃうと、日本の甲冑が似合わなくなるような気もするし。
 こういう後半生の如水を見ていると、やっぱり私は『太平記』(1991年)での、将軍になってからの足利尊氏の苦悩の日々がオーバーラップしちゃうんだよなぁ。時代も立場もまるで違うけど、いろんな事情でやりたいことはやれてないんだけど、理想と信念だけは変えずにもち続けている男って、惚れるよねぇ。

○「じいちゃん、あんたもうすぐお迎えが来ちゃうんだから、ここで家康をやっつけて天下をとったって、どうせもとの木阿弥だよ。ムリしないでおだやかな余生を送りやがれってんだよ、こんちくしょー♡ 」

 という、まるでマムちゃん( TBSラジオ)みたいな論理で利家にせまる如水。あなた、最近言ってることが行き当たりばったりすぎじゃない?
 でも、どうせその場に息子の前田利長(俳優クレジットなし)がいるんだったら、父子そろって、「いや、ワシが死んでも利長がちゃーんとあとを継いでくれるわい! ごらんください、これが新しい『前田幕府』のグランドプランです!」とかって言いながらパワーポイントでプレゼンすればよかったのにねぇ。「え……豊臣政権は?」と唖然とするダーイシ。

○おね「この日本国に太平の世が続くなら、徳川殿でも前田殿でも、誰でもよい! 最もふさわしき方が、天下人となればよい……」

 うわー、バアちゃん、言っちゃったな! ぶっちゃけ、わたしが産んだ子じゃねーし!!

○横内さんの前田利家もずいぶん遅い登場だったんですが、のちに黒田家の深い縁者となる徳川栄姫(家康の妹の娘)15歳もやっと登場しましたね。
 吉本実憂さん、ラジオ日本の『 X21 吉本実憂カラフルボックス』けっこう聴いてます。がんばってくださーい。

○まさか、大河ドラマで「育児放棄問題」が語られる世になってしまったとは……せちがれぇ~!! でも基本的に大名は、子どもは子育てのプロフェッショナルたちに任せて、自分たちでは育てませんからね……あんまり、現代ほど深刻じゃない日常茶飯事だったのかも!? 糸姫、ちょっと休んでたら?

○今週の「寺尾家康の右目オープン時間」は、10秒間でした。だから、なんなんだってばよ……
 あれかな、右目で見ると相手の本心が読めるとかっていう、X-MEN 的ななんかなのかな? なんか、あんまりそんなに役に立ってるようには見えないんだけど……

○家康「石田殿の命にも、まだまだ使いみちはある……違いますかな?」
 こわいねぇ~、やっぱり寺尾家康は! 豊臣政権に対する不平不満をぜ~んぶひっかぶっておっ死んでいただくという算段か。利家も来週までもたずに死んじゃったし、今週の展開で、だいたい家康の天下獲りは完成しちゃいましたね。
 さぁ、どこまで意地を見せるか、ダーイシ、そして如水!?


結論、「第47回がとてもたのしみです。」

 「わしは、我が道を行く!!」

 またしても、いまいち内容のはっきりしない発言をドーンと繰り出す如水だったのですが、善助が勝手に、「天下を取るんですねわかります。」と解釈してくれちゃったから、なんだかそういうテンションになっちゃった! みたいな、実に黒田家らしい展開で来週へと続くのであった。
 でも、こういうバカっぽさって、なんかいいですよね。人生を揺るがす大きな分岐点って、けっこうそんなもんですもんね。

 う~ん、なんか、本放送の最終回(12月21日放送予定)に、この企画がまったく追いつけそうにない空気になってきたんですが……ま、いっか! 自分なりのペースでえっちらおっちらやっていきましょう。

 これ、世間ではとっくに『花燃ゆ』の放送が始まっちゃってるっていう状況で完結するぞ……でも、いいんじゃないですかね、『花燃ゆ』、私たぶん観ないと思うから。休み休み、来年2015年は私、大河ドラマ休みま~っす!!
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