穴にハマったアリスたち

生きてれば楽しい事がいっぱいある!の証明の為のページ。ぴちぴちピッチを大応援。第三期をぜひ!
→新章開始!ありがとう!

「参考文献一覧」:HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2023年01月11日 | ハグプリ最終回考察
一連のハグプリ考察記事を書くにあたって読んだ・見たものを記載します。※随時更新

【タイムトラベルに関する一般書籍】
・J・リチャード・ゴット,時間旅行者のための基礎知識,草思社,2003年
・ホール・デイヴィス,タイムマシンのつくりかた,草思社,2011年
・二間瀬敏史,時間旅行は可能か?,筑摩書房,2009年

【時間に関する一般書籍】
・吉田伸夫,時間はどこから来て、なぜ流れるのか?,講談社,2020年
・高水裕一,時間は逆戻りするのか,講談社,2020年
・松浦壮,時間とはなんだろう 最新物理学で探る「時」の正体,講談社,2017年
・高水裕一,物理学者、SF映画にハマる 「時間」と「宇宙」を巡る考察,光文社,2021年
・二間瀬敏史,どうして時間は「流れる」のか,PHP研究所,2012年
・橋元淳一郎,時間はなぜ取り戻せないのか,PHP研究所,2010年
※物理学視点

・青山拓央,心にとって時間とは何か,講談社,2019年
・青山拓央,新版タイムトラベルの哲学,筑摩書房,2011年
※哲学視点

【宇宙に関する一般書籍】
・村山斉,宇宙は本当にひとつなのか,講談社,2011年
・吉田伸夫,宇宙に「終わり」はあるのか,講談社,2017年
・吉田伸夫,量子論はなぜわかりにくいのか,技術評論社,2017年
・須藤靖,不自然な宇宙,講談社,2019年
・戸谷友則,宇宙の「果て」になにがあるのか,講談社,2018年
・都筑卓司,四次元の世界,講談社,2002年
・大須賀健,ノーベル賞受賞の博士が明かした! 世界一やさしいブラックホールの話,宝島社,2021年
・和田純夫,量子力学の多世界解釈 なぜあなたは無数に存在するのか,講談社,2022年
※主に時間停止やパラレルワールドに関わります

【SF小説】
・テッド・チャン,あなたの人生の物語,早川書房,2003年
・アイザック・アシモフ,地球は空き地でいっぱい,早川書房,1988年 ※収録作「死せる過去」
・ロバート・A・ハインライン,輪廻の蛇,早川書房,2015年
・ロバート・A・ハインライン,時の門,早川書房,1985年
・ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア ,故郷から10000光年,早川書房,1991年
・H・G・ウェルズ,タイム・マシン,東京創元社,1965年
・スティーブン・バクスター,タイム・シップ,早川書房,1998年
・フィリップ・K・ディック,時間飛行士へのささやかな贈物,早川書房1991年
※記事で引用したり意識した本のみ記載

【小説版プリキュア】
・大野敏哉,小説スイートプリキュア♪,講談社,2016年
・小林雄次,小説スマイルプリキュア!,講談社,2016年
・前川淳,小説フレッシュプリキュア!,講談社,2016年
・秋之桜子,物語Go!プリンセスプリキュア 花とレフィの冒険,講談社,2017年
※本編終了後の未来が描かれています

・村山功,小説 魔法つかいプリキュア! いま、時間旅行って言いました!?,講談社,2017年
※過去へのタイムトラベル

【漫画版プリキュア】
・上北ふたご,HUGっと!プリキュア1 プリキュアコレクション,講談社,2018年
・上北ふたご,HUGっと!プリキュア2 プリキュアコレクション,講談社,2019年
※野乃さんがタイムリープする

・上北ふたご,映画ふたりはプリキュアスプラッシュスター チクタク危機一髪!,講談社,2006年
※時間停止

【インタビュー記事】
・アニメージュ 2019年2月号,徳間書店,2019年
・HUGっと!プリキュアオフィシャルコンプリートブック,学研プラス,2019年

【映画版プリキュア】
・映画 ふたりはプリキュアスプラッシュスター チクタク危機一髪!
・映画 ドキドキ!プリキュア マナ結婚!!?未来につなぐ希望のドレス
※時間ネタの映画

・映画 プリキュアオールスターズ 春のカーニバル♪
・映画 プリキュアスーパースターズ!
・映画 HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ
・映画 プリキュアミラクルユニバース
※他シリーズとの共演からの時代考察

【プリキュアシリーズ】
・魔法つかいプリキュア! 50話(最終回)
・キラキラ☆プリキュアアラモード 49話(最終回)
・スター☆トゥインクルプリキュア 49話(最終回)

(順不同)

参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ジェロスの輪廻」: HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2023年01月11日 | ハグプリ最終回考察
年代・年齢に関わるネタは、全員集合がありそうな20周年記念作が始まる前に吐き出しておいた方が良さそうだったので、書いてみる。


(「HUGっと!プリキュア」49話より)

クライシス幹部・ジェロスさんは何歳なんだろう?

[1] 見た目からの推察
最終回2030年の姿および声の印象だと、えみる(小6)より私の感覚では幼く見えます。仮に10歳としよう(もっと下にも思える)。
2030年時点で10歳ならば、クライアスとして活躍する2043年(推測)では23歳です。

さてジェロスは老いに怯えるキャラクターです。
果たして23歳(あるいはそれよりも若い)で、あそこまで強迫観念に駆られるものだろうか?

※ジェロス救済回の45話にて、「売れ残りのクリスマスケーキ(行き遅れを揶揄する古い表現)」が出てきます。
2030年時点で12歳、2043年で25歳だとすれば、ちょうどぴったり合致するのですが、上述の通り、姿と声からはえみると同年齢とは思い難いので「10歳」として進めます。

現代日本でいうと、23歳は大卒直後。老いは意識しないというか、むしろ「社会人最年少組」ですから大学時代より「若返った」感覚を抱いてもおかしくありません。
壁として意識されがちなのは「30歳」で、ジェロスの悩みは5年早いように思えます。

[2] 名前からの推察
「ジェロス」の由来は「ロストジェネレーション(就職氷河期)」。
該当するのは1970年~1983年頃の生まれの人で、2018年時点で35~48歳です。これは本編中のジェロスのイメージとかなり違う。

同様に、
:パップル(バブル。1990年前後。その当時に22歳とすると、2018年では50歳)
:ダイガン(団塊の世代。1947年~1949年の生まれ。2018年では70歳)
ともずれています。
印象で決めつけてしまうなら、15歳~20歳ほどおかしい。

ハグプリは15周年記念シリーズですから「15」に意味があると狂信して差し引くと、

:パップル35歳
:ダイガン55歳
:ジェロス27歳(20歳~33歳の真ん中として)

この方が違和感がない気がする。
まぁ「20」を引けば23,24歳になるんですから我田引水もいいところですが、パップルの年齢がおかしなことになる(本編で30歳だとすると、2030年時点で17歳。最終回のあの容姿と言動で未成年とは思いづらい)ので、とりあえずは先に進めたい。

【5年の遠回り】
これらから、強引極まりないですが「2043年時点で23歳のはずのジェロスが、実際には27歳くらいに思える(約5年ずれている)」という謎が出てきます。
劇中で何も説明されていないので、更に強引に仮説を進めます。

仮説『ジェロスは2018年を2回繰り返している』

私の考察では「2033年に野乃はなに不幸が起き、悲嘆したジョージが2018年に逃避した」「最終決戦の後、妻・野乃はなを救うべく2033年を目指した」を採用しています(参考:「ジョージの別れと再会」)。
このジョージのタイムトラベルに、幼いジェロスも一緒についてきていたんだ。

2030年(10歳):最終回のあの子

2033年(13歳):ジョージのタイムトラベルにアクシデントで巻き込まれて2018年へ。
2019年:決戦後のジョージと共に過ごし、再度の2033年を迎える。

2033年(28歳):野乃はな救済を目指すジョージを横目に、この時代のジョージ(および幼少の自分)と共にタイムトラベル。
動機としては、共に歩む15年の間にジョージに恋心が生まれ、彼が野乃はなの元に向かったことに絶望したから、とか。
2018年:クライアス幹部になり、プリキュアと戦う。

これだと推定した27歳と近い年齢になる。
突拍子もなさそうでいて、この説には地味に利点があります。

① クライアス幹部がジェロスの出自を知らないことの説明が付きます。
ジェロスは2043年を生きていないので、パップル達から見れば全くのイレギュラー。知らなくて当然です。

②入社のきっかけは「ジョージがスカウトした」こと。
上記仮説の経緯であればジョージが重用しても不思議はなく、ぽっと出なのに重役に昇進したことや愛人関係も理解できます。

③45話のジンジンとタクミとの回想で出てきた「若かりし頃の貧乏生活」が自然に受け入れられます。別時代の人間だったので就職等で著しく不利だった。だから生活が苦しかった。

タイムトラベルなどせずに普通に2043年まで過ごしたのだとしたら、20歳ごろの男女が共同生活と思しき暮らしをしていることになり、親御さんの事情などなど面倒くさい背景が必要になってきます。ちなみに同シーンの「カセットコンロ」等の描写も、2040年頃の未来というより2030年と言われた方がそれっぽい。

なお「パラレルや歴史改変によりジェロスが過ごした未来は書き換わったので貧乏生活も無くなった」とすると、三人を再度結び付けた思い出が消滅したことになります。それはさすがに色々と台無しじゃなかろうか(故に「未来が書き換わった」「別の世界線」説には否定的です)。

④ジェロスの強迫観念は、「同じ時代を繰り返し経験している」「ジョージは自分の元を去ると知っている」「変えられない結末を理解している」が背景にあるなら分かる気がする。

⑤チャラリートの挫折のきっかけが推察されます。
最終回にてジェロスと同時に映っていますから、2043年時点で23歳ぐらい。個人的には違和感はないです。なので、彼はタイムトラベルとは関係なく、そのまんま2043年まで生きたと思われます。
ジェロス達とは2033年で生き別れた(彼の視点では死別)ことになり、これが彼の心に影を落としたんじゃなかろうか。

亡き友人達の意志を継ぐつもりで、そこだけは必死になってアカルイアス(後のクライアス)に入社したのであれば、自己肯定感の低さと一流企業(?)クライアスの管理職であることの整合性も取れそう。また、前述の45話の貧乏生活にチャラリートだけいないこととも辻褄が合う。
ジェロスと再会したチャラリートが特には反応を示していない理由は、「気づかなかった」で済みます。こんな奇天烈な経緯に気づける方がおかしい。

以上。
仮説に次ぐ仮説で、本編描写とあちこち矛盾や齟齬もありそうですが、「ジェロス2周目説」はちょっと目新しいんじゃないかと思う。

【補足】
ジェロスの年齢を5歳分調整する仮説としては、他に「クライアスは2043年ではなく2048年の出来事」説も考えられます。これなら素直にジェロスが20代後半になる。
ただ「トゥモローさんが18歳」「パップルが40歳手前」になってしまい、ありえないとまでは言わないにしても、少々苦しい気がする。

参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「輝木ほまれと人魚姫の代償」: HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2022年12月21日 | ハグプリ最終回考察
ハグプリ32話にて、ビシンの攻撃によりハリーとエトワールは「人魚姫」の世界に囚われます。
ほまれさんとしては「自分が直前に「人魚姫」の絵本を読んでいたから」と推察もしましたが、ビシン曰く「ハリーとエトワールの内心と合致していたから」だそう。


(「HUGっと!プリキュア」32話より)

さて「人魚姫」は「異なる世界に適応するために代償を払う」物語です。
これと合致していたのなら、ほまれさんは何を代償としているんだろう?
(「失恋」は結果なので「泡になる」に相当、代償に非ず)

すぐに思いつくところだと「プリキュアとして戦うこと」。実際危険ですから、歴代の精霊たちも申し訳なさを持ったりしていました。
ただ特にハグプリはラストで人類皆プリキュア化していることもあり、「プリキュアになる」ことを「代償」と呼んでしまうのは違和感があります。
そこで別の何かがあるとの前提で考えてみた。

【輪廻の蛇】
最終回を見るに、2030年の時点でハリーはほまれさん家で世話になっているようです。
いかなる経緯でそんなことになったのかは不明なれど、2018年以降にハリーと「再会」した彼女はかなり驚いたはず。

状況としては「野乃はなーはぐたん」「薬師寺さあやーダイガン」「愛崎えみるールールー」と同じ。ただし他3名と違い、ほまれさんは積極的に未来を変える動機があります。2030年時点のハリーを手懐けて、トゥモローと出会う前に恋仲になる選択肢が脳裏に浮かんでもおかしくはない。

ですが彼女はそうはしなかった。おそらくは自分の思い出は知らせずに、ハリーを育てたと思われます。これが「声を失い、想いを伝えられない人魚姫」と同等の「代償」だったんじゃなかろうか。

この時ほまれさんが妙な干渉をしなかった(※)からハリーは2043年にトゥモローと出会い、タイムトラベルし、ハグプリの物語が始まり、そして2018年にほまれさんはハリーと出会って一緒に過ごせた。声を失うことで、人魚姫が王子と過ごせたように。

※「未来不変」の立場で言うなら、「現に干渉しなかったのだから、何度繰り返そうと干渉はしない」。正確に言うなら「想いを伝えなかった」のではなく「伝えられない」ですから、まさしく「代償」と言える。
もしも2030年のほまれさんが、ハリーと出会い、葛藤の後に「人魚姫だったのに代償を払っていない?」に気づいたなら、上記の思考を元に「パラレルワールドや歴史改変は起きていない」にたどり着けるかもしれない。

この「代償」を支払うのは2030年ごろの未来ですが、ハリーから見れば過去。故に内心を覗くオシマイダーが察知できたとしても不思議はないと思われます。
32話時点ではハリー・ほまれ両名共に「代償」に気づいていないが、オシマイダーは2030年に支払われるそれを検知して「人魚姫」が再生された…というのは時間ネタとして面白い気がする。

元ネタの「人魚姫」では、ラストは泡となって消えるのではなく、風の精霊(ざっくりとした概念でいえば輝く天使的な存在)になります。「輝く」「飛ぶ」等はエトワールのイメージにも合っています。
2030年に代償を払い、2018年にハリーと共に過ごし、失恋を経て成長、自分を輝かせて、そして2030年にハリーと再会する。ハリー視点では時系列(代償を払う→共に過ごす→泡を経て精霊化)に沿っているけれど、ほまれ視点では共に過ごしてから「代償」を払っている不思議。番組的にはほまれ視点なので、ちょっとした叙述トリックとも言えるかも。

【蛇足】
もう少し物理的な話でいくなら、「2018年からハリーが去った後、ビューティーハリーの経営をほまれさんが引き継いだ」もいいかもしれない。
ビューティーハリーの建屋は、元々はハリーが「持参」しているので未来に持ち帰った可能性もあるのですが、明確には描写されていません。少なくとも取引先等々は残っているはず。

これをほまれさん(2018年時点では未成年なので輝木家)が引き継いで経営した。2030年に輝木家に世話になったハリーは「ビューティーハリー」の存在を知る。その後2043年から2018年に帰った際に、2030年の記憶を元にビューティーハリーの経営を開始。
ほまれさんが支払った「代償」は、想い人不在のまま残された店を切り盛りすること。

これだと「ハリーはなぜビューティーハリーを(ネズミにとってはヒト向けの服飾店はハードルが高いはずなのに)経営したのか」の説明がつきます。彼が世話になった輝木家が経営していたのでノウハウ的に馴染みがあり、物理的に持ち込むこともできたから。

