私魚人(あいうおんちゅ)~定年親父の魚三昧:タナゴ仕掛けとガサで出会った魚たち~

50年続けた魚遊び。胴長ガサガサもしんどい。ならば釣りだ!野遊びだ!タナゴから珍魚・駄魚釣りへ!地元の生き物探しへ!

カヤネズミ Micromys minutus :国内最小のネズミ

2022-10-25 08:38:53 | 哺乳類
2022年10月25日(火)

カヤネズミ Micromys minutus

20221015 頭胴長 60mmほど

学名からもわかるように500円玉ほどの体重しかない国内最小のネズミ。

この日、無農薬・生ゴミたい肥の有機肥料で栽培されている田んぼの稲刈りが行われて

その田んぼの生き物調査のボランティア。
稲は黄金色にたわわに実っていた。

長ぐつ履いて、一歩踏み込むとクサヒバリ科のコオロギたちがわんさか現れ
コバネイナゴ・ハネナガイナゴなどのバッタたちが跳び
それらを捕食するカエルたちもたくさん跳ね
一応、希少生物たちの種数・個体数のお手伝いのはずが、目線の落ち着く暇がない。
実に豊かな田んぼだ。

田んぼの畔にはイヌタデなどの在野草が伸び放題
外来植物が侵入するすき間(ニッチ)をなくす工夫も施されている。
そのためなのだろう。
稲刈りが進むにつれ、カミナリハムシの大群があちこちで現れた。

こんなにたくさんいるのは初めて見た。

タデ類を食草とするハムシだから、稲にはまったく無影響だ。
けれども、農家さんに十把一からげに嫌われ、農薬で処理されることの多いハムシだ。

と、足元をチョロチョロ走るネズミが2種類いて
それが何十頭もいたこのカヤネズミと数頭のクマネズミ。

カヤネズミの巣は、いくつも転がっていて

その中の1つを拾い、それらしく置いて記録撮影しておいた。

この田んぼの豊かな生態系の頂点にいるであろうマムシは

とてもおとなしく、つついても逃げ回る。

気もそぞろな私に
「自由に存分に楽しんでください」と、田んぼの主。
ありがたく、カヤネズミを何頭も追いかけ追いかけ、やっと撮れたたった1枚の画像。

念のため記すが、このカヤネズミも稲を食べない。
田んぼに生える雑穀やイナゴなどを食べている。
コイツも多くの農家さんに誤解されて、農薬を浴びたりして、姿を消しつつある生き物だ。
ミッキーマウスもかわいいかもしれないが、野生の在来ネズミたちも愛おしくてかわいいと思うよ!

ヒミズ Urotrichus talpoides

2022-07-28 17:38:46 | 哺乳類
2022年7月28日(木)

ヒミズ Urotrichus talpoides

20220503

GW中だから、たまの休みを満喫したい方々に迷惑かけぬよう近所の散歩中
かみさんが見つけた。
体長10cm近くあったから成体だ。
北海道以外の地域に生息する日本固有種の小さなモグラの仲間だ。

見つけたときは、こんな感じで森と道の境にいて


無傷だし、まだ腐敗もなく、死因は腹側にあるかも?と裏返して

傷は見当たらない、歯並びもきれいだ。

死因がわからぬまま、とりあえず近くの葉において記録したのが最初の画像。


(画像左)
一般にいうモグラ類と比べると、前肢か小さく土壌を深く掘るほどには発達していない。
吻はモグラより長くジネズミより短い。
(画像右)
モグラより尾は長く、体長の4分の1程度あり、なかなか可愛らしい太さだ。
ただ、少し標高の高い地域に生息してるヒメヒミズの尾はもっと長いそうだ。

以前、道端で死んでたニホンジネズミと比べてみても

体毛の色も含め、全然違うとわかるようになってきた。

葉の上で、もう一度裏返して

やはり死因はわからないままだけど

穴掘りがそこそこ下手くそで、夜に出歩いてエサ探しをするコイツを
ヒミズ➡『日不見』との命名はお見事だと思った。

アカネズミ Apodemus speciosus 幼体?

2022-07-02 11:42:01 | 哺乳類
2022年7月2日(土)

アカネズミ Apodemus speciosus?

20220511

眼が大きく少し飛び出てる感じなので、ヒメネズミではなく
アカネズミの幼体なのだろうか?

だとすれば、ほぼ全土に生息する日本固有のネズミだ。

友人の夜散歩中に足元に現れ、じっとしてたそうだ。


何ともうらやましく、心がいやされる話だ。

ま、コイツに出くわして「キャーッ!」とか言いそうになるお方には
ミッキーマウスはどうしたものか?
また、トムとジェリーでは、トムの味方をする方がよろしいものか?
と、そうした矛盾をあらためて問いかけたいものである。

なんてなことをそのうち書こうとしていたら・・・
福山大学の佐藤淳教授たちが次のような論文をつい最近プレスリリースしていた👇
瀬戸内海にはやはり古代河川が存在した~アカネズミのゲノムからわかった島嶼形 成史~

お~っ!
アカネズミのゲノム分析からも
かつて瀬戸内海が陸地であり
西に備後・安芸に端を発し伊予を経て九州へと向かう豊予川と
東に備前・土佐に端を発し淡路を経て紀州へと向かう紀淡川に2分されてたことがわかるんだわ!

ついでに調べてみたら、キシツツジという西日本の川沿いに咲く希少ツツジにも大きく2つの遺伝子があって
その分布はアカネズミの論文とほぼ同様の結果になるらしい👇
希少な花「キシツツジ」の不思議

豊予川と紀淡川という2つの川の存在は、純淡水魚類の世界では地理的分布などをもとに
古くから知られていたことなんだけれど、こうして哺乳類や被子植物の遺伝子分析からも裏付けられるような時代になったんだなあ。

ま、淡水魚類相でいえば
岡山県の旭川・高梁川、広島県の芦田川なんてのは
河川争奪なんかがはたらいて、西に流れたり、東に流れたりとしてたかもしれんな、などと思ったりもしたりして・・・

現生の生き物たちは過去の地史を知る手がかりになるんだから、大きなロマンだよね。
やたら人間の個人の都合で、環境を壊したり、移動させたり、持ち帰ったりはいかんと思うな。
戦争は、その最たるものだ。

ニホンアナグマ:Meles anakuma

2022-06-10 10:28:11 | 哺乳類
2022年6月10日(金)

ニホンアナグマ Meles anakuma

20220515

市内渓流沿いの山道を散策しようと出かけたとき、車の正面でうずくまっていた。
「猿だっ!いやタヌキだっ! あ~アナグマだ~っ!」
助手席の知人は驚いていた。

私は何度も車内からシャッターチャンスを逃してきてる。
だから、念のためデジカメを首にかけていた。
すかさず連写した。


ところが、このデジカメ、連写を記録するのに時間がかかってしまう。
その間に、知人がカメラを取り出し、去っていく姿を撮った。


アナグマたちは夜行性、真っ昼間から姿を見せるのは珍しい。
私も遠くのけもの道にいるアナグマっぽい後ろ姿を見たことが、一度あるだけだ。

さて、アナグマの仲間は北半球に広く生息してるらしく
ヨーロッパアナグマ ( Meles meles ) は、ウクライナも含めた欧州各国とロシア西端部に
アジアアナグマ ( Meles leucurus ) は、ロシアの広域・中国・朝鮮半島などに
ニホンアナグマ (Meles anakuma ) は、日本固有種かアジアアナグマの亜種として

また、属はちがうけど、アメリカアナグマ属 ( Taxidea taxus )が北米に生息してるそうだ。

あくまで、アナグマたちの分布域に限っていえば・・・
ロシアの西端部はロシアよりも欧州に近い生態系なのかもしれないね。

ニホンジネズミがきっかけで・・・

2021-11-22 17:28:54 | 哺乳類
2021年11月22日(月)

ニホンジネズミの遺体かな? 70mmほど

20211116
※ 絆創膏は傷口をふさぐ(気の弱い方もおられるかと)ため、フリーイラストより使用。

散策中、知人が道路にしゃがみ込んで動こうとしない。
なので、引き返してみたらコイツをじっと見てた。

「トガリネズミかなあ?」
「かもしれんね。初めて見たわ」
「わしもよ」
なんてな会話を交わしつつ・・・

見識者に聞いてみたら
・中国地方にトガリネズミは生息してない
・おそらくニホンジネズミで、イタチやテンにいたぶられたのでは?
とのことだった。

「このままでは可哀想じゃ!」「そうだそうだ!」と、クズの葉っぱのに移してやって

「アスファルトの上だと撮影しにくい」という本音は、お互い口が裂けても言わない。
ま、口はそう簡単には裂けんけど・・・

顔をしっかり撮影して・・・

このとんがった鼻がなんともかわいい!

ひっくり返して尾の裏側と肛門と後足も・・・

尾の裏側や足の特徴からも「ニホンジネズミ」で間違いなさそうだ。

他にもいろいろ撮影したけど、ここではこれくらいにしとこう。

「~ネズミ」という名だけど、トガリネズミと同様に『モグラ』の仲間。
親子で「尾をくわえて電車ゴッコ」みたいな移動をするところもトガリネズミと共通してる。
小さな昆虫やミミズなどを食べて生活してるみたい。
北海道(国内移入)を除く全域に自然分布している日本固有種らしい。


知人と話してるうちに
「カワネズミを見たことがあるかないか」てな具合に話が広がり
互いに「見たことがない!」という結論に・・・

カワネズミもトガリネズミに近いモグラの仲間なのだが、さらに渓流での水中生活を選んだヤツだからね。

ならばと、私が先陣を切って・・・予約して、2日前に図書館で借りた。

『カワネズミを見てみたい』
~水にもぐる銀色の小動物の研究~

森本祈恵・小林朋道(著)・くもん出版・2021年9月(刊)

一応、児童書なんだけど、読み応え抜群!
科学的で、手探りから大きな発見への過程もたまらなくて、ついつい一気読み!

無茶苦茶おもろい本なので、あえて中身に触れぬまま、おすすめ!