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◆【声明】トンデモ法は廃止しかない、国立大学法人法の一部を改正する法律に反対する理由(れいわ新選組 2023年12月13日)

2023年12月14日 08時43分52秒 | ●YAMACHANの雑記帳

【声明】トンデモ法は廃止しかない、国立大学法人法の一部を改正する法律に反対する理由(れいわ新選組 2023年12月13日)

本日、参議院本会議にて「国立大学法人法の一部を改正する法律案」が賛成多数で可決した。
れいわ新選組は反対した。

この改正法は、岸田政権が法案の立法趣旨まで捻じ曲げて閣議決定し、
学問の自由を崩壊に導くトンデモ法である。
国立大学法人や教職員、学生など当事者の声をかえりみずに、
拙速な審議で強行に成立させたことは許されない。

民営化的手法として国立大学の大学法人化が導入され、
この20年間で国立大学運営費交付金は1,600億円削減された。
経費不足に悩む大学は、競争的資金を獲得することにしのぎを削らされている。
「国際卓越研究大学」に選ばれれば百億円単位の巨額な資金を長期的に得られるとして、
政府に都合の良い研究分野を選び「稼げる大学」を目指すことを強いられている。
政府による学問への政治介入も進んでいる。
この流れをますます悪化させるのが今回の改正法だ。

れいわ新選組は、この流れそのものに反対している。
2021年の国主導で大学の研究資金確保のためのファンドを創設する
通称「大学ファンド法」、2022年の「国際卓越研究大学法」にも反対した。
学問や教育のあり方をはき違えた歴代政権は、教育予算をOECD最低ランクにまで減らし、
結局、大学や研究分野の人材育成にも失敗してきた。
このような不毛な法律は廃止しかない。

以下、本改正法の問題点について説明する。

本改正法は、規模が大きい国立大学法人に「運営方針会議」を設置。
学長に替わり、法人の重要運営方針事項の審議・決定と法人運営の監督等を担うことを
主な内容とする。

この法律が問題なのは、「運営方針会議」を規模が大きい5つの国立大学法人に
設置義務とすることになった立法プロセスが不透明であること。
そして何よりも「運営方針会議」(学長と委員3名以上)の委員については、
文部科学大臣の承認を必要としている点である。
これは国立大学の運営方針に国が介入する道を拓き、学問の自由を守る観点から
高度な自治を保障されてきた大学のあり様を大きく歪めることになりかねず、
絶対に成立させてはならない法律だった。

まず、立法プロセスの問題点であるが、「運営方針会議」はそもそも、昨年成立した
「国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律」
(通称「国際卓越研究大学法」※1)において、
国際卓越研究大学に認定された大学に必置とされた「合議体」のことである。

しかるに本法では、国際卓越研究大学の認定に関わらず、
規模の大きな5つの国立大学法人を「特定国立大学法人」として、
「運営方針会議」の設置を義務付け、また、規模に関わらず運営の監督強化を必要とする
国立大学法人は、文部科学大臣の承認を得て「準特定国立大学法人」として
「運営方針会議」を置くことができるという内容に変更している。

つまり、長期に巨額の資金を大学ファンドから支援される国際卓越研究大学にのみ
適用するはずだった「合議体」を、立法趣旨を捻じ曲げて
ファンドからの支援がない国立大学法人に、規模に応じて強要するという
とんでもない「だまし討ち法」である。
このような立法趣旨の変更がいつ・どのようになされたのか、
十分な説明も文書もないまま拙速に審議が進められ、採決された。
このような法律の成立を断じて許すことは出来ない。

最大の問題点は、国立大学法人の重要運営方針
(中期目標・中期計画及び予算・決算に関する事項)の審議・決定を担うことになる
「運営方針会議」(学長と委員3名以上)の委員は、文部科学大臣の承認を必要としている点だ。

文部科学省は、
「学長権限の一部を運営方針会議に委譲するので、
学長同様、大学が委員を選任し、大臣が承認する形を取るだけ。
今まで学長の任命を拒否したことは一度もない」と説明するが、
国が望まない人を運営方針会議の委員にすることを拒否できる回路が埋め込まれてしまえば、
その後の運用でいかようにもなる危険な装置である。
2020年の日本学術会議の会員任命にあたり、会議から推薦された候補者6名が任命拒否され、
その理由も明らかにされていない(※2)ことを想起すれば十分であろう。

