主張
23年 憲法の焦点
大軍拡・9条破壊を必ず阻もう
敵基地攻撃能力保有と大規模な軍拡に本格的に乗り出した岸田文雄首相が新年のメディアのインタビューや対談で改憲への意欲をみせています。首相は、一昨年9月の政権発足前後から9条をはじめとする明文改憲の早期実現を繰り返し主張しています。しかし、国民多数は改憲を優先課題と考えておらず、首相の企ては狙い通りに進んでいません。大軍拡の財源確保のための増税に国民の批判は高まり、内閣支持率は下落しています。大軍拡と9条破壊を許さない世論と運動をさらに強め、「軍事国家づくり」を必ず阻止する年にしようではありませんか。
「改憲」を繰り返す首相
岸田首相は「読売」インタビュー(1日付)で自民党総裁の任期終了(2024年9月)までに「憲法改正を実現したい考えにいささかの変わりもありません」と表明しました。「産経」(1日付)の対談では、9条への自衛隊明記や緊急事態条項創設などの改憲は「極めて現代的な課題」であり「改憲の最優先事項」と語りました。自民党機関紙「自由民主」3・10日合併号のインタビューでは「憲法改正に向けた理解をさらに深めるべく、一層きめ細かな取り組みを続けていただきたい」と議論を進めることを促しました。
岸田首相は昨年の臨時国会の所信表明演説で「(改憲)発議に向け、国会でこれまで以上の活発な議論が行われることを期待する」と呼びかけました。自民、公明、日本維新の会、国民民主の改憲勢力が衆参で3分の2以上の議席を確保したことを背景に、改憲の流れに拍車をかける狙いでした。
臨時国会で衆参の憲法審査会の開催数は増えましたが、自民が当初たくらんでいた改憲項目の絞り込みはできていません。
国民が求めていない改憲を、首相が24年9月と期限を区切って実現に固執することは、民意の無視という他ありません。
臨時国会では、改憲の旗振り役だった安倍晋三元首相の銃撃事件を契機に、統一協会と自民党のただならぬ癒着に厳しい批判が集中しました。同協会と関係が最も強かった安倍氏の派閥幹部で同協会と接点のあるメンバーが党の改憲推進本部(現在の実現本部)の役職に就いていたことも問われました。
統一協会側が選挙の際、自民党国会議員に示した「推薦確認書」の第1項目に「憲法を改正し、安全保障体制を強化」と明記されていたことも判明しました。反社会的カルト集団と結んで改憲運動を推進してきたことは重大です。改憲議論の土台にかかわる問題であり、曖昧にはできません。
退陣に追い込むたたかい
岸田政権が打ち出した空前の大軍拡は、日本を「戦争する国」につくりかえる憲法破壊そのものです。トマホークのような長射程のミサイルを持ち、軍事費を国内総生産(GDP)比2%以上にして世界第3位の軍事大国になることは、9条を持つ国とは絶対に相いれない道です。
侵略戦争への痛苦の反省の上にたって、76年前に施行された憲法は「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」決意を前文に記しました。
憲法・平和・暮らしを守れの声を広げに広げ、歴史の教訓に逆らう岸田政権を退陣に追い込むことが重要となっています。
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