特撮TV ドラマシリーズ『 ULTRASEVEN X』とは
『 ULTRASEVEN X(ウルトラセブン・エックス)』は、2007年10~12月の毎週土曜深夜2:30~3:00に中部日本放送( CBC)を制作局として TBS系列で放送された、円谷プロダクション制作の特撮 TVドラマシリーズ。全12話。
同じく円谷プロダクション制作の特撮 TVドラマシリーズ『ウルトラセブン』40周年記念作品。ウルトラ戦士の登場する作品としては初の深夜帯放映作品かつ初の1クール作品であり、実写作品としては16:9ハイビジョン放送で制作された初の作品である。制作局は、円谷プロによる「ウルトラシリーズ」第14作『ウルトラマンネクサス』(2004~05年放送)から第16作『ウルトラマンメビウス』(2006~07年放送)までのシリーズに引き続き CBCが務めている。「ウルトラシリーズ」としては、BS11で放送され、後にテレビ東京系列局で地上波放送された番外シリーズ『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』(2007~08年放送)とその続編『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』(2008~09年放送)を除けば、最後の地上アナログ放送作品であると同時に、2022年時点では TBS系列で放送された最後の作品でもある。
『ウルトラセブン』はこれまでにも、直接的な続編『平成ウルトラセブン』シリーズ(1994~2002年)が制作されたが、本作は新しい世界観となる。企画はセブン好きを公言する八木毅の主導で行われ、併せて本作のメイン監督とシリーズ構成も務めた。公式サイトでは当初から「オリジナルのウルトラセブンと SEVEN Xの関係こそが全話を貫く最大の謎」という記述がされており、その真相は最終話にて明かされた。
企画の発端は、2006年の夏に深夜枠で新機軸を狙った『ウルトラマインズ』という企画で、『ウルトラQ dark fantasy』(2004年放送)のプロデューサーであった表有希子を中心として、CBCへのアプローチが想定されていたため『ウルトラマンメビウス』での監督経験のある八木をメイン監督、プロデューサーの渋谷浩康に企画協力、『ウルトラマンマックス』でも脚本を担当した小林雄次らを招聘。企画を一同で練ったが、2007年初めに企画が仕切り直しとなり、同年に誕生40周年を迎えるウルトラセブンのキャラクターを活かした企画へと舵が切られた。
さらに八木は、かつて2002年頃にまとめられていた企画案『 ULTRAMAN ZAX』の「地球にさまざまな宇宙人が人知れず潜んでいる」という設定とスタイリッシュさや、『ギャラクティカ』シリーズ(2003~12年)や『24 TWENTY FOUR』シリーズ(2001~17年)などの海外ドラマのテイストも参考にしつつ、小林とともに企画をおよそ3か月ほどで固めていった。
本作は深夜特撮ドラマらしく「ホラー」や「怪奇」がメインテーマとなっており、初期ウルトラシリーズでも描かれていた「人間に寄生や擬態するエイリアン」、「人間社会に溶け込み暗躍するエイリアン」がメインであるが、「人間自身がエイリアンの起こす事件の原因に関与している」という、過去のウルトラシリーズとは異なる部分がある。また、SEVEN Xとエイリアンとの戦いがメインではなく、「エイリアンが起こす怪事件や殺人を組織が捜査し、その事件の首謀者であるエイリアンを SEVEN Xが倒す」という構図を取っている。平成に制作されたウルトラシリーズとしては珍しく、エイリアンが起こす事件で死者が出たり、数か所ではあるが流血シーンも存在する。
リアリティを重視するため、特撮パートではミニチュアセットを組まず極力セット製作を抑えてグリーンバックやブルーバックで撮影され、実景とのデジタル合成や造形物のない CG作画のみの敵キャラクターが主体となっている。また、他のウルトラシリーズと比較して戦闘シーンが極めて短く、ドラマパートに重点が置かれている。ウルトラシリーズでは初の本格的なワイヤーアクションが取り入れられている点も特徴である。
「戦闘機などの巨大兵器」、「組織内で統一された隊員服」といったそれまでのウルトラシリーズの要素や、『セブン』や『平成セブン』に登場した「カプセル怪獣」の要素は、本作では踏襲されていない。
番組タイトルや変身ヒーローの名称、サブタイトルが今までのウルトラシリーズとは異なり英語表記となっている。また、主要スタッフやキャスト、主題歌の表記もエンドロールのみとなった。高年齢層を視聴対象とした作品であるが、児童向けの超百科では他のウルトラシリーズと同様に取り併記されている。
放送終了後の2008年5月に、本編の内容を補完する小説版『 ULTRASEVEN X』が、ホビージャパンより刊行された。執筆は第1・6・10~最終話の脚本を担当した小林雄次と、小林の実弟である小林英造が担当。本文挿絵は特撮キャラクターデザイナーの酉澤安施が担当している。
あらすじ
近未来を思わせる、我々の生きる世界とは似て非なる世界。大気汚染は深刻化しているものの、あらゆる戦争やテロが根絶され、町には政府の方針やさまざまな情報を報じる巨大モニターが各所に設置されており、人々はその情報によって支配される高度な管理社会を形成している。
ある日、深い水の中に漂う夢を見て男は目覚めるが、彼はそれまでのすべての記憶を失っていた。そこに白いドレスの女が現れて赤い眼鏡(ウルトラアイ)を託し、腕時計型の機械(ビデオシーバー)のスイッチを入れる。「この世界を救って欲しい」と告げる彼女に促され窓から飛び降りた男は、腕時計の不思議な力で地上に降り立つ。その直後、2人の居た高層ビルは爆破された。
