飛騨の山猿マーベリック新聞

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☆<東京新聞社説>「軍拡増税」了承 納税者への背信行為だ

2022年12月17日 08時03分01秒 | ●YAMACHANの雑記帳
 自民党税制調査会が防衛費増額の財源として復興特別所得税の一部を転用し、法人税、たばこ税も増税する方針を了承した。ただ会議では反対論が相次いだため、増税開始時期は二〇二四年以降の適切な時期とするにとどまった。防衛費拡大への国民的合意が得られていない状況で、税金の使途変更や増税に突き進むことは納税者への背信行為にほかならない。岸田文雄首相は防衛費の増額方針自体を白紙に戻すべきだ。復興特別税は一三年、東日本大震災の復興を目的とする特別措置法に基づいて創設された。所得の税額に二十五年間2・1%上乗せするなどして、増収分を復興に活用する仕組みだ。与党税調は、所得税額の1%分を付加税として防衛費の増額に転用し、課税期間も延長する増税方針を了承した。この手法だと当面、課税額は変わらないが、負担は長期化し、期間延長後の防衛財源分は増税になる。東北地方を中心に震災で甚大な被害を受けた地域では暮らしが根底から崩れた。福島第一原発事故で帰郷を断念した人々も多い。社会基盤の回復は道半ばであり、復興予算の転用は論外だ。復興特別税の転用は復興を願う納税者や被災地の人々の思いを踏みにじる失策ではないか。法人税増税も理解に苦しむ。現行の法人税額に4〜4・5%上乗せする付加税方式を採用し、中小企業の大半は対象外という。急激な物価上昇で打撃を受けた暮らしを回復するには、早期の賃上げが必要不可欠だ。首相は先月開かれた「新しい資本主義実現会議」で「物価高に負けない対応を労使にお願いする」と明言している。連合は来年の春闘に向けて5%の賃上げ要求方針を決め、経済界からも理解を示す声が出始めていた。賃上げ機運が生まれたこの時期に、手のひらを返すように企業に増税を求める首相の姿勢は、経営者の心理を一気に冷やし、賃上げの流れを台無しにしかねない。年明けには生活必需品を中心に新たな値上げのピークがくる。賃上げの見通しが立たないまま物価高の大波が再来すれば、人々の暮らしはひとたまりもない。税金のあり方について議論を尽くすことは民主主義の根幹であるはずだ。この過程を軽んじた首相の決断を許すわけにはいかない。

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