「このような厳しい状況を迎えていることは私自身、痛恨の極みです。世界で13万人以上の従業員とその家族の生活を預かる身として責任を痛感している」
日産自動車の内田誠社長は、11月7日の9月中間決算発表の席でこう述べた。
売り上げは5兆9842億円と前年同期比1.3%減だが、営業利益は90.2%減の329億円、純利益では93.5%減の192億円と大幅減益だ。業績の悪化で世界の生産能力を20%削減、世界の従業員の9000人を削減する方針を示した。そして、経営責任を取り自身報酬の50%返上を明らかにした。決算発表を聞き、中堅社員がこう怒りをぶちまける。
「9000人削減は当然国内従業員の大リストラが始まるということ。社長の給与は6億5700万円、50%を返上しても3億円以上を受け取る。『会社の危機に3億円の給与をもらっている場合か、ふざけるな』とする声が社内に充満している」
業績低迷の原因は、稼ぎ頭だった中国と米国市場での販売不振。新エネルギー車を販売する中国や、新型のハイブリッド車に需要が集まる米国市場で、新型車を出せず、売れる車のない日産は太刀打ちできなかった。窮地の日産で注目されるのが三菱グループの動きだ。日産は所有する34.07%の三菱自動車株のうち10.02%を同社に売却する。佃モビリティ総研の佃義夫代表が言う。「三菱商事は20%の三菱自動車株を保有し、グループが30%以上の三菱自株を持つことでこれまでの三菱自が 日産の傘下にある状況は逆転する。すでに三菱商事が日産を買収するという流れも出てきています」
さらにホンダの動きも見逃せないとこう続ける。
「ホンダと日産の提携が水面下で動いていますが、日産の業績不振がここまで出てくれば当然ホンダが主導権を握り、ホンダが日産買収という現実味を帯びる可能性も否定できません」
新車開発に乗り遅れ、「売る車がない」とディーラーを嘆かせている日産。ゴーン元会長により一度は立て直された日産だが、その構造改革、コストカットでは多くの下請けや人材が切り捨てられた。開発する車を減らし、車種を圧縮しての電気自動車へのシフトも成果は上がっていない。経営陣の経営戦略の失敗に、技術の日産といわれる技術者たちの多くが歯ぎしりする状況が続いているという。元日産の幹部社員が言う。
「このままでは日産は三菱、ホンダに食い物にされるでしょうね。ゴーン会長の時も多くの優秀な技術者が海外メーカーに転職していきましたが、この流れは今また起き続けています」
技術者のAIやIT企業への転出が出始めたという。日産復活の道は厳しい。
(ジャーナリスト・木野活明)
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