東京都議会の自民党会派が、パーティー券収入の一部を政治資金収支報告書に記載しなかったとして、東京地検特捜部が会計担当職員を政治資金規正法違反(虚偽記入)の罪で略式起訴した。自民党国会議員の派閥裏金事件と同様の構図。「政治とカネ」を巡る党内の腐敗が地方に拡散していることをうかがわせる。不正の根を絶つには組織の在り方を根本から見直さねばなるまい。
特捜部によると、会派の政治団体「都議会自由民主党」が2019年と22年に開いた2回のパーティーで、収支報告書に未記載の収入約3500万円、支出約2800万円があった。
会派では、都議が「パーティー券50枚(計100万円)」のノルマを超えて販売した場合、100枚までは全額、101枚以降は半額を都議側の収入にする慣習だった。都議側の収支報告書にも記載がなく、裏金となっていた。
関与した都議は約20人に上り、パーティー収入の約2割が裏金化されていたことになる。
経理や収支報告書作成などの実務を担っていた会計担当職員の立件は当然だ。
一方で、裏金を手にした都議の刑事責任は問われなかった。虚偽記入の金額が立件水準に満たなかったためとされるが、政治的、道義的責任は極めて重い。
記者会見で都議会自民党は「裏金議員」の名を伏せた。不当であり、早々に公表すべきだ。議員側も自ら使途などを説明し、出処進退を明らかにせねばなるまい。
都議会自民党の政治団体は解散するという。しかし、長年の組織的不正が明るみに出た以上、会派としての政治活動や行政監視はこれまで通りにはできまい。会派も解散して出直し、今夏の都議選で有権者の審判を仰ぐべきである。
パーティー券収入の一部を収支報告書に記載せずに裏金化する手口は、自民党の国会議員や都議だけでなく、ほかの地方議会にも広がっているのではないか、と疑われて当然だ。党本部が主導して全国の地方組織を調査し、結果を速やかに公表すべきだ。
同時に、自民党には政治腐敗の温床と指摘されてきた企業・団体献金の廃止も受け入れるよう求めたい。政治資金改革に後ろ向きでは、都議選だけでなく、参院選でも厳しい結果が待ち受けていると覚悟すべきである。
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