用意された車で自宅に戻った男は、自分の素性にまつわる一切の痕跡が消されていることを知る。戸惑いを隠せない男のもとに、腕時計型の機械から無機質な声が響く。「エージェント・ジン。新たなミッションだ。」それにより、男は自分の名前がジンであることを知る。
状況が把握できないままクラブでエージェント・ケイと合流したジンは、自分たちがエイリアンを密かに抹殺する組織「 DEUS」の一員であることを聞かされる。人間の女性に擬態したエイリアンを追ったジンは、彼らのアジトにたどり着く。するとそこに再び白いドレスの女が現れ、「戦いなさいジン。貴方はこの世界の救世主よ。」と告げる。ウルトラアイを装着したジンは、赤い巨人( ULTRASEVEN X)に変貌する。こうして、世界を守ると決意したジンの孤独な戦いが始まるのであったが、その様子を監視している何者かの姿があった。
おもな登場キャラクター、組織、専門用語(俳優の年齢は放送当時のもの)
ジン / ULTRASEVEN X …… 与座 重理久(えりく 26歳)
25歳。本作の主人公。DEUSのエージェント。過去の記憶を失っているが、水に全身を包まれる感覚と白いドレスの女性と相対する自分の姿というイメージだけは残っている。寡黙だが内面は熱く、ULTRASEVEN Xの力でこの世界を守ることを決意している。本来の性格も暗いわけではない。エージェントとしての実力は高く、直感力や洞察力に優れ、即座の判断にも長ける。また、生身でもエイリアンに互角に対抗できる戦闘力を有している。愛車はキャディラックSRX(初代)で、他の DEUSエージェントからのウルトラガンによる攻撃を弾く特殊仕様となっている。
ULTRASEVEN X …… 新上 博巳(スーツアクター 37歳)
ジンが変身する超人。
額のビームランプ、胸と肩のプロテクター、腹から足への銀色のラインなど、従来のウルトラセブンのデザインを踏襲しているが、小さくなった頭部や吊り上がった形状の目、アイスラッガーのデザインなどに相違点も見受けられる。
変身方法はオリジナルと同様でウルトラアイを使用し、必殺技もワイドショット、アイスラッガー、エメリウム光線と従来のセブンと同様であるが、アイスラッガーは発光せずブーメランのように回転して飛行する。人間の等身大から身長40m、体重3万5千t の巨人へと自由に変化できる。
作中では、ボーダ星人戦やメカ・グラキエス戦を除けば苦戦することはほとんどなく、圧倒的な戦闘力でエイリアンを倒している。劇中では「赤い巨人」と呼ばれている。
冴木 エレア …… 加賀美 早紀(22歳)
22歳。本作のヒロイン。ジンにウルトラアイを授けた白いドレスの女。神出鬼没でジンに助言や警告を与える。
DEUS のエージェントではなく、過去に AQUA PROJECTに携わっていた科学者であり、恋人のジンから AQUA PROJECTの真実を聞かされ、地下でグラキエスへの抵抗活動を続けると同時に、記憶を失ったジンを導いていた。ジンによれば星が好きらしい。
ケイ …… 脇﨑 智史(24歳)
25歳。日常的にジンとパートナーを組むことの多い DEUSのエージェント。やや軽い単純な性格のかっこつけたがりでコメディリリーフな役割が多いが、ウルトラガンの射撃に関しては高い実力を持つなどエージェントとしての腕は確かで、地球を守ることに使命感と誇りを持っている熱血漢。服装は白を基調とし、ジンとは対照的。甘党でプリンが好物。エスに好意を持ち、頭が上がらない。
エス …… 伴 杏里(22歳)
25歳。ジンやケイと共にパートナーを組むことの多い DEUSのエージェントで、潜入捜査を得意とする。好物のチョコを食べていることが多い。エージェントとして銃の扱いにも長けているが、格闘技が最も得意。ジンが裏切り者として指名手配されても彼を信じ続けるなど、強い仲間意識を持つ姉御肌。衣装は黒で、ケイと対になるようになっている。
DEUS司令 …… 夏木 陽介(声の出演 71歳)
DEUSの司令官。ビデオシーバーを通して各エージェントにミッションを伝える。どこにいるのかも、何をしているのかも謎に包まれている。
DEUS
人類社会に侵入したエイリアンを捜索して抹殺することを主な目的とする、国家的秘密組織。メンバーは「エージェント」と呼ばれ、メンバー同士ではコードネームで呼び合っている。
公表されていない地下空間に無数のモニターと巨大なホストコンピューターが設置されたエリアを持つ。エージェントは普段、一般市民として生活しているが、ビデオシーバーで司令官からの指令や作戦を受け、複数名でミッションを遂行する。各エージェントは通信以外にも多くの機能を持つ万能通信機ビデオシーバー( VC)と、対エイリアン用にカスタマイズされたエネルギー銃「ウルトラガン」を携帯する。
VC(ビデオシーバー)
エージェントたちの通信をつなぐほか、簡易の検査機能、GPS機能や電磁バリア展開機能を含めて機能はさまざまで、反重力システム(「 ANTI GRAVITY」の文字が表示される)を起動させれば、高層ビルから落下しても無事に着地できる。腕時計のように手首に巻いて携帯する。
ウルトラガン
エージェントたちが携帯する、対エイリアン用にカスタマイズされた小型エネルギー銃。下部をスライドさせ、エネルギーを装填することでレーザービームを発射する。