ただ前述の「2030年に想いを伝えられなかった=声を失った」説の方が綺麗かなとは思う。一応は両説は矛盾はしないので、代償云々は別として、「ほまれさんがビューティーハリーを引き継いだ」は推しては見たい。「誰が最初にビューティーハリーを作ったのか」がパラドックスを起こすので、これはこれで時間ネタとしては王道です。

参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ルールーの無限ループ(チョロミーのパラドックス)」: HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2022年04月04日 | ハグプリ最終回考察
NHK「おかあさんといっしょ」内の「ガラピコぷ〜」が最終回を迎えました。
その中で時間旅行ネタが出てきたので、触発されて気づいたことを書いてみる。

「ガラピコぷ〜」は、とある星に漂着した記憶を失ったロボット(ガラピコ)が、そこの住人・チョロミー達と過ごす物語です。
ガラピコは故郷の星に帰りたい。だけど思い出せない。
そんなある日、ガラピコを作ったのは未来のチョロミー博士だったと判明します。宇宙船で漂着したのではなく、タイムマシンでやってきていた。
失敗ばかりのチョロミーも、未来の自分からのメッセージに励まされ、博士になる未来を目指して頑張ることになりました。

故郷に焦がれていたガラピコは、実はずっと生まれ故郷に「おかあさん(チョロミー)といっしょ」にいたという綺麗なオチです。
番組コンセプト的にも前向きで素晴らしい。「ガラピコぷ~」は原作者様によれば「元気いっぱいな男の子じゃなくても、おしとやかな女の子じゃなくても、大人から見たらちょっと問題があるような子であっても、大丈夫だよ」というメッセージを込めたとのこと。現時点では勉強が苦手なチョロミーの未来も、明るく拓けている。

…のですが、幾つか問題も引き起こします。

(1) 現チョロミーの元にはガラピコがいる。それを元に未来チョロミーがガラピコを設計したら何が起きるか。
(2) チョロミーが、ガラピコを発明できなかったら?
(3) 未来から送り込まれたガラピコを、そのまま過去に送りだしたら?

順に、ハグプリに置き換えつつ考えてみよう。

 ガラピコ:ルールー
 チョロミー:えみる
 チョロミー博士:未来えみる もしくは トラウム

(参考までに、チョロミーの声を担当しているのは、キュアサンセットやプリキュアEDでお馴染みの吉田仁美さんです)

(1) 現チョロミーの元にはガラピコがいる。それを元に未来チョロミーがガラピコを設計したら何が起きるか

チョロミーは1からガラピコを作る必要がありません。未来から送られてきたガラピコを参考にすればいい。
そしてパラドックスに直面します。ガラピコを最初に作ったのは誰なんだろう???

そこまで露骨にコピーしなくても、デザインなどは影響を受けるでしょう。では最初にガラピコのデザインを考えたのは誰なのか???

えみるの場合、作るのはトラウムですから完成まで一切関わらなければ、パラドクスはとりあえずは避けられます。
この制約があるため、えみるは軽々しくトラウム研究室には行けないはず。(参考:「パラレルワールドへの疑念」(人物面)

(2) チョロミーが、ガラピコを発明できなかったら?

「ガラピコぷ〜」の世界が「歴史は変わらない」世界観だったなら、チョロミーはどれだけ怠けようが最終的にはガラピコを発明できます。
「未来が変わる」世界観だったなら、未来チョロミーと現チョロミーは別人ですから、努力してもガラピコを発明できるとは限らない。
どちらもせっかくのテーマに反する無粋な解釈ですが。
チョロミーはお勉強は苦手でも、「賢い」子なので努力してガラピコを作り上げたと信じたい。

さて、えみるの場合。作るのはトラウムですから、えみるにできることは限られます。(1)の事情もあり、直接的な知識提供はできない。やるとしたら、資金援助やアンドロイドに関わる法整備とかぐらいでしょうか。

ただ、トラウムは普通の人間です。異世界人とか謎生物ではない。
その彼に、明らかに超越技術が使われていると思われるルールーを開発できるんだろうか?
「歴史は変わらない」のであれば、どうあってもルールーは誕生はしますが、「トラウムがどうやって開発したのか」は定かではありません。

(3) 未来から送り込まれたガラピコを、そのまま過去に送りだしたら?

ガラピコを発明できなかったとしたらどうするか。ずっと一緒にいたガラピコを過去に送りだせばいいです。
実際にはガラピコの素材が経年劣化していきますから、部品の交換はするとしても「発明」は不要になります。
これでガラピコは無限の時間ループに旅立てる。さようならガラピコ。

えみるの場合。「部品の交換」のようなテセウスの船問題を無視できる、もっと手っ取り早い方法があります。ミデン的な方法で若返らせればいい。
つまり仮説として下記が浮上します。


(「映画HUGっと!プリキュア ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ」より引用)

『2018年の戦いの後、えみるはトラウムがルールーを開発すると信じて、影からの資金援助に励んだ。
しかしルールーが完成する様子は全くない。明らかに技術レベルが足りない。これではルールーが誕生しないではないか…!未来は変わってしまったのか…?

混乱と不安に押しつぶされながら迎えた2030年。突如、2018年からタイムトラベルしてきたルールーが出現。彼女たちは2043年に向けて旅立ったのではなく、2030年を目指していたのだ。

そして現れたミデンっぽい敵との戦闘により、ルールーは幼児に戻ってしまった。
しかもそのルールーを置いて、パップル達は2043年に向けて出発して行った。

残されたえみるは真相に気づく。この若返ったルールーが成長し、2043年から2018年にタイムトラベルし、やがて自分と出会ってプリキュアになるのだろう。そして2030年に来て幼児化し、また成長して2043年から2018年にタイムトラベルする。
ルールーは無限に同じ時間のループを繰り返していたのだ』

この説を使わなければいけない積極的な理由はないとはいえ、否定する根拠も特にはないです。(1)の問題が悪化してしまいますが、プリキュア世界ではこの種のパラドクスは前例があるので諦めよう(参考:「リコのパラドックス」)。
ただこれだと「2043年で、えみる(37歳)がルールー(14歳相当)とプリキュアに変身」の夢が絶たれてしまうので、個人的には採用したくない。
とりあえず思考実験として、提唱してみます。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「誰が野乃はなを殺したのか」: HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2022年03月26日 | ハグプリ最終回考察
野乃さんの死亡経緯を考えてみます。
仮説につぐ仮説、私の脳内解釈の嵐なので独りよがりこの上ないのですが、文章が冗長にならないようにあえて断定的に書き綴ってみます。


(「HUGっと!プリキュア」11話より)

前提①
野乃さんが死亡(またはそれに準ずる状況)になったのがいつかは不明です。少なくとも、2030年のはぐたん誕生後のようなので便宜上2033年としてみます。
理由付けとしては「プリキュア30周年のメモリアル年だから」「はぐたんが3歳。プリキュア視聴年齢になる境だから」。

前提②
最終決戦の後ジョージはどこぞに旅立ちました。私としては「2033年の野乃はなを救いに向かった」と前向きにとらえたい。したがって彼が野乃さんを救える道筋を考えたい。

前提③
「未来は変えられない」のが基本路線。私たちが視聴したり、ジョージが語った未来はそのまま。「死なずに救われた」はない。

前提④
以前に「歴史が変わる前の野乃はなの『死因』はマザー化したこと」と推察してみました。(「歴史が変わる前の物語」
その際に「歴史改変の前後で、変える必要のないことは変えない(何でもありなら推察のしようがないので)」と仮定を置きました。これを踏襲して、「歴史改変後(私たちが視聴したハグプリの世界線)でも、2033年に野乃はなはマザー化した」としてみる。
※ここでいう「歴史が変わる前の世界」は、「私たちが視聴する前のハグプリ世界」。「ルールーたちが語った未来世界」ではない(参考:「世界はいつ分岐したのか」

