衆院は31日、懲罰委員会を開き、本会議で与野党を批判する紙を掲げた、れいわ新選組の櫛渕万里共同代表に対する懲罰案を採決する。自民、日本維新の会、公明各党が提案する登院停止10日間の案が賛成多数で可決される見通し。6月1日の本会議で正式決定する。
懲罰は重い順に、除名、一定期間の登院停止、議場での陳謝、戒告の4種類。自民党が懲罰動議提出の理由を説明した後、櫛渕氏に弁明の機会が与えられる見通し。立憲民主党は戒告が相当と主張する方向だ。
櫛渕氏は、5月18日の本会議で「与党も野党も茶番!」と書かれた紙を持って壇上で広げた。衆院は25日の本会議で懲罰動議を可決し、懲罰委に付託した。
岸田文雄首相が長男で政務担当秘書官の翔太郎氏を六月一日付で更迭する。昨年末、首相公邸に親族を招いた忘年会での不適切行為が理由だが、猛省すべきは長男を政府要職に就けるなど首相自身の公私混同だ。
翔太郎氏は昨年十二月三十日、親族ら十人以上を集めた忘年会の際、公邸の公的スペースで組閣や記者会見を模した記念撮影をしていた、と週刊文春が報じた。
公邸は官邸に隣接し、首相職務の能率化や危機管理、賓客の接遇を目的とする。税金で維持管理される国民の資産であり、首相や家族の居住スペースであっても大規模な私的宴会は望ましくない。ましてや公的スペースでの悪ふざけは私物化であり言語道断だ。
首相は参院予算委員会で私的スペースでの親族との会食は「特段問題はない」と述べ、忘年会に自ら顔を出してあいさつしたことも認めたが、私用で多数の身内を公的空間に招き入れたことに問題を感じないことが深刻極まりない。
翔太郎氏は今年一月の首相訪欧に同行した際、公用車で観光名所巡りや土産購入をしていたと週刊新潮に報じられたこともある。
更迭は内閣支持率への影響や野党の追及を避けるためだろうが、遅きに失した感は否めない。
首相が昨年十月、秘書経験二年半だった翔太郎氏を秘書官に起用したこと自体が誤りではなかったのか。自らの議員としての地位を「世襲」させるために経験を積ませる狙いだったのだろうが、「岸田家」のために公的な地位を利用したとの批判は免れまい。
首相は長男の処遇に限らず、首相の公務と議員としての政務を峻別(しゅんべつ)できているとは言い難い。
自民党の歴代首相は、自ら率いる派閥への利益誘導を疑われないよう、形式的であれ派閥会長を退いてきたが、岸田首相はそうした長年の慣例をも無視し、今も岸田派会長にとどまり続ける。
いくら言い繕ったとしても、政権の緩みや驕(おご)りは国民に見透かされる。首相はこれを機に、公私の峻別ができているか自らを厳しく省みて、改めるべきは改めて政権運営に当たるよう求めたい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます