ゲーツ前下院議員は司法長官の指名を辞退した=ロイター
【ワシントン=芦塚智子】
超党派の米下院倫理委員会は23日、共和党のマット・ゲーツ前下院議員を巡る疑惑に関する調査報告書を公表した。
当時17歳で未成年だった女性への買春や合成麻薬など違法薬物使用といった違法行為の「相当の証拠がある」と結論づけた。ゲーツ氏はトランプ次期大統領から司法長官の指名を受けたが、11月下旬に辞退している。
報告書は、ゲーツ氏が2017年から20年にかけて「習慣的に性行為のために女性に金銭を支払った」とした。当時交際していた女性を含む12人の女性に電子決済などを通して合計9万ドル(約1400万ドル)以上を支払った記録があり、その多くが性的行為や違法薬物の使用に関わる支払いだったとみられるとした。
ゲーツ氏は17年に知人宅のパーティーで当時高校生だった女性と性行為をし、女性はゲーツ氏から400ドルを受け取ったと証言した。女性はゲーツ氏に未成年であるとは伝えなかったという。
また報告書は、ゲーツ氏が複数の女性らとカリブ海のバハマやニューヨークに旅行し、対価を払って性行為をしたり薬物を使用したりしたと指摘した。
バハマへの旅行については知人が多くの費用を支払い、下院の規則が定めた基準を超える贈与を受けたとした。
性的関係にあった女性が自身の選挙区在住だと偽って旅券の取得を助け、下院の倫理規定に違反したとも指摘した。
報告書はこうした行為が下院の規則や州法などの違反にあたるとした。ゲーツ氏は違法行為を否定している。
トランプ氏は11月13日、保守強硬派で「忠臣」の一人であるゲーツ氏を司法長官に指名した。ゲーツ氏は直後に下院議員を辞職した。
様々な疑惑などから共和内でも資質を問う声があり、ゲーツ氏は同21日に指名辞退を表明した。トランプ氏は新たに元フロリダ州司法長官のパム・ボンディ氏の司法長官起用を発表した。
倫理委員会は当初、報告書の公表を見送る方針だったが転換した。米メディアによると、民主に加え共和委員2人が公表に賛成したという。
共和のゲスト委員長は、既に辞職した議員は倫理委員会の管轄外だとして公表に反対する見解を報告書に加えた。委員会の調査結果に異議は唱えないとした。
ゲーツ氏は23日、報告書の公表は違憲だとして、首都ワシントンの連邦地裁に差し止めを求める訴えを起こしていた。