前提⑤
プリキュアは初期視聴者の実年齢を意識したテーマを扱っています。そう私は思い込んでる。
10周年(15歳前後)は「プリキュアと同年代になり中高に通いだしたが、アニメのあのキラキラした世界と現実は違った」。
15周年(20歳前後)は「子供時代が終わり大人になった。これまでの経験が全く通じない理不尽な壁が立ちはだかる」。

30周年(35歳前後)で何があるかと考えると、様々なライフイベントの区切りとその後の結果に直面する年齢に思えます。
例えば結婚した/しないと決めた。家を買った/買わないと決めた。転職した/しないと決めた。そして今後の会社人生の道筋が見えた。
どちらを選択したから幸せといった話ではなく、選択するともう一つが消える。マリッジブルーやマイホームブルーのように、不幸というわけではないが陥ってしまう悩みです。

このテーマを掲げる総決算的な敵(15周年でいうところのミデン)に、16年以降のプリキュアさんらはおそらくこんな感じで立ち向かうと思う。

スタプリ:
家を買っても、その気になれば引っ越せる。永住するとかの固定観念は捨てよう。
(賃貸物件に住み続けるのを選んだとしても、必要なら老後でもなんでも家を買えばいい。適正年齢なんて固定観念は捨てよう)

ヒープリ:
結婚すると気ままな独身貴族の生活は終わる。でも幸せな未来のために、切り捨てる覚悟をしよう。
(独身のままだと伴侶や子と巡り合えなくなる。でも幸せな未来のために、切り捨てる覚悟をしよう)

トロプリ:
この先どうなるかは分からないけど、今の職場で一番大事なことに向き合い続けよう。
(この先どうなるかは分からないけど、転職した先で一番大事なことに向き合い続けよう)

ひとまず回答にはなるように思う。ですがこれらは「積極的に自分の望む選択をした」のが前提です。

「思い出があるから踏ん張れる」に対し、ミデンは「思い出のない者は踏ん張れない」とカウンターを突き付けました。
同じ構成でいくなら、30周年の敵が突き付けるのは「時間切れによる選択肢の自然消滅」(※注)でしょう。

転職したいと思っていたのだけど、何となく先延ばしにしている内に年齢制限にひっかかり、転職の道が絶たれた。今の職場でも特に何かを蓄積したわけではなく、管理職やら何らかの第一人者だとかにもなれそうにもない。

こんな「気が付いたら消去法でこうなっていただけ」な人。それが2033年の敵に思えます。
そしてこの人物像に「何もしない男」と評されるジョージはかなり当てはまる。

野乃さんと結婚しておいて「消去法で選んだ」「選択肢が自然消滅した」とか何言ってんだ感がありますが、仕事面に関しては分かる気はします。
ジョージは経営に興味がなく、自己満足的な研究もどきに打ち込み、世捨て人的に過ごしていた。だがある時、アカルイアスを切り盛りする野乃さんを見て、自分の現状とのギャップにショックを受けた。今から頑張ろうにも、全く何も分からない。はぐたんの育児も同様で、何もしなかったツケで何も分からない。
研究者として大成する道も見えず、「何もしない」「何もない」に気づいてしまった。

この絶望の隙を誰かに突かれ敵化したとして、16年以降のプリキュアさん達は助けてくれない気がする。というか「知らんがな」としか言いようがない。うん、いやそれ辛いのは分かるけどさ、今からでも努力するしかないんじゃないの?としか。

※注「同じ構成でいくなら、30周年の敵が突き付けるのは「時間切れによる選択肢の自然消滅」」:カウンターとしてはもう一つ「選んだ選択肢が結果的に間違いだった」もあると思う。16年以降のプリキュアたちは、こっちの問題には対処できそう】

ですが野乃さんは救いに向かう気がする。彼女の「思い出があるから立ち上がれる」は、この局面ではネガティブな側面もある全肯定に走りそうです。
確かに何もしなかった。でもここまで生きてきたんだ。それを否定するな、とばかりに。

この状況は第三者的には「嘲笑される」と言ってもいい、愚かな行動だとも思う。ジョージの語った描写には合致します。当事者なだけに自嘲もありそう。
そしてここまでの無条件の庇護は、象徴的な『親』=「マザー」化の道に思えます。
スタプリ以降のチームの静止を振り切ってジョージを助けようとし、結果「普通の女の子」であるプリキュアから「神」的な存在になってしまった。死んではいないが、プリキュア的にはバッドエンドでしょう。(じゃあ九条さんやはーちゃんはどうなんだとか細かくは色々ありますが)

経緯がこれなら、最終決戦の後ジョージが再び2033年まで道を歩み、その過程で自己を身に着ければマザー化した野乃さんを救う道もありそうです。
かつての「何もない男」のジョージには果たせなかった救済ができる。歴史は変わってはいないが、未来は変えられる。
話の筋はそれなりに通ってるんじゃないかと思ってみる。

参考:
HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「タイムパラドックスの誤解」: HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2022年03月16日 | ハグプリ最終回考察
ちょうど「オールスターズメモリーズ」が放送されるということで、ハグプリの考察をしていて引っかかった紛らわしい設定等を改めて整理してみたい。


(「HUGっと!プリキュア」23話より)

【よくある誤解】
●未来で時間を止めたのはクライアスではない
ジョージが明言しているように、未来世界の時間を止めたのはクライアスではありません。自然現象です。
そのため現代でクライアスを打倒しても、未来の危機は解決せず。

故に「現代でクライアスを倒したのに、ルールーらが未来を救いに旅立つ」のは矛盾していません。
一応は「最終決戦で全人類プリキュア化したので、未来の時間停止も止められるのでは」と期待できなくはないのですが、如何せん25年後(と思われる)の先のことですから確証はなし。
「現代が救われたのに、未来が救われていない。だから平行世界だ(あるいはタイムパラドックスだ)」と考える必然はないです。

●野乃はなの死亡/生存は明言されていない
「元の世界線では野乃はなは死亡したが、今の世界線では助かった」かのような描写は本編にはありません。
状況からしてジョージの語る「野乃はな」に不幸が起きたのは、はぐたんの出産後(少なくともジョージと知り合った後)でしょうから、2030年付近です。
その先のことは描かれていないため、野乃さんが助かったのかどうかは不明瞭。

また、ジョージの語る「野乃はな」が最終的に救われなかったかも明言されていません。
最終決戦の後、ジョージはどこかに旅立っていますから、「救いに戻った」と解釈する余地はある。

この二つは本当に紛らわしい。「タイムパラドクス」や「パラレル」説は言ってしまえば、この誤解が発端です。
上記を踏まえると、実はパラドクスやパラレルを持ち出す必要がありません。
ハグプリ考察が分かりにくくなる理由の一つは、「そもそも必要がないパラドクス等を前提にしてしまっているから」とも。

私のやった考察も、ここに引っかかったせいでやたら回りくどくなってしまった。

【設定の確認】
●野乃はなの死の原因は出産ではない
ネット上でおそらく最も有名な考察アイデアが「はぐたん出産時に死亡した」を採用しているので、公式設定と誤解している方もいるようです。

ジョージの語る「野乃はな(らしき人物)」は、剣を持って戦ったが民衆に笑われて見捨てられたようで、これは喩え話だとしても「出産」の描写とはかなりの乖離があります。

●野乃はなは、はぐたんが来たから明るくなったのではない
転校前に同級生とトラブルがあったことから、「元の世界線の野乃はなは孤独だった」かのようなイメージもありますが、実際にはそれを裏付ける描写はないです。
野乃さんは、はぐたんと関係なく転校後は心機一転がんばろうとしていましたし、新しい級友たちも、はぐたんやプリキュアが絡まなかったら野乃さんをいじめていたようには見えない。

「ハートキャッチ」の花咲さんは、来海さんに出会わなければ内向的な性格のままで、プリキュアとしても大成できなかったと思われます(小説版では、転校前の学校で孤立していたことも示唆されている)。
野乃さんはこれとは違い、歴史が変わろうと何だろうと、ひとまずは第1話のあのポジティブな性格のままです。
そのため「はぐたんが来なかったら孤立していた」は、否定する描写はないものの、率直に言って不自然さが残ります。

