シリーズ 日韓関係を考える
戦争責任と向き合う独
元NHK欧州総局長 大貫康雄さん
安倍政権が打ち出した韓国への輸出規制措置によって日韓関係は急速に悪化しています。中でも、日本の国内世論がマスコミにあおられ韓国を「敵視」する風潮を強めていることは問題です。
2日に発売された『週刊ポスト』(9月13日号)の特集「韓国なんて要らない」に大きな批判が寄せられていますが、こうした嫌韓ムードに便乗した報道が散見し、不必要に国民感情をあおっています。実際に、駐日韓国大使館の郵便受けが破壊されたり、銃弾が同封された脅迫手紙が送りつけられる事件も起きています。それほどに嫌韓感情が極まっている危険な状態です。
このような状態に陥ったのは、日韓基本条約と、それに基づく「日韓請求権協定」の解釈について日韓両国で隔たりがあるからです。安倍政権は徴用工問題は「解決済み」と繰り返し強調していますが決してそうではありません。個人の賠償請求権については、両国の政府、裁判所は一貫して認めているため、被害者の賠償請求を拒むことはできません。
そもそも徴用工の訴訟は民事訴訟であり、まずは日本企業が判決にどう対応するかが問われるべきです。しかし、そうした企業に対して被害事実の認識を問おうとするメディアはほとんどありません。現在のマスコミにはこうした関係悪化を招いた日本社会を自己検証するという発想が決定的に欠けています。
自己検証という点では、かつて日本が韓国を侵略した植民地支配の歴史とさまざまな損害や苦痛を与えたことを認め、反省する立場にたつことも必要です。日本と韓国の関係はドイツとポーランドの関係と重なります。ドイツは日本と同様、隣国を侵略し、多くの人を虐殺した歴史を持つ国です。ポーランドはいまだにドイツの侵略による損害賠償が不十分だとして請求していますが、ドイツはこれには応じていません。
しかし、ドイツのシュタインマイヤー大統領は9月1日ポーランドで開催された、ドイツ侵略から80年の戦争犠牲者を追悼する式典に出席し、「過去の罪の許しを請う。われわれドイツ人がポーランドに与えた傷は忘れない」と謝罪をしています。これにポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領は「この式典がポーランドとドイツの友好の歴史に残るものになると確信している」と感謝を示しました。
たとえ両国に隔たりがあったとしてもドイツは過去を否定することはなく、こうした外交努力を重ね、常に戦争責任と向き合ってきました。日本が見習うべき姿ではないでしょうか。聞き手・中野侃 写真・橋爪拓治
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すさまじく国民から嫌われ、史上最悪と呼ばれるダメ総理。ある日、投げつけられた石が頭に当たり記憶喪失に。すると、金と権力に目がなかった悪徳政治家が善良で純朴な人物に変わる―▼先週封切りされた三谷幸喜監督の「記憶にございません!」。政界を舞台にした喜劇に劇場は笑いに包まれていました。とりまく陰謀や利害、米大統領の来日。家族も巻き込んだドタバタ劇に、どこか現実が重なってきます▼国民に暴言をはき、消費税を上げ、強行採決をくり返してきた首相がそれを反省して謝る場面も。実際、鑑賞した安倍首相は、三谷監督から身につまされたところを問われ「悪い総理の時代に消費税を上げるというのは、ちょっと(現実と)かすったかな」と答えています▼一から政治を学び直して夢や理想をとりもどし、国民のための政策を実行する。それに逆行する政治が横行する世にあって、笑いに流されながらも政治とは本来こうあるべきなんだという思いがわいてきます▼増税をはじめ苦しくなるばかりの生活、八方ふさがりの外交、被災者の叫びに耳を貸そうともしない政権。現実は映画のようにはいきません。しかし政治に希望を失えば、この国の未来はどうなってしまうのか▼いま共産党は野党連合政権に向けた話し合いを始めました。市民とともに新しい政治を実現させるために。「二度と政治に失望させない」。映画のなかで主人公が発した国民との約束。それを現実のものにしていく共闘の時代を切り開こうと。
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