戦時下で起きた卑劣なテロ事件である。モスクワ郊外での銃乱射テロ事件で、死傷者は300人を超えた。プーチン政権がテロ対策を口実に、異を唱える市民の弾圧を強めないか、懸念が募る。
米国はモスクワでのテロ計画の情報を事前に把握し、ロシア側に伝えていた。ところがプーチン大統領は「社会を不安定化させる恫喝(どうかつ)だ」と米国を非難し、警告を一蹴していた。
今回のテロ事件では、過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行声明を出しているが、真偽は確認されていない。
ただ、米国が警告した直前の3月初めにもロシアでIS絡みの事件が起きている。北カフカスのイングーシ共和国で、治安当局がISのアジトに踏み込んで6人を殺害し、自動小銃や弾薬、手投げ弾などを押収していた。
これでロシア当局に気の緩みが生まれたのか。事前の情報提供を生かせなかったのは失態だ。
一時はシリアとイラクにまたがる広大な地域を支配したISにはSNSで感化されて世界中から4万人以上の若者が参加したといわれる。
中でもイスラム系の北カフカスと中央アジア諸国の旧ソ連圏出身者が最も多かった。プーチン氏は旧ソ連圏から5千~7千人がシリアとイラクに渡ったと指摘したことがある。
テロを引き起こす過激主義思想は、圧政、腐敗、貧困といった社会的不公正を栄養源にはびこる。これらの旧ソ連諸国がIS戦闘員の最大の供給源になったのは、程度の差はあれ、そうした共通の土壌があるからだ。
権力者とその取り巻きが国富を独占する腐敗した体制は言うに及ばない。豊かになったロシアも地域格差は大きく、北カフカスは最貧地帯である。
プーチン氏は国内の引き締めを強化する構えだが、過激主義を力で抑え込むことはできないと知るべきだ。根を絶つには社会的不公正を正さなければならない。
その前に、社会不安を駆り立てているウクライナへの侵略戦争をやめる必要があるのは、言うまでもない。
ところがプーチン氏はテロ事件へのウクライナの関与をほのめかし、国民の憎悪をあおっている。侵攻の正当化を狙っているのだろうが、危険極まりない。
戦時下で起きた卑劣なテロ事件である。モスクワ郊外での銃乱射テロ事件で、死傷者は300人を超えた。プーチン政権がテロ対策を口実に、異を唱える市民の弾圧を強めないか、懸念が募る。
米国はモスクワでのテロ計画の情報を事前に把握し、ロシア側に伝えていた。ところがプーチン大統領は「社会を不安定化させる恫喝(どうかつ)だ」と米国を非難し、警告を一蹴していた。
今回のテロ事件では、過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行声明を出しているが、真偽は確認されていない。
ただ、米国が警告した直前の3月初めにもロシアでIS絡みの事件が起きている。北カフカスのイングーシ共和国で、治安当局がISのアジトに踏み込んで6人を殺害し、自動小銃や弾薬、手投げ弾などを押収していた。
これでロシア当局に気の緩みが生まれたのか。事前の情報提供を生かせなかったのは失態だ。
一時はシリアとイラクにまたがる広大な地域を支配したISにはSNSで感化されて世界中から4万人以上の若者が参加したといわれる。
中でもイスラム系の北カフカスと中央アジア諸国の旧ソ連圏出身者が最も多かった。プーチン氏は旧ソ連圏から5千~7千人がシリアとイラクに渡ったと指摘したことがある。
テロを引き起こす過激主義思想は、圧政、腐敗、貧困といった社会的不公正を栄養源にはびこる。これらの旧ソ連諸国がIS戦闘員の最大の供給源になったのは、程度の差はあれ、そうした共通の土壌があるからだ。
権力者とその取り巻きが国富を独占する腐敗した体制は言うに及ばない。豊かになったロシアも地域格差は大きく、北カフカスは最貧地帯である。
プーチン氏は国内の引き締めを強化する構えだが、過激主義を力で抑え込むことはできないと知るべきだ。根を絶つには社会的不公正を正さなければならない。
その前に、社会不安を駆り立てているウクライナへの侵略戦争をやめる必要があるのは、言うまでもない。
ところがプーチン氏はテロ事件へのウクライナの関与をほのめかし、国民の憎悪をあおっている。侵攻の正当化を狙っているのだろうが、危険極まりない。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます