長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

『軍師官兵衛』  視聴メモ 第18回『裏切る理由』

2014年05月09日 19時41分09秒 | 日本史みたいな
『軍師官兵衛』第18回『裏切る理由』(2014年5月4日 演出・大原拓)


登場する武将の『信長の野望』シリーズでのだいたいの能力評価(テロップ順)

小寺 官兵衛 孝高  …… 知力84、統率力67
 (演・岡田准一)

竹中 半兵衛 重治  …… 知力59、統率力91
 (演・谷原章介)

明智 光秀      …… 知力93、統率力95
 (演・春風亭小朝)

高山 右近 重友   …… 知力71、統率力75
 (演・生田斗真)

荒木 村重      …… 知力52、統率力83
 (演・田中哲司)

本願寺 顕如     …… 知力96、統率力65
 (演・真島秀和)

母里 太兵衛 友信  …… 知力44、統率力80
 (演・速水もこみち)

石田 三成      …… 知力92、統率力60
 (演・田中圭)

安国寺 恵瓊(えけい)…… 知力80、統率力31
 (演・山路和弘)

丹羽 長秀      …… 知力82、統率力73
 (演・勝野洋)

柴田 勝家      …… 知力51、統率力87
 (演・近藤芳正)

織田 信長      …… 知力115、統率力108
 (演・江口洋介)

瀧川 一益      …… 知力66、統率力78
 (演・川野太郎)

別所 賀相(よしすけ)…… 知力48、統率力45
 (演・ベンガル)

吉川 元春      …… 知力58、統率力85
 (演・吉見一豊)

蜂須賀 小六 正勝  …… 知力74、統率力90
 (演・ピエール瀧)

木下 小一郎 秀長  …… 知力83、統率力75
 (演・嘉島典俊)

佐久間 信盛     …… 知力57、統率力51
 (演・立川三貴)

別所 長治      …… 知力63、統率力63
 (演・入江甚儀)

中川 清秀      …… 知力26、統率力75
 (演・近江谷太朗)

細川 藤孝      …… 知力80、統率力71
 (演・長谷川公彦)

毛利 輝元      …… 知力85、統率力80
 (演・三浦孝太)

荒木 久左衛門    …… 知力51、統率力67(これは『信長の野望』に登場する武将・池田知正の能力値です)
 荒木村重の親族で重臣(演・井上肇)

荒木 村次(むらつぐ)…… 知力48、統率力78
 荒木村重の嫡男(演・中山卓也)

小寺 政職      …… 知力44、統率力49
 (演・片岡鶴太郎)

宇喜多 直家     …… 知力94、統率力74
 (演・陣内孝則)

小早川 隆景     …… 知力83、統率力77
 (演・鶴見辰吾)

羽柴 秀吉      …… 知力95、統率力94
 (演・竹中直人)

小寺 職隆      …… 知力72、統率力55
 (演・柴田恭平)


ざっとの感想

○官兵衛「三木城を四十の付け城で完全包囲して、毛利軍からの兵糧補給を断ちまする!」に対して、
 秀吉「おぉ、それは奇想天外、大胆不敵な作戦じゃ! それじゃあ佐吉、準備よろしく!!」という無茶ぶり。これを受けての、
 佐吉「この口ばっかし野郎……それをホントにやる身にもなってみろや!!」という殺気を隠さない表情が最高です!
 でも、こういうひどい仕事をしっかりと実現してのけるのが、石田佐吉(三成)の天賦の才能なんですよね。この上司にして、この部下あり。やってやろうじゃねぇかコノヤロー!!

○「織田信長に直接会って報告をする」という、たったそれだけのことが、どんだけ胃のキリキリと痛むハードワークなのか……
 そこらへんを実に丁寧に説明してくれる田中哲司さんの演技、さすが! 有岡城に帰ったあとに呑むお酒、おいしそうですねぇ~。
 それにしても信長さん、「村重は天下統一には絶対に欠かせぬ人材だ!」と、そんなに断言していいんすか……

○あいかわらず殺陣がむちゃくちゃサマになる官兵衛。やっぱカッコイイねぇ!
 他意はホントに全然ないんですが、日本刀の殺陣は、どうしても「腰の位置の低い」体格のほうが強そうに見えますよね。岡田さんは本当にアイドルらしからぬ和装ジャストフィット感に満ちあふれていますなぁ……他意は、ない。

○現在、後藤又兵衛基次の少年時代を演じている子役の松島海斗くんの、純粋な輝きに満ちた目が、イイ! ひたすら一途に官兵衛を尊敬しているまなざしが、素晴らしいねぇ。
 そんな又兵衛が、まさか成長してあんな人生を歩むことになろうとは……っていうか、演じる役者さんも、あんなにすさんだ役(『アウトレイジ』とか)が似合うチャラい外見になろうとは! いったい何があるんだ、これから!?

○やっと!! やっと、ちょっぴりだけだけど、石山本願寺の包囲戦における戦闘シーンが映像化されました……
 気持ちとしてはもっとスケールアップしてほしかったとも思うんですが、まぁ、映像化されただけ、いっか! もっと、もっと畿内のいくさを描写していってくれーい!!

○これまた、やっと!! やっと『軍師官兵衛』の中で「毛利は九州から大友に攻められ……」と、セリフだけながらも九州地方の戦国事情についての言及があったぞーい!
 そうそう、大国・毛利の敵は織田だけじゃないんですよね~。九州の大友宗麟もものすごいんだから♡  そこを無視してちゃあ、中国戦線は語ることができません。
 ホント、九州地方の戦国大名を主人公にした大河ドラマって、いつか制作される日が来るんですかねぇ。今年、中途半端に九州に関係のある官兵衛がメインをとっちゃったばっかりに、またしばらくは可能性が遠のいてしまったような……官兵衛じゃなくて「黒田家」だったら、がっつり九州にからんでたんでしょうけど。島津兄弟なんかおもしろいと思うんですけど、やっぱ難しいのかなぁ。

○政職「碁なら元に戻せるが、人の命はそうはいかん……」
 しみる言葉だなぁ! 『信長の野望』ならリセットできるが、マジ人生はそうはいかん……
 まわりの誰かが、それまで夢中になってた趣味に急に入れ込めなくなっちゃった姿って、ほんとに見ていて哀れですよね。小寺政職、実に小人物らしい、味わい深い慟哭よ!

○う~ん、村重さん、ここは思いきって、中川清秀を殺しちゃったほうがいいんじゃないっすかね……なんか、この脚本だと清秀がかなり無能な家臣になっちゃってますね。籠城の準備っておまえ……独断でそんなことまですんなや! なんか、主君のワシまでやましいとこがあるみたいやんけ!? いくさなら、勝手におまえだけがやらかして死ね、ダァホ!!

○うちゆき姫、地球儀に大はしゃぎ☆、のまぁ~き!!
 なんか、こういうコミカルなシーンでのビックリ顔演技でしか存在意義のない明智光秀って、いったい何なんだろうか……たぶん、今までのどの歴史ドラマにもなかった新しいこころみだからいいですけど、それ、実をむすぶか?
 やっぱり江口信長さんの、眉毛あたりの繊細なリアクションもうまいですよね。「日本が小さい」という説を聞いて、怒ったりテンションが下がるんじゃなくて、むしろ「じゃあ、その広い世界をこの目で見てみたい!」とアゲアゲになるのが信長らしいな~。そういう発想の転換って、いいですよね!!

○ノリノリ上機嫌な信長のもとにもたらされる、「荒木に謀反の疑いあり」という急報!
 なんつっても、さいぜんまで気分が良かっただけに、その反動で眼を異常にギラギラさせて不機嫌になる信長の顔がこわいこわい!
 荒木に縁のある光秀(村重の嫡男・村次の正室が光秀の養女)もたいそう肝を冷やしたと思いますが、思い返せば、その報告をした細川藤孝だって、昔はあの将軍・足利義昭の一の重臣だったわけでして……他人事みたいにチクッてますが、藤孝も十二分にコワかったでしょうね~、この場は。あの、ワシは関係ないっすよ!?

○清秀「本願寺へ兵糧を運び込んでいた者が……織田方に捕まりました!」
 ほ~ら、だから清秀ごとチャッチャと処断してればよかったのに。清秀、おまえどの口でそんなことをぬけぬけといいよるか……その者はいったいどこのどいつの家臣なんだっつーの!!
 まさか、あの猛将・中川清秀がこれほどまでにあぶなっかしい大馬鹿ポンスケだったとは……こわいわ、あんた!!
 それにしても、よくこのあと生き残って秀吉の家臣になれたね。まぁ、ロクな死に方してないけど。

○有岡城に籠もって謀反を起こしたとき、村重は数え年44歳、その嫡男の村次は28歳。村重はそうとう若いころにさっさと息子をなしたんですね。
 つまり、正確な年齢は史料に残っていないにしても、今回のドラマの中ではどこからどう見ても20代にしか見えない村重の正室だし(演じる桐谷美玲さんは24歳)は、村次の実の母ではないということになりますね(史実上も村次の母は別の女性だったらしい)。
 いや~、そうなると、なにが気になるって、いい年した村次と、何歳かしか離れていない義母だしとの日常生活での関係が気にならずにはおられないですよね……うをを、「お義母さん」と書いて「おかあさん」と読む!! 荒木のムラムラどころじゃないっすよ、こりゃも~、ム~ラムラ~のムラ祭りの開幕よ~!! 祭囃子はブラジリアン。

 ところが、ここでちょっと冷静さを取り戻して調べてみますと、今回の『軍師官兵衛』では村重とだしとの間に生まれた子となっている赤ん坊は、すったもんだがありつつも、無事に成長してのちに江戸時代初期を代表する天才画家・岩佐又兵衛勝以(かつもち 1578~1650年)となるわけなのですが、この岩佐又兵衛が村重の子ではなくて村次の嫡男なのではないか(つまり村重の孫)という説もあるのです。まぁ年齢的には、そうであってもおかしくはないですよね。
 ということは、親父の村重が若い愛人をのち添えにしたころには、すでに村次にも家庭があった可能性があるわけで、村次のムラムラは別にだしには行かずに健全なムラムラで済んでいたのやも知れず、だしはだしで村重のムラムラの相手をするのに手いっぱいで村次のムラムラにまで付き合っているヒマはなかったのやも知れず。
 ともあれ、こうして有岡のムラムラな夜はふけていくのであった……今夜も暑くなりそうです……

○右近「駄目だこいつら……早くなんとかしないと……」
 『 DEATH NOTE 』のライトさんなみに唖然とする右近をよそに、あっという間に「打倒信長!」という途方もないドリームを目指して血気盛んに怪気炎を上げる荒木村重家臣団。おれたちの戦いは、まだ始まったばかりだ!!
 今までさんざんバカっぽいバカっぽいと評してきた織田信長家臣団さえもが、思わずはだしで逃げ出しかねない脳細胞の圧倒的欠乏感なのですが、ここの衆議とも言えない衆議シーンで、中川清秀に続いて発言していた重臣の代表っぽい中年男性が、「荒木久左衛門」という村重の親族です。
 ドラマ本編の内容からは脱線するのですが、この荒木久左衛門、『軍師官兵衛』の Wikipedia記事では、その名前をクリックすると自動的に「池田知正(ともまさ 1555~1604年)」という武将の記事にジャンプするようになっています。いうまでもなく、知正は荒木村重が織田信長の勢力を背景に摂津国(現在の大阪府北中部と兵庫県南東部)の国主となった以前に摂津国を支配していた名門・池田一族の最後の当主で、ゲーム『信長の野望』シリーズでもほぼ全作にレギュラー登場している有名武将です。まぁ、私個人には、彼がプレイ上なにかの役に立ったという記憶はないんですけど……
 そんな貴公子・知正くんなんですが、運悪く足利義昭公サイドについたために村重と真っ向から対立して没落したその後に、よりにもよってその村重の軍門にくだって家臣になるという図太さを発揮していました。う~ん、やるね!

