政治団体「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首が東京・霞が関の路上で襲われて負傷した。殺人未遂容疑で現行犯逮捕された男(30)は、ネットで中傷された元兵庫県議が死亡した問題を巡り「他の議員を自殺に追い込むようなやつだからやった」と警察に供述しているという。
特定の人物の主張が気に入らないからといって暴力で排除することは許されない。法治国家では言動が法に触れる場合、法によって裁かれなければならず、政治的主張は言論の場で争うのが民主主義である。
立花氏は14日午後、減税を求める「財務省解体デモ」が行われていた路上近くを街頭演説のために訪れた。男は立花氏と記念撮影する列に並び、自分の順番が来たときにナタで切りつけたという。
立花氏は、兵庫県の斎藤元彦知事を巡る疑惑を調査した県議会百条委員会の委員だった当時の県議を、知事を陥れた「黒幕」とする真偽不明の文書を動画サイトで公表。誹謗(ひぼう)中傷された県議は辞職後に死亡した。自殺とみられる。
立花氏はその後も、元県議が逮捕される予定だったとの虚偽情報を流し、兵庫県警本部長が否定したことがあった。
昨年11月の同知事選では斎藤氏を応援するために出馬し、襲撃時も当選の意思なく立候補した千葉県知事選の選挙期間中だった。
N党は昨年7月の東京都知事選で選挙ポスター掲示の権利を実質的に販売。注目を集めるため公職選挙法の隙を突いて行動をするなど、立花氏は非難されてもやむを得ない行為を繰り返してきた。
しかし、暴力を容認すれば、連鎖を招き、社会は安定を失う。
立花氏が挑発的な言動を繰り返してきたSNSでは憎悪や敵意の応酬が当たり前になっている。
立花氏の襲撃前には、東京・高田馬場の路上で、動画のライブ配信中の女性が知人の男に刺殺される事件もあった。使い方を誤ればSNSは社会を分断し、暴力を招く危険な道具にもなり得る。
暴力を絶対に許さない決意とともに、SNSとの向き合い方を考える必要性を指摘したい。
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