映画『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』(2011年4月公開 93分 東映)
映画『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』は、特撮 TVドラマシリーズ『仮面ライダー』シリーズの劇場版作品である。キャッチコピーは、「世界よ、これが日本のヒーローだ!!」。仮面ライダー生誕40周年記念・東映創立60周年記念作品。
タイトルの『レッツゴー仮面ライダー』は、シリーズ第1作『仮面ライダー』(1971~73年)の主題歌『レッツゴー!! ライダーキック』へのオマージュである。上映当時の現行作品であるシリーズ第21作『仮面ライダーオーズ』、これまでに幾度も劇場版が制作されたシリーズ第17作『仮面ライダー電王』と共に、仮面ライダー1号・2号が主演格を務め、歴代の仮面ライダーも登場する。そして今回は主人公ライダー27名だけではなく、『オーズ』の仮面ライダーバースをはじめとする平成のサブライダーも参戦し、総勢63名から成る「真のオールライダー」の集結がかなった。ただし、一部のサブライダーや劇場版限定登場のライダーの大半は登場していない。
さらに、本作では『仮面ライダー』と同じ石ノ森章太郎原作の特撮作品の『人造人間キカイダー』(1972~73年)、『キカイダー01』(1973~74年)、『イナズマン』(1973~74年)、『快傑ズバット』(1977年)から主人公ヒーロー4名がゲストとして登場する。これについて白倉伸一郎プロデューサーは、当時の子供たちが親になった40年を一区切りと考え、「人それぞれ、ヒーローが異なると思いますが、本作品では当時憧れたヒーローに再会できます。」と語っている。
敵側では、昭和・平成の歴代組織や怪人と結託して格段に巨大化したショッカーが登場。シリーズ第19作『仮面ライダーディケイド』で再登場したアポロガイスト・シャドームーン・ジャーク将軍・キングダーク・ドラスの他に、『仮面ライダー』のブラック将軍・ショッカー首領、『仮面ライダーストロンガー』(1975年)のジェネラルシャドウ・岩石大首領、『仮面ライダー BLACK 』(1987~88年)の大神官ダロムが登場する。
物語の世界観は、1971年から多くの仮面ライダーたちが40年に渡って悪と戦ってきたという設定となっており、これまで各作品ごとに独立していた平成作品の世界観も、昭和作品から続いているようになっている。
キャストは、仮面ライダー1号(本郷猛)、2号(一文字隼人)、V3(風見志郎)をそれぞれ演じた藤岡弘、・佐々木剛・宮内洋の3名が各ライダーの声で出演する。3名の劇場版での共演は『仮面ライダーX 五人ライダー対キングダーク』(1974年)以来37年ぶりであり、TVシリーズも含めれば『仮面ライダーストロンガー』以来である。また、単独の出演としても、藤岡は TVスペシャル『全員集合!7人の仮面ライダー!!』(1976年)、佐々木と宮内は TVスペシャル『10号誕生!仮面ライダー全員集合!!』(1984年)以来である。
またショッカー側でも、ショッカー大首領役としては最後の出演となった納谷悟朗(2013年没)をはじめとして、原典のオリジナルキャスティングとなっている。
全国273スクリーンで公開され、公開初日の土日2日間のみで興行収入約3億5百万円・動員約26万人を記録し、映画観客動員ランキングで初登場第1位を獲得した。さらに公開第2週も首位となったために2週連続第1位となり、これは仮面ライダー劇場版シリーズでは初となる快挙であった。平成ライダー劇場版シリーズとしても、本作品で累計成績が動員1600万人・興行収入200億円を突破し、本作の最終興行収入は13億3千万円を記録した。
あらすじ
仮面ライダーオーズは3体のモールイマジンと戦うが、モールイマジンは偶然居合わせた少年の記憶をたどって過去に逃亡する。そこへ、時の列車・デンライナーとともに野上幸太郎と相棒のテディが登場し、火野映司とアンクは彼らとともにモールイマジンの後を追って、1971年11月11日の世界に向かう。1971年の世界で、仮面ライダー NEW電王はモールイマジンを倒すが、その際にアンクは1枚のセルメダルを落としてしまう。
現代に戻った映司とアンクは、見知らぬ少年のナオキとミツルにオーメダルを盗まれてしまう。後を追って訪れたのは見覚えのないスラムで、現れた警官はナオキとミツルの窃盗を取り締まるどころか、怪人に変貌して暴れ回る。映司とアンクが戻ったはずの現代日本は、なんと悪の組織・ショッカーによって、40年以上も支配されていた。しかも、仮面ライダー1号・2号がショッカー最強の戦士として君臨している。これは、1971年の世界でアンクが落としたセルメダルが原因となって生じた、時間改変によるものだった。ショッカーに回収されたセルメダルが、独自に開発されたショッカーメダルに吸収されたことで最強怪人「ショッカーグリード」が誕生し、ショッカーグリードに敗北した1号・2号がショッカーに洗脳されたため、1号・2号以降のライダーは誰も誕生しないことになってしまったのだ。だが、特異点ゆえに時間の影響を受けない幸太郎と、彼に同行していた映司だけは生き残っていた。そして、ショッカーは後世に現れる多くの大組織と結託し、日本を自らの支配下に置いていた。
ショッカーは世界を完全に制圧すべく、さらなる侵攻を開始。映司が現代にとどまって怪人連合を迎撃する一方、幸太郎たちは歴史を修正すべく、再び1971年の世界へと向かう。
主な登場人物、用語
火野 映司 / 仮面ライダーオーズ …… 渡部 秀(19歳)
本作の主人公。定職・貯金・住居も持たずに各地を放浪している21歳の青年。常にエスニック調のファッションを好んで着用している。世の中を達観した様子さえみせるマイペースな性格。しかし、長旅で何度も修羅場を潜ってきた経験から、危険な状況や戦闘の渦中にあってもほとんど動揺することはなく、生身でヤミーを退ける程に身体能力も高いが、ヘビだけは苦手で、恋愛・女性心理に疎いことがコンプレックスになっている。「クスクシエ」に住み込みのアルバイト従業員として働いている。
元は裕福な政治家一族の出身で、学生時代から困った人を助け、世界中の子どもたちを救うこと・世界を変えることを目標とし、多額の寄付や紛争地帯への旅を行っていた。だがその寄付が内戦の資金に利用されて情勢が悪化し、アフリカの紛争地帯の村で心を通わせた少女を目の前で失い、自身も武装勢力の人質にされたが、政治家である家族の根回しにより釈放され、さらにこの一件を「戦地を救った勇敢な政治家の息子」という美談に仕立て上げられてしまった。この事件以来、実家とは距離を置き、世界という現実の前での無力感や、無思慮な善意で多くの人を犠牲にしてしまい自分だけが無事に生還してしまった罪悪感から、自分自身の欲望や、自らの命に対する執着さえも失っている。周囲の願いやエゴを自らが引き受け、己の命も全く顧みない度を越えた自己犠牲はアンクからも危惧されている。そのために、多くの欲望を許容できることから、欲望の結晶であるオーメダルを使用しても暴走することのない「オーズの器」を持つ、仮面ライダーオーズの最適合者(変身者)となった。
本作では、先輩ライダーたちのことを知ろうと、1号からストロンガーまでの協力者だった立花藤兵衛が作成したデータベースを入手し、歴代ライダーや戦っていた組織のことを調べていた。
アンク …… 三浦 涼介(24歳)
映司に協力する鳥系グリード。本体は右前腕部しか実体化していないため、ヤミーの生成といった本来の能力をほとんど失っている。
不完全な「モノ」でしかない自分を含めたグリードを嫌悪しており、バラバラにならない「強い体」と世界の美しさを感じ味わうことができる「命」を持つ完全な存在へと進化するために、他の全てのコアメダルを独占しようと暗躍する。
右腕だけの状態で飛行して移動もできるが行動が制限されるため、普段は人間の泉信吾の肉体に憑依して行動する。人間態のままヤミーと互角以上に渡り合えるほどの戦闘能力がある。映司と共に「クスクシエ」に居候することになり、仕事(コスプレ)は拒むものの、店には顔を出している。復活・憑依後に食べて初めて「美味い」と感じたアイスキャンディーを気に入って頻繁に口にしている。
ケチでがめつく計算高い性格で、常に相手に嫌味を言う毒舌家。表向きは物事を損得勘定でしか捉えないリアリストであるが、「世界の美しさを感じる本当の『命』が欲しい」という行動原理から、根はロマンチストであるとも言える。
泉 比奈 …… 高田 里穂(16歳)
服飾系専門学校に通う少女で、アンクが憑依している青年・泉信吾の妹。18歳。
華奢な見た目とは裏腹に、260キログラムのライドベンダーを軽々と持ち上げる程の人並外れた怪力の持ち主で、それが元で「クスクシエ」のアルバイトに採用されるが、彼女自身はコンプレックスの種にしている。
困っている人を放っておけない義侠心あふれる性格。両親は既に他界しているためか、唯一の家族である兄の信吾を慕っている。街中で困っていた映司を助けて知り合う。映司のヤミー探索を進んで手伝うことも多く、持ち前の怪力でグリードに立ち向かうこともある。
当初はアンクを信吾と誤解したが、映司から事情を聞いて以降は、アンクを「信吾の生命を維持している怪物」と認識し、アンクを見張り抑止力となっている。映司やアンクと関わっていくうちに、映司の歩んできた過去や他人に手を伸ばす彼自身の思いを理解していき、アンクに対しても情がわいてきている。
クスクシエ
『仮面ライダーオーズ』の舞台である、東京都武蔵野市夢見町にある、日替わりで世界各国の料理を出す多国籍料理店。従業員は毎回、料理のテーマに沿った衣装(コスプレ)に身を包む決まりとなっている。
本作で、クスクシエのある土地には40年前に、立花藤兵衛が経営する喫茶店で、少年仮面ライダー隊の本部でもあった「スナック・アミーゴ」があったことが判明する。
ナオキ …… 吉川 史樹(13歳)、ささき いさお(68歳)
冒頭でモールイマジンに襲われた少年。なぜか「1971年11月11日」に関する記憶を持っている。時間が改変された現代では、ミツルたちと行動を共にしている。戦いの最中、改変前の1971年の日本に取り残されるも、後に2011年において、成長した壮年の白衣の男として現れる。
ミツル …… 今井 悠貴(12歳)
時間が改変された現代でスラムで暮らす少年たちのリーダー。父親がショッカーに研究員となる人材として拉致されたため、悪に支配された世界を憎んでいる。
シゲル …… 林 遼威(ろい 10歳)
時間が改変された現代でミツルたちと共にスラムで暮らす少年。ミツルとともにスリの悪行をするが映司に諭される。
少年仮面ライダー隊
1971年の過去の世界で、仮面ライダー1号・2号を助ける5人の少年少女。原典ではショッカーの動きを察知して仮面ライダーに知らせるものの、ショッカーに捕まってしまうことが多かったが、本作では自転車を使った連携攻撃でショッカー戦闘員に立ち向う勇敢な活躍を見せる。
ノッコ …… 恒松 祐里(12歳)
1971年の過去の世界で登場する、少年仮面ライダー隊の少女隊員。アンクが落としたセルメダルを探しにやってきた幸太郎のそばにいたモモタロスたちを見てショッカーの怪人だと勘違いする。40年前に取り残されたナオキとは後に結ばれ、ミツルの母親となる。
野上 幸太郎 / 仮面ライダー NEW電王 …… 桜田 通(19歳)
仮面ライダー NEW電王に変身する青年。本作では、髪を金髪に染めている。
テディ …… 小野 大輔(32歳)
幸太郎の相棒である青鬼型イマジン。一人称は「私」。礼儀正しく謙虚な性格で、誰よりも幸太郎を気にかけており、幸太郎に降りかかる災難を陰ながら回避したりしている。幸太郎に直接憑依することはないが、戦闘の際は銃剣「マチェーテディ」に変身し、幸太郎がカウントダウンでとどめを刺す際にはカウント役を務める。幸太郎をサポートするイマジンたちの中でも影が薄いらしい。
