千葉市美術館 展覧会『赤瀬川原平の芸術原論 1960年代から現在まで』(2014年10月28日~12月23日)
(公式サイト紹介ページより)
赤瀬川原平(あかせがわ げんぺい 1937~2014年)は、前衛美術家、マンガ家、イラストレーター、小説家、エッセイスト、写真家といった複数の顔を持つ芸術家です。
前衛美術家としてその経歴をスタートした赤瀬川は、1960年、篠原有司男(うしお 1932年~)、吉村益信(1932~2011年)、荒川修作(1936~2010年)らとともに「ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ」の結成に参加。1963年には高松次郎(1936~98年)、中西夏之(1935年~)と「ハイレッド・センター」としての活動を開始し、「反芸術」を代表する作家となりました。また、この時期に制作した一連の『模型千円札』が通貨および証券模造取締法違反に問われてしまい、1965年より「千円札裁判」を闘うことで、その名は現代美術界の外にも広まって行きました。同裁判の控訴審が終了した1968年頃からは、マンガ、イラストの領域に活動の場を移し、『櫻画報』(1970~71年連載)の成功によって一躍パロディ漫画の旗手となります。さらに1970年代末より文学の世界にも本格的に足を踏み入れ、1981年には短編小説『父が消えた』で芥川賞を受賞しました。1980年代以降は、「超芸術トマソン」「路上観察学会」「ライカ同盟」の連載や活動を通して、街中で発見した奇妙な物件を写真に記録・発表しました。また1999年、エッセイ『老人力』がブームを巻き起こしたことは、記憶に新しいところです。
このように赤瀬川は、とてもひとことでは言い表せないほど多彩な活動を展開してきました。一方で、様々な分野を大胆に横断しながらも、1960年代から近作まで、その制作への姿勢は一貫しています。彼は何かを表現したり、創造したりすることよりも、卓越した観察眼と思考力を駆使して、平凡な事物や常識をほんの少しズラし、転倒させることを好みます。そうすることで見慣れた日常を、ユーモアに満ちた新鮮な作品へと変えてしまいます。『模型千円札』、『宇宙の缶詰』にしろ、「トマソン」、『老人力』にしろ、この独特のズラしや転倒の方法論から生まれました。
赤瀬川原平は、その独創的な作品と発想によって、日本の現代美術史において揺るぎない地位を築く一方、いまなお若い作家たちに刺激を与え続けています。本展は、500点を超える赤瀬川の多彩な作品・資料を通して、50年におよぶ氏の活動を一望します。1995年に名古屋市美術館で開かれた『赤瀬川原平の冒険 脳内リゾート開発大作戦』を除けば、これまでその活動が本格的に回顧される機会はありませんでした。今回、60年代の前衛美術はもちろんのこと、70年代の漫画・イラストレーション、80年代のトマソン、路上観察学会の仕事にも大きなスペースを割き、美術分野を中心に、この作家の幅広い活動を展観します。さらに土方巽、唐十郎、足立正生、小野洋子、瀧口修造、林静一、つげ義春、永山則夫、中平卓馬、鈴木志郎康らとの交友を示す作品資料も展示することで、当時のより広い文化状況の一端もお見せできればと思います。
DIC 川村記念美術館 展覧会『五木田智央 THE GREAT CIRCUS 』(2014年8月31日~12月24日)
(公式サイト紹介ページより)
イラストレーションの分野で特異な才能を発揮し、1990年代以降のサブカルチャーに大きな影響を与えてきた五木田智央(ごきた ともお 1969年~)は、10年以上にわたり大型のカンヴァス作品を国内外で発表し続けてきました。美術館での初の展覧会となる本展では、11点の最新作を中心に、未発表のドローイングや国内初公開となる大型作品など約90点を展観し、多彩な五木田智央の現在に迫ります。
1、新作11点(2014年)
五木田は、本展のために約1ヶ月で10点の連作を描いています。
謎めいた形象が浮かぶこれらの作品は、抽象表現を起点として下書きなしに制作され、作家は偶然に生成された様々な形象を同時進行で同じ調べで統一し、完成へと導いています。
2、Mary Boone Gallery での個展まで(2008~13年)
2014年1月、Mary Boone Gallery(ニューヨーク)で個展を開催した五木田はモノクロームの人物表現に焦点を絞り、大型作品8点、中型作品7点を出品し、全て完売するという成功をおさめ帰国しました。本展では、その中から2作品と、この他に日本未公開の大作や個人コレクションを加えた代表作をご紹介します。
3、青い抽象世界(2009年)
2009年、Honor Fraser Gallery(ロサンゼルス)で開催された個展において、五木田はこれまでの人物表現とは異なる、青を基調とした抽象的な形象が漂う不可思議な絵画を展開しています。本展ではこの「青い抽象」シリーズから、作家自薦の7作品を展観します。空をイメージさせるようなブルーグレーの広がりの中に形態が発生し、画面が次第に構築される様子が伝わってきます。
4、ステンシル作品の魅力(2010年)
2010年、ATM Gallery(ニューヨーク)において、五木田は同ギャラリー3度目の個展を開催しています。この展覧会の出品作はすべてステンシル技法が用いられ、型紙を使いアクリルエナメルでスプレーペイントした大型作品です。これらはイラストレーションの仕事をタブロー(完成された絵画)として作品化し、唯一の存在とすることで価値の逆転をはかることに成功しています。
5、素描に宿る五木田の原点(2003~13年)
本展では、これまで一度も公表されなかった30点1組のグラファイト(石墨)による素描シリーズ(2003年)が初めて展示されます。これらは作家が自己のスタイルを探求するなかで、制作に行き詰まり苦悩する只中で描き続けた日記のような存在であるといえます。非常に薄い紙に執拗に描き込まれた各作品にはアルファベット、矢印、マーク、顔の一部、記号などの諸要素がかすかに認められ、これらの素描は五木田作品の原点として大変に貴重なものであると思われます。また本展ではこの他に、ほのかな温かみのある色彩で描かれたペーパーワーク20点組(2013年)をあわせて展観します。
五木田智央プロフィール
1969年、東京都生まれ。2000年、リトルモアより作品集『ランジェリー・レスリング』を出版。カルト的な人気を集める五木田の初期作品は、主に紙に即興的に描かれたドローイングであり、展覧会の場で発表されるだけでなく、むしろイラストレーションとして、また美術系雑誌を媒体として数多く発表されている。近年に描かれたカンヴァスにグワッシュ(顔料をアラビアガムの水溶液で練った不透明水彩絵具)を用いた白黒のシュールな人物像は、いち早くニューヨークやロサンゼルスで注目され、現在は美術の世界にとどまらず音楽・出版・ファッションなど各方面に活躍の場を広げている。
《いや~楽しかったです。それなのに本文マダナノヨ》
(公式サイト紹介ページより)
赤瀬川原平(あかせがわ げんぺい 1937~2014年)は、前衛美術家、マンガ家、イラストレーター、小説家、エッセイスト、写真家といった複数の顔を持つ芸術家です。
前衛美術家としてその経歴をスタートした赤瀬川は、1960年、篠原有司男(うしお 1932年~)、吉村益信(1932~2011年)、荒川修作(1936~2010年)らとともに「ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ」の結成に参加。1963年には高松次郎(1936~98年)、中西夏之(1935年~)と「ハイレッド・センター」としての活動を開始し、「反芸術」を代表する作家となりました。また、この時期に制作した一連の『模型千円札』が通貨および証券模造取締法違反に問われてしまい、1965年より「千円札裁判」を闘うことで、その名は現代美術界の外にも広まって行きました。同裁判の控訴審が終了した1968年頃からは、マンガ、イラストの領域に活動の場を移し、『櫻画報』(1970~71年連載)の成功によって一躍パロディ漫画の旗手となります。さらに1970年代末より文学の世界にも本格的に足を踏み入れ、1981年には短編小説『父が消えた』で芥川賞を受賞しました。1980年代以降は、「超芸術トマソン」「路上観察学会」「ライカ同盟」の連載や活動を通して、街中で発見した奇妙な物件を写真に記録・発表しました。また1999年、エッセイ『老人力』がブームを巻き起こしたことは、記憶に新しいところです。
このように赤瀬川は、とてもひとことでは言い表せないほど多彩な活動を展開してきました。一方で、様々な分野を大胆に横断しながらも、1960年代から近作まで、その制作への姿勢は一貫しています。彼は何かを表現したり、創造したりすることよりも、卓越した観察眼と思考力を駆使して、平凡な事物や常識をほんの少しズラし、転倒させることを好みます。そうすることで見慣れた日常を、ユーモアに満ちた新鮮な作品へと変えてしまいます。『模型千円札』、『宇宙の缶詰』にしろ、「トマソン」、『老人力』にしろ、この独特のズラしや転倒の方法論から生まれました。
赤瀬川原平は、その独創的な作品と発想によって、日本の現代美術史において揺るぎない地位を築く一方、いまなお若い作家たちに刺激を与え続けています。本展は、500点を超える赤瀬川の多彩な作品・資料を通して、50年におよぶ氏の活動を一望します。1995年に名古屋市美術館で開かれた『赤瀬川原平の冒険 脳内リゾート開発大作戦』を除けば、これまでその活動が本格的に回顧される機会はありませんでした。今回、60年代の前衛美術はもちろんのこと、70年代の漫画・イラストレーション、80年代のトマソン、路上観察学会の仕事にも大きなスペースを割き、美術分野を中心に、この作家の幅広い活動を展観します。さらに土方巽、唐十郎、足立正生、小野洋子、瀧口修造、林静一、つげ義春、永山則夫、中平卓馬、鈴木志郎康らとの交友を示す作品資料も展示することで、当時のより広い文化状況の一端もお見せできればと思います。
DIC 川村記念美術館 展覧会『五木田智央 THE GREAT CIRCUS 』(2014年8月31日~12月24日)
(公式サイト紹介ページより)
イラストレーションの分野で特異な才能を発揮し、1990年代以降のサブカルチャーに大きな影響を与えてきた五木田智央(ごきた ともお 1969年~)は、10年以上にわたり大型のカンヴァス作品を国内外で発表し続けてきました。美術館での初の展覧会となる本展では、11点の最新作を中心に、未発表のドローイングや国内初公開となる大型作品など約90点を展観し、多彩な五木田智央の現在に迫ります。
1、新作11点(2014年)
五木田は、本展のために約1ヶ月で10点の連作を描いています。
謎めいた形象が浮かぶこれらの作品は、抽象表現を起点として下書きなしに制作され、作家は偶然に生成された様々な形象を同時進行で同じ調べで統一し、完成へと導いています。
2、Mary Boone Gallery での個展まで(2008~13年)
2014年1月、Mary Boone Gallery(ニューヨーク)で個展を開催した五木田はモノクロームの人物表現に焦点を絞り、大型作品8点、中型作品7点を出品し、全て完売するという成功をおさめ帰国しました。本展では、その中から2作品と、この他に日本未公開の大作や個人コレクションを加えた代表作をご紹介します。
3、青い抽象世界(2009年)
2009年、Honor Fraser Gallery(ロサンゼルス)で開催された個展において、五木田はこれまでの人物表現とは異なる、青を基調とした抽象的な形象が漂う不可思議な絵画を展開しています。本展ではこの「青い抽象」シリーズから、作家自薦の7作品を展観します。空をイメージさせるようなブルーグレーの広がりの中に形態が発生し、画面が次第に構築される様子が伝わってきます。
4、ステンシル作品の魅力(2010年)
2010年、ATM Gallery(ニューヨーク)において、五木田は同ギャラリー3度目の個展を開催しています。この展覧会の出品作はすべてステンシル技法が用いられ、型紙を使いアクリルエナメルでスプレーペイントした大型作品です。これらはイラストレーションの仕事をタブロー(完成された絵画)として作品化し、唯一の存在とすることで価値の逆転をはかることに成功しています。
5、素描に宿る五木田の原点(2003~13年)
本展では、これまで一度も公表されなかった30点1組のグラファイト(石墨)による素描シリーズ(2003年)が初めて展示されます。これらは作家が自己のスタイルを探求するなかで、制作に行き詰まり苦悩する只中で描き続けた日記のような存在であるといえます。非常に薄い紙に執拗に描き込まれた各作品にはアルファベット、矢印、マーク、顔の一部、記号などの諸要素がかすかに認められ、これらの素描は五木田作品の原点として大変に貴重なものであると思われます。また本展ではこの他に、ほのかな温かみのある色彩で描かれたペーパーワーク20点組(2013年)をあわせて展観します。
五木田智央プロフィール
1969年、東京都生まれ。2000年、リトルモアより作品集『ランジェリー・レスリング』を出版。カルト的な人気を集める五木田の初期作品は、主に紙に即興的に描かれたドローイングであり、展覧会の場で発表されるだけでなく、むしろイラストレーションとして、また美術系雑誌を媒体として数多く発表されている。近年に描かれたカンヴァスにグワッシュ(顔料をアラビアガムの水溶液で練った不透明水彩絵具)を用いた白黒のシュールな人物像は、いち早くニューヨークやロサンゼルスで注目され、現在は美術の世界にとどまらず音楽・出版・ファッションなど各方面に活躍の場を広げている。
《いや~楽しかったです。それなのに本文マダナノヨ》