1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。
菅義偉首相が七転八倒しつつ五輪強行開催に突き進む姿を横目で見ながら、自民党内ではポスト菅を見込んだ合従連衡遊戯が盛んになっているが、その中でとりわけ不快なのが安倍晋三前首相のハシャギぶりである。
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その遊戯の有力手段は「議員連盟」で、それについては個々には報道されているのでご存じかとは思うが、まとめて俯瞰するために一覧表にした(別表)。そうすると、安倍がゾンビのごとく頭をもたげ、各議連の顧問(最高顧問や名誉顧問を含め)に就いているという、おぞましい姿が浮き彫りになる。
国民からすれば、二度と顔も見たくないのが安倍だが、本人にしてみれば、モリ・カケ、サクラ、アンリなど数々の疑惑を切り抜けて首相在任の最長記録を達成した者として、大長老の座を固めたい気持ちがあるのだろう。しかも彼の周りには「やっぱり菅さんじゃダメ。安倍さんが再々登板しないと」などとお呪いをかけている愛国婦人会的なオバさま方がいるので、ますますその気になってしまう。さらに、安倍の盟友の甘利明税調会長は、二階俊博にとって代わって自分が幹事長に就こうと意欲満々で、最近は安倍・麻生と共に「3A」と呼ばせて安倍の力を利用しようとしている。
奇妙なのはその二階の動きで、自分がつくった2つの議連の顧問に安倍を引き入れると同時に、自分の側近の林幹雄を甘利の半導体議連の会長代理に送り込んだ。特に「自由で開かれたインド太平洋」は中国包囲網を目指した安倍政権の中心スローガンであり、それを親中派の頭目である二階が逆用して安倍を牽制しようという高等戦術である。
菅政権の先が見えた中、自民党内はいよいよゾンビや権力亡者が絡み合う化け物屋敷のようになりつつある。
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