岸田文雄首相は4日、官邸で年頭記者会見を開き、自民党派閥による政治資金パーティー裏金問題を受け、総裁直属機関の「政治刷新本部(仮称)」を来週党内に設置すると表明した。党執行部を中心に若手議員や外部有識者の参加を得て、今月中に中間とりまとめを行う。ただパーティーや派閥のあり方など抜本改革を目指す発言はなく、信頼回復の道のりは遠い。(近藤統義)
◆「収支を監査するとか、原則振り込みとか」
首相は、自民党の派閥や議員が東京地検特捜部から相次いで捜査を受けている事態を踏まえ「政治への信頼回復こそ、最大かつ最優先の課題」と強調。政治刷新本部を通じて「自民党の体質を刷新する」と述べた。同本部の最高顧問には、首相経験者の菅義偉氏と麻生太郎副総裁を据える。
具体案として「(政治資金)パーティーの収支を党として監査するとか、現金から原則振り込みへ移行するべきだとかは考えられる」と説明。派閥については「政策を研さんし、若手を育成することを目的としていたはずだが、金やポストを求める場になっていたのではとの国民の疑念がある」と指摘し、ルール作りに言及した。
◆茂木幹事長も派閥会長 客観的な議論には疑問符
ただ派閥の見直しを巡っては、麻生氏や茂木敏充幹事長など複数の党幹部が派閥の会長を務めており、刷新本部で客観的な議論ができるか疑問視されそうだ。首相自身が昨年12月まで派閥会長として派閥順送り人事を行っていただけに、存否を含めた弊害除去に踏み込めるのかどうかも見通せない。
政治資金パーティーは、20万円超の対価支払いでなければ収支報告書への記載義務がなく、5万円超の寄付より公開基準が緩い。問題点がいくつも指摘されているが、首相はパーティーのあり方自体を見直す考えは示さなかった。
政治資金規正法に関しては「透明性を高める議論のなかで改正の議論もあり得る」と話し、必要と判断すれば通常国会に関連法案を提出する方針も示した。
任期満了を迎える9月の総裁選への対応を問われ、「先送りできない課題に一意専心で取り組む。現状ではそれ以外のことは考えていない」と明言を避けた。
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