●前髪を切ったから未来が変わったのではない
「前髪」説は「未来が変わったから前髪を切った」です。「前髪を切ったから未来が変わった」ではない。
次の項で書きますが、バタフライ効果による改変は想定しづらいので、「前髪を切ったことが連鎖的に変化に繋がった」は苦しいです。

参考:「前髪のパラレル」

【描写されている事柄】
●ジョージは「未来は変わらない」と認識している
ジョージは確信を持っています。だから歴史改変ではなく、時間停止を選んだ。
もしもバタフライ効果で未来が変わるなら(例:前髪の切り方)、ジョージはこのような認識にたどり着けません。
いわゆる「特異点」「時間の修復力」を想定しても、認識に齟齬がある。

参考:「パラレルワールドへの疑念」(物語面)

「バタフライ効果を採用できない」のは考察をする上でかなりの負担です。「今回はなぜ変わったのか」を説明するのがかなり困難で、後述しますが、だから「ハグプリ」は凄いと思っています。

●2030年のえみるが、ルールーに会うために研究室を訪問している
●ルールーは繰り返し「未来で待つ」と発言している
えみるが仮に歴史が変わることを想定していたなら、この行動はとれません。また、パラレルワールドだと認識していたなら、あのルールーは別人ですから描写に違和感がある。実際、これらを理由に「この再会は茶番ではないか」と批判も起きました。

ですが前述のとおり、そもそも改変やパラレルを想定する必要がありません。そしてルールーは「未来で待つ」と明言しています。
ここから改変世界やパラレルを導くのは難しいです。

参考:「パラレルワールドへの疑念」(人物面)

なお幼ルールーが同一人物であることは、オールスターズメモリーズから(勝手にですが)読み取れます。
若返って記憶をなくして混乱する面々の中、ルールーだけは野乃はなやはぐたんを認識できている。「2030年に出会っていた記憶があったから」とすれば、辻褄はあいます。

●失敗をなかったことにするのではなく、失敗から立ち上がるのがテーマ
これはテーマに関わることなので、絶対こうだとは断言はできないのですが、「プリキュア」シリーズでは「絶対に失敗しないこと」よりも「失敗しても立ち上がる」を重視していると思います。

実例としてもアンリ君は「怪我をなかったことにする」ではなく、「怪我をしても別の道で立ち上がった」です。「未来が変わる」と「歴史を変える」はイコールではないように思えます。

参考:「パラレルワールドへの疑念」(テーマ面)

【オールスターズメモリーズで描写されたこと】
●視聴者が「プリキュア」の存在に寄与している
前述のとおり、バタフライ効果は説明に使いづらいです。突き詰めると、ハグプリ世界単体では打開できません。
ですが、まさしくその状態に陥った「オールスターズメモリーズ」では、「視聴者の記憶に助けてもらう」ことで突破しました。

プリキュア映画は例年、その年のシリーズの集大成として上映されています。
歴史改変(ハグプリ世界では解決できないこと)を成すには、「視聴者」の存在を想定するのが綺麗に思えます。

参考:「世界はいつ分岐したのか」


以上から、私としては「未来は変わらない」が考察の第一。
参考:「最終回に起きたこと」

深堀した第二の考察として、「オールスターズメモリーズ」のギミックを使った「黒白召喚により歴史が変わった」を推しています。
参考:「タイムパラドックスの真相」

あとは蛇足になりますが、思考実験として平行世界説の吸収も試みた。
参考:「パラレルワールドの正体」

一連の内容が『正解』かはともかくとして、「時間」テーマは考察すると楽しいです。大げさですけど、死生観にも影響を受けました。
とても面白いので、続けてくれる方がいると嬉しいです。

参考:
HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「歴史が変わる前の物語」: HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2021年09月23日 | ハグプリ最終回考察
ハグプリの歴史改変ギミックはかなり完成度が高いと思います。一言でいえば「すごい」。

『タイムトラベルでは歴史は変わらない(変わらなくても破綻しない)』
『歴史を変えたのは、世界の外にいる視聴者による応援』

要するに視聴者の「プリキュアがんばれー!!」の声援が歴史を変えた。「オールスターズメモリーズ」での「好きなプリキュアの名を呼んで欲しい」と全く同じ構図。

『考察』からスタートしたので回りくどい思考になってしまいましたが、至ってしまえば「プリキュアらしい」納得のいく仮説です。
SFとしても通用する整合性があり、歴史を変えているのにタイムパラドクスが起きず、それでいてストーリーが幸せに解決している(えみるとルールーは再会できる)。
ついでにいえば、このトリックは「私たちの」世界の歴史改変をも示唆します。
タイムトラベルものとしてもっと評価されて良いんじゃなかろうか。

【私たちの知らないハグプリ】


(「HUGっと!プリキュア」49話より)

私の説では、歴史が変わったのは21話で黒白キュアが召喚されたとき。この瞬間に過去・現在・未来が変わり、私たちが見ているあの「ハグプリ」になった。

ポイントは「過去も同時に変わる」です。21話より前の話は改変前、ではない。
「時間は過去・現在・未来が同時に存在している」ので、21話で改変が起きたなら1話や20話も同時に改変されます。それを視聴している私たちも改変に巻き込まれますから、改変前の1話を視聴した記憶は失われ、代わりに我々の知るあの1話の記憶になります。
(これを厳密に突き詰めていくなら、私たちの世界がパラドクスを起こす危険があるのですが潔く無視します)

では改変前のハグプリはどんな話だったんだろう?
先に私なりの結論を書くと、元々の歴史での「ハグプリ」はこうだったと思います。

『野乃はなが最終的にマザーに神化し、世界を救う』

以下、根拠を述べます。
まず下記の条件をつけてみたい。改変前なんだから何でもありではあるんですが、それではあまりに漠然としているので取っ掛かりを作ってみます。

条件(1) :改変前であっても「プリキュア」ではあるので、「プリキュア」コンテンツとして違和感のないもの。
「野乃はなが民衆に裏切られて残酷な死を遂げた」とか「仲間を殺された恨みから闇落ちした」のような物語は(2021年現在のプリキュア観点では)ありえない。

条件(2): 変える必要がない箇所は、原則として改変後の「ハグプリ」に準じる。
ご都合主義的な制約ですが、シンプルに進めるために基本ラインは私らの知る「ハグプリ」とします。

条件(3): 「プリキュアの歴史がない」世界なので、私たちの知る「ふたりはプリキュア」(第1作)を参考にする。
これもご都合主義ですが、「第1作」という共通点がありますから、参考にするのは妥当じゃないかしら。
初代に準拠するなら「敵幹部が爆砕される」展開になりそうに思います。初代の頃から「光と闇」の対比構造や闇の側の事情も描かれ、いわゆる「犯罪者的な悪い奴ら」ではないことは示されていました。が、それでも爆砕した。当時はそれが新鮮で「プリキュア」の特徴とも言えましたから、この路線を採用したい。

条件(4): 何か「悲劇」「変えるべき」要素がある
15周年番組での大掛かりな改変ですから、「爆砕された敵幹部がかわいそう」といったことではなく、もっとプリキュアコンテンツに関わる何かが起きたと思われます。

【未来の掛け違い】

条件(3)「ふたりはプリキュア」を参考にするなら、第2期があったと推測されます。我々でいうところの「MaxHeart」が、改変前の世界では放送されていたんじゃなかろうか。

「MaxHeart」では追加枠としてルミナスが登場します。彼女は「光のクイーン」の「娘」ではありませんが、イメージとしてはそれに近しい。この関係性は「マザー」と「はぐたん」にも言えます。

「敵幹部を爆砕する」ならトラウムが死亡してしまいます。最終回で未来に帰る手段がない。はぐたんの不思議パワーを使ってもいいですが、とりあえず我々の知るカエル列車での帰還はなくなります。

以上を踏まえ、改変前の世界では「ハグプリ」第2期が放送され、トゥモローが追加戦士として共闘していたんじゃないかしら。未来に帰るために、失われたトゥモローの力を取り戻すとか何とかそんな導入で。(もしかしたら名前も「キュアトゥモロー」ではなく「シャイニートゥモロー」とかだったのかもしれない)

このシナリオなら普通に考えれば、はぐたんの母親はマザーです。
「MaxHeart」も、ルミナスと『少年』は姉弟のようにも見え、(そんな設定はなかったと記憶していますが)ジャアクキングとクイーンの子供のように受け取れなくもない。
ならば改変前「ハグプリ」第2期を見た視聴者が、「トゥモローはジョージとマザーの娘」と連想しても、不思議はないはず。

一方これまた普通の感覚として、はぐたんの母親は野乃さんです。「未来から来た赤ん坊が赤の他人」は、物語としては肩透かしにすぎます。
そこで第2期最終回で、我々の知る「ハグプリ」の最終回シーンが放送され、(半ば視聴者サービス的に)野乃さんが自分の赤ん坊を「はぐたん」と呼んでしまった。

そのため本編ストーリーとしては強く表には出さないものの、裏設定的な推測で「マザー=野乃はな」となってしまい、「野乃さんが後々マザー化する」展開になってしまったんじゃなかろうか。
他作品を引用するのは気が引けますが、主人公が神化するのはこのジャンルでは珍しくありません。初代プリキュアが意識したはずの「セーラームーン」でも「未来で神的存在になる」「娘が助けを求めてやってくる」を扱っていますから、むしろ自然な展開とも言えます。

ただ初期にこれをやってしまうと、我々の知る「普通の女の子」路線とはかなり乖離してしまいます。
これが条件(4)「変えるべき悲劇」だったんじゃなかろうか。

【改変の影響】

この説にはいくつか利点があります。

①正体不明のマザーに説明がつきます。
これまで書いてきた一連の考察には、マザーは何も関わってきません。「あんな意味不明の存在は放置すべきだ」とまで書いていたのですが、「意味不明なのは歴史改変により宙に浮いたからだ」なら何となく収まりが良くなります。

歴史が変わり、野乃さんのマザー化は避けられた。しかし条件(2)の裏返しで、改変前の物語も可能な限り維持され、マザーは残ってしまった。
プリキュア世界では「無から有が生まれる」タイプのパラドクスは前例があります。(参考:「リコのパラドクス」
「マザーが意味不明なことこそが、歴史改変の残滓であり証拠なのだ」と断言してしまったら気持ちいいかもしれない。

②最終回の全人類プリキュア化につながります。
改変前は「特定の女の子が神になる」話。改変後は「普通の人類が、人類として戦う」話。
「(普通の女の子である)プリキュアの歴史が持ち込まれた」結果、「変えるべき悲劇(神化)」が解消されて「普通の人々が戦う」のは流れとして綺麗に思えます。

他、ストーリーとも整合します。
ジョージの語った「民衆に冷たくされ、自己犠牲で解決せねばならなかった」様子にも合います。「勝てない戦いを挑んだ」などなら解決の方法もありそうですが(例えばタイムトラベルして戦力を増強する)、マザーになることで完全解決できるなら、野乃さんを止めるのは確かに難しそう。

また、ジョージが救出のために未来に立ち向かった(私は勝手にそうだと思ってる)のも、「マザーになった野乃はなをどうにかする」であればチャレンジする気持ちが沸きそうです。
逆に言えば、このことから「改変後の」ハグプリの未来で何が起きるのかも予想できるかもしれない。引き続き考えてみたいです。

参考:
HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)

2021年08月08日 | ハグプリ最終回考察
長くなったので一覧にしておきます。

※1年以上かけて書いた記事を、扱った内容単位でカテゴライズし、順不同に並べています。
検討を進めるにつれ変化したこともあるので、記事を読み比べると整合性が取れない箇所があります。

【私なりの結論】
ハグプリ世界はタイムトラベルでは「未来は改変不可」で、同じ破滅の歴史を延々と繰り返していた。
しかし今回のループでは、我々視聴者が観測していたことでキュアブラック・キュアホワイトが召喚され、歴史が変わった。

「未来は改変不可」なので、その後は同じ「救われる」歴史を繰り返している。
そのため、えみるは未来に戻ったルールー本人と正しく再会できる。


(「HUGっと!プリキュア」49話より)

「世界はいつ分岐したのか」
「歴史が変わる」問題点と、そのクリア方法の検討。
なぜ「黒白トリガー説」を持ち出すのかは、これを読んでいただくのが分かりやすいと思います。

「タイムパラドックスの真相」
パラドクスを回避しつつ、歴史を変える方法。

「最終回に起きたこと」
えみるはなぜ、最終回であのような行動ができたのか。
改変不可の世界観での出来事の考察。

「パラレルワールドの正体」
平行世界説、歴史改変説、未来不変説の統合。

参考文献

【大前提】
「タイムパラドックスの誤解」
よくある誤解のまとめ。
実はタイムパラドクスは起きていません。

【結論に直接かかわる検討】
「パラレルワールドへの疑念(テーマ面)」
「パラレルワールドへの疑念(人物面)」
「パラレルワールドへの疑念(物語面)」
平行世界説をとる場合に、クリアしないといけない課題。

「時間への挑戦」
未来不変説をとる場合に、タイムパラドックスが起きないことを、現代物理も念頭に確認。

【結論の補強】
「時をかける野乃はな」
はぐみ=はぐたん別人問題の解消。

「オシマイダー療法」
ハグプリ世界の未来で起きた「時間停止」と、キュアトゥモローが何と戦っていたのか。

「ジョージの別れと再会」
「ジョージの巡礼」
ジョージ視点で見た戦いの経緯と背景。クライアスの目的。

「薬師寺さあやの葛藤」
「相田マナの結婚」
えみるたちが「破滅は2043年」「未来は改変不可」と判断できた理由。

「魔法つかいが大人だった、その理由」
「トラウムとルールー」
「まほプリ」「アラモード」最終回と36話の齟齬、「オールスターズメモリーズ」でのルールーの振る舞いの検討。
何故トラウムは2018年に戻ってきたのか。

【平行世界の解釈】
「if世界での再会/ルールー分裂問題」
俗に言う「世界線」がどうなっているのかの整理。

「続編なんか怖くない」
オトナプリキュアを受けての補強。

【時間停止の解釈】
「時間の牢獄」
「停止した時の果て」
現実世界の観点で「時間停止」が起きたらどうなるかの考察。

「はぐたんはタイムトラベルしていない(はぐたんが時間を止めた説)」
時間停止のメカニズムから導ける別の可能性。

「死後の世界」
時間停止を元にした、我々の世界の「死後」の検討。

【結論からの派生】
「歴史が変わる前の物語」
私たちがかつて視聴した、改変前の「ハグプリ」の推察。歴史改変により、何が変わったのかの検討。

「誰が野乃はなを殺したのか」
改変後の「ハグプリ」世界で、誰が野乃はなを殺したのかの推察。

「輝木ほまれと人魚姫の代償」
人魚姫の「代償」として何を支払ったのか。

「ジェロスの輪廻」
ジェロスは2018年を2回繰り返していた説。

「はぐたんは若返っていない説/ハグプリ未解決問題」
ハリーの奇妙な行動や、はぐたんの不可解な謎から推察した「はぐたんは2030年からタイムトラベルしてきた」説。

「2018年の謎(ジョージの最優先は野乃はなではない説)」
ジョージが2018年での決戦を選んだ理由の推察。

【キャラクター考察】
「歌よ響け、この空に」
「愛崎えみるの家庭事情」
えみるが感じていた抑圧に関して。
アンリくんを初めとした、いわゆるジェンダー問題として扱うことへの反論。

「明日は何色」
キュアトゥモローさん追加戦士説。
(注:トロプリ現在、キュアサマーの登場により「ピンクキュアの追加戦士」が現実味を帯びました)

