名だたる大企業が「下方修正」ラッシュの大波乱! 賃上げ抑制ムードが春闘を直撃
2022年度10-12月期の決算発表がピークを迎えている。聞こえてくるのは通期(23年3月期)見通しの「下方修正」ばかりだ。一体、何が起きているのか。
自動車部品大手のデンソーは3日、23年3月期の連結営業利益予想を600億円引き下げ、4200億円に下方修正した。為替前提の変更と足元の車両減産リスクを反映した。3日は沖縄電力や海運大手の日本郵船と川崎汽船も通期見通しの下方修正を発表した。
今週、下方修正を発表した主な企業は別表の通り。賃上げをリードしてくれそうな大企業が次々と下方修正に追い込まれている。
「先月24日に大幅な下方修正を発表した日本電産が各社を牽引したともっぱらです」(市場関係者)というが、企業としては株主をがっかりさせる下方修正はできれば避けたいはずだ。
「日本企業は現在『円の反動高』『コストアップ』『世界レベルの景気低迷』のトリプルパンチに見舞われています。日米金利差は縮小方向で、輸出企業には痛手となる円高が進行しつつあります。また、大企業でもコスト上昇分の価格転嫁は十分できていません。加えて、値上げラッシュが長期化し、国内消費は低迷し、世界経済もパッとしない。中国経済の立ち直りはこれからで、利上げを続けている欧米は景気後退リスクをはらんでいるからです。こうした要因が重なり、下方修正する企業が相次いでいるのでしょう」(経済ジャーナリスト・井上学氏)
政府も1月の月例経済報告で景気判断を11カ月ぶりに下方修正。先月の「緩やかに持ち直している」から「一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している」に引き下げた。
これだけ下方修正が相次ぐと、世の中全体で賃上げどころではないとのムードが蔓延する恐れがある。これから正念場を迎える春闘への影響も心配だ。
「中小企業だけでなく、大企業の賃上げも怪しくなってきました。経営側にとって、下方修正は賃上げを抑制する大きな武器になります。会社の業績が悪化しているのに大幅な賃上げは難しいという理屈です。ごくごく一部の企業を除き、インフレ率を上回る賃上げは絶望的だと思います」(井上学氏)
OECD(経済協力開発機構)のデータによると、この30年間で米国の平均賃金は1.5倍に増え、韓国は倍増している。日本は5%アップ程度と横ばいが続き、世界の潮流に取り残されている。
春闘の集中回答日は3月中旬。今年も“本当の春”は来ないのか。
春はまだ遠い?
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