 ということは、やっぱりドラマに登場していたあのおじさんは、「荒木久左衛門」に改名して仇敵の家臣から再スタートした池田知正なのかということになるのですが……ど~も私にはにわかに信じがたい!
 池田知正は1555年生まれではないかと言われています。つまり、荒木村重が謀反を起こした時期には「数え年24歳」だったはずなのです。村重よりもず~っと年下! ちょっと老けすぎじゃないか……?
 それに、自分の1コ前の国主で最大の敵だった知正を、村重が無理矢理「荒木姓」に改名させてこき使ったとも考えにくい。逆に、ご当地でのネームバリューと支配者としての正統性をねらって村重のほうが「池田姓」をかっさらう、っていう図式のほうが自然ですし、実際にそういう経緯で改姓した戦国武将の例はいくらだってあるはずです。「姉小路頼綱」とか「斎藤道三」とか、「北畠信雄」とか「神戸信孝」とか!
 知正のほうにしたって、なんでドラマのように、自分を追い落とした村重にそんなに忠節を尽くして「いっしょに謀反しましょう!!」って発破をかける義理があるというのでしょうか。おそらく村重は、あの毛利家がかつての宿敵・尼子家の生き残った当主をそう扱ったように、池田知正を「形式上」家臣とすると表明しただけで、実際には仕事らしい仕事も与えずにどこか確実な場所で厳重に保護していたと思うんですよね。自分の君主としての器のでかさをアピールするためだけの、ていのいい人質になってもらっていたと思うんです。

 つまり、私もそう確信しているわけなんですが、少なくともドラマの脚本家さんは、荒木久左衛門と池田知正は同一人物だとは考えずに、久左衛門を「村重にひたすら忠実な重臣」として登場させていたと思うんです。そこに池田知正の半生の入り込む隙は1ミリもないし、またいらないでしょう。
 いったいどこのどなたが、ウィキのあのページで久左衛門と知正をリンクさせたのかは存じ上げませんが、これを「ありがた迷惑」と言わずになんといいましょうか。あなた、ちゃんとドラマ本編観てましたか!?

 まぁ、これで次回以降の展開の中で、久左衛門さんが「のちの池田知正である。」とかって語られちゃったら、その時点で私だけの「ひとり相撲」なことが判明して即効アウトになるんですけどね……たしけて、脚本家サマ~!!


結論、「第19回がとてもたのしみです。」

 さぁ、いよいよ盛り上がってまいりました! 官兵衛の運命や、いかに!?
 そして桐谷美玲さんは、一体いつになったら大河ドラマにしっくりきてくれるのか!? っていうか、いつになったら本気出して演技してくれるのかァア!? 戦国有数の「総構え」で知られる難攻不落の有岡城攻防戦から、もうひとときも目が離せませんな!!

 おかしいな……あんなにヒドかったっけ……?
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金田一さんとこのお孫さんのドラマがまた始まるんですかそうですか  ~ File 2~

2014年05月06日 23時05分24秒 | ミステリーまわり
『金田一少年の事件簿』のあれやこれや~

事件簿一覧
FILE(第I期)シリーズ(1993~1997年 コミックス版では全27巻)
File1『オペラ座館殺人事件』(1992年10~12月)
 幼なじみの美雪の頼みで孤島のホテル「オペラ座館」での演劇部合宿に参加した金田一であったが、そこで『オペラ座の怪人』の物語に見立てた殺人が起きる。
 TV ドラマ版第1期(堂本金田一)、TV アニメ版第1期で映像化。

File2『異人館村殺人事件』(1992年12~93年3月)
 不動高校の同級生・時田若葉の結婚式に参加するため青森県の六角村を訪れた金田一と美雪。しかし村で惨劇が起きる。
 TV ドラマ版第1期で映像化。

File3『雪夜叉伝説殺人事件』(1993年3月~5月)
 TV ドラマのエキストラとして雪山の山荘での撮影に参加した金田一。しかしそこで「雪夜叉」による連続殺人が起きる。
 TV ドラマ1995年スペシャル版(堂本金田一)、TV アニメ版第1期で映像化。

File4『学園七不思議殺人事件』(1993年6月~8月)
 不動高校には、学校に伝わる七不思議の七つ目を知った者は「放課後の魔術師」に殺されるといううわさがあり、ミステリー研究会がその真相を探ろうとするのだが……
 TV ドラマ1995年スペシャル版(堂本金田一)、TV アニメ版第1期で映像化。

File5『秘宝島殺人事件』(1993年8月~10月)
 財宝が眠るという島のツアーに参加する金田一と美雪は、それを巡る連続殺人事件に巻き込まれていく。
 TV ドラマ版第1期、TV アニメ版第1期で映像化。

File6『悲恋湖伝説殺人事件』(1993年10月~94年1月)
 悲恋湖のリゾート計画のモニターツアーに参加することになった金田一と美雪。すると、10年前に世間を震撼させた殺人鬼「ジェイソン」の起こした事件と酷似した連続殺人が起こる。
 TV ドラマ版第1期(堂本金田一)、TV アニメ版第1期で映像化。

File7『異人館ホテル殺人事件』(1994年1月~4月)
 クリスマス直前の函館のホテルを訪れた金田一と美雪。そこを舞台に殺人劇の幕が上がる……
 TVドラマ版第2期(堂本金田一)、TV アニメ版第1期で映像化。

File8『首吊り学園殺人事件』(1994年4月~7月)
 試験対策のため、美雪と共に通称「首吊り学園」と呼ばれる予備校の講習に参加する金田一。ところが試験中に謎の子守唄が流れだし……
 TV ドラマ版第1期で映像化。

File9『飛騨からくり屋敷殺人事件』(1994年8月~10月)
 剣持警部の知り合いの住む、飛騨の「からくり屋敷」に招かれた金田一と美雪。ところがその晩「首狩り武者」の凶行が始まり……
 TV ドラマ版第1期、TV アニメ版第1期で映像化。

File10『金田一少年の殺人』(1994年11月~95年3月)
 真犯人の策略により殺人犯に仕立て上げられてしまった金田一。自らの無実を証明するため、逃亡しながら真相を探る。
 TVドラマ版第2期、TV アニメ版第1期で映像化。

File11『タロット山荘殺人事件』(1995年3月~6月)
 トップアイドル速水玲香のはからいで雪山のタロット山荘へやってきた金田一と美雪。ここでタロットカードに見立てた殺人が起きる。
 TVドラマ版第2期、TV アニメ版第1期で映像化。

File12『蝋人形城殺人事件』(1995年6月~9月)
 バルト城という古城で開催されるミステリーナイトに参加することになった金田一と美雪。姿を見せない殺人者「レッドラム」の手によって、城内に展示されている蝋人形たちと同じ状況で人が次々と殺されていく。
 TVドラマ版第1期、TV アニメ版第1期で映像化。

File13『怪盗紳士の殺人』(1995年10月~96年1月)
 高校でいじめられていた同級生の和泉さくらを助けたことから、和泉の家の別荘へ招かれた金田一と美雪。しかしそこに名画を狙う「怪盗紳士」が現れ……
 TVドラマ版第2期、TV アニメ版第1期で映像化。

File14『墓場島殺人事件』(1996年1月~4月)
 金田一と美雪は不動高校のメンバーと旅行に行くことになった。しかし、着いた先は太平洋戦争の激戦地であった通称「墓場島」という孤島だった。
 TVドラマ版第2期、TV アニメ版第1期で映像化。

File15『魔術列車殺人事件』(1996年4月~7月)
 奇術団のメンバーが殺害される事件が発生。金田一は事件の黒幕「地獄の傀儡師」が仕掛ける死の罠に立ち向かう。
 TV アニメ版第1期、TV ドラマ2001年スペシャル版で映像化。

File16『黒死蝶殺人事件』(1996年8月~11月)
 フリーライターのいつき陽介が金田一に見せた写真に写っていたのは、何と死んだはずの「あの男」の姿だった。真相を確かめるべく男の住む館へ向かうが、そこで「不死蝶」による殺人が起きる。
 TV アニメ版第1期、TVドラマ版第3期(松本金田一)で映像化。

File17『仏蘭西銀貨殺人事件』(1996年11月~97年3月)
 金田一と美雪は小学校時代の友人・高森ますみの参加するファッションショーを見に行くことに。しかし彼女はとんでもない事実を隠していた……
 TV アニメ版第1期、TVドラマ版第3期で映像化。

File18『魔神遺跡殺人事件』(1997年3月~6月)
 不動高校の先輩・宗像さつきに導かれ、魔陣村へ向かった金田一。しかしそこで神器の呪いと「凶鳥の命」による殺人が……
 TV アニメ版第1期で映像化。

File19『速水玲香誘拐殺人事件』(1997年9月~11月)
 速水玲香が何者かに誘拐される。金田一は彼女を救出すべく行動するが……
 TV アニメ版第1期、TVドラマ版第3期で映像化。


小説版
 著者は原作者でもある天樹征丸。ながらく絶版の状況が続いていたが、2012~13年に講談社漫画文庫より全作が復刊された。発行部数は累計500万部を突破している。
 『上海魚人伝説殺人事件』と『幽霊客船殺人事件』が実写映像化された他、アニメ版ではほとんどの作品が映像化されている。
 なお、これらの他に同じ天樹による短編小説も3作執筆されている(原作マンガの短編集コミックスに書き下ろされたもの)。

1『オペラ座館 新たなる殺人』(1994年9月)
2『幽霊客船殺人事件』(1995年4月)※TV アニメ版第1期、TVドラマ版第3期で映像化
3『電脳山荘殺人事件』(1996年4月)※TV アニメ版第1期で映像化
4『鬼火島殺人事件』(1997年5月)※TV アニメ版第1期で映像化
5『上海魚人伝説殺人事件』(1997年11月)※TV アニメ版第1期で映像化
6『雷祭殺人事件』(1998年6月)※TV アニメ版第1期で映像化
7『殺戮のディープブルー 上・下』(1999年7月)※TV アニメ版第1期で映像化
8『邪宗館殺人事件』(2001年4月)


CD ブック
 これまで2作の CDブックが発売されている。レギュラー声優陣は、アニメ版とは異なる。
金田一 一 …… 関 俊彦(33~34歳)
七瀬 美雪 …… 氷上 恭子(27~28歳)
剣持 勇  …… 梅津 秀行(40~41歳)
一の母   …… 川村 万梨阿(34歳 『悪魔組曲』のみの出演)
明智 健悟 …… 置鮎 龍太郎(27歳 『死神病院』のみの出演)

『悪魔組曲殺人事件』(1996年1月)
 TVドラマ版第2期、TV アニメ版第1期で映像化されている。『ミセス金田一の事件簿』が同時収録。
『死神病院殺人事件』(1997年4月)
 TV アニメ版第1期で映像化されているが、トリックも含めて内容は大きく変更されている。同時収録の短編『明智警視の華麗なる休日』もTV アニメ版第1期で映像化されている。


ゲームソフト
 プレイステーション版とセガサターン版で、レギュラー声優陣のほとんどがアニメ版と異なっている。

プレイステーション版
『悲報島 新たなる惨劇』(1996年11月 講談社)
『地獄遊園殺人事件』(1998年3月 講談社)
『青龍伝説殺人事件』(1999年8月 講談社)
金田一 一  …… 岩永 哲哉(26~29歳)
七瀬 美雪  …… 宮村 優子(23~26歳)
剣持 勇   …… 高橋 功(?歳 『悲報島』『地獄遊園』)、大塚明夫(39歳 『青龍伝説』)
いつき 陽介 …… 二又 一成(41歳 『悲報島』のみの出演)
明智 健悟  …… 森川 智之(31~32歳 『地獄遊園』『青龍伝説』に出演)
佐木 竜二  …… 結城 比呂(33歳 『地獄遊園』のみの出演)

セガサターン版
『星見島 悲しみの復讐鬼』(1998年1月 ハドソン)
※本作は「連続殺人事件の真犯人が主人公」という設定の、シリーズの中でも非常に珍しい「倒叙もの」ミステリーになっている。したがって、金田一一らレギュラー陣は「非常に手ごわい敵」に設定されている(主人公は緒方恵美の演じる女性シナリオと、置鮎龍太郎の演じる男性シナリオの2パターン)。
金田一 一  …… 草尾 毅(32歳)
七瀬 美雪  …… 飯塚 雅弓(27歳)
剣持 勇   …… 土師 孝也(45歳)
いつき 陽介 …… 藤原 啓治(33歳)
明智 健悟  …… 子安 武人(30歳)
速水 玲香  …… 倉田 雅世(28歳)


Short File シリーズ(1998~2000年刊行、講談社漫画文庫版では全4巻)
 1997年から、長編のつなぎとなる形で開始。連載2~3回で終わる短編のシリーズ。このシリーズは物語が「問題編」と「解決編」という形式になっている。また、当初このシリーズの一部であった明智健悟を主人公としたエピソード群は後に「 Akechi File シリーズ」として独立し、単独でコミックスが刊行されている。

第1巻『金田一少年の挑戦』(1997年11月刊行)
『氷点下15度の殺意』(1997年6月~7月)※TV アニメ版第1期で映像化
『誰が女神を殺したか?』(1997年7月)※TV アニメ版第1期で映像化
『明智警視の事件簿(後に Akechi File シリーズ)』(1997年8月)
『共犯者X』(書き下ろし短編小説)
『美雪とはじめのエトセトラ』(描き下ろし)
『KMR(金田一ミステリー調査班)』(1996年4月から刊行が開始された、過去の事件を『マガジン』増刊号として編集・再録した『総集編』シリーズの、第4集の描き下ろし)

第2巻『金田一少年の推理』(1998年3月刊行)
『1/2の殺人者』(1997年12月)※TV アニメ版第1期で映像化
『聖なる夜の殺人』(1998年1月)※TV アニメ版第1期で映像化
『明智警視の事件簿2(後の Akechi File シリーズ)』(1997年11月)
『金田一少年の報酬』(描き下ろし)
『迷い込んできた悪魔』(書き下ろし短編小説)※TV アニメ版第1期で映像化

第3巻『金田一少年の冒険』(1998年8月刊行)
『鏡迷宮(ミラーラビリンス)の殺人』(1998年5月)※TV アニメ版第1期で映像化
『金田一フミ誘拐事件』(1998年6月)※TV アニメ版第1期で映像化
『明智少年の華麗なる事件簿(後に Akechi File シリーズ)』(1998年4月~5月)
『金田一少年の悪夢』(書き下ろし短編小説)※TV アニメ版第1期で映像化
『金田一少年の怪奇事件簿』(描き下ろし)

第4巻『金田一少年の疾走』(1999年6月刊行)
『金田一フミの冒険』(1998年9月~10月)※TV アニメ版第1期で映像化
『白銀に消えた身代金』(1999年2月)※TV アニメ版第1期で映像化
『フィルムの中のアリバイ』(1999年3月)※TV アニメ版第1期で映像化
『殺人レストラン』(1999年3月~4月)※TV アニメ版第1期で映像化
『美少女探偵 金田一フミ』(描き下ろし)

第5巻『金田一少年の対決』(1999年11月刊行)
『血染め(ブラッディ)プールの殺人』(1999年7月~8月)※TV アニメ版第1期で映像化
『亡霊学校殺人事件』(1999年8月~9月)※TV アニメ版第1期で映像化
『瞬間消失の謎』(1999年10月)※TV アニメ版第1期で映像化
『美少女探偵 金田一フミ2』(描き下ろし)

第6巻『金田一少年の回想』(2000年10月刊行)
『妖刀毒蜂殺人事件』(2000年3月)
『怪盗紳士からの挑戦状』(2000年6月~7月)※TV アニメ版第1期で映像化
『午前04:40の銃声』(2000年7月)
『女医の奇妙な企み』(2000年8月)
『美少女探偵 金田一フミ3』(描き下ろし)

Akechi File シリーズ
 金田一一のライバルである明智警視を主人公とした短編シリーズ。高校生時代の短編は『明智少年の華麗なる事件簿』、刑事になってからの短編は『明智警視の優雅なる事件簿』として刊行された。

『明智少年の華麗なる事件簿』(2000年2月刊行)
FILE1『明智少年最初の事件』(1998年4月~5月)※TV アニメ版第1期で映像化
FILE2『殺意の四重奏』(1998年9月)※TV アニメ版第1期で映像化
FILE3『幽霊剣士殺人事件』(1999年2月~3月)※TV アニメ版第1期で映像化
スペシャルストーリー『健悟の部屋』(描き下ろし)

『明智警視の優雅なる事件簿』(2000年5月刊行)
FILE1『証言パズル』(1997年8月)※TV アニメ版第1期で映像化
FILE2『殺人ポーカー』(1997年11月)※TV アニメ版第1期で映像化
FILE3『死者のチェックメイト』(1999年7月)※TV アニメ版第1期で映像化
FILE4『幽霊ホテル殺人事件』(2000年3月~4月)
スペシャルストーリー『明智警視 優雅なる朝の風景』(描き下ろし)


Case シリーズ(1998~2001年 コミックス版では全10巻)
 前「FILE シリーズ」の長編1作の容量がコミックス1冊におさまらず、分冊されるために途中からコミックスを揃える場合に中途半端であるということもあり、作品の長さがコミックス1冊分または2冊分にリニューアルされた。読者にとってはコミックスを揃えやすい、読みやすいというメリットがあるが、物語がコミックス1冊におさまる中編か、2冊分を使い切る大長編かのどちらかに制限されてしまうことになった。
その結果、一部の長編はシリーズ全作品の中でも有数の長さを誇るスケールの大きい作品となり、その一方で、描きたい内容が十分に描ききれなかったと作者自身がのちに語る作品も登場することになった。
 また、第22話『天草財宝伝説殺人事件』より、金成陽三郎が原作者を降板している。

File20『魔犬の森の殺人』(1998年1月~4月)
 ひょんなことから山の中の廃研究所に滞在中の、大学のオカルト研究会と一緒になった金田一たち一行。しかしそこで、伝説の魔犬「ケルベロス」が実在するかのような殺人が起きる……
 TV アニメ版第1期、TVドラマ版第3期で映像化。

File21『銀幕の殺人鬼』(1998年6月~8月)
 他校の映画研究会の自主映画製作に参加することとなった金田一と美雪。しかしそこで、ホラー映画に見立てて部員が殺されていく……
 TV アニメ版第1期で映像化、TV ドラマ版第4期(山田金田一)で映像化予定。

File22『天草財宝伝説殺人事件』(1998年10月~99年1月)
 南九州地方の天草諸島に眠る天草四郎の財宝発掘ツアーに参加した金田一たちだったが、参加者が次々と殺されていく。
 TV アニメ版第1期で映像化。

File23『雪影村殺人事件』(1999年4月~6月)
 かつての友人の葬式に出席すべく田舎の漁師町に向かった金田一は、友人たちの心のすれ違いが生んだ悲しい事件に臨むことになる。
 TV アニメ版第1期で映像化。

File24『露西亜人形殺人事件』(1999年10月~2000年2月)
 死去した人気ミステリー作家の遺産相続ゲームに関わることになった金田一と美雪。その相続候補者が遺産相続の暗号になぞらえて次々と殺されていき……
 TV アニメ版第1期、TVドラマ版第3期で映像化。

File25『怪奇サーカスの殺人』(2000年4月~6月)
 ミステリー研究会の合宿の下見にやってきた金田一たち。そこでショーを行うサーカス団と知り合うが……
 TV アニメ版第1期で映像化。

File26『金田一少年の決死行』(2000年8月~01年1月)
 宿敵「地獄の傀儡師」を追って香港に渡った金田一。しかし、そこで殺人容疑をかけられ、遂には明智警視を殺害しようとした罪を着せられて逃亡の身となる。
 この作品は連載時に「 THE LAST CASE 」「金田一少年の最終事件」と記載されていた。


第II期シリーズ(2004~11年 コミックス版では全14巻)
 1年に1作の不定期・短期集中連載形式となった。

File27『吸血鬼(ヴァンパイア)伝説殺人事件』(2004年8月~10月)
 File26の事件解決後、旅に出ていた金田一に呼び出された美雪と剣持。廃墟ホテルにおいて、まるで吸血鬼に襲われたかのような事件が起きる。
 TV ドラマ2005年スペシャル版(亀梨金田一)、TV アニメ2007年スペシャル版で映像化。

File28『オペラ座館 第三の殺人』(2005年9月~12月)
 美雪と剣持に呼び出され、みたびオペラ座館へ向かうことになった金田一。閉館が決まったオペラ座館で、新たなる事件が幕を開ける。
 この事件の解決後、金田一は旅から帰還して完全復帰した。
 TV アニメ2007年スペシャル版で映像化。

File29『獄門塾殺人事件』(2006年4月~8月)
 「地獄の傀儡師」からの手紙により、金田一たちは厳格な学習塾の講習に潜り込むが……
 TV ドラマ2014年スペシャル版(山田金田一)で映像化。

File30『雪霊伝説殺人事件』(2007年1月~4月)
 ひょんなことから高額な遺産の相続権を得た金田一は、他の権利者たちと共に雪山のロッジに泊まることになる。

File31『黒魔術殺人事件』(2008年5月~7月)
 旧友からの依頼を受け、ある屋敷におもむいた金田一たち。しかしそこで、黒魔術で呪われたかのような殺人が起き……

File32『剣持警部の殺人』(2009年4月~7月)
 剣持警部が行方不明となり、同時に彼が捜査に携わった少年事件の関係者が次々に殺害されていく。果たして、事件の真犯人は本当に剣持なのだろうか……

File33『錬金術殺人事件』(2010年4月~7月)
 とあるきっかけでクイズ大会の番組に出場した金田一は、美雪たちと共に決勝の舞台「恋琴島」に向かう。そこにあったのは生涯を錬金術の研究に費やした研究者・絵崎蔵人の研究施設で、島には絵崎の残した財宝が隠されているという。
 TV アニメ版第2期『R』で映像化。

File34『ゲームの館殺人事件』(2011年4月~6月)
 友人たちと遊園地に行った金田一と美雪は帰りのバスで何者かに眠らされ、目が覚めた時には廃病院に拉致されていた。そこで「ゲームマスター」による死の脱出ゲームが始まる……

短編
『海人漁伝説殺人事件』(2007年4月 アニメ版『金田一少年の事件簿』DVD コレクターズBOX のスペシャルブックレットに収録されたおまけギャグマンガ)
『速水玲香と招かれざる客』(2007年4月~5月)※TV アニメ版第2期『R』で映像化
『不動高校学園祭殺人事件』(2007年11月 全4話)
『血溜之間殺人事件』(2008年4月 全4話)
『金田一少年の事件簿・中学生編 飛込プールの悪霊』(『月刊少年ライバル』2009年7月号読切り)
『金田一少年の事件簿・中学生編 キャンプ場の怪事件』(『月刊少年ライバル』2009年10月号読切り)
『高度1万メートルの殺人』(2010年8月~9月)


20周年記念シリーズ(2012~13年 全5巻)
File35『人喰い研究所殺人事件』(2012年3~5月)
 金田一と美雪は中学時代の元クラスメートにして科学の天才・緑川繭に誘われ、青森県の仁久井村を訪ねる。そこは昭和時代で時が止まったかのようなレトロな雰囲気の村だった。繭が所長を務める国立エネルギー研究所、またの名を「人喰い研究所(ラボ)」で、宿泊客が不可解な死を遂げる。これは「ヒトクイ」と呼ばれる連続自殺の始まりなのか…。

短編『暗黒城殺人事件』(2012年6月 全3話)

File36『香港九龍財宝殺人事件』(2012年7~10月)
 急遽スカウトを受けファッションショーに出ることになった美雪と香港に渡る金田一と佐木。しかし美雪は何者かに誘拐され、金田一は美雪と瓜二つの少女ランと共に事件を追う。
 TV ドラマ2013年スペシャル版(山田金田一)、TV アニメ版第2期『R』で映像化。

File37『薔薇十字館殺人事件』(2012年12月~13年4月)
 金田一は逃亡中の高遠からのコンタクトを受け、彼に挑戦状を送りつけた謎の人物「ローゼンクロイツ」の正体を突き止めるため、高遠と共に「薔薇十字館」を訪れる。


R(リターンズ)
 2013年11月から連載中。
File38『雪鬼伝説殺人事件』(2013年11月~14年3月)
File39『亡霊校舎の殺人』(2014年4月~連載中)

『高遠少年の事件簿』
 金田一のライバルキャラクター「高遠遙一」を主人公としたエピソード。高遠の高校生時代の物語が、2013年12月~14年3月に DeNAが配信している iOS・Android用マンガ雑誌アプリ『マンガボックス』にて連載。


スピンオフ作品
『金田一少年の1泊2日小旅行』(2014年4月~)
 作画・あわ箱。マンガ雑誌アプリ『マンガボックス』にて連載中。
『明智警部の事件簿』(2014年5月~)
 作画・佐藤友生。『月刊 マガジンSPECIAL 』にて連載中。

TV ドラマ
 日本テレビ系でこれまで、初代(KinKi Kids 堂本剛 1995~97年)、2代目(嵐・松本潤 2001年)、3代目(KAT-TUN 亀梨和也 2005年)、4代目(Hey!Say!JUMP 山田涼介 2013~14年)とキャスト及びスタッフを変えながら放送された。主演はいずれも、ジャニーズ事務所所属タレントが担当。特に堂本剛主演の第1、2シリーズ(初代)は当時高視聴率を記録し、1997年には映画化もされた。


アニメ版
 1996年に公開された劇場版アニメ第1作『オペラ座館・新たなる殺人』が初のアニメ化作品である。その後、TV アニメシリーズは読売テレビの制作で、日本テレビ系列にて1997年4月~2000年9月・毎週月曜19:00~19:30に放送された(全149話)。アニメーション制作は東映動画(本放送中の1998年より東映アニメーションと社名変更)で、よみうりテレビでの東映動画作品としては実に25年ぶりのことだった。このアニメ版も TVドラマ第1シリーズと同様に高視聴率を記録した(平均視聴率14.8%、最高視聴率19.0%)。テレビアニメ放送中の1999年には劇場版アニメ第2作『殺戮のディープブルー』が公開された。放送期間の途中から順次デジタル制作に移行し、この作品を最後に、東映動画はセル画による TVアニメ制作を打ち切った。
 2007年11月の19:00~20:00には、7年ぶりに新作『オペラ座館・最後の殺人』と『吸血鬼伝説殺人事件』が2週連続で放送され、2012~13年には『黒魔術殺人事件』が原作コミックス限定版付属オリジナルアニメDVD として発売された。
 さらに2014年4月より、前シリーズと同じ読売テレビ制作・日本テレビ系列にて第2シリーズ『金田一少年の事件簿R(リターンズ)』として再び放送開始された。放送時間は毎週土曜日17:30~18:00。制作スタッフと主要キャストは、前シリーズと同じメンバーが再集結した。
 なお、2014年7~9月には日本テレビ系列で毎週土曜日21時から TVドラマ『金田一少年の事件簿N(ネオ)』が放送される予定であり、この期間はアニメ版とドラマ版が史上初めて同時期かつ同一曜日に放送されることになる。

 原作マンガでは、首や胴体の切断といった猟奇的な殺され方をする被害者が多かったが、アニメ版ではそれらが省略されていたり、直接的な死体の描写を避けてシルエット処理で演出したり、近距離で身体の一部分のみを見せる描写を行っている。東映動画のプロデューサーとして制作に携わった清水慎治は、「次々に起こってゆく殺人事件に我々(制作サイド)がマヒして、死に対する恐れを忘れたり、猟奇性をいたずらに追うことだけは、絶対にやめようと番組が始まる前からスタッフとよく話しました。」と語っている。
 原作でのギャグシーンが大幅にカットされたほか、スリ・カンニングや未成年者の飲酒・喫煙、パンチラ・乳首の露出、妊娠する展開などもカットされた。
 シリーズの中で、『嘆きの鬼伝説殺人事件』(2000年1月放送)と『出雲神話殺人事件』(2000年5~6月放送)の2エピソードはアニメオリジナル作品である。これらは、当時 JR西日本が企画したイベントツアー『金田一少年の事件簿ミステリーツアー』が原作となっている。また TVアニメ版の『殺戮のディープブルー』は、すでにアニメ化された映画版とは全く別の、小説版をアニメ化した内容となっている。
 キャスティングでは、通行人などのエキストラやセリフの少ない端役を声優が掛け持ちすることが多く、最多で1話中に4役を演じ分けた例もあった。
 各話の内容に関しては、各事件の放送順が原作マンガの発表順と一致していないことによるキャラクターの初登場タイミングのずれや登場回数・性格設定の違いなど、細かい変更点がいくつか見られる。
 第1シリーズのシリーズディレクターは映画版2作の監督も務めた西尾大介、第2シリーズ『R』のシリーズディレクターは土田豊。音楽はシリーズを共通して和田薫。ちなみに、和田は2002年に、シリーズを通してヒロイン・七瀬美雪を演じている声優・中川亜紀子と結婚している。

※それら以外のアニメ版『金田一少年の事件簿』としては、2013年8月から導入されているパチンコ『CR 金田一少年の事件簿』(主演・櫻井孝宏)と、2014年1~3月にカロリーメイトの宣伝として配信された名作マンガ・アニメをパロディ化するプロジェクト「チャンネル5.5」(主演・FROGMAN )の第1弾としてのフラッシュアニメ版(全4話、各話4~5分)もありますが、どちらもオリジナルなミステリー作品とは言いがたいのでカットさせていただきま~っす。


主なキャスト(第1シリーズ、映画版第2作、2007年スペシャル版、コミックス限定OVA 版、第2シリーズ『R』に共通)
金田一 一  …… 松野 太紀(29歳~)
七瀬 美雪  …… 中川 亜紀子(23歳~)※中川のみ、映画版第1作から続投
剣持 勇   …… 小杉 十郎太(39歳~)
明智 健悟  …… 森川 智之(30歳~)
速水 玲香  …… 飯塚 雅弓(20歳~)
佐木 竜太  …… 難波 圭一(39歳~)
金田一 二三 …… 池澤 春菜(21歳~)
いつき 陽介 …… 平田 広明(33歳~)
高遠 遙一  …… 小野 健一(39歳~)


主題歌
第1期
オープニングテーマ
初代『 CONFUSED MEMORIES 』(プロデュース・小室哲哉、歌・円谷憂子)
2代目『 meet again 』(歌・Laputa )
3代目『君がいるから……』(歌・西脇唯)
4代目『 BRAVE 』(歌・GRASS ARCADE )
5代目『 JUSTICE Future Mystery 』(歌・高山美瑠)
6代目『 Why? FUNKY VERSION 』(歌・COLOR )
7代目『 Never Say Why, Never Say No 』(作曲・小室哲哉、歌・中野さゆり)
エンディングテーマ(第1期)
初代『2人』(歌・ともさかりえ)
2代目『 Boo Bee MAGIC 』(歌・鈴木紗理奈)
3代目『 Mysterious night 』(歌・R-ORANGE )
4代目『 White page 』(歌・Platinum Peppers Family )
5代目『ジーンズ』(歌・広末涼子)
6代目『はてしなく青い空を見た』(歌・西脇唯)
7代目『 Believe myself 』(歌・New Cinema 蜥蜴)
8代目『 Sink 』(歌・Plastic Tree )
9代目『コングラッチェ』(歌・CASCADE )
10代目『ウルトライダー』(歌・PENICILLIN )
11代目『君がいるから……』(歌・西脇唯 最終話のみでの使用)

第2期『R』
オープニングテーマ
『 BRAND NEW STORY 』(歌・第2期東京パフォーマンスドール)
エンディングテーマ
『パスコード4854』(歌・安田レイ)


映画『金田一少年の事件簿 オペラ座館・新たなる殺人』(1996年12月公開)
 原作は小説版『オペラ座館・新たなる殺人』。TV アニメ版と一部担当声優が異なる。

主なキャスト
金田一 一 …… 山口 勝平(31歳)
剣持 勇  …… 夏八木 勲(57歳 2013年没)
七瀬 美雪 …… 中川 亜紀子(23歳)

主なスタッフ
監督   …… 西尾 大介
脚本   …… 西岡 琢也
作画監督 …… 荒木 伸吾、姫野 美智
音楽   …… 和田 薫
主題歌  …… 『 Mystery of Sound 』(作曲・小室哲哉、歌・円谷憂子)


映画『金田一少年の事件簿2 殺戮のディープブルー』(1999年8月公開)
 劇場公開にあわせて小説版も刊行されているが、登場人物、ストーリー、トリックなど、ほとんどの設定が違うものになっている(小説版の内容も後に TVアニメ化された)。映画版の前作に出演した俳優の夏八木勲と、人気ミステリー小説家の京極夏彦が特別出演していた。

主なスタッフ
監督   …… 西尾 大介
脚本   …… 島田 満
作画監督 …… 窪 秀已
主題歌  …… 『 Justice For True Love 』(歌・THE ALFEE )


OVA 版『黒魔術殺人事件』
 「20周年記念シリーズ」第3巻(2012年12月発売)と第4巻(2013年3月発売)の限定版コミックスに、『黒魔術殺人事件』の前・後編がそれぞれ付属された。

主なスタッフ
監督・絵コンテ …… 小村 敏明
脚本      …… 村山 功(37歳)
総作画監督   …… 浅沼 昭弘
主題歌     …… 『 Road 』(歌・池田彩)
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金田一さんとこのお孫さんのドラマがまた始まるんですかそうですか  ~ File 1~

2014年05月03日 22時56分17秒 | ミステリーまわり
『金田一少年の事件簿』13年ぶり連続ドラマ化! Hey!Say!山田涼介が続投!
 (シネマトゥデイ 4月30日付け記事より)

 人気コミック『金田一少年の事件簿』シリーズがおよそ13年ぶりに連続ドラマ化され、7月から日本テレビ系で土曜ドラマ『金田一少年の事件簿N(ネオ)』として放送されることがわかった。男性アイドルグループ「Hey!Say!JUMP」の山田涼介(20歳)が、2013年1月放送の『香港九龍財宝殺人事件』、2014年1月放送の『獄門塾殺人事件』に続いて金田一役を務める。

 名探偵・金田一耕助を祖父に持つ高校生・金田一一(はじめ)が、祖父譲りの推理力でさまざまな難事件を解決していく姿を描いた本作は、まず KinKi Kidsの堂本剛(当時16~18歳)主演で1995~97年にテレビドラマ・映画化。事件が醸し出す怪奇的な恐怖と謎解きの痛快さで人気を博し、2001年に嵐の松本潤(当時17~18歳)、2005年に KAT-TUNの亀梨和也(当時19歳)に金田一役をバトンタッチしながら、シリーズが継続されてきた。
 2013年からは山田が主演し、日本テレビ開局60年記念特別番組として、海外が舞台のスペシャルドラマを2年連続で放送。そして、松本版以来となる13年ぶりの連続ドラマ化が決定した。山田をはじめ、金田一と幼なじみのヒロイン・七瀬美雪役の川口春奈(19歳)、また金田一の後輩・佐木竜二役で山田と同じく Hey!Say!JUMPの有岡大貴(23歳)らがスペシャルドラマ版から続投する。

 満を持しての連続ドラマ化に山田は、「とてもうれしかったです! そして同時に『じゃあ、今回はどうやっていこうかな?』と瞬間に思えるくらい、すぐに金田一モードに切り替えることができました。」と準備万端の様子。川口も、「また同じメンバーで創れることの幸せをかみ締めながらがんばってまいります!」と気合を込める。また本作には、シリーズファンおなじみの存在でもある剣持勇警部が山田版で初めて登場。古尾谷雅人、内藤剛志、加藤雅也に続く4代目剣持役として、お笑い芸人で、俳優・歌手などマルチに活躍する山口智充(45歳)が出演する。

 少年向け人気マンガ雑誌『週刊少年マガジン』(講談社)誌上で1992年から連載された原作マンガは、昨年の11月から、『金田一少年の事件簿R(リターンズ)』と改題して新連載をスタート。更に4月からはアニメ新シリーズも放送されており、今回の連続ドラマ版は、まさに「金田一少年の事件簿イヤー」ともいえる今年を飾る作品となりそうだ。



『金田一少年の事件簿』とは!!