「特異点リストル」
リストルの不可解な立ち位置。

【テーマとの考察】
「トロピカル~ジュと2043年の戦い」
「ヒープリはミデンに勝てるのか」
「2033年プリキュア30周年」
「プリキュア40周年」
「プリキュアは初代を見ていた幼児の現在の年齢を意識している」を念頭に、これから先のプリキュアの展開予想。

※「プリキュア」である以上、「プリキュア」コンテンツとして成立できる内容でなければ、どんなに整合性が取れていても考察としてはNGだと思っています。
例えば私が当初考えた「未来世界の真の黒幕は、自らの意思で闇落ちした野乃はな」等は、少なくとも2021年現在のプリキュア観ではありえない。

【歴史改変説】
「えみるの決断/さようならルールー」
一般的な「歴史改変(登場人物の行動により未来が変わる)」を元にした仮説。

【時間に関する小ネタ】
「改変世界のルールー」
「3つ目のパラレルワールド」
「ルールーと再会する方法」
歴史改変や平行世界を念頭に置いた場合の思考実験。

「キュアパッションの跳躍」
「はぐたんVSリフレイン」
時間や空間を跳躍することの思考実験。

「ルールーの無限ループ(チョロミーのパラドックス)」
ルールーの出自に関する別解

【他シリーズへの展開】
「プレシャスな人生の物語」
「無限の愛」を時間面から見た解釈。

「星奈ひかるのリフレイン」
「星奈ひかると時間の呪縛」
「ハグプリ」「スタプリ」最終回と、「ヒープリ」との出会いの考察。

「春野はるかの未来への道」
「Goプリ」「フレプリ」の時間のずれの問題。

「夢原さんの四季2回問題」
「ブンビーさんの就職活動」
ヒープリ映画を受けての検討。
(注:この当時は謎だったブンビーさんの経緯は、ヒープリにて示唆されました)

「停止する美翔舞」
「リコのパラドックス」
ハグプリ以外の「時間停止」「過去移動」の事例。クシィは眷属を出し抜いていた説。

「ミラクルリープ」
「パラレルワールドへの疑念(ミラクルリープ)」
映画「ミラクルリープ」を受けての考察。

【小ネタ集】
「はぐたんの見た世界、他」
「エリカとの出会い、他」
まとめきれなかったネタ一覧。
野乃さんが幼少期に出会った「エリカ」なる人物、はぐたんはトゥモローとしての記憶を持っていたのか、ハリーはなぜビューティーハリーを経営できたのか等。

【その他、初期の考察】
「えみるの戦い」
「ルールーの旅立ち」
「ふたつのプリハート」

「愛崎えみるは如何にして研究室に行ったか(2)」
一連の記事のスタートライン。36話の朝日奈さんらは2033年から来ていた説。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「トロピカル~ジュと2043年の戦い」: HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2021年04月25日 | ハグプリ最終回考察
ただの人生観的なことを書いてみる。

【未来から見た過去である現在】

トゥモローさんが活躍する2043年シリーズはプリキュア40周年。
初代を見ていたお子様が40代半ばになり、自分の子供がプリキュア年齢(14歳前後)を迎えることから、子離れ・親離れ(そこから連想される「これまでの人生に一区切りがつく」こと)がテーマになるのではと勝手に予想しています。

トゥモロー視点で見た場合、「2043年シリーズで母と対立し決裂。しかし25年前にタイムトラベルし、若かりし頃の母と出会い、母の想いや歩みに触れる。母もまた一人の人間であること、また自分への愛を知る。2043年に戻った後、対等な関係を築き大人としての一歩を踏み出す」ようなストーリーです。
トゥモローさんはああ見えて反抗期が激しい感じの娘さんなんだ、きっと。

そして仮にそうだとすると、「では何も積み重ねなかったものはどうすればよいのか」が真の問題として立ちふさがりそうです。


(「HUGっと!プリキュア」37話より)

15周年にて野乃さんは「思い出があるから踏ん張れる」と立ち上がった。
そしてカウンターとして「思い出を持たない」ミデンが問題になった。
これと同様に「そもそも子育てに参加しなかった人」は挽回のしようがありません。

話の流れ上「育児」を前提にしていますが、仕事でも健康でも同じです。
想定年齢40代半ばともなると、諸々のことに結末が見えてくる。
現実的な問題として、40代半ばも過ぎれば仕事力や役職はほぼ固まる。努力すれば向上の余地はあるにせよ、それは若い人にも言えるわけで。20代から同等以上の努力をしている人に勝てる道理はない。
健康も更年期を迎えれば、男女問わず色々調子もずれてくる。健康診断も何かしら引っかかるのが普通になってくる。

15周年の時のミデン「外的要因で何もできなかった」と違い、「自分が何もしなかった」のは痛いです。しかも自分だけでなく、子供や周囲にもマイナスの影響を与えてしまう。いわばミデンの悲劇を自分が生み出してしまう。不摂生がたたり体を壊した→そのせいで子供の選択肢を制限してしまった(ミデンの倒産と同)のように。

この課題を抱える敵との戦闘を想定してみれば、深刻さが浮き彫りになります。我々の知る1~18年のプリキュアでは解決策がない。

1~15年(想定年齢20歳)では社会的な問題が壁になった。努力して頑張っても不況だったらどうしようもないよね、みたいな。
だから「未来は破綻している」「その破綻した未来をどう迎えるか」が共通的に流れていた。

16年~30年(想定年齢35歳)は、ライフステージの問題なのだと予想しています。結婚して独身時代に別れを告げる(あるいは結婚しないと決める)、賃貸を出て家を買う(あるいは買わないと決める。以下同)、転職や昇進による働き方の変化、子供が産まれる等々。

これらは望んだ展開なので不幸ではない。が、そこに疑問や寂しさもある。スタプリ・ヒープリを見ていると、「ついにやってきた破綻した未来をどう生きるか」を扱っているように思えます。

31年~40年(想定年齢45歳)になると、その「破綻した未来」が過去のものになり、どう乗り越えてきたかの問題になるんじゃなかろうか。
挑むべきだった壁は既に過去の物。そう思うと、過去にタイムトラベルして戦ったクライアスも何やら示唆的です。

ただ私らは当然タイムトラベルなんてできない。じゃあどうすれば「何もしないまま年だけ取ってしまい、気が付けば終わってしまっていた」を解決できるんだろう?
言い換えると、まだ見ぬ31年~40年のプリキュアや、トゥモローさんはどうやって勝つんだろう?

冒頭で触れたように、トゥモロー視点では「追体験」の物語なので、そこをキーにしてみる。
現実の人生を考えると、40歳~45歳は人生の折り返し点です。それならば「ここから第2の人生」「第1の人生の反省を活かせ」と切り替えるのが良さそうに思う。

40歳から第2の人生の始まりとすると、45歳はその意味では5歳(プリキュアのターゲット年齢)。そこから60歳ごろの定年退職まで第2の学生時代と思うのはどうだろうか。
第1の人生で「20歳前後に学生を卒業して社会人になる。それに備えて学生時代を生きる」のと同様に、「60歳前後に老後を迎える。それに備えて会社勤めを生きる」。会社勤めをゴールにせず、次への準備段階と位置付ければ戦い方が変わるんじゃないかな。

趣味や健康でも同様で、かつての学生時代の感覚で老後に備える期間だと思えば、もう一度戦いを始められる気がする。
学生なんだから色んな未熟があるのは仕方がない。受験勉強をするのと同じように、老後勉強をするんだ。

「プリキュア」なので子供に話を戻すと、私自身の経験としても「子供を通じてもう一度人生を体験している」感覚はかなりあります。
自分の果たせなかった夢を託すとかそういったことではなく、ああなるほど運動会って親の視点ではこう見えていたのか、と舞台裏からBサイドを見る感じ。
同じことは多分今後も言えるはずで、就職や結婚や孫の誕生などで、もう一度経験する機会がある。それらをしない選択を子がしたとしても、それはそれで立派な追体験です。


いずれにせよもう一度人生を歩む機会があり、反省があるならその時に活かせばいい(子に自分の理想を強制するという意味ではなく、自分がその場に相応しい適切な振る舞いをするという意味で)。

(※「15歳~20歳前後で学校卒業」と違い、成人してからはライフイベントの発生時期も選択肢も人により全然違うし、理想的なタイミングなんてのもない。統計的な平均である30歳出産を念頭に書いていますが、18歳や45歳で出産したり養子や前配偶者との子など様々なケースも当然ある。住居や仕事も、「家を買った後、売って、また別の家」とかいろんなパターンがあるので取り組み方はかなり違うはず。それらも表現に違いはあれ、上記のようなことは当てはまると思う)

この解決策なら、勝てないと思われた1~30年シリーズも息を吹き返します。
再び似通った道を歩むのなら、かつてのテーマが答えになる。60歳(45歳からカウントすると15周年)になったとき「辛くても完璧でなくても15年歩んできたんだ」「これしきのことで心折られるなんて、私のなりたかった私じゃない!」と叫び、老後の戦場に向かっていくんです。意外に結構しっくりくるんじゃなかろうか。

【今一番大事なこと】

それはそれとして、今はまだ18年目です。2043年まで20年以上ある。
「何もしなかったことをどう乗り換えるか」の前に、そもそもでいえば「今からちゃんとやれ」が明らかに正論です。
奇しくも今年のトロプリさんは「今一番大事なこと(=これまでの描写から推測するに「今しかできない、未来を幸せにする行為」)」をテーマにされています。
2043年に立ち向かうために、ちょっと真面目に「今一番大事なこと」に向き合いたいです。

参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「魔法つかいが大人だった、その理由」: HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2021年04月18日 | ハグプリ最終回考察
全体像は自分なりのゴールについたので、これまでの検討を振り返ってみる。

【全員集合】

36話にて「魔法つかい」「アラモード」はなぜか成長した姿で登場します。
公式様のインタビュー記事などを見るに、深い意味はない(強いていえば誤解から生まれた)演出かに思えますが、それで終わっては考える楽しみがないので理由をこじつけたい。

以前に考えたのは「彼女たちは2033年から参戦している」。


(「HUGっと!プリキュア」36話より)

仮説:
『最終回にて2043年に戻ったトラウムは、未来での最終決戦の後、2033年を経由して、36話のオールスターズ戦を起こした。
(そして37話にて消滅。トラウムの時系列は、35話→38話→最終回→2043年→36話→37話→消滅)』

37話ラストの彼は、素直に見れば消滅しているようにしか見えません。
「えみるはどうやって「未来は不変だ」と気づけたか?」への回答にもなるため、私的にはこの仮説は気に入っています。

参考:
「えみるの戦い」
「時間への挑戦」

また上記記事を書いたときには思いつきませんでしたが、「ジョージ最愛の人の死亡」もこの事件と組み合わせればいい。
2033年(30周年)のテーマには1~15年シリーズは太刀打ちできないと予想しているので、「野乃さん(15年の代表)が敗北」はこれまでの推察と一致します。
その後、16~30年のシリーズのプリキュアさんらが突破口を開くようなイメージです。
2019年から歩んできたジョージの状況ともかみ合う(「大事なものに別れを告げて、前向きに先に進む」は30周年のキーだと思ってる)ので、「ジョージの助力で16~30年プリキュアが奮起」とか楽しそう。

参考:
「ヒープリはミデンに勝てるのか」

他、細かな点を深追いしてみる。

【いつの日か大人になった自分に】

トラウムは何でこんな面倒なことをしたんだろう?
えみるに情報を伝えたいだけならばオールスターズ戦を起こす必要はなく、動機が分かりません。

これについては「36話の戦いを起こした理由」と同じ方向で考えてみる。

参考:
「タイムパラドックスの真相」

トラウムが36話にて1~15年プリキュアに挑んだのは、歴史改変により出現した「プリキュア」の存在を、野乃さんに刻み込むため…だと勝手に思ってます。
これと同じ理由で、2033年に16~30年プリキュアと戦った。

2033年時点で、はぐたんは3歳前後。タイミングにもよりますが「プリキュア」を視聴し始める直前ぐらいの年齢です。
言い換えると、2034年以降のプリキュアのことは、はぐたんも知っている。でも2033年までのプリキュアのことはリアルタイム視聴していないので知らない。
そこで、はぐたんの目の前で16年~30年プリキュアとの戦いをトラウムは起こした。
野乃さんに「プリキュア」の歴史を刻んだように、はぐたんに「プリキュア」の歴史を伝えるために。

これにより1~15年は野乃さん(を通じて、はぐたん)に、16~30年ははぐたんに伝わり、31年~40年はリアルタイム視聴者として継承する。
2043年にプリキュア全シリーズをバックに、キュアトゥモローが戦えます。強い。
このためにトラウムはわざわざ危険を冒して、2033年にも戦ったんだ…と決めつけてみる。

【どんな夢に魔法を使いたいの?】

2033年を経由したのは良いとして、では何で「魔法つかい」「アラモード」の2チームをわざわざ連れてきたんだろう?

ストーリー面でいえば「この2チームはハグプリチームと接点があるから」かと思います。
えみるが「未来不変」の検討材料にするためには「連絡がつく」ことが条件なので、それなりに親しいチームでないと不発に終わってしまいます。だからこの2チームにした。

なお、「ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!」にて「野乃はなと夢原のぞみは連絡を取り合える仲である」と描写されています。
これは上記仮説と妙な干渉を起こしていて、ちょっと面白い。

「ゆめのまち」は素直に考えるなら37話より後・最終回より前のお話です。未来に帰る前のトラウムがこの事件を知っていたなら、「プリキュア5」を選ぶような気がする。
逆に言えば「ゆめのまち」を知らなかった(夢原さんと連絡を取り合える仲だと知らなかった)ので、「スーパースターズ」当時の知識をもとに「魔法つかい」「アラモード」を選んだのかもしれない。
だとすると38話以降のトラウムは別の時代から来ていた可能性があるとか、「ゆめのまち」のタイミングが実は違うのかとか、色々と妄想が膨らみます。

【気まぐれな昨日へ】

せっかくなのでテーマ面からも「魔法つかい」「アラモード」が選ばれた影響を考えてみる。

「魔法つかい」は「自分と異なる価値観や性格の人も世界には多数いる」「自分の中にも複数の自分がいる」という多様性を扱っています。
ルビースタイル等のモードチェンジは、テーマを昇華したすごくよいギミックだと思う。
そして「一人一人が違うからルールがある」。ダークマターは善意で人助けをしていましたが、でかい熊が手から炎を吹き出しながら無言で近づいてきたら、怖がられて当然です。魔法にもルールがある。

トラウムの事情に当てはめてみよう。
異なる時代から入れ違いにやってきて、時間を渡り歩くトラウムは「一人の中にも複数の存在がいる」といえる。
「ルール」の概念もいい感じにくすぐってきます。トラウムにはトラウムの事情があったとしても当然こちらは応戦するとか、「タイムトラベルは何でもあり、ではない」「ルールがある」として、えみるに検討を促す役割に合致します。

「アラモード」のテーマは「大好きを諦めない」。
玉砕を前提としているトラウムのこの行動は、よほどの「大好き」がないと決行できません。
その気持ちを受け止める役としては、宇佐美さんが適任だと思う。

完全にこじつけ&他チームでもどうとでも説明はつけられる話ですけれど、テーマ的にも「魔法つかい」「アラモード」は割と違和感がないです。

何か他にも色々と、考えれば考えただけ取り留めもなく思い浮かびます。「2033年の戦いを生き残れそうなのはこの2チーム(30周年テーマに1~15年は勝てそうにないが、この2つはテーマ的に善戦しそう)」とか。
実際に2033年を迎えるまで、延々と楽しめそう…。

参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする