(K)氏(左)との新春対談を行うプチ鹿島(撮影・中島郁夫)
https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202001030000004.html
今年30周年を迎える日刊スポーツの政治連載コラム「政界地獄耳」の筆者(K)氏と、本欄を愛してやまない時事芸人・プチ鹿島(49)が、今年の政界を展望する企画の第2弾。昨年「れいわ現象」を巻き起こした山本太郎氏や、7月に、再選出馬が確実視される東京都知事選を控える小池百合子知事の問題などに、話が及んだ。【取材・構成 中山知子】
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鹿島 地獄耳師匠、昨年の「山本太郎現象」はどうごらんになりましたか。
K 山本さんは話術にたけている。演説や連呼ではなく、対話。対話集会というのは少人数でひざをつき合わせるものですが、彼は2000人を相手に1人で立ち向かい、聴衆も帰らない。この力は今の政治家にはなかなかありません。小泉進次郎や小池百合子を見に行く人はいますが。演説を聴いて対話集会に入りたいと思わせる政治家は、ほかにはいません
鹿島 なぜ他の政治家はやらないのでしょう。
K 実は野党も同じようなことを言っていますが、「皆さんのSOSを受け止めます」という、迫力や覚悟が違う。立憲民主党や国民民主党の後ろには、連合という組織がついている。それぞれの組織の票を掘り起こすだけで、国民の方を向いていないのです。
鹿島 山本さんは、頭でっかちではない。したたかというかフットワークが軽く、「失われた自民党」のようです。対話は、半径5メートルの人をいかにとりこにするかがかぎですが、それは昔からの自民党。山本さんにはそのにおいを感じます。政策で語られがちの人ですが、昨年の参院選前、自分たちの政策が実現されるなら安倍政権と手をつないでもいい、くらいのことを週刊誌でぶち上げた。炎上しかけましたが、あそこまで言える人はなかなかいない。政局好きの僕としては、面白いんです。
K 小沢一郎さんに学んだのでしょう。小沢さんは数を大事にする政治家。個人的事情やプロセスは吹っ飛ばし、パワーを付けないと戦えないという田中角栄流を最後まで押し通した人です。ただ、パワーだけでは人の心は動かない。山本さんにはそこに、人をくすぐる角栄さんのような「人たらし感」があります。
鹿島 山本さんは、7月の都知事選出馬の話も出ています
K どうでしょうか。国会議員として物事を動かすダイナミズムを1回知ると、やみつきになるらしいですよ
鹿島 都知事選では、自民党は小池さんを推さないのですよね
K 自民党が、著名人の名前を含めて世論調査をしたところ、著名人の方は全く数字が取れなかったとか。情報戦や「心わしづかみ」作戦において、小池さんはうまいですから。
鹿島 4年前の知事選に出馬した時のけんかの仕方も、うまかったですよね
K 小池さんの勝負勘と渡り合った方がいいのか、与野党とも悩みどころではないでしょうか。野党も統一候補を出すと言っていますが、そう簡単ではないと思います。自民党都連の中も、一枚岩になるのは難しいかもしれない。(参院議員で元五輪相の)丸川珠代さんを口説いているようですが、昨年の参院選で当選したばかりです。候補者選びは、自民も野党も難航するでしょう。今の段階では小池さんの優勢は変わらないと思います。(2に続く)
<政界地獄耳>
日刊スポーツで1990年(平2)10月1日から続く名物コラム。匿名の筆者がバトンをつなぎながら執筆。政界や官庁街・霞が関の情報をいち早く入手し、社会面に週6日(日曜日紙面は休み)で掲載。第1回は当時の自民党幹事長、小沢一郎氏に関する記事だった。
プチ鹿島は、携帯電話に過去の記事を保存するほどの愛読者だ。一方、日刊スポーツが創刊70周年を迎えた16年3月には、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏が「社会面の連載『政界地獄耳』が大好きで、日刊スポーツを手にした時は欠かさずに読んでいるんです」とコメント。政財界にとどまらず、スポーツ選手の間でも広く愛読されている。
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