本作では仮面ライダーの歴史について詳しいことが判明し、オーズやアンクの存在も知っていた。1971年の世界でいったん命を落とすが、歴史修復によって復活した。
オーナー …… 石丸 謙二郎(57歳)
デンライナーのオーナー。素性や目的などは一切不明の壮年の男性。しばしばデンライナーの食堂車に現れる。デンライナーや時の運行、分岐点などの詳細を知る人物は彼と駅長のみだが、そのことを他人に漏らすことはない。時間の干渉を受けない。
常に無表情ながらも飄々としているが、時の運行を乱す者やデンライナーのルールに反する者に対しては一転して厳しい表情を見せ、「乗車拒否」などの強力な権限を行使する。しかし、時には粋な計らいを見せることもある。好物は、客室乗務員のナオミが作る料理(特にチャーハン)。
ナオミ …… 秋山 莉奈(25歳)
デンライナーでアルバイトをしている客室乗務員。主に食堂車勤務だが、車内アナウンスなども務める。奇抜な格好をしており、両腕と両足首には大量の腕時計を装い、髪は1束だけ濃いピンク色のメッシュが施されている。天真爛漫かつ能天気な性格で、デンライナー内でのイマジンたちの騒動をむしろ楽しみ、必要以上に煽ることもある。「~しまーす」、「~ですよぅ」などのぶりっ子口調が特徴。しかも、自分に都合の悪いことには無関係を装ってしれっと誤魔化すなど、面の皮が厚くしたたかな一面もある。
モールイマジン1・2・3
物語の冒頭に登場。オーズに追い詰められていたところをナオキに取り憑き、1971年に逃走したイマジンたち。このことがきっかけとなり、今回の事件が起こる。仮面ライダー NEW電王に敗れて全滅した。それぞれクローハンドに赤い服、アックスハンドに青い服、本作で初登場したドリルハンドに黄色い服の姿をしている。
ショッカー
ショッカー大首領を頂点に全世界の征服を企む悪の組織。大首領は本作で改変される前の歴史では、仮面ライダーたち(1号~ZX )が戦ってきた諸悪の根源でもあった。
本来の歴史ならば、ショッカーは1号・2号の活躍によって壊滅したはずだったが、歴史の改変で最強怪人「ショッカーグリード」を完成させ、ダブルライダーを敗北に追い込み洗脳する。その後、歴代の仮面ライダーたちが戦うはずだった様々な大組織と結託し、国際連合などの世界の主要機関をほぼ制圧。2011年の時点では、ダブルライダーとショッカーグリードの存在によって世界の組織の中でも最も強大な存在となっている。ショッカーに支配された日本は貧富階層の差が激しい優者必勝社会となっており、廃墟とスラムが蔓延していた。
組織はショッカーからドーパントまでの様々な怪人の軍団で構成され、ショッカー大首領と、国連参加国首脳の地位に立った11名の各組織最高幹部の下に統率されている。前々作『オールライダー対大ショッカー』(2009年)の大ショッカーでは、同じシーンに多数の怪人を登場させたために、音声などが不自然な形になっていた(言語能力のない怪人がしゃべる、獣の怪人が虫の羽音を立てる、女性の怪人が男性の声を発するなど)が、本作では個々のオリジナルでの声が多く使用されており、爆発演出なども歴代シリーズの各作品に合わせたものとなっている。
なお、昭和の歴代シリーズで主に納谷悟朗が声を担当していた「悪の組織の全ての黒幕」としての大首領が平成ライダーシリーズに登場したのは本作が初めてであり、前作・前々作の『仮面ライダーディケイド』の世界観ではこの大首領はすでに存在しておらず、空位となった大首領の座をシャドームーンやネオ生命体がうかがうといった構図になっている。
ショッカー大首領 …… 納谷 悟朗(81歳 2013年没)
原典の TVシリーズ『仮面ライダー』(1971~73年)と同じく、赤いフードで顔を隠した姿をしている。ショッカーのみならず、同盟関係にある様々な悪の組織の頂点に君臨する存在になっている。本作では自ら戦闘もし、一つ目や両手からの光弾、頭部に生えた無数の蛇を伸ばして行う締めつけや投げつけ、蛇の口から連続して火炎弾して放つなどの多彩な攻撃で、28大ライダーを圧倒する。
さらには岩石大首領へと姿を変えるが、デザインは原典の『仮面ライダーストロンガー』(1975年)のものとは異なり、身の丈は4000メートルを超える(『ストロンガー』時は数十メートル級)。アポロガイスト曰く、大首領がこの姿になることは世界の滅亡を意味し、全てを破壊し尽くすまで止まらないと言われている。その巨体は溶岩や噴石を放ち、その一挙手一投足が、人智を超えた天災クラスの破壊力を誇る。変身時には怒りに同調するかのように周りの山々が噴火し、空は黒く染まり、大きな地割れが発生した。その規格外の力でライダーたちを追い込むが、全仮面ライダーによる必殺技「オールライダーブレイク」でその身を貫かれ、崩壊した。
ブラック将軍 / ヒルカメレオン …… 福本 清三(68歳)
2011年の時点でのショッカー最高幹部。デザインは原典の『仮面ライダー』時と同一。
1971年11月11日にアンクが落としたセルメダルを大首領に献上して最強怪人ショッカーグリード誕生のきっかけを作り、その後、メダルを回収するために現れた仮面ライダー NEW電王およびモモタロスと対決する。
サーベルを振るって、変身前の状態でも仮面ライダーと互角に戦えるうえ、ヒルカメレオンへの変身後は周囲の背景に溶け込む擬態能力で仮面ライダーオーズと NEW電王を翻弄する。さらに、セルメダルを奪回されたときに備えて偽物のメダルを用意しておくという周到な一面も見せた。
アポロガイスト …… 川原 和久(声を担当 49歳)
2011年の時点での GOD機関大幹部。ショッカー大首領の発言に反発したゴルゴムとクライシス帝国を諌める言動をとる。歴代仮面ライダーが復活した際には、宿敵である Xライダーと対決した。
キングダーク …… 飯塚 昭三(声を担当 77歳)
2011年の時点での GOD機関大幹部。原典同様にマントをまとい、平常時は寝そべっている。ショッカーの主要なメンバーが倒された後にようやく立ち上がるが、岩石大首領の起こした地割れに巻き込まれてしまう。
十面鬼ユム・キミル …… 石川 英郎(声を担当 41歳)
2011年の時点での秘密結社ゲドン首領。ショッカーと結託した組織や種族から集った11名の代表者のひとりとして登場する。最終決戦では仮面ライダーオーズと戦闘した。
ジェネラル・シャドウ …… 柴田 秀勝(声を担当 74歳)
2011年の時点でのデルザー軍団代表。実質的にはショッカーの直属の幹部となっており、ショッカー警察を指揮してゲリラ狩りも行っていた。歴史が改変された世界(仮面ライダー1号と2号が敗れた世界)で、仮面ライダーオーズを相手に戦う。最終決戦ではオールライダーに押されて逃亡を謀るも、遅れてやってきたキカイダー、キカイダー01、イナズマン、ズバットの必殺技を受け、爆死した。
大神官ダロム …… 飯塚 昭三(声を担当 77歳)
2011年の時点での暗黒結社ゴルゴム大幹部。人間の文明や文化を破壊し、優れた人間だけを怪人に変えた怪人だけの世界を創ろうとするゴルゴムの理想に反することから、クライシス帝国のジャーク将軍共々、ショッカーの理念に反対していたが、まずは人間世界の征服を優先させる方針を受け入れる。
最終決戦では自らは戦うことなく、岩石大首領の起こした地割れに飲み込まれた。
シャドームーン …… てらそま まさき(声を担当 48歳)
2011年の時点での暗黒結社ゴルゴム最高幹部。しかし、ショッカー主催の会議での代表席には、なぜか部下の大神官ダロムが座っていた。オーズや NEW電王らを「シャドービーム」で苦しめるが、仮面ライダーディケイドとサタンサーベルを振るい対決して敗れた。
ジャーク将軍 …… 加藤 精三(声を担当 84歳 2014年没)
2011年の時点でのクライシス帝国最高幹部。暗黒結社ゴルゴム代表の大神官ダロムと同様に、人類滅亡がクライシス帝国の目的であるため、優秀な人間は怪人連合の一員として迎えるというショッカーの方針に反発するが、まずは世界征服という提案を暫定的に受け入れる。最終決戦では仮面ライダー NEW電王と対決するが、最後は岩石大首領が起こした地割れに飲み込まれた。
その他、平成ライダーシリーズからは、ン・ガミオ・ゼダ(グロンギ族)、水のエル(アンノウン)、ケルベロス(アンデッド)、アルビノレオイマジン(イマジン)、テラー・ドーパント(ドーパント)が各組織の代表として登場している。
ショッカーグリード …… 石川 英郎(声を担当 41歳)
ショッカーが独自に研究していたコアメダル「ショッカーメダル」が、過去を訪れたアンクが落としたセルメダルを吸収することによって誕生した、ショッカーの創造した本作オリジナルのグリードにして、ショッカー最強の怪人。腰に巻いているベルトにはショッカーの紋章が刻まれている。
その性格は、まさしくショッカーの在り様を反映したように自身の悪の実力に絶対的な自信を持っており、敵ならば幼い子供が相手でも完膚なきまでに叩き潰す意を示す。
ショッカーの紋章であるワシに酷似した姿をしている。ただし、ワシの顔の下にガスマスクのような顔があったり、眼・肩部からヘビが突き出ており、ゲルショッカーの紋章である「ヘビが絡みついたワシ」のようにも見える。
メダル状の複数のエネルギー弾をマシンガンのような勢いで連続して放ち、圧倒的なパワーで一度は1号・2号を敗北に追い込み、NEW電王・モモタロス・オーズを圧倒した。だが、2011年の再戦の際には1号・2号による「ライダーダブルキック」で倒された。
怪人
ザンジオー、ジャガーマン、毒トカゲ男、シオマネキング、イカデビル(声・関智一)、ガラガランダ(声・鈴村健一)、ガニコウモル、カメバズーカ、コマサンダー、タイガーロイド、怪魔ロボット・シュバリアン、改造兵士レベル2、ネオ生命体ドラス、コブラ男ガライ、ショッカー骨戦闘員
なお、イカデビルとガラガランダは、過去シリーズではショッカー大幹部の死神博士と地獄大使の変身した怪人形態だったが、本作では大幹部としては登場していない。
登場する仮面ライダー
仮面ライダー1号(声・藤岡弘、)、仮面ライダー2号(声・佐々木剛)、仮面ライダーV3(声・宮内洋)、ライダーマン(声・穴井勇輝)、仮面ライダーX(セリフなし)、仮面ライダーアマゾン(声・関智一)、仮面ライダーストロンガー(声・関智一)、スカイライダー(セリフなし)、仮面ライダースーパー1(セリフなし)、仮面ライダーZX(セリフなし)、仮面ライダーBLACK & BLACK RX(穴井勇輝)、仮面ライダーシン(セリフなし)、仮面ライダーZO(セリフなし)、仮面ライダーJ(セリフなし)、仮面ライダークウガ(セリフなし)、仮面ライダーアギト(セリフなし)、仮面ライダー龍騎(セリフなし)、仮面ライダーファイズ(セリフなし)、仮面ライダーブレイド(セリフなし)、仮面ライダー響鬼(セリフなし)、仮面ライダーカブト(セリフなし)、仮面ライダー電王(セリフなし)、仮面ライダー NEW電王、仮面ライダーキバ(セリフなし)、仮面ライダーディケイド(セリフなし)、仮面ライダーW(演・桐山漣&菅田将暉)、仮面ライダーオーズの、主人公ライダー27名と、仮面ライダーバース(声・岩永洋昭)ら平成サブライダー36名を合わせた、計63名
主なスタッフ
監督 …… 金田 治(61歳)
脚本 …… 米村 正二(47歳)
音楽 …… 中川 幸太郎(42歳)
撮影 …… いのくま まさお(71歳)
キャラクターデザイン …… 早瀬 マサト(46歳)、阿部 統(36歳)
ショッカーグリードデザイン …… 出渕 裕(52歳)
イマジン怪人デザイン …… 韮沢 靖(47歳)
特撮監督 …… 佛田 洋(49歳)
アクション監督 …… 宮崎 剛(47歳)
主題歌『 Let's Go RiderKick 2011』(歌唱・仮面ライダーGIRLS )
※『仮面ライダー』(1971~73年)の主題歌『レッツゴー!! ライダーキック』のリメイク曲。
映画『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』は、特撮 TVドラマシリーズ『仮面ライダー』シリーズの劇場版作品である。キャッチコピーは、「世界よ、これが日本のヒーローだ!!」。仮面ライダー生誕40周年記念・東映創立60周年記念作品。
タイトルの『レッツゴー仮面ライダー』は、シリーズ第1作『仮面ライダー』(1971~73年)の主題歌『レッツゴー!! ライダーキック』へのオマージュである。上映当時の現行作品であるシリーズ第21作『仮面ライダーオーズ』、これまでに幾度も劇場版が制作されたシリーズ第17作『仮面ライダー電王』と共に、仮面ライダー1号・2号が主演格を務め、歴代の仮面ライダーも登場する。そして今回は主人公ライダー27名だけではなく、『オーズ』の仮面ライダーバースをはじめとする平成のサブライダーも参戦し、総勢63名から成る「真のオールライダー」の集結がかなった。ただし、一部のサブライダーや劇場版限定登場のライダーの大半は登場していない。
さらに、本作では『仮面ライダー』と同じ石ノ森章太郎原作の特撮作品の『人造人間キカイダー』(1972~73年)、『キカイダー01』(1973~74年)、『イナズマン』(1973~74年)、『快傑ズバット』(1977年)から主人公ヒーロー4名がゲストとして登場する。これについて白倉伸一郎プロデューサーは、当時の子供たちが親になった40年を一区切りと考え、「人それぞれ、ヒーローが異なると思いますが、本作品では当時憧れたヒーローに再会できます。」と語っている。
敵側では、昭和・平成の歴代組織や怪人と結託して格段に巨大化したショッカーが登場。シリーズ第19作『仮面ライダーディケイド』で再登場したアポロガイスト・シャドームーン・ジャーク将軍・キングダーク・ドラスの他に、『仮面ライダー』のブラック将軍・ショッカー首領、『仮面ライダーストロンガー』(1975年)のジェネラルシャドウ・岩石大首領、『仮面ライダー BLACK 』(1987~88年)の大神官ダロムが登場する。
物語の世界観は、1971年から多くの仮面ライダーたちが40年に渡って悪と戦ってきたという設定となっており、これまで各作品ごとに独立していた平成作品の世界観も、昭和作品から続いているようになっている。
キャストは、仮面ライダー1号(本郷猛)、2号(一文字隼人)、V3(風見志郎)をそれぞれ演じた藤岡弘、・佐々木剛・宮内洋の3名が各ライダーの声で出演する。3名の劇場版での共演は『仮面ライダーX 五人ライダー対キングダーク』(1974年)以来37年ぶりであり、TVシリーズも含めれば『仮面ライダーストロンガー』以来である。また、単独の出演としても、藤岡は TVスペシャル『全員集合!7人の仮面ライダー!!』(1976年)、佐々木と宮内は TVスペシャル『10号誕生!仮面ライダー全員集合!!』(1984年)以来である。
またショッカー側でも、ショッカー大首領役としては最後の出演となった納谷悟朗(2013年没)をはじめとして、原典のオリジナルキャスティングとなっている。
全国273スクリーンで公開され、公開初日の土日2日間のみで興行収入約3億5百万円・動員約26万人を記録し、映画観客動員ランキングで初登場第1位を獲得した。さらに公開第2週も首位となったために2週連続第1位となり、これは仮面ライダー劇場版シリーズでは初となる快挙であった。平成ライダー劇場版シリーズとしても、本作品で累計成績が動員1600万人・興行収入200億円を突破し、本作の最終興行収入は13億3千万円を記録した。
あらすじ
仮面ライダーオーズは3体のモールイマジンと戦うが、モールイマジンは偶然居合わせた少年の記憶をたどって過去に逃亡する。そこへ、時の列車・デンライナーとともに野上幸太郎と相棒のテディが登場し、火野映司とアンクは彼らとともにモールイマジンの後を追って、1971年11月11日の世界に向かう。1971年の世界で、仮面ライダー NEW電王はモールイマジンを倒すが、その際にアンクは1枚のセルメダルを落としてしまう。
現代に戻った映司とアンクは、見知らぬ少年のナオキとミツルにオーメダルを盗まれてしまう。後を追って訪れたのは見覚えのないスラムで、現れた警官はナオキとミツルの窃盗を取り締まるどころか、怪人に変貌して暴れ回る。映司とアンクが戻ったはずの現代日本は、なんと悪の組織・ショッカーによって、40年以上も支配されていた。しかも、仮面ライダー1号・2号がショッカー最強の戦士として君臨している。これは、1971年の世界でアンクが落としたセルメダルが原因となって生じた、時間改変によるものだった。ショッカーに回収されたセルメダルが、独自に開発されたショッカーメダルに吸収されたことで最強怪人「ショッカーグリード」が誕生し、ショッカーグリードに敗北した1号・2号がショッカーに洗脳されたため、1号・2号以降のライダーは誰も誕生しないことになってしまったのだ。だが、特異点ゆえに時間の影響を受けない幸太郎と、彼に同行していた映司だけは生き残っていた。そして、ショッカーは後世に現れる多くの大組織と結託し、日本を自らの支配下に置いていた。
ショッカーは世界を完全に制圧すべく、さらなる侵攻を開始。映司が現代にとどまって怪人連合を迎撃する一方、幸太郎たちは歴史を修正すべく、再び1971年の世界へと向かう。
主な登場人物、用語
火野 映司 / 仮面ライダーオーズ …… 渡部 秀(19歳)
本作の主人公。定職・貯金・住居も持たずに各地を放浪している21歳の青年。常にエスニック調のファッションを好んで着用している。世の中を達観した様子さえみせるマイペースな性格。しかし、長旅で何度も修羅場を潜ってきた経験から、危険な状況や戦闘の渦中にあってもほとんど動揺することはなく、生身でヤミーを退ける程に身体能力も高いが、ヘビだけは苦手で、恋愛・女性心理に疎いことがコンプレックスになっている。「クスクシエ」に住み込みのアルバイト従業員として働いている。
元は裕福な政治家一族の出身で、学生時代から困った人を助け、世界中の子どもたちを救うこと・世界を変えることを目標とし、多額の寄付や紛争地帯への旅を行っていた。だがその寄付が内戦の資金に利用されて情勢が悪化し、アフリカの紛争地帯の村で心を通わせた少女を目の前で失い、自身も武装勢力の人質にされたが、政治家である家族の根回しにより釈放され、さらにこの一件を「戦地を救った勇敢な政治家の息子」という美談に仕立て上げられてしまった。この事件以来、実家とは距離を置き、世界という現実の前での無力感や、無思慮な善意で多くの人を犠牲にしてしまい自分だけが無事に生還してしまった罪悪感から、自分自身の欲望や、自らの命に対する執着さえも失っている。周囲の願いやエゴを自らが引き受け、己の命も全く顧みない度を越えた自己犠牲はアンクからも危惧されている。そのために、多くの欲望を許容できることから、欲望の結晶であるオーメダルを使用しても暴走することのない「オーズの器」を持つ、仮面ライダーオーズの最適合者(変身者)となった。
本作では、先輩ライダーたちのことを知ろうと、1号からストロンガーまでの協力者だった立花藤兵衛が作成したデータベースを入手し、歴代ライダーや戦っていた組織のことを調べていた。
アンク …… 三浦 涼介(24歳)
映司に協力する鳥系グリード。本体は右前腕部しか実体化していないため、ヤミーの生成といった本来の能力をほとんど失っている。
不完全な「モノ」でしかない自分を含めたグリードを嫌悪しており、バラバラにならない「強い体」と世界の美しさを感じ味わうことができる「命」を持つ完全な存在へと進化するために、他の全てのコアメダルを独占しようと暗躍する。
右腕だけの状態で飛行して移動もできるが行動が制限されるため、普段は人間の泉信吾の肉体に憑依して行動する。人間態のままヤミーと互角以上に渡り合えるほどの戦闘能力がある。映司と共に「クスクシエ」に居候することになり、仕事(コスプレ)は拒むものの、店には顔を出している。復活・憑依後に食べて初めて「美味い」と感じたアイスキャンディーを気に入って頻繁に口にしている。
ケチでがめつく計算高い性格で、常に相手に嫌味を言う毒舌家。表向きは物事を損得勘定でしか捉えないリアリストであるが、「世界の美しさを感じる本当の『命』が欲しい」という行動原理から、根はロマンチストであるとも言える。
泉 比奈 …… 高田 里穂(16歳)
服飾系専門学校に通う少女で、アンクが憑依している青年・泉信吾の妹。18歳。
華奢な見た目とは裏腹に、260キログラムのライドベンダーを軽々と持ち上げる程の人並外れた怪力の持ち主で、それが元で「クスクシエ」のアルバイトに採用されるが、彼女自身はコンプレックスの種にしている。
困っている人を放っておけない義侠心あふれる性格。両親は既に他界しているためか、唯一の家族である兄の信吾を慕っている。街中で困っていた映司を助けて知り合う。映司のヤミー探索を進んで手伝うことも多く、持ち前の怪力でグリードに立ち向かうこともある。
当初はアンクを信吾と誤解したが、映司から事情を聞いて以降は、アンクを「信吾の生命を維持している怪物」と認識し、アンクを見張り抑止力となっている。映司やアンクと関わっていくうちに、映司の歩んできた過去や他人に手を伸ばす彼自身の思いを理解していき、アンクに対しても情がわいてきている。
クスクシエ
『仮面ライダーオーズ』の舞台である、東京都武蔵野市夢見町にある、日替わりで世界各国の料理を出す多国籍料理店。従業員は毎回、料理のテーマに沿った衣装(コスプレ)に身を包む決まりとなっている。
本作で、クスクシエのある土地には40年前に、立花藤兵衛が経営する喫茶店で、少年仮面ライダー隊の本部でもあった「スナック・アミーゴ」があったことが判明する。
ナオキ …… 吉川 史樹(13歳)、ささき いさお(68歳)
冒頭でモールイマジンに襲われた少年。なぜか「1971年11月11日」に関する記憶を持っている。時間が改変された現代では、ミツルたちと行動を共にしている。戦いの最中、改変前の1971年の日本に取り残されるも、後に2011年において、成長した壮年の白衣の男として現れる。
ミツル …… 今井 悠貴(12歳)
時間が改変された現代でスラムで暮らす少年たちのリーダー。父親がショッカーに研究員となる人材として拉致されたため、悪に支配された世界を憎んでいる。
シゲル …… 林 遼威(ろい 10歳)
時間が改変された現代でミツルたちと共にスラムで暮らす少年。ミツルとともにスリの悪行をするが映司に諭される。
少年仮面ライダー隊
1971年の過去の世界で、仮面ライダー1号・2号を助ける5人の少年少女。原典ではショッカーの動きを察知して仮面ライダーに知らせるものの、ショッカーに捕まってしまうことが多かったが、本作では自転車を使った連携攻撃でショッカー戦闘員に立ち向う勇敢な活躍を見せる。
ノッコ …… 恒松 祐里(12歳)
1971年の過去の世界で登場する、少年仮面ライダー隊の少女隊員。アンクが落としたセルメダルを探しにやってきた幸太郎のそばにいたモモタロスたちを見てショッカーの怪人だと勘違いする。40年前に取り残されたナオキとは後に結ばれ、ミツルの母親となる。
野上 幸太郎 / 仮面ライダー NEW電王 …… 桜田 通(19歳)
仮面ライダー NEW電王に変身する青年。本作では、髪を金髪に染めている。
テディ …… 小野 大輔(32歳)
幸太郎の相棒である青鬼型イマジン。一人称は「私」。礼儀正しく謙虚な性格で、誰よりも幸太郎を気にかけており、幸太郎に降りかかる災難を陰ながら回避したりしている。幸太郎に直接憑依することはないが、戦闘の際は銃剣「マチェーテディ」に変身し、幸太郎がカウントダウンでとどめを刺す際にはカウント役を務める。幸太郎をサポートするイマジンたちの中でも影が薄いらしい。
