菅義偉首相と立憲民主など野党4党の代表が1対1で論戦を交わす党首討論が9日に開かれる。2019年6月以来2年ぶりで、菅政権発足後初めて。東京五輪・パラリンピック開催の是非や新型コロナウイルス対策などが主要テーマになるとみられ、25日告示の東京都議選や、秋までに行われる次期衆院選を見据えた「直接対決」となる。(川田篤志)
持ち時間は立民の枝野幸男代表が30分、日本維新の会の片山虎之助共同代表と国民民主党の玉木雄一郎代表、共産党の志位和夫委員長が各5分。
五輪関連では、首相は7日の参院決算委員会で「国民の命と健康を守っていくのが開催の前提」と強調した。ただ、具体的な数値などの判断基準には踏み込まなかった。枝野氏は、首相が「安全・安心な大会」を実現できると主張する根拠をただし、国民が納得できる説明を求める考えだ。
新型コロナの感染抑え込みや、国民生活と事業活動を支える対策も主要な議題になる。政府・与党は、進みつつあるワクチン接種の効果に期待し、当面は追加の経済対策は不要という立場。一方の野党はワクチンの確保も含めた対応の遅れを批判し、国会の会期を延長して補正予算を編成、成立させるよう求めている。
◆安倍氏、歴史的使命は「本当に終わってしまった」
党首討論は、二大政党制の英国議会を参考に2000年から正式導入された。国民の関心が高い政策課題について党首同士が議論を深めるのが本来の姿だ。だが過去には、政局の舞台にもなったこともある。民主党政権当時の12年11月、野田佳彦首相が安倍晋三自民党総裁とのやりとりの中で衆院解散の意向を表明し、2日後に解散した。
討論時間が45分と短い上に、近年は野党の数が増えたことで各党の持ち時間がさらに絞られるため、開催の機会自体が減っている。18年6月の安倍首相(当時)と枝野氏の討論では、首相の関与が疑われた森友・加計問題を巡って両者の質問や主張がかみ合わず、安倍氏が党首討論の歴史的使命について「本当に終わってしまった」と語ったことがある。
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