値上げラッシュが止まらない。1日から食品メーカーが続々と値上げを実施。今後2カ月間に3000品目超の値上げが予定され、今年は累計1万品目を突破する公算が大きい。
そんな中、今年度の年金は0.4%減額される。2018年度から20年度までの3年間での現役世代の「賃金変動率」がマイナス0.4%だったため、支給額を0.4%引き下げるマイナス改定となったのだ。
31日の参院予算委員会でこの問題を取り上げた小池晃議員(共産)は「物価高騰下で年金を下げれば、消費が冷え込み、地域経済が衰退し、現役世代の賃金にも波及する。その結果、また、年金が下がる悪循環になる」と追及したが、岸田首相はやる気なし。31日に成立した2.7兆円の補正予算には年金減額や賃上げ対策は盛り込まれなかった。
はたして、無策の岸田首相はロシアの現状を知っているのか。インフレは日本よりも深刻で、4月のインフレ率は前年同月比17.8%と過去20年で最高水準。通年でも最大15%が見込まれている。膨れ上がる戦費と経済制裁で物価対策どころではないと思っている人も多いが、そうではないのだ。
プーチン大統領は5月25日、6月1日から年金支給額を10%引き上げると発表。すでに年初に8.6%引き上げており、プーチン大統領は「年金引き上げ率はインフレ率よりも高くなる」と胸を張った。加えて、最低賃金の10%引き上げも行う。
岸田政権とは比較にならないほどの大盤振る舞いだ。
ロシアは原油バーゲンセールで利益確保
「G20のうち、9カ国は対ロ経済制裁に参加していません。原油価格の高騰を受け、途上国を中心にロシア産の安い原油が売れています。国際相場が高いため、値引きしてもロシアにとっては十分利益を確保できる価格で販売できているのです」(金融ジャーナリスト・森岡英樹氏)
IEA(国際エネルギー機関)の推計によると、4月のロシアの石油輸出収入は190億ドル(約2兆4000億円)と昨年同月比35%も増えている。5月の中国のロシア産原油の輸入量は日量200万バレルとなり、昨年の平均日量160万バレルより25%も多い。
インドのロシア産原油の輸入量は昨年の平均日量3万バレルから、4月は日量70万バレルへと23倍となっている。ロシアはインドに対して4割引きの価格を提示しているとみられている。まるでバーゲンセールだ。
しかし、足元の原油価格(WTI)は1バレル=118ドル。4割引きの70ドルで売っても、昨年平均の原油価格(WTI)68ドルを上回る。
EUはロシア産原油の海上輸入禁止で合意。年内に約9割が禁輸される見通しだ。EUのミシェル大統領はツイッターで「ロシアへの最大の圧力になる」と強調したが、うまくいくのか。
「ロシア産原油が欧州に供給されなくなると、原油価格はさらに高騰しかねない。欧州分の輸出が減っても、他国向けにロシア産原油の安売りが加速し、かえってロシアを利する可能性があります」(森岡英樹氏)
プーチン大統領の高笑いが聞こえてきそうだ。
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