『ウルトラセブン』でウルトラ警備隊が使用していた銃と同名だが、形状は大きく異なり、銃身より銃把が多くを占めているデザインとなっている。別名「ウルトラガンX 」。
登場するエイリアン、怪獣(俳優の年齢は放送当時のもの)
時空怪獣ガルキメス(第1話「 DREAM」に登場)
身長40m、体重6万t。
地球社会の中枢に潜入して人間に擬態し、自分たちの侵略活動をチェスに例えるエイリアン集団のキング(演・大谷朗)が操る、巨大な2足歩行の人型生命体。時空のゲートを経由して地球上に出現し、手から緑色の破壊光弾を発射して大都市の破壊活動を行う。ガルキメスを操るエイリアン集団の正体は終始明かされず、最後まで地球人の姿であった。
デザインイメージはガジュマルで、極彩色の体色にしている。
その後、スーツのマスク部分は映画『ウルトラマンオーブ』(2017年)のガルメス人に改造された。
エージェント・ケイとアールと戦っていたエイリアン(第2話「 CODE NAME"R"」に登場)
身長2m、体重120kg(ペガッサ星人の情報)。
エージェント・ケイの回想シーンに登場したエイリアン。1年前にエージェント・ケイとアールと交戦し、ウルトラガンの攻撃を受けて倒れた。『ウルトラセブン』第6話「ダーク・ゾーン」や『平成ウルトラセブン』シリーズの「ダーク・サイド」(2002年リリース)などに登場した放浪宇宙人ペガッサ星人のスーツを流用している。ただし、映像に映ったのは腕の部分のみで全身像は明らかになっていない。
宇宙商人マーキンド星人(第3話「 HOPELESS」に登場)…… 小宮 孝泰(51歳)
身長170~190cm、体重70~100kg。
タマルという地球人に擬態していた昆虫型エイリアン。目と腕から破壊光線を出す。地球を侵略する意志はなく、他エイリアンからの依頼で商品を製造し販売する商人。侵略兵器製造の依頼を受け、仕事の無い人間たち「ホープレス」をアルバイトとして雇って脳のエネルギーを吸収して侵略兵器を造っていた。飛行能力を持つが、戦闘では地上での格闘戦が主体である。
頭部全体を光らせるために、触覚が球体の上に付いているイメージでデザインされた。
のちに「ウルトラシリーズ」第20作『ウルトラマンX 』(2015年放送)、第24作『ウルトラマンタイガ』(2019年放送)にも再登場している。
パラサイト宇宙生物ペジネラ(第4話「DIAMOND"S"」に登場)
身長42m、体重4万t。
ナノサイバティクス社の社員や、機能性化学薬品「シャイナー05」を服用する人間の脳に寄生していた、パラサイト型エイリアン。肉塊のような身体に爬虫類を思わせる体表を持つ。元々はひとつの生命体で、細胞分裂によって自己増殖を繰り返す本能しかもっていなかったが、人間に寄生して知能を得たことからシャイナー05を使って効率的に増殖したうえ、人間とは違う新しい身体を製造していた。無数の小型ペジネラが合体することで、巨大生物に変化する。破壊光線のほか、粘液状の小型ペジネラを吐いて相手の動きを封じる。動きは身軽で、アイスラッガーも受け止める。同話の最後では回収し切れなかった販売済みのシャイナー05が存在していたことから、ペジネラを殲滅できてはいないことが示唆されている。
左右に分割した下あごからスーツアクターの手が入るようになっており、手を上げることで口が閉じる仕組みになっている。
その後、スーツは『ウルトラマンX 』の不動怪獣ホオリンガに改造された。
チャムダ星人(第5話「PEACE MAKER」に登場)…… やべ けんじ(34歳)
身長180cm、体重65kg。
アルファケンタウリ星系のエイリアン。同星系に住むボーダ星人とは交戦状態にある。蒼い肌と額にも目を持つこと以外は外見に地球人との相違は無いが、容姿は全員が同一であり、身体能力はきわめて低い。細身で、地球の重力下では長時間の歩行すらままならない体質の脆弱さと社交性の高さから、地球への害意や侵略の危険は無いと DEUSに判断され、地球亡命を認められている。しかし亡命は表向きの理由でしかなく、真の目的はボーダ星人が地球に隠した守り神「オリファム(鉱石)」を発見し、彼らに対抗することであった。オリファムを発見した後はボーダ星人を殲滅することで戦争を終わらせる旨を述べ、帰還する。結局、双方の星が滅亡してしまったため、グラキエスには「双方とも愚か」と一蹴されている。
凶暴宇宙人ボーダ星人(第5話「PEACE MAKER」に登場)
身長2m、体重120kg。
アルファケンタウリ星系のエイリアン。戦力は腕から放つ破壊光線と体の前面に張るバリア。同星系に住むチャムダ星人とは交戦状態にあり、彼らから「守り神」、「彼らのすべて」などと称される緑色に発光する十六面体の緑色の石「オリファム」を奪い、地球に隠していた。複数のチャムダ星人が亡命を理由に地球に飛来してオリファムの探索を開始したため、彼らを抹殺するために再び地球へ侵入し、次々と殺害していく。頭部内部にもう1つ凶暴な牙を隠し持っているほか、大柄な体格とは裏腹に俊敏性と超怪力を持っており、チャムダ星人曰く、オリファムの力がなければ不死身らしい。ULTRASEVEN Xを追い込むほどの戦闘能力を持つ。
ヴァイロ星人(第7話「YOUR SONG」に登場)
身長175~180cm、体重70kg。
地球を侵略するために先兵を送り込んでいたヒューマノイド型エイリアン。死ぬと跡形もなく消滅してしまう。侵略を行う兵士は最高権力者から白いマスクを直接手渡され、死ぬまでそのマスクを外してはならない。先兵の調査員として地球へ侵入し、侵略のための調査を行っていたナタル(演・石川紗彩)は、地球の歌に対する愛情と DEUSのエージェント・ディーとの出逢いからマスクを外してしまったため、反逆者として同胞たちから命を狙われていた。統制の取れた集団行動を行いながら、マスクのパラボラ状の口元に取り付けられた円形の装置に両手を当てて強力な破壊音波を伴う甲高い声を発し、敵を攻撃する。ウルトラガンの攻撃を素手で偏向させたリーダー格とうかがえる個体は、飛行物体からバドリュードを出現させた。
生物破壊兵器バドリュード(第7話「YOUR SONG」に登場)
身長45m、体重6.5万t。
ヴァイロ星人のリーダーが飛行物体の船底から出現させた、ゼリー状の液体で形成された二足歩行の巨大ロボット。ヴァイロ星人のマスクと同様に、頭部の発光体に両手を当てて発射する超音波光線で敵を攻撃する。
体表は内臓のようにブヨブヨとしており、胸部を中心に機械が各部から露出したものをベースに、デザインのモチーフにはシャンパンゴールドのカラバリが選ばれた。黒い模様は布袋寅泰のギターのデザインを元にしているという。
殺戮宇宙人ヒュプナス(第8話「BLOOD MESSAGE」に登場)…… 黒田 勇樹(25歳)
身長175~180cm、体重75kg。
何者かによってエイリアンとしての記憶を消され、人間の姿で普通の生活を営んでいる。しかし、一度極度の肉体的苦痛を受けると、エイリアンとしての殺戮本能が覚醒し、両手に持つ鋭利な爪の一掻きで人間を絶命させる本来の容姿と、脆弱な人間としての容姿を使い分けながら、周囲の人間を無差別に殺害する。過去に2体が発見されており、DEUSに捕獲された2体目の自白から、何者かが無差別殺人を目的として放ったことが判明する。3体目のアガタ・キョウスケは人間の妻のアサミを得て生活していたところ、ドラッグシンジケートの売人たちに撃たれたことで覚醒してアサミを殺害するが、「ドラッグの売人たちにアサミを殺害された」という記憶に書き換えて彼女の赤いコートを着込み、売人たちへの「復讐」を続けていた。まだ妻が生きているという妄想に取り付かれていたが、その真実にたどり着いたジンと対峙して自分の青い血液を見たことから本来の記憶を取り戻し、ようやく本性を現す。潜伏中のヒュプナスの数は不明のまま、同話は幕を下ろす。
スーツのボディは、「ウルトラシリーズ」第12作『ウルトラマンガイア』(1998~99年放送)に登場したウルトラマンアグルの流用。
のちに映画『ウルトラマンオーブ』(2017年)、映画『ウルトラマンジード』(2018年)、第24作『ウルトラマンタイガ』(2019年放送)、映画『ウルトラマンタイガ』(2020年)にも再登場している。
獣人(第9話「RED MOON」に登場)
身長180~190cm、体重70kg。
尾形朔(サク 演・高野八誠)と名乗る兄と共に星々を旅していたエイリアン。普段は地球人と同じ外見で尾形望(ノゾム 演・小笠原宙)と名乗っており、水に触れると体細胞が変化する特異体質ゆえに水を恐れていたが、100年前の皆既月食の夜に恋に落ちた地球人の女性・鷺ノ宮まひるの願いを聞き入れてやむなく池の水に触れ、全身が鱗に覆われた半魚人のような怪物と化してしまう。この際にまひるを殺害しているが、本人はその事実を受け入れず、100年ぶりに目覚めても彼女を探していた。
小型集合体グラキエス(最終話「NEW WORLD」に登場)
身長4.8m、体重2.5t。
情報網を掌握することで地球文明に気付かれずに管理社会を作り上げ、他のエイリアンを排除するために DEUSを組織し、AQUA PROJECTを利用して平行する異世界への侵攻も画策していた真の支配者たち。ジンの脳裏に老紳士や中年とうかがえる男女3人の人間に擬態した姿(演・野口雅弘、ナカヤマミチコ、千葉誠樹)で現れ、自分たちの目的は侵略と支配ではなく、平和な世界の維持だとうそぶく。本来はクモに似たエイリアンであり、攻撃力は高くない。
ヘビのような体表で、目がオレンジ色に光っている。着ぐるみではなくフルCG で表現された。
巨大機械生命体メカ・グラキエス(最終話「NEW WORLD」に登場)
体長89m、体高33m、体重9万t。
攻撃力の高くないグラキエスが、自己防衛のために自分たちを模して造った巨大なクモ型機械生命体。3体でフォーメーションを組んで現れ、火炎弾や粘液状の糸を使った連携攻撃で一度は ULTRASEVEN Xを退ける。
目は青く光っている。グラキエス同様、着ぐるみではなくフルCG で表現されている。
AQUA PROJECT
ある周波を水に照射することによって、原子力に代わる莫大なエネルギーを確保しようという政府の計画。しかし、その実験中に偶発的に異世界(ウルトラセブンが存在する次元)へのゲートが出現したため、計画は凍結された。
おもなスタッフ(年齢は放送当時のもの)
監修・製作 …… 円谷 一夫(46歳)
製作統括 …… 大岡 新一(60歳)
シリーズ構成 …… 八木 毅(40歳)
監督 …… 八木毅、鈴木 健二(50歳)、梶 研吾(46歳)、小中 和哉(44歳)
脚本 …… 小林 雄次(28歳)、太田 愛(43歳)、福田 卓郎(46歳)、金子 二郎(45歳)、林 壮太郎(38歳)、長谷川 圭一(45歳)
アクション監督 …… 小池 達朗(38歳)
ウルトラセブンX デザイン・画コンテ …… 酉澤 安施(45歳)
エイリアン・小道具デザイン …… 丸山 浩(45歳)
エイリアンデザイン …… さとう けいいち(41歳)
スタジオ …… 東宝ビルト
エンディング主題歌『 Another day comes』(作曲・歌:Pay money To my Pain)
『 ULTRASEVEN X(ウルトラセブン・エックス)』は、2007年10~12月の毎週土曜深夜2:30~3:00に中部日本放送( CBC)を制作局として TBS系列で放送された、円谷プロダクション制作の特撮 TVドラマシリーズ。全12話。
同じく円谷プロダクション制作の特撮 TVドラマシリーズ『ウルトラセブン』40周年記念作品。ウルトラ戦士の登場する作品としては初の深夜帯放映作品かつ初の1クール作品であり、実写作品としては16:9ハイビジョン放送で制作された初の作品である。制作局は、円谷プロによる「ウルトラシリーズ」第14作『ウルトラマンネクサス』(2004~05年放送)から第16作『ウルトラマンメビウス』(2006~07年放送)までのシリーズに引き続き CBCが務めている。「ウルトラシリーズ」としては、BS11で放送され、後にテレビ東京系列局で地上波放送された番外シリーズ『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』(2007~08年放送)とその続編『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』(2008~09年放送)を除けば、最後の地上アナログ放送作品であると同時に、2022年時点では TBS系列で放送された最後の作品でもある。
『ウルトラセブン』はこれまでにも、直接的な続編『平成ウルトラセブン』シリーズ(1994~2002年)が制作されたが、本作は新しい世界観となる。企画はセブン好きを公言する八木毅の主導で行われ、併せて本作のメイン監督とシリーズ構成も務めた。公式サイトでは当初から「オリジナルのウルトラセブンと SEVEN Xの関係こそが全話を貫く最大の謎」という記述がされており、その真相は最終話にて明かされた。
企画の発端は、2006年の夏に深夜枠で新機軸を狙った『ウルトラマインズ』という企画で、『ウルトラQ dark fantasy』(2004年放送)のプロデューサーであった表有希子を中心として、CBCへのアプローチが想定されていたため『ウルトラマンメビウス』での監督経験のある八木をメイン監督、プロデューサーの渋谷浩康に企画協力、『ウルトラマンマックス』でも脚本を担当した小林雄次らを招聘。企画を一同で練ったが、2007年初めに企画が仕切り直しとなり、同年に誕生40周年を迎えるウルトラセブンのキャラクターを活かした企画へと舵が切られた。
さらに八木は、かつて2002年頃にまとめられていた企画案『 ULTRAMAN ZAX』の「地球にさまざまな宇宙人が人知れず潜んでいる」という設定とスタイリッシュさや、『ギャラクティカ』シリーズ(2003~12年)や『24 TWENTY FOUR』シリーズ(2001~17年)などの海外ドラマのテイストも参考にしつつ、小林とともに企画をおよそ3か月ほどで固めていった。
本作は深夜特撮ドラマらしく「ホラー」や「怪奇」がメインテーマとなっており、初期ウルトラシリーズでも描かれていた「人間に寄生や擬態するエイリアン」、「人間社会に溶け込み暗躍するエイリアン」がメインであるが、「人間自身がエイリアンの起こす事件の原因に関与している」という、過去のウルトラシリーズとは異なる部分がある。また、SEVEN Xとエイリアンとの戦いがメインではなく、「エイリアンが起こす怪事件や殺人を組織が捜査し、その事件の首謀者であるエイリアンを SEVEN Xが倒す」という構図を取っている。平成に制作されたウルトラシリーズとしては珍しく、エイリアンが起こす事件で死者が出たり、数か所ではあるが流血シーンも存在する。
リアリティを重視するため、特撮パートではミニチュアセットを組まず極力セット製作を抑えてグリーンバックやブルーバックで撮影され、実景とのデジタル合成や造形物のない CG作画のみの敵キャラクターが主体となっている。また、他のウルトラシリーズと比較して戦闘シーンが極めて短く、ドラマパートに重点が置かれている。ウルトラシリーズでは初の本格的なワイヤーアクションが取り入れられている点も特徴である。
「戦闘機などの巨大兵器」、「組織内で統一された隊員服」といったそれまでのウルトラシリーズの要素や、『セブン』や『平成セブン』に登場した「カプセル怪獣」の要素は、本作では踏襲されていない。
番組タイトルや変身ヒーローの名称、サブタイトルが今までのウルトラシリーズとは異なり英語表記となっている。また、主要スタッフやキャスト、主題歌の表記もエンドロールのみとなった。高年齢層を視聴対象とした作品であるが、児童向けの超百科では他のウルトラシリーズと同様に取り併記されている。
放送終了後の2008年5月に、本編の内容を補完する小説版『 ULTRASEVEN X』が、ホビージャパンより刊行された。執筆は第1・6・10~最終話の脚本を担当した小林雄次と、小林の実弟である小林英造が担当。本文挿絵は特撮キャラクターデザイナーの酉澤安施が担当している。
あらすじ
近未来を思わせる、我々の生きる世界とは似て非なる世界。大気汚染は深刻化しているものの、あらゆる戦争やテロが根絶され、町には政府の方針やさまざまな情報を報じる巨大モニターが各所に設置されており、人々はその情報によって支配される高度な管理社会を形成している。
ある日、深い水の中に漂う夢を見て男は目覚めるが、彼はそれまでのすべての記憶を失っていた。そこに白いドレスの女が現れて赤い眼鏡(ウルトラアイ)を託し、腕時計型の機械(ビデオシーバー)のスイッチを入れる。「この世界を救って欲しい」と告げる彼女に促され窓から飛び降りた男は、腕時計の不思議な力で地上に降り立つ。その直後、2人の居た高層ビルは爆破された。
用意された車で自宅に戻った男は、自分の素性にまつわる一切の痕跡が消されていることを知る。戸惑いを隠せない男のもとに、腕時計型の機械から無機質な声が響く。「エージェント・ジン。新たなミッションだ。」それにより、男は自分の名前がジンであることを知る。
状況が把握できないままクラブでエージェント・ケイと合流したジンは、自分たちがエイリアンを密かに抹殺する組織「 DEUS」の一員であることを聞かされる。人間の女性に擬態したエイリアンを追ったジンは、彼らのアジトにたどり着く。するとそこに再び白いドレスの女が現れ、「戦いなさいジン。貴方はこの世界の救世主よ。」と告げる。ウルトラアイを装着したジンは、赤い巨人( ULTRASEVEN X)に変貌する。こうして、世界を守ると決意したジンの孤独な戦いが始まるのであったが、その様子を監視している何者かの姿があった。
おもな登場キャラクター、組織、専門用語(俳優の年齢は放送当時のもの)
ジン / ULTRASEVEN X …… 与座 重理久(えりく 26歳)
25歳。本作の主人公。DEUSのエージェント。過去の記憶を失っているが、水に全身を包まれる感覚と白いドレスの女性と相対する自分の姿というイメージだけは残っている。寡黙だが内面は熱く、ULTRASEVEN Xの力でこの世界を守ることを決意している。本来の性格も暗いわけではない。エージェントとしての実力は高く、直感力や洞察力に優れ、即座の判断にも長ける。また、生身でもエイリアンに互角に対抗できる戦闘力を有している。愛車はキャディラックSRX(初代)で、他の DEUSエージェントからのウルトラガンによる攻撃を弾く特殊仕様となっている。
ULTRASEVEN X …… 新上 博巳(スーツアクター 37歳)
ジンが変身する超人。
額のビームランプ、胸と肩のプロテクター、腹から足への銀色のラインなど、従来のウルトラセブンのデザインを踏襲しているが、小さくなった頭部や吊り上がった形状の目、アイスラッガーのデザインなどに相違点も見受けられる。
変身方法はオリジナルと同様でウルトラアイを使用し、必殺技もワイドショット、アイスラッガー、エメリウム光線と従来のセブンと同様であるが、アイスラッガーは発光せずブーメランのように回転して飛行する。人間の等身大から身長40m、体重3万5千t の巨人へと自由に変化できる。
作中では、ボーダ星人戦やメカ・グラキエス戦を除けば苦戦することはほとんどなく、圧倒的な戦闘力でエイリアンを倒している。劇中では「赤い巨人」と呼ばれている。
冴木 エレア …… 加賀美 早紀(22歳)
22歳。本作のヒロイン。ジンにウルトラアイを授けた白いドレスの女。神出鬼没でジンに助言や警告を与える。
DEUS のエージェントではなく、過去に AQUA PROJECTに携わっていた科学者であり、恋人のジンから AQUA PROJECTの真実を聞かされ、地下でグラキエスへの抵抗活動を続けると同時に、記憶を失ったジンを導いていた。ジンによれば星が好きらしい。
ケイ …… 脇﨑 智史(24歳)
25歳。日常的にジンとパートナーを組むことの多い DEUSのエージェント。やや軽い単純な性格のかっこつけたがりでコメディリリーフな役割が多いが、ウルトラガンの射撃に関しては高い実力を持つなどエージェントとしての腕は確かで、地球を守ることに使命感と誇りを持っている熱血漢。服装は白を基調とし、ジンとは対照的。甘党でプリンが好物。エスに好意を持ち、頭が上がらない。
エス …… 伴 杏里(22歳)
25歳。ジンやケイと共にパートナーを組むことの多い DEUSのエージェントで、潜入捜査を得意とする。好物のチョコを食べていることが多い。エージェントとして銃の扱いにも長けているが、格闘技が最も得意。ジンが裏切り者として指名手配されても彼を信じ続けるなど、強い仲間意識を持つ姉御肌。衣装は黒で、ケイと対になるようになっている。
DEUS司令 …… 夏木 陽介(声の出演 71歳)
DEUSの司令官。ビデオシーバーを通して各エージェントにミッションを伝える。どこにいるのかも、何をしているのかも謎に包まれている。
DEUS
人類社会に侵入したエイリアンを捜索して抹殺することを主な目的とする、国家的秘密組織。メンバーは「エージェント」と呼ばれ、メンバー同士ではコードネームで呼び合っている。
公表されていない地下空間に無数のモニターと巨大なホストコンピューターが設置されたエリアを持つ。エージェントは普段、一般市民として生活しているが、ビデオシーバーで司令官からの指令や作戦を受け、複数名でミッションを遂行する。各エージェントは通信以外にも多くの機能を持つ万能通信機ビデオシーバー( VC)と、対エイリアン用にカスタマイズされたエネルギー銃「ウルトラガン」を携帯する。
VC(ビデオシーバー)
エージェントたちの通信をつなぐほか、簡易の検査機能、GPS機能や電磁バリア展開機能を含めて機能はさまざまで、反重力システム(「 ANTI GRAVITY」の文字が表示される)を起動させれば、高層ビルから落下しても無事に着地できる。腕時計のように手首に巻いて携帯する。
ウルトラガン
エージェントたちが携帯する、対エイリアン用にカスタマイズされた小型エネルギー銃。下部をスライドさせ、エネルギーを装填することでレーザービームを発射する。
『ウルトラセブン』でウルトラ警備隊が使用していた銃と同名だが、形状は大きく異なり、銃身より銃把が多くを占めているデザインとなっている。別名「ウルトラガンX 」。
登場するエイリアン、怪獣(俳優の年齢は放送当時のもの)
時空怪獣ガルキメス(第1話「 DREAM」に登場)
身長40m、体重6万t。
地球社会の中枢に潜入して人間に擬態し、自分たちの侵略活動をチェスに例えるエイリアン集団のキング(演・大谷朗)が操る、巨大な2足歩行の人型生命体。時空のゲートを経由して地球上に出現し、手から緑色の破壊光弾を発射して大都市の破壊活動を行う。ガルキメスを操るエイリアン集団の正体は終始明かされず、最後まで地球人の姿であった。
デザインイメージはガジュマルで、極彩色の体色にしている。
その後、スーツのマスク部分は映画『ウルトラマンオーブ』(2017年)のガルメス人に改造された。
エージェント・ケイとアールと戦っていたエイリアン(第2話「 CODE NAME"R"」に登場)
身長2m、体重120kg(ペガッサ星人の情報)。
エージェント・ケイの回想シーンに登場したエイリアン。1年前にエージェント・ケイとアールと交戦し、ウルトラガンの攻撃を受けて倒れた。『ウルトラセブン』第6話「ダーク・ゾーン」や『平成ウルトラセブン』シリーズの「ダーク・サイド」(2002年リリース)などに登場した放浪宇宙人ペガッサ星人のスーツを流用している。ただし、映像に映ったのは腕の部分のみで全身像は明らかになっていない。
宇宙商人マーキンド星人(第3話「 HOPELESS」に登場)…… 小宮 孝泰(51歳)
身長170~190cm、体重70~100kg。
タマルという地球人に擬態していた昆虫型エイリアン。目と腕から破壊光線を出す。地球を侵略する意志はなく、他エイリアンからの依頼で商品を製造し販売する商人。侵略兵器製造の依頼を受け、仕事の無い人間たち「ホープレス」をアルバイトとして雇って脳のエネルギーを吸収して侵略兵器を造っていた。飛行能力を持つが、戦闘では地上での格闘戦が主体である。
頭部全体を光らせるために、触覚が球体の上に付いているイメージでデザインされた。
のちに「ウルトラシリーズ」第20作『ウルトラマンX 』(2015年放送)、第24作『ウルトラマンタイガ』(2019年放送)にも再登場している。
パラサイト宇宙生物ペジネラ(第4話「DIAMOND"S"」に登場)
身長42m、体重4万t。
ナノサイバティクス社の社員や、機能性化学薬品「シャイナー05」を服用する人間の脳に寄生していた、パラサイト型エイリアン。肉塊のような身体に爬虫類を思わせる体表を持つ。元々はひとつの生命体で、細胞分裂によって自己増殖を繰り返す本能しかもっていなかったが、人間に寄生して知能を得たことからシャイナー05を使って効率的に増殖したうえ、人間とは違う新しい身体を製造していた。無数の小型ペジネラが合体することで、巨大生物に変化する。破壊光線のほか、粘液状の小型ペジネラを吐いて相手の動きを封じる。動きは身軽で、アイスラッガーも受け止める。同話の最後では回収し切れなかった販売済みのシャイナー05が存在していたことから、ペジネラを殲滅できてはいないことが示唆されている。
左右に分割した下あごからスーツアクターの手が入るようになっており、手を上げることで口が閉じる仕組みになっている。
その後、スーツは『ウルトラマンX 』の不動怪獣ホオリンガに改造された。
チャムダ星人(第5話「PEACE MAKER」に登場)…… やべ けんじ(34歳)
身長180cm、体重65kg。
アルファケンタウリ星系のエイリアン。同星系に住むボーダ星人とは交戦状態にある。蒼い肌と額にも目を持つこと以外は外見に地球人との相違は無いが、容姿は全員が同一であり、身体能力はきわめて低い。細身で、地球の重力下では長時間の歩行すらままならない体質の脆弱さと社交性の高さから、地球への害意や侵略の危険は無いと DEUSに判断され、地球亡命を認められている。しかし亡命は表向きの理由でしかなく、真の目的はボーダ星人が地球に隠した守り神「オリファム(鉱石)」を発見し、彼らに対抗することであった。オリファムを発見した後はボーダ星人を殲滅することで戦争を終わらせる旨を述べ、帰還する。結局、双方の星が滅亡してしまったため、グラキエスには「双方とも愚か」と一蹴されている。
凶暴宇宙人ボーダ星人(第5話「PEACE MAKER」に登場)
身長2m、体重120kg。
アルファケンタウリ星系のエイリアン。戦力は腕から放つ破壊光線と体の前面に張るバリア。同星系に住むチャムダ星人とは交戦状態にあり、彼らから「守り神」、「彼らのすべて」などと称される緑色に発光する十六面体の緑色の石「オリファム」を奪い、地球に隠していた。複数のチャムダ星人が亡命を理由に地球に飛来してオリファムの探索を開始したため、彼らを抹殺するために再び地球へ侵入し、次々と殺害していく。頭部内部にもう1つ凶暴な牙を隠し持っているほか、大柄な体格とは裏腹に俊敏性と超怪力を持っており、チャムダ星人曰く、オリファムの力がなければ不死身らしい。ULTRASEVEN Xを追い込むほどの戦闘能力を持つ。
ヴァイロ星人(第7話「YOUR SONG」に登場)
身長175~180cm、体重70kg。
地球を侵略するために先兵を送り込んでいたヒューマノイド型エイリアン。死ぬと跡形もなく消滅してしまう。侵略を行う兵士は最高権力者から白いマスクを直接手渡され、死ぬまでそのマスクを外してはならない。先兵の調査員として地球へ侵入し、侵略のための調査を行っていたナタル(演・石川紗彩)は、地球の歌に対する愛情と DEUSのエージェント・ディーとの出逢いからマスクを外してしまったため、反逆者として同胞たちから命を狙われていた。統制の取れた集団行動を行いながら、マスクのパラボラ状の口元に取り付けられた円形の装置に両手を当てて強力な破壊音波を伴う甲高い声を発し、敵を攻撃する。ウルトラガンの攻撃を素手で偏向させたリーダー格とうかがえる個体は、飛行物体からバドリュードを出現させた。
生物破壊兵器バドリュード(第7話「YOUR SONG」に登場)
身長45m、体重6.5万t。
ヴァイロ星人のリーダーが飛行物体の船底から出現させた、ゼリー状の液体で形成された二足歩行の巨大ロボット。ヴァイロ星人のマスクと同様に、頭部の発光体に両手を当てて発射する超音波光線で敵を攻撃する。
体表は内臓のようにブヨブヨとしており、胸部を中心に機械が各部から露出したものをベースに、デザインのモチーフにはシャンパンゴールドのカラバリが選ばれた。黒い模様は布袋寅泰のギターのデザインを元にしているという。
殺戮宇宙人ヒュプナス(第8話「BLOOD MESSAGE」に登場)…… 黒田 勇樹(25歳)
身長175~180cm、体重75kg。
何者かによってエイリアンとしての記憶を消され、人間の姿で普通の生活を営んでいる。しかし、一度極度の肉体的苦痛を受けると、エイリアンとしての殺戮本能が覚醒し、両手に持つ鋭利な爪の一掻きで人間を絶命させる本来の容姿と、脆弱な人間としての容姿を使い分けながら、周囲の人間を無差別に殺害する。過去に2体が発見されており、DEUSに捕獲された2体目の自白から、何者かが無差別殺人を目的として放ったことが判明する。3体目のアガタ・キョウスケは人間の妻のアサミを得て生活していたところ、ドラッグシンジケートの売人たちに撃たれたことで覚醒してアサミを殺害するが、「ドラッグの売人たちにアサミを殺害された」という記憶に書き換えて彼女の赤いコートを着込み、売人たちへの「復讐」を続けていた。まだ妻が生きているという妄想に取り付かれていたが、その真実にたどり着いたジンと対峙して自分の青い血液を見たことから本来の記憶を取り戻し、ようやく本性を現す。潜伏中のヒュプナスの数は不明のまま、同話は幕を下ろす。
スーツのボディは、「ウルトラシリーズ」第12作『ウルトラマンガイア』(1998~99年放送)に登場したウルトラマンアグルの流用。
のちに映画『ウルトラマンオーブ』(2017年)、映画『ウルトラマンジード』(2018年)、第24作『ウルトラマンタイガ』(2019年放送)、映画『ウルトラマンタイガ』(2020年)にも再登場している。
獣人(第9話「RED MOON」に登場)
身長180~190cm、体重70kg。
尾形朔(サク 演・高野八誠)と名乗る兄と共に星々を旅していたエイリアン。普段は地球人と同じ外見で尾形望(ノゾム 演・小笠原宙)と名乗っており、水に触れると体細胞が変化する特異体質ゆえに水を恐れていたが、100年前の皆既月食の夜に恋に落ちた地球人の女性・鷺ノ宮まひるの願いを聞き入れてやむなく池の水に触れ、全身が鱗に覆われた半魚人のような怪物と化してしまう。この際にまひるを殺害しているが、本人はその事実を受け入れず、100年ぶりに目覚めても彼女を探していた。
小型集合体グラキエス(最終話「NEW WORLD」に登場)
身長4.8m、体重2.5t。
情報網を掌握することで地球文明に気付かれずに管理社会を作り上げ、他のエイリアンを排除するために DEUSを組織し、AQUA PROJECTを利用して平行する異世界への侵攻も画策していた真の支配者たち。ジンの脳裏に老紳士や中年とうかがえる男女3人の人間に擬態した姿(演・野口雅弘、ナカヤマミチコ、千葉誠樹)で現れ、自分たちの目的は侵略と支配ではなく、平和な世界の維持だとうそぶく。本来はクモに似たエイリアンであり、攻撃力は高くない。
ヘビのような体表で、目がオレンジ色に光っている。着ぐるみではなくフルCG で表現された。
巨大機械生命体メカ・グラキエス(最終話「NEW WORLD」に登場)
体長89m、体高33m、体重9万t。
攻撃力の高くないグラキエスが、自己防衛のために自分たちを模して造った巨大なクモ型機械生命体。3体でフォーメーションを組んで現れ、火炎弾や粘液状の糸を使った連携攻撃で一度は ULTRASEVEN Xを退ける。
目は青く光っている。グラキエス同様、着ぐるみではなくフルCG で表現されている。
AQUA PROJECT
ある周波を水に照射することによって、原子力に代わる莫大なエネルギーを確保しようという政府の計画。しかし、その実験中に偶発的に異世界(ウルトラセブンが存在する次元)へのゲートが出現したため、計画は凍結された。
おもなスタッフ(年齢は放送当時のもの)
監修・製作 …… 円谷 一夫(46歳)
製作統括 …… 大岡 新一(60歳)
シリーズ構成 …… 八木 毅(40歳)
監督 …… 八木毅、鈴木 健二(50歳)、梶 研吾(46歳)、小中 和哉(44歳)
脚本 …… 小林 雄次(28歳)、太田 愛(43歳)、福田 卓郎(46歳)、金子 二郎(45歳)、林 壮太郎(38歳)、長谷川 圭一(45歳)
アクション監督 …… 小池 達朗(38歳)
ウルトラセブンX デザイン・画コンテ …… 酉澤 安施(45歳)
エイリアン・小道具デザイン …… 丸山 浩(45歳)
エイリアンデザイン …… さとう けいいち(41歳)
スタジオ …… 東宝ビルト
エンディング主題歌『 Another day comes』(作曲・歌:Pay money To my Pain)
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