さらに憂慮するのは、国立大学の運営費交付金(基盤的経費)が削られたり
傾斜配分されているなか、大学側が、大学ファンドやその他の研究資金を獲得するために、
政府の意向を忖度して運営方針会議の委員を選定したり、
むしろ政府・財界の方向性(軍事研究を含む経済安全保障政策)に沿った形で
委員を選定することにもなりかねないということだ。
ここに至っては、政府や軍部が学問・研究内容に介入し、
学問・研究が国策の先兵として使われた戦前の教訓から
やっと手に入れた憲法第23条の「学問の自由」と、
学問の自由を保障するために制度的に保障されるものと考えられている
教育・研究に関する「大学の自主性・自律性」(教育基本法第7条2)を自ら葬り去ることになる。

この危険性は、国際卓越研究大学、特定国立大学法人、
準特定国立大学法人に及ぶだけではない。
他の国・公立大学、私立大学においても、国際卓越研究大学を目指すなら、
目指さなくとも国から研究予算をとるためには、運営方針会議を設置する、
あるいは国の意向を忖度する方向に駆り立てられ、
大学自治、学問・研究の自由は崩壊の危機に瀕する。

一方、この法改正によって、国立大学法人は以下の4つの類型に分かれることになる。
①「運営方針会議」の設置を義務付けられる「国際卓越研究大学」
②「特定国立大学法人」
③任意で設置できる「準特定国立大学法人」
④その他の国立大学法人
すでに2016年には「世界最高水準教育研究活動の展開が相当程度見込まれる」
指定国立大学法人制度が導入されて「選択と集中」が強化されてきた。
「運営方針会議」の義務的設置か任意かによって、
あるいは設置の有無で資源配分の取扱いや法人評価に差がでることはあってはならない。

岸田政権は立法趣旨を捻じ曲げて法案を閣議決定し、
学問の自由と大学の自治・自主性を崩壊に導く本法案を、国立大学法人や教職員、
学生ら当事者の反対、懸念の声を顧みることなく、拙速な審議で強行に成立させた。
マスコミが法案の問題点と進め方の拙速さを報道し始め(※3)、時間をかけて丁寧に審議すれば、
ますます法案の綻びが世間に明らかになることを恐れてのことであり、私たちは強く抗議する。

国立大学法人化以来、20年間で国立大学運営費交付金が1,600億円削減され、
基盤的経費の不足に悩む大学は、競争的資金を獲得することにしのぎを削らされ、
国際卓越研究大学に選ばれれば百億単位の巨額な資金を長期的に得られるとして、
政府が成長戦略で位置づける研究分野において「稼げる大学」を目指すことを強いられている。

しかし、大学ファンドの2022年度の運用実績は
収益額マイナス604億円、収益率マイナス2.2%(※4)。
採らぬ狸の皮算用で今年度の支援対象候補は東北大学の1校のみとなった。
財源を運用益に任せず、本来必要な研究資金を満たすために
運営費交付金を底上げすべきである。

れいわ新選組は、学問・研究の自由を脅かす大学自治への介入、
競争的研究資金の獲得競争に大学を駆り立て
「選択と集中」による大学間格差の拡大に断固反対する。
2021年の国主導で大学の研究資金確保のためのファンドを創設する
「国立研究開発法人科学技術振興機構法改正」(通称「大学ファンド法」※5)にも、
2022年の「国際卓越研究大学法」にも一貫して反対してきた。
もうこのような不毛な政策はやめるべきである。

OECD最低ランクの教育予算(GDPに占める教育への公財政支出)を飛躍的に拡充し、
「大学の教育研究に対する国民の要請にこたえるとともに、
我が国の高等教育及び学術研究の水準の向上と均衡ある発展を図る」(国立大学法人法第1条)
という国立大学の原点に立ち返ることを強く求める。

2023年12月13日
れいわ新選組

※1 令和4年法律第51号「国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=504AC0000000051
※2 日本学術会議 声明「日本学術会議会員任命問題の解決を求めます」2021年4月22日
https://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-25-s182-1.pdf
※3 毎日新聞「学問の自由脅かす 国立大学法改正案に反対集会 15日委員会採決か」2023年11月14日
https://mainichi.jp/articles/20231114/k00/00m/040/169000c
日本経済新聞「大規模国立大 統治強化に賛否 法改正案見直し求める声」2023年11月21日
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO76283720Q3A121C2CT0000/
朝日新聞 社説「国立大学法案 拙速な立法 成立見送れ」2023年11月26日 
https://www.asahi.com/articles/DA3S15802119.html
※4 日本経済新聞「大学10兆円ファンド、604億円赤字 22年度は厳しい船出」2023年7月7日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB071Q90X00C23A7000000/
※5 国立研究開発法人科学技術振興機構法改正
https://www.jst.go.jp/all/about/law.html


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