今夏に行われる参院選は、岸田文雄首相の政権運営に対する中間評価を下す機会だ。しかし、政権批判票の受け皿となるべき野党側は分断状態が続く。野党各党には有権者の選択肢を明確にするよう促したい。
総定数二四八のうち半数が改選される参院選は六月二十二日公示、七月十日投開票の日程が有力視される。全体の勝敗を左右する改選一人区は三十二あり、自民党はすでに山形を除く三十一の一人区で候補者を決めた。連立を組む公明党は一人区には擁立しない。
これに対し、野党はそれぞれが擁立作業を進め、十以上の一人区で候補者が競合する。
野党第一党の立憲民主党は昨年十月の衆院選に「限定的な閣外からの協力」で合意した共産党との選挙協力で臨んだものの議席を減らしたため、選挙後に就任した泉健太代表は合意を「白紙」とし、共産党との対立が続く。
立民と、政府予算に賛成するなど与党寄りに転じた国民民主党との関係も悪化している。
両党は三つの一人区で競合。立民の小川淳也政調会長、国民の玉木雄一郎代表の地元・香川では両党のほか、日本維新の会、共産も擁立して野党乱立の様相だ。
一人区の多くで野党候補が乱立し、自民党と一騎打ちの構図がつくれない状況では、野党が共倒れとなる可能性は高まる。現段階では、全一人区で野党統一候補を立てた過去二回の参院選よりも、自民党有利な状況は否めない。
参院選は衆院選とは異なり政権選択選挙ではない。政権交代を想定した協力にこだわらず、候補者一本化を急ぐべきではないか。
野党各党には選挙公約で、自公政権とは違う、明確な選択肢を示す責任もある。
立民は昨年十一月の泉体制発足後「野党は反対ばかり」との批判に配慮して提案重視の国会論戦に転じた。政府方針を修正させたこともあったが、有権者の支持が高まったとは言い難い。この際、目指す社会像を党内で徹底議論し、有権者に問い掛けてはどうか。
立民、国民がともに略称を「民主党」とし、重複が続いていることも気掛かりだ。昨年の衆院選では「民主党」比例票が約三百六十二万票あり、両党の有効得票数に応じて案分された。これ以上、有権者が混乱しないよう、両党は重複解消に知恵を絞るべきである。
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