 『金田一少年の事件簿』(きんだいちしょうねんのじけんぼ)は、原作・金成陽三郎(第21話まで)、天樹征丸、作画・さとうふみやによる推理マンガである。
 『週刊少年マガジン』(講談社)にて1992~2001年に連載された。2004年8月以降の第II期不定期連載、2012年の『20周年記念シリーズ』と題した1年間の連載を経て、2013年11月からは『金田一少年の事件簿R(リターンズ)』と改題して連載されている。

 名探偵・金田一耕助を祖父に持つ高校生・金田一一(きんだいち はじめ)が、幼なじみの七瀬美雪や親友ともいえる警視庁の剣持勇警部、ライバル・明智健悟警視らと共に、遭遇する数々の難事件を祖父譲りの抜群の推理力で次々と解決していく物語。
 本格的なミステリーを題材としたマンガの先駆け的な作品であり、「推理マンガ」というジャンルを確立させたと評されている。特徴としては多くの事件が連続殺人であり、さらにクローズド・サークルと呼ばれる「絶海の孤島」や「吹雪の山荘」などの隔絶された状況下で発生する事件が多い。また、主人公である一は推理力こそ優れているものの、捜査における死亡推定時刻の算定や薬物に関する専門的な知識はほとんどなく一般人と変わらないため、警察関係者らの協力を必要とする場合がほとんどである。

 ほぼ毎回、犯人には「怪人名」とされる代名詞的な二つ名がついており、読者にはその不気味な名前をした真犯人が登場人物の誰なのかを当てる醍醐味がある。また、事件の登場人物に常に覆面やマスクをしていたり、あからさまな偽名を使用していたりする怪しい人物がいることが多いことも特徴である。
 1995年に第19回講談社漫画賞少年部門受賞。単行本の発行部数は累計9000万部を突破している。

 1995年の最初の TVドラマ化を皮切りに、その後も続々と映画化・アニメ化などが行われ、原作者の執筆による小説版も出版されるなど、メディアミックス展開が何度もされている。第I期シリーズの連載終了後も、再ドラマ化や再アニメ化などがされている。
 シリーズ初期は殺人事件を題材とした長編のみが展開されていたが、連載途中からは短編も連載されるようになり、傷害事件や誘拐事件、または犯罪の絡まぬパズルのような物語も扱われるようになった。短編の中には、主人公のライバルである明智健悟警視を主人公とするシリーズも展開された。

祖父・金田一耕助について
 主人公・一(はじめ)の祖父である金田一耕助は、小説家・横溝正史の創り出した推理小説の主人公である。この設定は、講談社の編集者がアニメ『ルパン三世』を見て思いついたという。作品内では、金田一耕助は一の母方の祖父にあたる。
 金田一耕助の小説シリーズでは、耕助には孫以前に子がいることを示唆する記述さえない。制作サイドは、連載開始前に横溝の遺族に挨拶はしたと述べている。
 なお、金田一耕助の女性関係に関しては諸説あり、最も有力とされるのは生涯独身で恋人が数名という説である。作中ではっきりと描写された女性は2名(『獄門島』と『女怪』)である。この他、探偵業を引退してアメリカに発ち、そののち再び日本に帰国して結婚し、余生は日本で送ったという説なども存在している。
 舞台設定が金田一耕助の小説シリーズを連想させる第8話『飛騨からくり屋敷殺人事件』や、犯人が金田一耕助シリーズ作のタイトルと同名の名前「不死蝶」を名乗る第16話『黒死蝶殺人事件』などもあるが、金田一耕助の事件簿に直接つながる事件は存在していない。

真相当てクイズ企画
 第1話『オペラ座館殺人事件』から、連載されている『週刊少年マガジン』誌上で行われている企画。読者が犯人と主要なトリックの推理を解決編の前の週に講談社に送り、当たった人の中から抽選で賞品が貰える。正答率は毎回平均10~15% 程度であったが、第22話『天草財宝伝説殺人事件』では、犯人を含む完全な真相を推理できた応募者が、全応募者5324名中わずか3名だけだった。

トリックについて
 制作サイドによると、作品のトリックは原作者である天樹、金成がそれぞれ考えたもの、『週刊少年マガジン』編集部と合同で考えたもの、推理小説から流用したものがあったという。
 流用に関しては、1997年8月に週刊誌『週刊文春』から、初期のいくつかのエピソード(『異人館村殺人事件』、『学園七不思議殺人事件』、『魔術列車殺人事件』)に過去のミステリ作品からのトリック流用や模倣があるという指摘がなされた。この質問に対して、『週刊少年マガジン』編集部はトリック流用を認めた上で、「ミステリー作品は昔からトリックの流用・応用が行われており問題はない。」という主旨の回答を行った(実際に推理小説同士でのトリックの応用を作者自身が前書きや後書きで触れたり、先の原作者に許可を取る場合もある)。
 しかし、第2話『異人館村殺人事件』のトリックは推理小説『占星術殺人事件』(1981年)のトリックの完璧な模倣だとして、原作者の島田荘司は批判と抗議をおこない、その内容は、「今回の場合は作家に使用の許可を取るべきが正当である。」、「無断で使用してしまおうというゲリラ的発想がある」、「行動を起こす気は無いが、無断での映像化などはやめて欲しい。」というものだった。
 その後、直接の抗議を受けた『異人館村殺人事件』については、コミックスへの収録の際に「この作品は島田荘司氏の『占星術殺人事件』のメイントリックを使用しており、『占星術殺人事件』を読む予定のある読者はそのことを了承の上で読むように」という内容の注意書きが付け加えられたり、講談社文庫版の『占星術殺人事件』の表紙画像が紹介されるようになり、公式ガイドブック『金田一少年の全事件簿』の解説ページにも、「『占星術殺人事件』のトリックを用いている。」と記載されている。
 また、TVドラマ版の映像ソフトでは問題指摘の後に『異人館村殺人事件』のエピソードが欠番となり、アニメ版ではもともと映像化されなかった。


主要なレギュラー登場人物
金田一 一(きんだいち はじめ)
 本シリーズの主人公。東京都不動山市(フィクションの地名)の私立不動高校の2年生。名探偵・金田一耕助を祖父に持つ。運動音痴で学業成績も最低だが IQは「180」と非常に高い(一般の IQ平均値は100程度であり、180ある人間のいる確率は0.01% 以下)。決めゼリフは「ジッチャンの名にかけて!」、「謎はすべて解けた!!」、「犯人はこの中にいる!」。
 普段はお調子者かつドジで能天気でひねくれたところもある少年だが、事件が発生すると一転、祖父譲りの抜群の推理力と正義感で事件を解決に導く。また、犯人相手であっても命や心を救おうとする優しさと勇気も持ち合わせており、崩落している洞窟の中にケガをして取り残された真犯人や、自殺するために炎上する建物の中に残った真犯人を命懸けで助け出している。
 暗号やパズルの問題は一目で看破でき、中国語の四行詩や容疑者のアリバイ表を一度見聞きするだけで覚えるなど記憶力にも優れている(ただし普段の学業においてはそれが発揮されない)。
 美雪からは「はじめちゃん」と呼ばれ、家族や親族以外からは名字で呼ばれることが多く、名前を縦書きにすると「金田二」のように見えることから、初期にはよく名前を「キンダニ」と読み間違えられた。わざと「カネダイチイチ」と言われることもある。
 誕生日は8月5日で獅子座。身長170cm(2006年刊行の公式ガイドブックより。ただし過去のガイドブックでは「167cm 」と記載されており、2001年1月掲載の第Ⅰ期最終回でも「170cm 未満」であることがわかるセリフがあった)。体重58kg。血液型はB型で、足のサイズ25.5cm、視力は左右とも2.0。本籍地は埼玉県。ドラマ版では東京都世田谷区西宇奈根(多摩川沿いの砧地域)に在住している。
 肩まで伸びた髪を後ろで束ねている。特徴は太い眉毛。

 一の推理方法は、地道に状況証拠を集めていく単純なもの。そのため途中までは犯人の術中にはまり、思惑通りの推理をしてしまうこともある。また、しばしば意図的に容疑者にうっかり自白同然の口述をさせるように仕向けることもある。その他にスリや手品の技で証拠の偽造や入手などをして、自白させることもまれにある。
 一の実力を全く知らない人物からは「素人(一般人、民間人)の高校生」と軽く見られることが多く、後に剣持や美雪などが一のことを「名探偵(の孫)」と紹介したり、自身が推理力を披露したりして、関係者を驚愕させるのが通例となっている。また、自ら希望して警察関係者に自分が事件解決に関わったことを伏せてもらっているが、同じ警察関係者や事件関係者からの噂などで彼の正体を事前に知っている者も稀にいる。
 犯人に対しては逮捕された後も何らかの形(面会など)でアフターフォローを行うことも多い。自分勝手で罪悪感のかけらもない人物には激昂したり、厳しい態度で接することもある。
 旅行で出かけた先などで毎回のように偶然に事件に巻き込まれてしまう(この遭遇率の異常な高さについては本人も気にしている)。また、剣持やいつき陽介などの知人から事件の依頼を引き受けることもあるが、興味本位で自分と全く無関係な事件に自分から首を突っ込んだりすることはほとんどない。ただし、ライバル高遠遙一からの挑戦を受けたり、自身が過去に関わった事件の調査をしたことから新たな事件が発生してしまった例外はある。
 当初は素人探偵として刑事たちに軽く見られていたが(ただし中学時代以前から事件解決に協力していたようである)、幾多の事件を解決していくうちに信頼を得るようになり、警察関係者の人脈が広がった。彼の功績は認められており、数々の事件を解決したことに対する警視総監直々の表彰の候補になったこともあるが、直前で AV鑑賞癖がバレたために取り消された。
 捜査中は真相の発覚を恐れた真犯人に殺されかけるなど危険な目に遭うことも度々あり、犯人と格闘して負傷したり、射殺されそうになるなど苦境に陥ることもある。『魔術列車殺人事件』では犯人に底なし沼に沈められそうになったが、自ら生還している。
 また殺人の罪を着せられることも多く、実に4回もスケープゴートにされている(「異人館ホテル殺人事件」、「金田一少年の殺人」、「証言パズル」、「金田一少年の決死行」)。

 趣味は TVゲームで徹夜することもしばしば。手先の器用さ、スリの手腕、祖父から習ったプロ級の手品の才能もあり、それらが意外な形で役立つこともあり、手品の腕を活かして犯人にボロを出させたり、手先の器用さを活かし、その場にあったものでボウガンやトラップを作り上げたりもした。スリ能力を事件解決のために利用したこともある。
 囲碁の才能も、祖父には一度も勝ったことがないと言うものの、名門校の強者に勝つほどの実力があり、将棋も有段者の剣持を相手にそこそこ指せる。
 未成年にもかかわらず AV鑑賞・飲酒・喫煙をすることもある。小説『幽霊客船殺人事件』では剣持の前で喫煙していることを示唆してしまい、剣持に突っ込まれた(同事件の解決後に喫煙はやめたようである)。作中で運転している描写はないが、母親にバイクの購入をねだったことがあるので、普通二輪免許を持っていると思われる。ジェットコースターが大の苦手。
 スケベであり、中学生の時に下着泥棒をしたことがあるが、性に関しては実はかなり奥手。普段は余裕のある態度を取ったり、女性をからかったりしているが、いざ女性の方から積極的にアプローチされるとしどろもどろになりその場から逃げ出してしまうことが多い。事件が起きた時は下心を一切出さず、女性の全裸死体を見ても全く動じず真剣・冷静に推理力を発揮する。
 大食らいで食い意地が張っており、食事の席で周囲の人間を呆れさせることもしばしば。なお、祖父の金田一耕助は少食で知られている。

TV ドラマ版の設定
 堂本剛が演じた初代の一は成績・性格共にほぼ原作と同じ設定になっているが、原作よりもさらに奇天烈な言動も見られる。1996年9月放送の TVスペシャル『金田一少年の事件簿 永久保存版』では大のおじいちゃん子であり、耕助が渡米した際にはしばらく塞ぎ込んだという過去が語られた。なお、小説版や TVドラマ第1・2シリーズ(堂本金田一)では、「コーヒー(缶も)が苦手」という設定が加えられており、原作マンガではコーヒーを飲んでいた場面で牛乳や紅茶を飲んでいたこともあった。ただしコーヒーを受け取るシーンもあり、飲めないほど嫌いというわけではないらしい。
 松本潤が演じた2代目の一はクール・神経質・ナイーブと原作の設定とはかなり異なる部分が目立つ。成績などの描写はない。
 亀梨和也が演じた3代目の一は原作より軟派な性格づけがなされ、陸上部所属の幽霊部員で「じっちゃん嫌い(コンプレックスを抱いている)」となっていた。
 山田が演じた4代目の一は破天荒かつ闊達な性格になっている。原作同様に勉強は全く駄目だが運動神経は抜群であり、プロ並みのスケートボードの腕前を披露している。


金田一 二三(きんだいち ふみ)
 一の母方の叔父(つまり金田一耕助の長男)である金田一丙助(へいすけ)の娘で、一の従妹。容姿は髪型が二つ結びであることを除き、一と非常によく似ている。一と同様に、二三も耕助の孫にあたる。
 小学校3年生の9歳。表向きは可愛らしく振る舞うが、本性は生意気でずる賢いぶりっ子。恋愛に対してませたところもあるが、一方では純粋な心も持っている。英会話ができるなど頭が良く、一に劣らぬ正義感も持っており、一の助言を得てはいたが、殺人事件を解決したこともある。同級生の青柳拓哉に想いを寄せている。剣持からは「チビ金」と呼ばれる。
 父・丙助と長野県で「コテージ・ラビット」というペンションを経営していたが殺人事件が原因で潰れ、更には丙助が一人でチベットに旅行に行ったため、現在は一の家に居候中である。アニメ版ではコテージは引き続き営業されているが、改装に手間取っていることから一の家に居候するという展開に変更された。
 前述の通り、一や気に入らない相手以外には基本的にはネコを被っていて、特に一とふたりきりの時に意地悪な本性を見せる。それでも一の高い推理力については重々承知しており、一を頼りにしている面もある。そのため、一とは親戚よりも親友に近い関係。一のことは普段は呼び捨てにしているが、人前では「一兄ちゃん」と呼ぶこともある。
 アニメ版では、原作マンガで登場していなかったエピソードにも多く登場し、『魔神遺跡殺人事件』と『亡霊学校殺人事件』は彼女に語る形で展開された。TV ドラマ版にはどのシリーズにも未登場。
 短編集のおまけマンガでは、いつき陽介の家で世話になっている都築瑞穂らを率いて「美少女フミ探偵団」を結成している。
 誕生日は10月3日。身長124cm、体重25kg。趣味は貯金。好きな食べ物はチョコレートパフェ。好きな男性のタイプは KinKi Kidsの堂本剛。

一の両親
 父・母ともに本名は不明。
 母は専業主婦。かの名探偵・金田一耕助の実の娘である。血液型はB型。若い頃は、現在の息子と同様に素人探偵のようなことをしていたらしく、事件を解決した経験もあるらしい。容易に一を出し抜いたり、ノセたりもしており、『秘宝島殺人事件』と『首吊り学園殺人事件』では、一は母の誘いがきっかけで事件に遭遇することになった。。美雪とは非常に仲が良く、たまに一緒に買い物に出かけることもある。夫とは短大時代にテニスのサークルで出会い、何かの事件を通して知り合ったらしい。
 父は貿易会社系の中小企業のサラリーマン。婿養子であるため、妻には頭が上がらない。セリフも少なく、大抵一言。一の太い眉毛は彼からの遺伝である。母曰く「そろそろ定年」。


七瀬 美雪(ななせ みゆき)
 一の幼なじみ。私立不動高校2年生。才色兼備で学校では生徒会長を務め、ミステリー研究会(途中より部長)と演劇部を掛け持ちしている。一とは互いに想い合っているが表面上は「友達以上、恋人未満」の関係に留まっている。一のことは「はじめちゃん」と呼んでいる。
 美人でスタイルが良く、TV ドラマのロケの見学に行った際にスタッフにその場で見込まれ、エキストラとしてではあるがセリフつきで出演を果たしてしまうほど。演劇部所属のため演技も人並み以上にこなせる。
 几帳面で面倒見のいい性格。不動高校の生徒の間では男女問わず人気が高い。特に男子にはしょっちゅう告白されているが、その全てを一瞬で断っている。
 第Ⅰ期最終回『金田一少年の決死行』では一とキスもしており、事実上の相思相愛なのであるが、いまだに他人から一との仲を言及されると、お互いになかなか素直になれない。秀才の彼女と落ちこぼれの一がいつも行動を共にしていることは、生徒の間では「不動高校七不思議のひとつ」とされている。
 性格は当初は割とおとなしめの優等生であったが、途中から少しずつ変化し、現在はツンデレ気味になっている。一が他の女性に手を出すと、最初の頃は足を踏んづける程度だったが、途中からは教卓や岩を投げつけるなどツッコミがグレードアップしており、一から「暴力に磨きがかかった。」と言われていた。反対に一も美雪に他の男性が手を出そうとすると何らかの妨害行動に出ることが多い。
 一と共に何度も事件に巻き込まれ、たびたび危険な目に遭っている。『学園七不思議殺人事件』では美雪が命を落としかけるほどの重傷を負ったことで一は事件から手を引こうとした。『悲恋湖伝説殺人事件』でも足に重傷を負い、あまり仲が良くなかったとはいえ、従兄の橘川茂を殺害されている(ただし、ドラマ版では橘川は従兄ではなく美雪たちの同級生になっている)。原作マンガでは『雪影村殺人事件』、『殺人レストラン』、『証言パズル』、『死者のチェックメイト』以外の全話に登場している(アニメ版ではわずかながら登場している)。
 推理力はあまりない(TV ドラマでは一の代わりに事件解決に臨んだこともある)。
 一の髪型がシリーズを通して全く変わらないのに対して、美雪は、長さは変わらないものの、時には長い髪を三つ編みに編んでまとめたり、ツインテールのようにしたり、前髪の形を変えたり、髪型にある程度のバリエーションが認められるが、カチューシャなどを付けることはあってもストレートヘアーが基本である。中学生時代は肩までのセミロングだった。
 未成年だがかなりの酒乱で、そのため飲酒を誘われてもためらうようにしているが、『仏蘭西銀貨殺人事件』では自ら率先してワインを頼み、警察官の剣持をも「1杯だけ」と説き伏せていた。
 フラワーアレンジメントを習っている。特技は百人一首の早詠み。好きな花はヒマワリ、好きなアーティストは DREAMS COME TRUE、Mr.Children。
 誕生日は11月24日で射手座。身長160cm、体重48kg。血液型 A型、スリーサイズは88・58・89。


剣持 勇(けんもち いさむ)
 警視庁刑事部捜査一課のたたき上げ刑事。階級は警部。事件を通じて一たちのよき理解者となる。
 原作マンガでは高卒ノンキャリアの設定だが、アニメ版の『聖バレンタインの殺人』では剣持の大学時代の後輩が登場しており、第1・2期ドラマ版でも剣持の大学時代の後輩が刑事として登場しており、大学にも通っていた設定となっている。シリーズ最初の事件『オペラ座館殺人事件』から登場し、当初は頭の固い刑事という雰囲気で一たちに接していた(ドラマ第3シリーズでは『魔術列車殺人事件』で初対面した設定になっており、同じく頭の固い刑事として一に接していた)が、事件解決以降は一や美雪の最大の理解者となる。アニメ版では第1話『学園七不思議殺人事件』から既に顔見知りであり、出会いのエピソードは語られていない。ただし、ドラマ第1・2シリーズで一と剣持が初めて出会った設定の『学園七不思議事件』での剣持は、捜査に介入する一のことを疎んじたり毛嫌いする態度はとらなかった。
 熱血漢にして人情家。一とは「ドジ」、「口うるさい女性に手を焼いている」、「正義感が強い」といった共通点があることから、気が合うことも少なくない。一からは「剣持のオッサン」と呼ばれている。警察官としての矜持も高く、警察手帳を警察官の命と思っている。『雪夜叉伝説殺人事件』で一と明智が推理勝負をした際、剣持は明智と互いの警察手帳を賭けて一の味方をした。この一件から、明智は『金田一少年の決死行』で警察手帳を粗末に扱った剣持が偽者であることに気付いた。
 一や明智が呆れるほどの的外れな推理をすることがある(ただし、ドラマ版では明智の役割を兼任することもあるため、鋭い推理をする切れ者として描かれることも多かった)が、たまにそれが一のヒントになることがある。上司の明智からは「使えない部下」と扱われることもあるが、警察官の矜持や正義感や倫理観の面では評価されている。一般人である一が、事件についての充分な証拠や情報を得たり証拠の科学的な分析をしてもらうためには欠かせないパイプであり、剣持も一の頼みはすぐに聞き入れて、しかるべき手配を手際よく行ってくれる。
 一に拳銃とライターをすられたことがあるが、剣持はこの他にも、スリに妻との旅行資金をすられたことがある。自身も拉致監禁されるなど被害に遭うことも多い。
 和枝という妻と三人の子供、母がいる。長野県出身。7人兄弟の長男で、実家は農家だが、家業を継ぐのが嫌で警察官になった(第1・2期ドラマ版では明智警視の役割も兼任しているため、父親も刑事という設定になっている)。小説『電脳山荘殺人事件』によれば、スキー場でペンションを経営している弟がいる。
 年齢は48歳(アニメ版では38歳、第3期ドラマ版では42歳)。柔道は黒帯五段の腕前で、高校時代には全日本柔道選手権で16個のタイトルを獲得した。身長182cm、体重80kg。血液型 O型、星座は乙女座。苦いコーヒーが好きらしいが、缶1つ丸ごとのコーヒー粉が入ったコーヒーさえも美味しそうに飲んでいた。その一方で、焼いた肉を見ただけでリブロースであることを見抜くなどグルメな一面もある。特技は腕相撲、早食いと大食い(立ち食いそばを1杯1分18秒のペースで連続2杯食べられる)。学生時代は雪山登山をよくしていた。頭より体を使う方が得意なためか、ジグソーパズルが苦手。しかし将棋は得意で、三段の腕前を持つ。アニメ版では、子供のころにターザンごっこに失敗したことが原因で高所恐怖症になったという設定が追加されている。
 ドラマ版第1・第2シリーズで古尾谷雅人が演じた剣持は、原作マンガと比較するとコメディリリーフ的な面はあまり描かれず、しっかりした大人という描写をされることが多い。それ以外の俳優が演じた剣持は原作の設定に比較的近いものとなっている。


明智 健悟(あけち けんご)
 警視庁刑事部捜査一課のキャリア刑事。階級は警視。容姿端麗で様々なことに秀でるエリート。28歳、独身。身長180cm、体重70kg。血液型 AB型、星座は水瓶座。秀央高校を特A クラスで卒業し、東京大学法学部卒で、キャリア組。在学中に司法試験にも合格している。警視総監賞の最年少受賞者であり、アメリカのロサンゼルス市警に勤務していた経験もある。『獄門塾殺人事件』では学生時代の塾講師アルバイトで担当した学生を大勢東大に合格させ、「受験の神様」という伝説になった経験から、超難解な合宿塾で講師もやってのけている。
 決して性質が冷淡である訳ではなく、一や剣持の正義感や実力などを総じて認めている。父親が解決できなかった事件を追っていたり、友人の死に疑問を持って独自の捜査を行っていたり、同情できる犯人に配慮した行動を取ることもある。また、ある事件では自らの無力さに怒りを覚えたこともあった。ライバルである一とは同時にお互いの推理力を認め合うなど信頼関係は厚く、剣持同様に一の理解者である。
 スポーツ(フェンシング、テニス、スキー、乗馬)や芸術(バイオリン)、ゲーム(ポーカー、チェスなど)、パソコン(プログラミングやハッキング)、語学(英語・フランス語・ドイツ語・広東語)の他、アメリカ在留時セスナ機及び旅客機シミュレーターの操縦を学習しており、操縦士が殺された旅客機の羽田空港への着陸も行っている。どこにも欠点がないように見えるが、趣味思考があまりに一般人とかけ離れているため、ある種の「変人」とも見られており、「警視庁捜査一課きっての切れ者」と同時に「警視庁捜査一課きっての変わり者」とも呼ばれている。
 初登場の『雪夜叉伝説殺人事件』では致命的な推理ミスを犯してしまったが、それ以降の活躍では基本的に推理ミスを犯すことは少ない。一とは別視点からの推理を行うことでお互いが見つけた証拠を合わせて、一の推理をフォローすることが多い。
 休暇中になぜか一と遭遇することが多い。また、その際に誰も頼んでいないのに自慢話を大量に含んでいる自身の経験談を語り始めることがしばしばあり、一が文句を言い始めても完全に無視して話を続ける。
 両親は共に元警察官。叩き上げタイプの刑事であった亡き父親は、「三億円事件」(1968年12月に発生した実在の事件)の犯人を追い続けていた。
 コンタクトレンズが苦手でメガネを掛けている(視力は右0.3、左0.4)。愛車はコバルトブルーのベンツ。自分の有給休暇の日を忘れて出勤したり、遅刻の常習犯であったりと少し天然気味な一面もある。自宅では自炊で食事をとっているようだが、一の実家で朝食を食べさせてもらったり、剣持がよく行く屋台のおでん屋に姿を現したこともある。
 アニメ版では原作マンガよりも嫌味な面が抑えられているが、TV ドラマ版では逆に嫌味な面が強調された。ドラマ版での出番は大幅に削られており、『雪夜叉伝説殺人事件』、『金田一少年の殺人』、第1・2シリーズの総集編エピソードのみの登場で、彼の役割の大半は剣持に充てられている。総集編では一の葬儀で嫌味と自慢たっぷりの弔辞を述べたが、寂しげな表情も浮かべていた。

 なお、金田一耕助と並び日本を代表する名探偵として有名な推理小説のキャラクターに「明智小五郎」(原作・江戸川乱歩)がいるが、以上のようにこの作品の明智健悟は明智小五郎とはなんの関連もない。
 また、事件の本筋とは関係のないギャグ扱いではあるが、TV で「明智」という名前の名探偵と怪人二十面相のような扮装をした怪盗が対決する内容のドラマが放送されているという描写もあり、この『金田一少年の事件簿』の作品世界では、金田一耕助と違って明智小五郎は完全に架空の存在になっているようである。


速水 玲香(はやみ れいか)
 芸能界のトップアイドル。事件を通じて知り合った一に好意を抱くようになり、美雪とは恋のライバルになる。
 1995~97年にはともさかりえと人気を二分していたという。幼い頃に母が病死したらしく、父の速水雄一郎に育てられる。5歳の時に児童劇団に入り、14歳で楽曲『悲しい予感』を発表し、アイドル歌手としてデビューした。
 『雪夜叉伝説殺人事件』で一と知り合い、そこでかけられた殺人の容疑を一が晴らしてくれたことで、好意を持つようになる。普段は気丈で勝ち気に振る舞うが、実は悲惨な過去を背負っており、一の前では寂しがる素顔を見せることもしばしばある。
 『タロット山荘殺人事件』で、雄一郎が実父ではなかったこと、2歳の頃に兄とともに雄一郎に誘拐されたこと、その際に目の前で実父が殺害されたこと、そして生き別れた兄が殺人事件を犯したことが明らかになった。目の前で実父が絞殺されたトラウマにより、首にマフラーなどのものを巻くことができない(ネックレス程度は身に着けられる)。
 『速水玲香誘拐殺人事件』で、大女優の三田村圭子が実母であることが明かされている。一言だけ博多弁を喋ったことがあり、出身地が九州の福岡県である可能性が高い。
 所属事務所が2度も倒産し、更にマネージャーが2人も死亡しているため、彼女のせいでないにしても「お騒がせアイドル」となっている。
 敵もそれなりに多く、女優の加納りえに芸能界の厳しさを伝えられた際には、未成年ながらタバコを吸って吹き返す気丈な姿勢でやり返したり(その後咳きこんでいたため、喫煙習慣自体はなく、あえて演技で吸っていただけであると思われる)、最初の事務所社長からは借金返済を理由に肉体関係を要求されたりしていた。しかし、彼女自身は多少わがままな面はあるものの、純真な女性である。
 ドラマ第3シリーズでは設定が異なり、一とは小学校時代の友人で、父子家庭で育ったが父親は中学生の時に死亡したことになっている。
 17歳。身長157cm、体重36kg。血液型 O型、星座は乙女座。スリーサイズは83・55・84。好きな食べ物は明太子。飼っているネコの名前はポチ。


高遠 遙一(たかとお よういち)
 別名「地獄の傀儡師(くぐつし)」。「犯罪芸術家」を自称する連続殺人犯。

関与した事件 …… 『魔術列車殺人事件』、『速水玲香誘拐殺人事件』、『露西亜人形殺人事件』、『金田一少年の決死行』、『獄門塾殺人事件』、『黒魔術殺人事件』、『剣持警部の殺人』、『香港九龍財宝殺人事件(ドラマ版のみの登場)』、『薔薇十字館殺人事件』

 一と明智の共通の宿敵。一がジッチャンの名ではなく、自分自身の誇りにかけて捕まえると誓った唯一の人物。他人の犯罪に手を貸して「自らが『芸術』と称する犯罪」を実現させることを目論むが、犯行でミスをした場合はその犯人を殺害することもある。当初はメガネをかけて非常に弱気な印象だったが、自身の犯行を見破られるとメガネを外して態度を一変させ、その本性を表した。
 マジシャンとしては天才的な腕前で、幼い頃からマジシャンの修行に明け暮れていた。変装が上手く、声色を変えることができるので、同体格程度の人間であれば他人に成りすますことができる。殺人教唆の際には、必ず一や一の知人を事件に誘導する。
 元は「幻想魔術団」のマネージャーであり、母親は同魔術団の前身「近宮マジック団」の団長で天才マジシャンの近宮玲子。生まれてすぐに両親が別れたため、イギリスで貿易商をしていた父と暮らすことになり、生きている母とは2回(直接会話を交わしたのは1回のみ)しか会えなかった。17歳の時に義父を亡くし、その1年後、イタリアでマジシャン修行をしていた時に母の死を知った。
 父親は高遠を放任しており、彼を虐待していた描写もある。高遠もそんな父親を快く思っておらず、幼い頃から「自分は父親とはまるで似ていない」と感じており、血縁上の実父が別にいることを匂わせる発言をしている。
 修行を終えて母からのプレゼントであるトリックノートを受け取った後に帰国し、母の弟子たちの「幻想魔術団」のショーの内容が母の考案したマジックの剽窃であることに気付き、母の死に不審を抱く。その真相を確かめるために「幻想魔術団」にマネージャーとして潜入して団員が母を死に追いやったことを知り、復讐のために『魔術列車殺人事件』を起こす。いったんは一に犯行を暴かれ逮捕されるが脱獄し、「犯罪コーディネイター」としての活動を開始する。自らの天性の勘によって復讐心を秘めた人間を捜し当て、その者に自らの考案した魔術的なトリックを提供し復讐させるという、殺人教唆をするようになった。
 『金田一少年の決死行』で2度目の逮捕となったが、一に事件の起こる可能性の高い場所や、高遠自身が事件が起きるよう差し向けた場所を書いた地図『犯罪ガイドブック』を送りつける。一がそれを追って事件を解決していく中、再び脱獄した。
 『薔薇十字館殺人事件』では自分の出生のルーツを探るため、依頼達成後に自首することを約束して一に協力を依頼する。結果依頼は達成され自首したが、すぐにみたび脱獄を行った。
 番外編『高遠少年の事件簿』では、17歳の時にロンドンから日本に一時帰国して明智健悟の母校でもある秀央高校特A クラスに編入していた過去が明らかになっており、そこで発生した殺人事件の犯人を正当防衛とはいえ殺害し、それが彼にとっての初めての殺人となった。
 奇術だけでなく、明智に引けを取らないほど語学に堪能で、作中では英語、広東語を喋っている。イタリアにマジシャン修行のために滞在していたため、イタリア語も話せると思われる。
 冷酷で愉快犯的な面が目立つサイコキラーだが、約束は自分の得にならないことであっても守るという義理堅さも持つ。犯罪以外の場では子供たちに自らの事件を元にした人形劇やマジックショーを見せて楽しませるとマジシャンとしての姿を見せている。
 23歳。体重は50kg(ドラマ版第4期では53kg)。
 第4期ドラマ版の『香港九龍財宝殺人事件』では、アジアを股にかける殺人コーディネーターとして初登場しており、その時点ですでに多くの事件に関与して国際手配されていた。この事件の殺人計画を一に暴かれたことで彼に初めて興味を持つという設定になっている。


いつき 陽介(いつき ようすけ)
 フリーのルポライター。「いつき陽介」はペンネームで、本名は樹村 信介(きむら しんすけ)。
 『悲恋湖伝説殺人事件』で初登場。最初は言っていること自体は正論なのだが態度が悪いため「嫌な奴」と思われていたが、一度認めた人にはとことん信頼を寄せる豪快な性格の持ち主で、のちに一や美雪の良き理解者となる。最初はずっと孤立無援で生きてきたとうそぶいていたが、実際は周囲の人間からの人望も厚く「いつきの頼みなら断れない」という友人もたくさんいる。
 過去に客船の沈没事故に巻き込まれたため、水恐怖症となっている。しかし『金田一少年の殺人』ではプールに飛び込んでおり、『天草財宝伝説殺人事件』でも平然と船に乗っているため、『悲恋湖伝説殺人事件』の解決後は恐怖症を克服しているようである。ただし、セガサターン版の『星見島 哀しみの復讐鬼』(FILE シリーズとCase シリーズの中間にあたる1998年1月発売)では豪華客船の乗船中に船酔いしている描写があり、もともと船は苦手のようである。
 独身。TV ドラマ版では離婚歴がある設定になっている。現在は、とある事件で死亡した知人の娘・都築瑞穂を養育しながら東京・高田馬場のアパートで生活している。女たらしの一面もあったが、瑞穂を養育するようになってからは自重しているようである。
 初登場時は、特ダネのために配偶者を殺されたばかりの被害者に露骨な態度でインタビューをしようとするなど、手段を選ばない野心家のような一面を見せていたが、その後、金田一と付き合うようになってからは大ネタに遭遇しても被害者に考慮して世間への発表を控えるようになり、メディアに携わる身としての倫理観も持ち合わせるようになっている。『悲恋湖伝説殺人事件』、『金田一少年の殺人』、『黒死蝶殺人事件』の真相を掴んでいたが、それを自身の売名や出世に利用することはなかった。
 年齢は30歳前半~中盤。学生運動に傾倒して明治大学を中退。身長176cm、体重65kg。血液型B型、星座は射手座。愛車はスカイライン C-110型(ケンメリ)。ヘビースモーカーで、1日にショートホープを2箱以上吸う。


佐木 竜太(さき りゅうた)
 一の後輩の私立不動高校1年生。ミステリー研究会に所属。『学園七不思議殺人事件』から登場。レギュラー扱いの一の仲間としては唯一の犠牲者。
 ビデオカメラを常に携帯し、色々なものを撮影することが趣味である。現場の様子を収めて一の推理の手助けに一役買うこともあった。いつの間にか人の背後に忍び寄っていたり、物陰からこっそりとビデオを撮影していたりするなど、少々変わり者。
 両親(父・連太郎、母・良子)は「佐木映像」という会社を経営しており、自分たちもかなりのカメラマニア。ただし、『学園七不思議殺人事件』の時点では一人暮らしをしていることが語られている。
 『異人館ホテル殺人事件』で犯人のトリックを偶然に解いてしまったため、それに気付いた真犯人に口封じのために殺害されてしまった。その後、第二の助手として弟の竜二が『金田一少年の殺人』からレギュラー登場した。ただし、竜太はそれ以後も一の夢に登場したりする。それ以降、弟との区別の意味で一は彼を「佐木1号」と呼んでいる。
 アニメ版では『異人館ホテル殺人事件』で襲われながらも一命を取り留めており、その後も変わらず活躍している。ドラマ版ではこの事件そのものに巻き込まれていない。
 身長、体重のデータは不詳。血液型 AB型、星座は双子座。

佐木 竜二(さき りゅうじ)
 不動中学校の3年生。佐木竜太の弟。『金田一少年の殺人』から登場。
 兄が殺人事件の巻き添えで命を落としたにもかかわらず、兄と同じように事件現場の撮影を買って出て、まれに一の推理に一役買っている。 兄と比べ、かなり単純で明るい性格をしている。顔は双子のようにそっくりだが、髪型が少しだけ違う。人並みにスケベな面もあり、事件の際にどさくさに紛れて盗撮まがいの行動を行ったこともある。一からは「佐木2号」、「歩く盗撮カメラ」と呼ばれている。竜二(アニメ版では竜太)は一と美雪の幼馴染・神津(かみづ)さやかに好意をもっている。絵がとてつもなく下手。兄と同型のビデオカメラを大事にしていたが、後の『露西亜人形殺人事件』にて、デジカムに切り替えたと語っている。また、一に無断で一の探偵事務所と称するホームページを作成している。
 アニメ版と TVドラマ版では、兄の竜太が引き続いて生存しているために登場しなかったが、第4期ドラマ版で初登場を果たす(キャラクター設定は兄・竜太のもので、一の後輩の高校1年生)。人懐っこくお茶目な原作マンガとは異なり、ドラマ版では控えめで内罰的な性格づけがなされている。
 身長、体重のデータは不詳。兄と同じく血液型 AB型、星座は双子座。



以下「資料編」、次回もつっづく~!!
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2014年4月度版 そうだい短期観測調査(そうだい短観)

2014年05月01日 21時15分55秒 | 日記
 おぺろ~ん。どうもこんばんは、そうだいでございまする。みなさま、今日も一日たいへんお疲れさまでございました!
 あの~、今年のゴールデンウィークって、具体的には一体いつから始まるんですかねぇ? 今週末の土曜日からなんですか? まぁ、お休み自体は私にはあんまり関係のないことなんですけど、お仕事の忙しさがけっこう変わってきますもんで……

 気がつけば、もう春なかばっつうか、すでに花もすっかり散って梅雨が近づいてきてたりして。昨日も千葉は一日中雨にたたられるひどいお天気だったんですけど、特に日がかわる前後にもんのすごいスコールが2~3回も断続的にきて! ドドドドうるさくて眠れやしなかったですよ……まさしく、道重リーダーの卒業発表をなげく天の涙雨ですよね。5月もドあたまの午前0時からこんな感じじゃあやってられませんわ!!

 もう今年も5月になってしまいまして、私もいろいろと忙しくなってまいりました。いや、忙しいって言うんなら正月から忙しいんですけどね。
 今年8月の上旬に受験する資格試験の願書も提出しました。もう今年で3年目ですよ……たったの筆記試験1科目のために1万ウン千円払ってるんだぜ!? それもあるけど、今年はラストチャンスに近い意味合いもあるんでね。なんとしても合格免状ぶんどったるぞ~☆

 あと、そろそろ本格的に、来年の引越しに向けていらんものを処分しなくちゃいけなくなってまいりまして、粗大ゴミの処理券みたいなやつも買ったりしてます。っていったってなにぶんひとり暮らしなもんですから、そんなに大変なわけでもないんですが。
 本とか CDとかもヒマさえあれば箱につめて実家に送るようにしてるんですが、やっぱり CDは1回聴いといちゃうんだよなぁ、久しぶりに。
 その中にはずいぶんと思い入れのあるやつもあったりしまして、特に、私が確か生涯で初めて購入した CDアルバムもあったりするわけです。ちなみに生涯初めて購入したCD シングルは GEISYA GIRLS の『 Grandma Is Still Alive 』(1994年)だったんですけど、さすがにそれはもう持ってません。

 私が初めて買った CDアルバム……それは、フランス映画『ベティ・ブルー』(1986年)のサントラ CD!! きっつ~。
 でも好きなんですよねぇ。目をつむってこの収録曲の数々を聴けばすぐに、中高生のときにこの映画のよりにもよって「インテグラル・ヴァージョン(完全版)」180分を TVで初めて観たときの衝撃と、「やっぱ愛の国フランスはつがう(違う)ずなぁ~。でも正直、こだな娘さんどつぎあい(付き合い)だぐはねぇもんだなやぁ。」と口をあんぐりあけて正座して観入っていた、あの夏の昼下がりの空気のにおいが鮮明によみがえってきます。青春ともちょっと違う感じの記憶なんですが、今も自分の中で生きているいろんな価値観や感覚の原点になった体験のひとつだとは思います。

 まぁそれはいいとして、今月5月はさらに忙しくなるような、というか、仕事はもちろん引き続き全力でやっていくとして、さらにそこに自分でいろいろ詰め込んで忙しくしていかなあかんということで、ね。そうしないと来年があっという間に来ちゃいますから! 今年中にケリをつけとかなきゃいけないことがいっぱいあるわけなのよ……
 ともあれ、職場もなにやら不穏な体調ダウンが流行しておるようであります。「バカはカゼひかない&ひいてるヒマなんかない」を身上に今月もがんばってまいりましょー。


 そんなこんなで4月の『長岡京エイリアン』全12回。ラインナップは以下のようになりました。

観た映画・DVD について
 伝説のはじまり『ゴーゴー仮面ライダー』(資料編)
 伝説のゆきつくところ『昭和ライダー対平成ライダー』(資料編)
 名作だった『プリキュアオールスターズ NewStage3』(全3回の予定)
 これも超名作だった『 Yes!プリキュア5 GoGo! お菓子の国のハッピーバースディ♪』
きわめて盛り上がってまいりました!
 NHK 大河ドラマ『軍師官兵衛』視聴メモ(第13~17回)
好きなひとたち
 モーニング娘。第8代リーダー・道重さゆみさん卒業発表


 いや~、みごとに東映の子ども向け映画しか観てませんでしたね……
 なんか世間じゃものすごいみたいですね、『アナと雪の女王』! ほんと、たぶんその歌なんじゃないかっていうやつを唄いあげてる人が多いですもんねぇ。その曲がいいか悪いかは別にどうでもいいんですが、ともあれ、この日本でそういう誰もが口ずさみたくなる歌がはやるっていうのは、なんかいいなぁと感じております。なかなかなかったですもんねぇ、ここんところ。私は映画は観に行かないだろうけどなぁ。

 もう口を開けばおんなじことばっかしか言ってないんですけど、まぁ~本文が完成しませんね、どの記事も。
 前々から言っていた「この『長岡京エイリアン』にかんする発表」を、特に支障がなければ今月末にしたいな、と考えております。そんなまさか、ブログ自体を停止する、なんていうムチャクチャな発表ではないわけなんですが、なんにしても今の「本文未完成記事の量産体制」は非常に不本意なことですので、それについての対応をはかりたいと思います。今月いっぱいは、今までどおりのペースで更新をがんばっていきたいと思っているんですけどね。

 今になって我ながらビックラこいちゃうのは、昔の私のヒマさ加減ですよね! よくもまぁ、ほぼ一日中パソコンの画面にしがみつく時間が豊富にあったことよ。
 それはまぁ、当時やっていたアルバイトが夕方~深夜の半日スケジュール中心だったことが大きかったですね、なんといっても。同じ半日でも、朝~夕方だと残り半日が疲れた状態になってなかなか文章もはかどらないんですが、アルバイト前の日中がヒマっていうのは、まぁ~幸せな環境でしたよね。そりゃあ半日バイトだったから収入も少なかったですけどね。

 記事をもっとコンスタントにあげる体力と時間がほしいのはやまやまなんですが、なにぶん働かないと生活はやっとれんし、今はとにかく働いて修行を積み上げる時期だと考えてるし、さらには納得いくまで勉強して試験にのぞみたいとも思うし……まぁ、せいぜい全身全霊こめてぶち当たっていきましょう。
 そんなこんなを言ってる上にさらにムチャクチャな要望を申し述べるようなんですが、来週5・6日のモーニング娘。の中野サンプラザ公演、なんとかして参上させていただきたいんだよなぁ……お仕事とおサイフとの相談になっちゃうし、そもそも当日チケットなんて出ないのかも知れませんが、どうなのかなぁ。そろそろ、日本武道館以外の会場も体験したいな、と思ってたところなんですが。やっぱムリ?


 4月はこんな本を読んでました~。マンガは読みませんでしたね。

筒井 康隆・他  『異形の白昼 現代恐怖小説集』(1969年)         集英社文庫
瀬名 秀明・編  『贈る物語 Wonder 』(2002年)                光文社文庫
辻村 深月・編  『スペシャルブレンドミステリー・謎 第8巻』(2013年)   講談社文庫
文芸春秋・編   『厭な物語』(2013年)                      文春文庫
川上 稔     『矛盾都市 TOKYO 』(2001~05年)             アスキー・メディアワークス
小林 泰三    『家に棲むもの』(1995~2003年)               角川ホラー文庫
ハイスミス     『11の物語』(1945~70年)                  ハヤカワ文庫
クライトン     『ジュラシック・パーク 上・下』(1991年)           ハヤカワ文庫
           『ロスト・ワールド ジュラシック・パーク2 上・下』(1995年)ハヤカワ文庫


 この前に読んだ京極夏彦の『厭な小説』(祥伝社文庫)の、巻末の文芸評論家の北原尚彦さんの解説にモロに触発されて、古今東西のイヤ~な小説をあさり読んでる最中なんですが、やっぱりどれもこれもおもしろいですねぇ。筒井康隆さんとか星新一さんとか、昔の幻想小説家さんがたの文章は、ともかく1~2行読んだらすぐに誰の作品なのかがわかる個性があるのが素晴らしいです、ホントに。
 そういうのならば、現代の小林泰三もバリバリすぐに「あ、小林さんだ。」とわかっちゃうノリと趣向があるのが実にステキなんですが、臓物とか肉汁とか、もう……電車の中で読むのもはばかられるわ! 小林泰三さんはデビュー直後のころにホラー作品を読んでいたのですが、今じゃあかなり高く評価されている純粋 SF作品とかミステリーも豊富ですしね。またあらかた読みさらってみたいと考えています。この方はとにかくアクが強いはずなのに読みやすいし、いかにも関西っぽい明るさがあるのがおもしろいんだよなぁ、かなりきわどい描写ばっかなのに。

 いやぁ、それにしても小説版の『ジュラシック・パーク』は、まさに「めっぽうおもしろい」ですねぇ!! 展開なんか、「どうせ恐竜が復活してパニックになるんでしょ?」とだいたい読めちゃうわけなんですが、映画版とは微妙に(だいぶ?)違う、実に小説らしい盛り上げ方でボルテージが上がっていくんですよね。やっぱり映画には映画のリズム、小説には小説のリズムがあるわけなのでありまして。ほんとに「娯楽小説」の教科書みたいな名作ですよ!
 それにくらべると続編『ロスト・ワールド』はかなり落ち着いた雰囲気がありますし、数学者マルカムがとうとうと自らの進化論を披瀝する難解さはあるのですが、思いっきり映画と違う内容で、クライトンなりの物語のしめかたを堪能できる秀作でした。
 それに、この2部作だってすでに今となっては20年ほど前の作品になるわけでね! 最新の恐竜学説との違いを楽しむのも一興ですよね。今またジュラシック・パークみたいな物語を構想したら、どんな光景になるんだろうか……なんか、やたら羽毛ふっさふさの恐竜ばっかになるわ、ティラノサウルスはやけにのろまで生きた恐竜を襲わないのんびり屋さんになるわで、あんまりおもしろくなくなるかも!?

 恐竜じゃないけど、ハイスミスの『11の物語』に収録されている『クレイヴァリング教授の新発見』は、ほんとに正真正銘の「怪獣小説」だったからびっくりしちゃったなぁ。しかも、そこの登場する「怪獣」っていうのがまた、私が大大大ッキライなあの生き物が巨大化したヤツなんだからクッソやくたいもない!! ものすんごくコワい作品でしたわ……こいつに喰われて死にたくはない!!
 こんなの、まんま『ウルトラQ』じゃないっすか! 昔の日本の特撮作品っていうのは、こういう小説からも貪欲にイメージを吸収していたのかなぁ……いや、むしろハイスミスさんが触発されたのかも!? 放送も執筆もほぼ同時期ですもんねぇ。どうなんだろう?


 ま、ちょっと本読みもこれからは控えて勉強しなくちゃいけないんですが、ほどほどにがんばり、ほどほどに働き、ほどほどに休むマイペースで今月も生き抜いていきたいと思いま~っす。
 天気がよければ地味に暑いし、天気が悪ければ地味に寒い季節です。たちの悪い病気だけは巧みにスルーしていきましょう!
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