本作では仮面ライダーの歴史について詳しいことが判明し、オーズやアンクの存在も知っていた。1971年の世界でいったん命を落とすが、歴史修復によって復活した。
オーナー …… 石丸 謙二郎(57歳)
デンライナーのオーナー。素性や目的などは一切不明の壮年の男性。しばしばデンライナーの食堂車に現れる。デンライナーや時の運行、分岐点などの詳細を知る人物は彼と駅長のみだが、そのことを他人に漏らすことはない。時間の干渉を受けない。
常に無表情ながらも飄々としているが、時の運行を乱す者やデンライナーのルールに反する者に対しては一転して厳しい表情を見せ、「乗車拒否」などの強力な権限を行使する。しかし、時には粋な計らいを見せることもある。好物は、客室乗務員のナオミが作る料理(特にチャーハン)。
ナオミ …… 秋山 莉奈(25歳)
デンライナーでアルバイトをしている客室乗務員。主に食堂車勤務だが、車内アナウンスなども務める。奇抜な格好をしており、両腕と両足首には大量の腕時計を装い、髪は1束だけ濃いピンク色のメッシュが施されている。天真爛漫かつ能天気な性格で、デンライナー内でのイマジンたちの騒動をむしろ楽しみ、必要以上に煽ることもある。「~しまーす」、「~ですよぅ」などのぶりっ子口調が特徴。しかも、自分に都合の悪いことには無関係を装ってしれっと誤魔化すなど、面の皮が厚くしたたかな一面もある。
モールイマジン1・2・3
物語の冒頭に登場。オーズに追い詰められていたところをナオキに取り憑き、1971年に逃走したイマジンたち。このことがきっかけとなり、今回の事件が起こる。仮面ライダー NEW電王に敗れて全滅した。それぞれクローハンドに赤い服、アックスハンドに青い服、本作で初登場したドリルハンドに黄色い服の姿をしている。
ショッカー
ショッカー大首領を頂点に全世界の征服を企む悪の組織。大首領は本作で改変される前の歴史では、仮面ライダーたち(1号~ZX )が戦ってきた諸悪の根源でもあった。
本来の歴史ならば、ショッカーは1号・2号の活躍によって壊滅したはずだったが、歴史の改変で最強怪人「ショッカーグリード」を完成させ、ダブルライダーを敗北に追い込み洗脳する。その後、歴代の仮面ライダーたちが戦うはずだった様々な大組織と結託し、国際連合などの世界の主要機関をほぼ制圧。2011年の時点では、ダブルライダーとショッカーグリードの存在によって世界の組織の中でも最も強大な存在となっている。ショッカーに支配された日本は貧富階層の差が激しい優者必勝社会となっており、廃墟とスラムが蔓延していた。
組織はショッカーからドーパントまでの様々な怪人の軍団で構成され、ショッカー大首領と、国連参加国首脳の地位に立った11名の各組織最高幹部の下に統率されている。前々作『オールライダー対大ショッカー』(2009年)の大ショッカーでは、同じシーンに多数の怪人を登場させたために、音声などが不自然な形になっていた(言語能力のない怪人がしゃべる、獣の怪人が虫の羽音を立てる、女性の怪人が男性の声を発するなど)が、本作では個々のオリジナルでの声が多く使用されており、爆発演出なども歴代シリーズの各作品に合わせたものとなっている。
なお、昭和の歴代シリーズで主に納谷悟朗が声を担当していた「悪の組織の全ての黒幕」としての大首領が平成ライダーシリーズに登場したのは本作が初めてであり、前作・前々作の『仮面ライダーディケイド』の世界観ではこの大首領はすでに存在しておらず、空位となった大首領の座をシャドームーンやネオ生命体がうかがうといった構図になっている。
ショッカー大首領 …… 納谷 悟朗(81歳 2013年没)
原典の TVシリーズ『仮面ライダー』(1971~73年)と同じく、赤いフードで顔を隠した姿をしている。ショッカーのみならず、同盟関係にある様々な悪の組織の頂点に君臨する存在になっている。本作では自ら戦闘もし、一つ目や両手からの光弾、頭部に生えた無数の蛇を伸ばして行う締めつけや投げつけ、蛇の口から連続して火炎弾して放つなどの多彩な攻撃で、28大ライダーを圧倒する。
さらには岩石大首領へと姿を変えるが、デザインは原典の『仮面ライダーストロンガー』(1975年)のものとは異なり、身の丈は4000メートルを超える(『ストロンガー』時は数十メートル級)。アポロガイスト曰く、大首領がこの姿になることは世界の滅亡を意味し、全てを破壊し尽くすまで止まらないと言われている。その巨体は溶岩や噴石を放ち、その一挙手一投足が、人智を超えた天災クラスの破壊力を誇る。変身時には怒りに同調するかのように周りの山々が噴火し、空は黒く染まり、大きな地割れが発生した。その規格外の力でライダーたちを追い込むが、全仮面ライダーによる必殺技「オールライダーブレイク」でその身を貫かれ、崩壊した。
ブラック将軍 / ヒルカメレオン …… 福本 清三(68歳)
2011年の時点でのショッカー最高幹部。デザインは原典の『仮面ライダー』時と同一。
1971年11月11日にアンクが落としたセルメダルを大首領に献上して最強怪人ショッカーグリード誕生のきっかけを作り、その後、メダルを回収するために現れた仮面ライダー NEW電王およびモモタロスと対決する。
サーベルを振るって、変身前の状態でも仮面ライダーと互角に戦えるうえ、ヒルカメレオンへの変身後は周囲の背景に溶け込む擬態能力で仮面ライダーオーズと NEW電王を翻弄する。さらに、セルメダルを奪回されたときに備えて偽物のメダルを用意しておくという周到な一面も見せた。
アポロガイスト …… 川原 和久(声を担当 49歳)
2011年の時点での GOD機関大幹部。ショッカー大首領の発言に反発したゴルゴムとクライシス帝国を諌める言動をとる。歴代仮面ライダーが復活した際には、宿敵である Xライダーと対決した。
キングダーク …… 飯塚 昭三(声を担当 77歳)
2011年の時点での GOD機関大幹部。原典同様にマントをまとい、平常時は寝そべっている。ショッカーの主要なメンバーが倒された後にようやく立ち上がるが、岩石大首領の起こした地割れに巻き込まれてしまう。
十面鬼ユム・キミル …… 石川 英郎(声を担当 41歳)
2011年の時点での秘密結社ゲドン首領。ショッカーと結託した組織や種族から集った11名の代表者のひとりとして登場する。最終決戦では仮面ライダーオーズと戦闘した。
ジェネラル・シャドウ …… 柴田 秀勝(声を担当 74歳)
2011年の時点でのデルザー軍団代表。実質的にはショッカーの直属の幹部となっており、ショッカー警察を指揮してゲリラ狩りも行っていた。歴史が改変された世界(仮面ライダー1号と2号が敗れた世界)で、仮面ライダーオーズを相手に戦う。最終決戦ではオールライダーに押されて逃亡を謀るも、遅れてやってきたキカイダー、キカイダー01、イナズマン、ズバットの必殺技を受け、爆死した。
大神官ダロム …… 飯塚 昭三(声を担当 77歳)
2011年の時点での暗黒結社ゴルゴム大幹部。人間の文明や文化を破壊し、優れた人間だけを怪人に変えた怪人だけの世界を創ろうとするゴルゴムの理想に反することから、クライシス帝国のジャーク将軍共々、ショッカーの理念に反対していたが、まずは人間世界の征服を優先させる方針を受け入れる。
最終決戦では自らは戦うことなく、岩石大首領の起こした地割れに飲み込まれた。
シャドームーン …… てらそま まさき(声を担当 48歳)
2011年の時点での暗黒結社ゴルゴム最高幹部。しかし、ショッカー主催の会議での代表席には、なぜか部下の大神官ダロムが座っていた。オーズや NEW電王らを「シャドービーム」で苦しめるが、仮面ライダーディケイドとサタンサーベルを振るい対決して敗れた。
ジャーク将軍 …… 加藤 精三(声を担当 84歳 2014年没)
2011年の時点でのクライシス帝国最高幹部。暗黒結社ゴルゴム代表の大神官ダロムと同様に、人類滅亡がクライシス帝国の目的であるため、優秀な人間は怪人連合の一員として迎えるというショッカーの方針に反発するが、まずは世界征服という提案を暫定的に受け入れる。最終決戦では仮面ライダー NEW電王と対決するが、最後は岩石大首領が起こした地割れに飲み込まれた。
その他、平成ライダーシリーズからは、ン・ガミオ・ゼダ(グロンギ族)、水のエル(アンノウン)、ケルベロス(アンデッド)、アルビノレオイマジン(イマジン)、テラー・ドーパント(ドーパント)が各組織の代表として登場している。
ショッカーグリード …… 石川 英郎(声を担当 41歳)
ショッカーが独自に研究していたコアメダル「ショッカーメダル」が、過去を訪れたアンクが落としたセルメダルを吸収することによって誕生した、ショッカーの創造した本作オリジナルのグリードにして、ショッカー最強の怪人。腰に巻いているベルトにはショッカーの紋章が刻まれている。
その性格は、まさしくショッカーの在り様を反映したように自身の悪の実力に絶対的な自信を持っており、敵ならば幼い子供が相手でも完膚なきまでに叩き潰す意を示す。
ショッカーの紋章であるワシに酷似した姿をしている。ただし、ワシの顔の下にガスマスクのような顔があったり、眼・肩部からヘビが突き出ており、ゲルショッカーの紋章である「ヘビが絡みついたワシ」のようにも見える。
メダル状の複数のエネルギー弾をマシンガンのような勢いで連続して放ち、圧倒的なパワーで一度は1号・2号を敗北に追い込み、NEW電王・モモタロス・オーズを圧倒した。だが、2011年の再戦の際には1号・2号による「ライダーダブルキック」で倒された。
怪人
ザンジオー、ジャガーマン、毒トカゲ男、シオマネキング、イカデビル(声・関智一)、ガラガランダ(声・鈴村健一)、ガニコウモル、カメバズーカ、コマサンダー、タイガーロイド、怪魔ロボット・シュバリアン、改造兵士レベル2、ネオ生命体ドラス、コブラ男ガライ、ショッカー骨戦闘員
なお、イカデビルとガラガランダは、過去シリーズではショッカー大幹部の死神博士と地獄大使の変身した怪人形態だったが、本作では大幹部としては登場していない。
登場する仮面ライダー
仮面ライダー1号(声・藤岡弘、)、仮面ライダー2号(声・佐々木剛)、仮面ライダーV3(声・宮内洋)、ライダーマン(声・穴井勇輝)、仮面ライダーX(セリフなし)、仮面ライダーアマゾン(声・関智一)、仮面ライダーストロンガー(声・関智一)、スカイライダー(セリフなし)、仮面ライダースーパー1(セリフなし)、仮面ライダーZX(セリフなし)、仮面ライダーBLACK & BLACK RX(穴井勇輝)、仮面ライダーシン(セリフなし)、仮面ライダーZO(セリフなし)、仮面ライダーJ(セリフなし)、仮面ライダークウガ(セリフなし)、仮面ライダーアギト(セリフなし)、仮面ライダー龍騎(セリフなし)、仮面ライダーファイズ(セリフなし)、仮面ライダーブレイド(セリフなし)、仮面ライダー響鬼(セリフなし)、仮面ライダーカブト(セリフなし)、仮面ライダー電王(セリフなし)、仮面ライダー NEW電王、仮面ライダーキバ(セリフなし)、仮面ライダーディケイド(セリフなし)、仮面ライダーW(演・桐山漣&菅田将暉)、仮面ライダーオーズの、主人公ライダー27名と、仮面ライダーバース(声・岩永洋昭)ら平成サブライダー36名を合わせた、計63名
主なスタッフ
監督 …… 金田 治(61歳)
脚本 …… 米村 正二(47歳)
音楽 …… 中川 幸太郎(42歳)
撮影 …… いのくま まさお(71歳)
キャラクターデザイン …… 早瀬 マサト(46歳)、阿部 統(36歳)
ショッカーグリードデザイン …… 出渕 裕(52歳)
イマジン怪人デザイン …… 韮沢 靖(47歳)
特撮監督 …… 佛田 洋(49歳)
アクション監督 …… 宮崎 剛(47歳)
主題歌『 Let's Go RiderKick 2011』(歌唱・仮面ライダーGIRLS )
※『仮面ライダー』(1971~73年)の主題歌『レッツゴー!! ライダーキック』のリメイク曲。